25日公開の『県庁の星』をファボーレ東宝で見てきました。 主演は『踊る大捜査線』の「織田裕二」、『着信アリ』『東京攻略』の「柴咲コウ」。 原作は「桂 望実」の『県庁の星』、私は未読です。そのスタンスでのレビューになります。 K県庁では200億円を超えるビッグプロジェクトが構想されていた。そのプロジェクトを足がかりにステップアップを狙うキャリア公務員『野村聡(織田裕二)』は、帰庁の際にはプロジェクトのリーダーに選ばれるであろう事を理由に民間企業との人事交流の一人に選ばれた。 彼が研修先として選ばれたのは、客もまばらな三流のスーパー『満天堂』であった。教育係の年下の女性パート員『二宮あき(柴咲コウ)』に失望しつつも意気込む『野村』だったが、役人根性丸出しの彼に接客が出来るはずも無く店のお荷物となってしまう。 在庫の溢れた店内や、売れ残った賞味期限の切れた食材を使っての弁当作りなどの店の不正行為に、自分の自己保身の為に改善案を店長に提出するが、お客様扱いの彼の意見は採用されるはずも無かった・・・ ハコモノの改革ではなく心の改革でした。 織田&柴咲コンビという事で若い年代がターゲットだと思いましたが、私が見た回は時間が早かったせいもあったのか、比較的年齢層が高かったですね。それだけお役人に良いイメージを持っていないのでしょうか。 原作者の「桂 望実」のコメントで役所やスーパーを取材したわけではなく、各エピソードは作者の想像であることを読みました。確かに誇張ではあると思いますが、フィクションではないと感じました。 この作品を見る99パーセントの人は民間人でしょう。その民間人の大多数が持っているイメージが官僚『野村聡』であり、政治家たちであると思います。作品内に議長が「何様のつもりだ!!」と激昂しますが、そういう政治家こそ「何様のつもりだ。」と心の中で叫んだのはきっと私だけではないと思います。 主人公『野村』は、役所では自分が単なるコマのひとつに過ぎなかったことを再発見し、人としての生き方、仕事の仕方を見つけていきます。その辺にこの作品のテーマのひとつがあるのかもしれません。 肥大化した組織ほど改革が進まないことは、周知の事実であり、その際たるものである役所・政治に改革が受け入れられることは無いことも描かれています。それもまた悲しい現実ですね。 私も3年前まで家電量販店で18年近く働いていたので、その目線でどうしても見てしまいますが、倉庫や事務所に在庫が溢れているというのは、どの店でも大なり小なり抱えている問題だと思います。特にチェーン店で本部主導で商品を送り込んでくる店は溢れがちになってしまいます。 それを如何にして収納し、かつ効率的に先入れ先出ししていくかで、その店の基本的な実力が分かるのは事実だと思います。(在庫管理ができなければ売れ筋の把握すら出来ませんし) 本作でのスーパーは文句無く最低ランクであり、普通に在庫管理できるようにしただけで対前年比が大幅アップしたのはフィクションならではだと思います。そう簡単に売り上げが上がるのであれば誰も苦労はしません。ただし、マーケティング調査と称して百貨店に赴きますが、自分の店もしくは自分の業態だけを見ていると、視界が狭くなるのは自明の理であり、利益を求める企業人であれば見習わなければならない点の一つでしょう。(私はコンビニを参考にしていました。流通業に携わっていたものにとっては今のコンビニに全てが集約されているといっても過言ではないと思っています。) 公務員キャリアを演じたのは「織田裕二」。自分の出世にしか興味の無いエリートから、やがて民間の目線を得て、県庁の改革に挑む難しい役柄を演じていました。 一番役柄を掴んでいるな、と感じたのは「柴咲コウ」演じる『二宮あき』との握手のシーンでした。目線を下げ彼女と同じ目線での握手に、変わっていく主人公の心を読み取ることが出来たと感じました。 「柴咲コウ」が演じたのは『野村聡』の教育係のパート店員『二ノ宮あき』。 店の欠点に気付きながらも、なにもせずその日その日を過ごしていた彼女が『野村聡』との出逢いから、やがて店の改革に着手していく。そんなやり手店員を演じています。やり手にしては明るさ・声の大きさが足りなかった気がします。 パートのおばさん店員を馬鹿にしてはいけません。店員にとって一番大切な『お客様の立場で考える』というスタンスに一番近い存在が彼女たちです。商品知識は至らなくても満足できる買い物をさせてくれるのは、実はパートのおばさんなのです。(パートさんの売り上げの数字がトップなのは、私がいた量販店だけではないと思います。一年の売り上げが2億近い人もいました。) 人と人との触れ合いのみが、心の改革をもたらすのかもしれません。 評価 星 (本編を見た人しか分からないかも) 公式サイトはコチラ ・県庁の星@映画生活 P.S.1 バリバリのキャリア公務員の方に、民間、特に接客業を体験させてみたいですね。本作の主人公とは違い、きっと使い物にならないとは思いますが・・・ P.S.2 私はいま、身体的な問題等で流通業を離れていますが、その他に、自分の目線が売る側になってしまった、ことも理由のひとつです。消費者の目線を取りもどしつつあると思っており、いずれは流通業に戻りたい、とは思っています。 このエントリを気に入ってくれた方はポチッとヨロシク Amazonで買う 県庁の星 スペシャル・エディション 県庁の星 「県庁の星」オリジナル・サウンドトラック 県庁の星関連 織田裕二関連 柴咲コウ関連 |
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二宮チックなパートさんって、何処の店にも
いますよね~。口うるさくて、仕事が出来て、
社員よりも役に立つ!
そうそう、あの店は売り上げが上がったので
はなく、よーやくフツーの店が稼げるぐらいの
収入があっただけなんですよね~。
県庁さんみたいな人がほちり、ふたり立ち上
がっても、現実問題はもっと厳しいですよね。
ぜひ、公務員の方には接客業を体験してもらいたいですね。研修の一部としてとか。
shinさん同様、私も接客業を過去にしていたので、
いつかまた復帰できたらなーと思ったりもしました。
久しぶりに見た映画で、楽しかったです。
店長も改革された消防法のシーンは笑あり感動ありで好きなシーンです。あの店長・・憎めないキャラですよね(笑)主演二人も良かったです。
「県庁の星」なかなか面白い映画ですね。
そんなにドキドキ感は無いもののそれでも引き込まれて鑑賞しました。
主役の2人もとても良かったと思います。
現場にいたことのある方の感想はとても読み応えがありますね。
いろんな点でためになったし、楽しめる作りになっているのが上手いなと思いました。
柴崎コウは声の大きさと明るさが足りませんでしたか?
なるほどね~(笑)
私も少しだけですが、販売の仕事をしていたことがあって
その頃のことを少し思い出したりしていて・・・、
こちらの感想を読ませて頂いて、そうそう!と頷ける点が
多かったです。
私も公務員ですが、接客もしており、両方の側とダブるところがあり、ほんとうに色々考えさせられました。
同感です!
現場に出てこそ見えてくるものってありますもんね~
でもきっとキャリアさん達はそんな努力をする気にさえならないでしょうね( ̄∇ ̄;)
事件は現場で起きてるんだ~!と叫びたくなりました