本日早朝、小屋スタッフが一時下山しております。午前5時過ぎ、小屋近くですれ違った登りの登山者はスニーカーにやや大きめのデイパック。手には途中で拾った樹の枝をストック代わりに持っていました。予定を聞くと、槍ヶ岳を日帰り登山するつもりだ、と。あまりの装備不足にこちらが怖くなりましたが、なぜその装備で登ってはいけないのか、ということを丁寧に説明し、下山して頂きました。残念ながら毎シーズン、このような登山者はこの時期に時々見かけます。万全の装備でお越しください、とお願いしたいところですが、この春から続く山岳遭難事故を思えば、「雪が解けてから登って下さい」とお願いするのが、命を一番大切に考えた場合のアドバイスなのでしょうか。
雪が解けたら顔を出すのは木々の新芽ばかりではありません。冬季登山者が残していった大量のゴミ。さぞ、藤木久三さんもお嘆きではないでしょうか。(滝谷レリーフ)
こんなビフォー・アフターが続かないとよいのですが。
山は挑戦する場所、と、決まっているわけではありません。季節を選び、慎重な計画、ルート選択、十分な装備で安全に登ることは可能です。毎年、雪も必ず解けます。常日頃、山を愛するあまりに”挑戦”という気持ちが高まり過ぎてしまう方もあるかもしれませんが、山の愛し方にはもっとたくさんの、豊かなバリエーションがあることに今一度思いを巡らせて頂ければと感じています。