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相続登記後に相続放棄をしていることが判明し、錯誤により所有権移転登記を抹消する場合

2023-12-07 11:12:12 | 不動産登記

先日ある相続登記が完了したところ、相続した相続人が相続放棄をしていたことが判明しました。

そもそも相続が発生したのは3年前で、本人の意向で相続放棄をしたのではなく、税理士のアドバイスがあって相続放棄をした経緯があるため、税理士の指摘を受けて相続放棄をしていたことに後から気が付いたようです。

相続放棄の手続きをしたのは、その税理士の知り合いの司法書士だったようですが、当時、その司法書士から相続登記の手続きを一緒にしたらどうかという話があったものの、本人が急がなくていいのであれば今すぐにやる必要もないと判断してそのまま放置していたようです。私はその税理士とは面識はないので、そのような経緯を知る由もなく、本人も忘れていたのだから仕方がなかったとはいえ、登録免許税を2重に支払わなければならず、痛い出費となってしまいます。今回の登録免許税は2万円程度だったのでまだいい方だと思いますが、これが何十万だと思うとぞっとします。来年4月から相続登記義務化が始まりますが、やはり相続登記は速やかに手続きをした方がいいと思います。

ところで今回のように一旦相続登記をしたものの、後に相続人が相続放棄をしていたことを失念していたため、相続登記を抹消する場合ですが、登記原因は民法95条1項には該当しないので「年月日取消」ではなく「錯誤」になります。登記原因証明情報は、相続放棄申述受理通知書と権利者及び義務者の戸籍謄本を添付したのですが、法務局から報告形式の登記原因証明情報を作成してほしいと指摘を受けました。この辺りは、法務局ごと取扱いが違うのかもしれません。

参考までに登記原因証明情報に記載する「登記の原因となる事実又は法律行為」の記載例を記載しておきます。

(1)令和〇年〇月〇日、本件不動産の名義人Aの死亡により相続が開始し、Bが相続したとしたとしてB名義への所有権移転登記(令和〇年〇月〇日〇〇地方法務局〇〇支局受付第〇号)がなされた。

(2)しかしBは〇〇家庭裁判所に、Aの相続につき相続を放棄する旨の申述をしており、これが受理されていた。

(3)よって、Bは相続人ではなく、B名義の登記は無効であるので抹消する。



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