過去・現在・未来

日々の出来事を「過去・現在・未来」の視点から

年収400万円で残業代なし,ホワイトカラーが対象

2005-08-29 19:51:57 | Weblog
--------------------------------------------------------------------------------

 年収四百万円になったら帰宅は午前様。残業手当なし―。小泉内閣と財界が、事務系の労働者を対象にこんな制度をつくる準備をすすめています。早ければ来年の国会に法案が出る予定。空前のサラリーマン大増税とあわせて、月給から残業手当がなくなったら生活は大ピンチです。

■帰宅は午前様!?

 残業代を払わずに何時間でも労働者を働かせることができたら、財界にとってどんなにいいか。しかし、一日八時間労働など労働基準法の規制があってやりたくてもできません。規制を超えて平日の残業や休日出勤をさせたら二割五分以上、深夜業の場合は五割増の割増賃金を払わなければなりません。

 労働者が人間らしく働き、生活するための当たり前のルールですが、財界にとってはこれが邪魔。この規制から逃れるために、自己の裁量という名目でいくら働いても残業手当がつかない裁量労働制を導入しました。しかし対象者に制限があるなど使いづらいというのが企業の評価です。

■労基法に新設

 そこで出てきたのが、ホワイトカラーエグゼンプションです。日本経団連が六月に「提言」を出しました。ホワイトカラーは労働時間規定の適用を除外(エグゼンプション)するという項目を労働基準法に設けるといいます。「一定の要件」をつけるとし、それが年収四百万円以上。あとは「地位、権限、責任、部下人数等とは無関係」といいます。

 年収が四百万円を超えたホワイトカラーはすべて、労働時間規制の対象外にされ、定刻になっても帰れず、夜なべしても残業代なし。過労死しても「自己責任」です。こんな働き方になるということです。

 この制度は、アメリカが本家です。アメリカには労働時間を制限する法律がなく、公正労働基準法で、労働時間が週四十時間を超えたら一・五倍の割増賃金を払うという条項があるだけです(七条)。そして二人以上の部下をもっている管理職や運営、専門職で週給四百五十五ドル以上(日本円で年収約二百五十万円程度)を要件に、七条の適用を除外する規定があります(一三条)。アメリカの場合はまだ管理、運営、専門職といった要件があるのに、日本経団連の「提言」は、それさえないひどい内容です。

 二〇〇一年に小泉内閣が財界代表を中心に発足させた「総合規制改革会議」で初めて検討が提起され、〇二年三月の「規制改革推進三カ年計画」に盛り込まれて閣議決定。今年四月に有識者による研究会が発足。年内に報告をまとめ、来年の国会に法案を提出しようという早いテンポです。

■財界なぜ導入急ぐ

 財界が導入に本気になった動機は、厚生労働省が〇一年四月六日付でサービス残業根絶の通達(四・六通達)を出したことです。これを力に労働者の申告が相次ぎ、トヨタなど主要企業が不払い残業代を支払わされました。通達後、四年余の間に六百五億円を超える巨額に達し、財界に衝撃を与えています。

 通達の最大のポイントは、企業に労働時間管理の責任があることを明確にし、タイムカードやICカードなどで労働者の始業・終業時刻を毎日確認し、記録することを義務付けたことです。

 実はこれは、日本共産党が一九七六年以来、国会で二百四十回を超えて主張してきた核心中の核心です。たとえば、通達がでる直近の二〇〇〇年四月の衆院予算委員会での志位和夫委員長(当時=書記局長)の質問です。サービス残業の一番の問題は、企業が実際より少ない残業時間を労働者に「自主申告」させるやり方にあることを指摘し、労働時間の把握と管理を企業に義務付けるよう求めました。

 核心を突いた追及に、「共産党に国会で何度もとりあげられ、参った。通達にはその主張がかなり盛り込まれた」と省内で話題になりました。

■通達直後から

 しかし、財界はこの通達を敵視し、直後から反撃の動きを開始します。「総合規制改革会議」がホワイトカラーエグゼンプションを「早急に検討着手」とうちだしたのが〇一年七月。通達の三カ月後でした。

 労働行政攻撃も激化しました。口火を切ったのが、日本経団連の会長企業・トヨタのある愛知県経営者協会です。通達後、会員企業の35・7%が労基署の指導をうけたと腹を立て、〇四年三月に愛知労働局に、労働時間の把握は労使にまかせよという要望書を提出。このときの要望の一つが、ホワイトカラーエグゼンプションでした。

 日本経団連は〇五年版の「経営労働政策委員会報告」で、「最近の労働行政は、企業の労使自治や企業の国際競争力の強化を阻害しかねないような動きが顕著である」と非難し、ホワイトカラーエグゼンプション導入を強調しています。

 通達を力に不払い労働根絶の流れを強めるか、財界が狙う残業手当なしの過酷労働を許すのか。いま大きな岐路にたっています。


「海外派兵国家」づくり、きっぱり反対できる党は

2005-08-23 20:06:06 | Weblog
 自衛隊のイラク派兵が今年十二月十四日で期限切れを迎えます。自民・公明の与党はその後も派兵を継続する構えです。しかも、米国の先制攻撃の戦争に日本が地球規模でいつでも参戦できる「海外派兵国家」づくりを本格化しようとしています。総選挙の重要な争点です。

■自民・公明 主要任務に格上げ

 自民党は、総選挙マニフェストとして初めて「日米安保体制の強化」を明記。自衛隊のイラク派兵については「即時撤退はいたしません」(重点施策)と断言しています。公明党は総選挙マニフェストで「イラク人道・復興支援の継続」を表明し、派兵継続を強くにじませています。

 それどころか、両党は総選挙後、海外派兵を自衛隊の主要な任務に格上げする自衛隊法改悪案の協議を本格化しようとしています。

 小泉・自公政権は昨年十二月、新しい「防衛計画の大綱」を決定。現行の自衛隊法で「付随的任務」とされている海外派兵を自衛隊の「本来任務」にする方向を打ち出しました。防衛庁はすでに、そのための自衛隊法改悪案の概要を自民・公明両党に提示(三月)し、協議が始まっています。

 しかも、自民党は総選挙マニフェストで「国際協力に関する一般法(国際協力基本法)を制定するなど、迅速な対応が可能となるよう検討する」とし、米国の要請に応えて自衛隊を迅速に派兵できる仕組みづくりまで主張しています。

 日米両政府は二月、在日米軍再編に関する協議で、米国がイラク侵略戦争の口実にした「テロ」や「大量破壊兵器」への対抗を「世界における(日米)共通の戦略目標」にすることで合意し、米軍と自衛隊との一体化の推進を打ち出しました。

 海外派兵の「本来任務」化も、「一般法」も、イラク戦争のような米国の無法な先制攻撃の戦争に日本が本格的に参戦できるようにするのが狙いです。

■民主 “正面から関与”

 民主党はどうでしょうか。

 総選挙マニフェストでは、イラクの自衛隊を十二月までに撤退させるとしています。

 しかし、岡田克也代表は昨年七月の米国での講演で、治安の安定などを条件に「自衛隊を(イラクに)派遣し、PKO(平和維持活動)的な役割を果たさせることは選択肢の一つ」だと述べています。

 それは、民主党がもともと海外派兵を積極的に推進する立場にたっているからです。同党は、自民・公明両党が制定してきた海外派兵法に反対することがある一方、海外での「自衛隊の活用」を一貫して主張してきました。

 今回の総選挙マニフェストでも「国連の要請に対しては、新たな『国際平和協力隊(仮称)』の創設などについて検討をすすめ、日本として国際平和の維持・構築に正面から関与できるようにします」とし、海外派兵に「正面から関与」することを表明しています。

 「日米同盟」についても「アジア・太平洋地域の公共財としての…価値を高めます」とし、「防衛協力を推進」すると明記。海外での米軍と自衛隊との共同作戦態勢の強化を打ち出しています。

■日本共産党 イラク撤退を要求

 日本共産党は、総選挙の重点公約で「自衛隊のイラクからのすみやかな撤兵を強く要求」。同時に「海外派兵国家の仕組みづくりをやめさせる」(各分野の政策)と訴えています。

 イラク派兵では、サマワの自衛隊宿営地を狙った砲撃が昨年四月から十回にものぼり、自衛隊の車列を標的にした路上爆弾の爆発事件(六月)も起きています。

 日本共産党は「政府の『戦闘地域ではない』というでたらめさがいっそう鮮明になっている」(同前)と繰り返し指摘。また、自衛隊が「人道復興支援活動」に極めて非効率である実態を示してきました。実際、サマワでは今月、生活インフラ(基盤)の整備を求める市民数千人のデモが起こりました。

 さらに、米国の「有志連合」として派兵継続に固執している国が当初の三十八カ国から十八カ国にまで減っていることを指摘。日本が国際的にも孤立していることを明らかにしてきました。

 「海外派兵国家」づくりの問題では、海外派兵の「本来任務」化や在日米軍再編などの動きが、米国の無法な先制攻撃戦争への参戦を狙いにしていることを明らかにし、「日本がアメリカとともに世界の平和に挑戦すること」(同前)になると批判。これをやめさせるため「国民のみなさんと共同を広げることに力をつくします」と訴えています。



マスコミは‐国民が正しく選択出来る「情報」を知らせて!

2005-08-16 21:15:07 | Weblog
 民営化されたら、この親切で便利な郵便局が廃止・統合されるのではないか―。国民の不安は高まっています。

〇省令で定める〇
 竹中平蔵郵政民営化担当相は、郵便局での金融ネットワークを確保する仕組みを、四段階で考えているといいます。

 (1)郵便局の設置規準の設定(2)民営化を開始する二〇〇七年四月一日から完全に民営化する一七年三月末までの移行期間についての契約(3)移行期間後の契約(4)社会・地域貢献基金の創設―です。

 まず、設置規準の問題です。

 現行では、二万四千七百局ある郵便局の維持が義務づけられています。これを、今回の郵便局株式会社法案の第五条で「あまねく全国において利用されることを旨として郵便局を設置しなければならない」と、郵便局の設置を義務づけることにしました。

 しかしその設置規準は、国会の議決を必要としない省令で定めるとされているだけです。

 竹中担当相が示す設置規準とは、「市町村には一つ以上」という規準に加えて、二つの要件をあげます。

 一つは、「過疎地については、法施行の際、現に存する郵便局ネットワークの水準を維持する」。もう一つは、「都市部についても国民の利便性に支障の生じることのないよう配慮する」というものです。

〇都市特定ない〇
 過疎地については、二〇〇〇年度施行の過疎地域自立促進特別措置法(十年間の時限立法)にもとづいて決められます。同法は、人口の著しい減少によって地域社会の生産・生活環境機能が低下している地域を指定し、対策を講じる法律です。

 このように、過疎地には「現在の水準」が維持されることが法的に裏付けられています。

 一方、都市部は「法律的な定義は困難」と竹中担当相がいうように、法的措置はありません。麻生太郎総務相も「都市部はどこだ、都市周辺部はどこだという特定をいえるほど、知識が今の執行部にあるとはとても思えない」と、人ごとのようにいいます。

 市町村で一局以上、および過疎地の郵便局数を足し合わせても七千局程度にすぎません。現在、二万四千七百局ある郵便局ネットワークのうち、七割以上で設置義務付けがなくなるのです。

 郵便局ネットワークに大穴を開ける規定です。



「改革」と叫べばすべてが善か?

2005-08-11 15:27:07 | Weblog
「郵政民営化法案」の参議院否決を受けて、小泉首相は衆議院解散に踏み切った。この法案に「賛成か反対か」で進歩勢力か、抵抗勢力かを判断せよとは「独裁者」といわれても致し方ない。「郵政民営化法案」の中身が問われているのではないか。「改革なくして、景気回復なし」の小泉政権が誕生して、はたして国民にとって将来が展望できる情況であろうか。言葉ではなく、事実だ。