弊社の業務は、主に林業関係者に特化していますが、どの業界でも「人材不足」という問題を抱えています。
林業関係者を対象に人材育成に関する研修をさせていただく際、事業体から「人材確保」とか「人材不足」が課題だという言葉を耳にします。
人材を確保するために、求人を出したり、林業大学校へ顔を出したり、都市部へのガイダンスに出展したり(-_-)
さて、ここで、次の点について、考えていただきたい。。。
「人材」と「人手」の違いは何か?
「人材不足」と「人手不足」の違いは何か?
ということです。
人材とは、「組織や業界にとって必要な存在」、「能力があり、役に立つ人物」です。
人手とは、「働く人、働き手、労働力」、「他の人の力、他人の手」です。
つまり、「人材不足」とは、組織に必要な人物、能力がある人物、役に立つ人物が不足しているということになります。
加えて、高い専門性や優れたスキルを持ち、仕事の中核を担う「中核人材」と、その中核人材の指示を受けて、事業に不可欠な労働力を提供する「労働人材」の2種類に分かれます。
ということは、「人材不足」という問題を解決するため、ガイダンスに出たり、林大生を雇用したり、という方法は、どちらの人材不足という問題を解決しようとしているのか、しっかりと把握する必要があります。
「中核人材」が不足しているなら、未経験者の雇用は、解決に至りません。
なぜなら、未経験者が組織に必要な人物になり得ないからです。
もちろん、時間をかけて、組織に必要な人物に育てることは可能です。
つまり、中核人材の不足という問題を解決するために、中核人材の育成に取り組むということですね。
ここで重要になるのが、中核人材を育成する人物は誰でもいいというわけではないということです。
厳しい事を言えば、組織に必要な人物や能力のある人物になり得ない方は、育成にかけるコストと時間が無駄になる可能性が高くなります。
全員が育てばいいのですが、それが叶わないこともあるので、ある程度の見極めは、必要になります。
この点に関しては、育成対象となる従業員の意識も重要です。
そして、従業員が育ちたい!と思えるメリットを目に見える形で示すことも重要です。
足りないのは、中核人材か労働人材か。
育てたいのは、中核人材か労働人材か。
一方、「人手不足」とは、単に労働力が足りないということになります。
この場合、臨時で雇用したり、外注に出したり、AIを導入したりなどの方法が考えられます。
人材不足という問題を解決する方法としては、
・今の従業員(新人を含む)を育成する
・自社に必要な人材を他者から引き抜く
後者は、お金も時間もかからない方法ですね。
いわゆるヘッドハンティングというやつです。
優秀な人材の引き抜きは、会社を発展させていくための手段として、一般的にあることです。
人口減少が進み、色々な業界が人手不足、人材不足と言われる中、今の組織以上に評価をしてくれる組織に移ることは悪いことではありません。
組織や業界に必要な存在が人材であり、優秀な人材は、それだけ高く評価され、誰からも求められます。
自社から引き抜かれたくない、やめてほしくないのであれば、優れた人材が評価され、優遇される条件を整える必要があります。
しかも、ヘッドハンティングは、自社が強化され、ライバル社を弱体化させ、しかも、どこで働き、どこへ転職するかは、個人の自由なので、法的に罰せられません(情報など会社の資産を盗み出して転職することは違法ですが・・・)。
他社が手掛けた優秀な人材を投資ゼロで得られる方法がヘッドハンティングです。
ヘッドハンティングは、人材確保と人材不足を解決する手法として、最小限の投資で最大限の効果を発揮できる手法ですね。
そして、ヘッドハンティングを防ぐ手段は、自社を磨き、ここで働きたい!という職場環境づくりが不可欠です。
林業は、危険、汚い、きつい、給料が安いの4Kと言われています(ほかの”K”があるとも (;゚Д゚) )。
自然の中で働く魅力を訴えても、この4Kが緩和されない限り、定着しません。
「自然の中で働く事が出来れば、年収300万円で満足」という方が全てではありません。
ちなみに、僕自身は、自然の中で働くという言葉に何の魅力も感じません。
「あなたの会社で働きたい!」
そう思ってもらえるようになることが、人材確保の第一歩です。
人材不足と人手不足。
単なる言葉ですが、言葉の違いや本質をしっかりと理解することで、問題を解決するための具体的な手段も浮かび上がってきます。
「人材不足」をただの言葉として使っている間は、会社が抱えている問題の本質を見落としかねません。
求めているのは、組織に必要な人物である「中核人材」ですか?
それとも、事業をこなすために必要な労働力である「労働人材」ですか?
それとも両方ですか?
今、組織に足りていない人材は何か、それとも「人材」か「人手」なのか。
一度、その点について、向かい合うことが大切です。
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