数多くあるディズニーランドのレストラン。
そのひとつに、ある日三十代半ばを過ぎたくらいのご夫婦が来店されました。
接客したのはアルバイトの若い女の子です。
ご夫婦をテーブルへと案内し、注文を承りました。
先にご主人が注文しました。そして奥さん。最後に奥さんが、
「お子様ランチをひとつお願いします」と、追加されました。
ご夫婦お二人だけです。
それに、それぞれご自分の注文が終わった後のことです。
アルバイトの若い女の子が確認します。
ご主人が答えました。
「ええ、お子様ランチをひとつ追加してください。私達には子供がいました。
その子は、なによりディズニーランドが大好きでした。
一日遊んだ後、このレストランで
お子様ランチを食べるのが、特別の楽しみでした。
今日はあの子の誕生日だった日です。
いつものお子様ランチをお願いします。」
女の子は「はい」と申し上げ、ご夫婦のテーブルを離れました。
そして戻ってきました。
彼女は子供用のイスを運んできたのです。
ご主人と奥さんの間に、小さな子供用のイスが静かに置かれました。
ほどなくして運ばれたお子様ランチ。
誰も座る事の無い、小さなイスの前におかれたお子様ランチには、
ミッキーマウスのカードが添えられていました。
「いつまでも、お誕生日をお待ちし続けています」
私が彼女だったら、いったいなにが出来たでしょうか?
有名なディズニーランドの接客マニュアル。そこに一行も載っていない事を、
彼女は自分の心のままにしてあげられたのです。
あなたが彼女だったなら、いったい何をしてあげられたでしょうか・・・・・
つらい時だからほほえむのです。
悲しい時こそ笑顔が必要なのです。
心を満たすことがかなわぬことでも、心を癒す事を忘れないでください。
ディズニーランドのお子様ランチ・・・
彼女はいつも私達に心の姿、心のありようを純粋に問い掛けています。