過去・現在・未来

日々の出来事を「過去・現在・未来」の視点から

廃止しかない 後期高齢者医療制度

2008-05-29 21:32:38 | Weblog


 政府・与党は、後期高齢者医療制度でお年寄りが受診できる内容について、「制限されません」と宣伝しています。しかし、実際は七十五歳以上だけに限った診療の仕組みを導入しています。しかも、制度が続くほど年齢による「差別医療」が拡大するのです。シリーズ「廃止しかない理由」の三回目で、この重大問題をみました。(随時掲載)


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最初「ゆるく」


 国民がどの医療をどんな費用で受診できるかを定めているのが「診療報酬」です。医療機関に支払われます。

 四月に改定された診療報酬では、七十五歳以上だけを対象にした年齢差別の仕組みが盛り込まれました。

 例えば、外来診療に導入された「後期高齢者診療料」。高血圧や糖尿病などの慢性疾患を抱える高齢者が「主な病気を一つ」決めて、一人の「担当医」を選ぶというものです。同診療料は、どんなに検査や画像診断をしても「担当医」に支払われるお金は月六千円(患者負担一割の場合は六百円)の定額制(包括制)にしました。丁寧な検査や診断をするほど診療所側は「赤字」になるため、高齢者に必要な治療ができなくなるおそれがあります。

 このため全国で三十を超える都道府県の医師会が、「質の高い医療が提供できない」「一人の高齢者の病気が一つと決められるのか」と同診療料のボイコットを表明。厚労省調査でも同診療料を採用した診療所は全国でわずか14%にとどまっています。

 これだけ批判を浴びている診療料なので、政府は当初考えていた本格的な導入は断念しました。厚労省幹部も「ゆるいしくみ」といいます。

 将来的には「定額制」の範囲を投薬や、手術にも拡大し、高齢者がかかる「担当医」も一人に制限することを検討しています。医療費抑制のために「高齢者が複数の病院にかかる」ことを制限するのが狙いです。制度を存続させると高齢者が自由に医者にかかれない社会になってしまいます。

長生き妨げる
 七十五歳以上は、入院でも終末期医療でも、他の世代の診療報酬と線引きされました。

 ▽「退院調整加算」=「退院困難な要因」のある高齢者に的を絞り、「退院支援計画」をつくった病院への報酬を手厚くする

 ▽「終末期相談支援料」=医師が回復の見込みがないと判断した患者について本人・家族と延命措置をとらないことなどを文書で確認すると病院に報酬が入る

 診療報酬という経済的な誘導によって、高齢者を病院から締め出し、長生きまで妨げるものです。制度が続けば、こんな過酷な仕組みが定着してしまいます。

健診から除外


 四月スタートした特定健診・特定保健指導(いわゆる「メタボ健診」)では実施義務のある対象を四十歳以上から七十四歳までに限定。七十五歳以上を「義務」の対象から除外しました。七十五歳以上は生活習慣の改善は困難だから、「残存能力」で生きていけばいいという立場です。

 世論の批判を浴びて、当面はすべての都道府県で七十五歳以上の健診も行われることになりましたが、厚労省は「費用がかさむ」ので、高血圧の薬などを飲んでいる人たちは事前に除外するよう指示しています。

 また全国各地で人間ドックの助成対象から七十五歳以上をはずす自治体も続出しています。(表)

 不幸にして亡くなった高齢者に出される葬祭料が、七十五歳になったとたんに「減額」してしまうケースもあります。

 せっかく長生きをしたお年寄りに、さまざまな冷たい仕打ちをする制度の、どこが「長寿医療制度」なのでしょうか。廃止こそが急務です。



暫定税率復活 「国民負担2.6兆円増」

2008-05-01 21:39:19 | Weblog
原油価格高騰分も含め、ガソリン一リットルが百六十円を超える見通し―。自民・公明が強行したガソリン税の暫定税率の復活はガソリン1リットル当たり二十五・一円の増税をもたらします。

 第一生命研究所の試算では一世帯あたり月額千八百三十八円(全国平均)の負担増となります。政府・与党による「地方の声」という暫定税率復活の口実にもかかわらず、自動車への依存が高い地方では、北陸二千五百三十七円、東海二千三百二十円、四国二千二百三十一円など負担が重くなります。

 また、引き上げられるのはガソリン税だけではありません。軽油引取税、自動車取得税なども引き上げられ、国民生活に二・六兆円の負担増を強います。