つれづれ小平

忙中閑あり。
徒然のひとときに、自分探しの旅へ。

20090517 量子分光化学

2009年05月17日 10時39分21秒 | Weblog
実際には「紙と鉛筆」までやらないと、読んだことにはならないと思うが、
アマゾンにレビューした。

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分光化学の基礎を「語る」名著。章末の引用も味わい深い。

日常の実用分析において、我々は分析装置のボタンを押すだけであり、中身の理解は希薄である。分析化学においては、分光的手法は大きなウェイトを占めるが、これは発光線の波長が特定であることを利用している。すなわち、その波長は離散的であるが、これはまさに我々が感じることのできる量子効果の一端である。本書は、大学で習ったどちらかと言えば無味の量子論が、如何に分光に結びついて息づいているかを示しているものである。ページ数は多くないため、個別の分光分析に入り込んではいないが、色んな工夫が盛り込まれている。例えば、量子論的扱いと共の古典論的扱いを併記して、読者の理解を促進している。多くの非ノーベル賞受賞者に光を当てて語っている本文及び引用も読んでいて楽しい。私は、演算子の辞書としても本書を傍らに置きたい。