司法書士伊藤弥生の好好学習天天向上

日々の司法書士業務に関してあれこれ備忘録など。

相続放棄に関するあれこれ①【生命保険金について】

2021-07-30 11:56:31 | 相続

もうすぐお盆ですね。

地域によっては7月にお盆というところもあるようですが、お盆ということで相続、相続放棄に関する相談でよくあることについて、知識の整理も兼ねて数回にわけて纏めてみたいと思います。

今回は生命保険金について。

よくある相談が「相続放棄をしても生命保険を受け取ることができますか?」

答えは受取人が誰になっているかで違います。

先ずは受取人が指定されているものについては、相続放棄をしていても受け取ることができます。

なぜなら生命保険は、生命保険契約に基づいて受取人が保険会社から受け取るものであるため、「受取人固有の財産」となり、民法上の相続財産とはならないからです。ちなみに民法上の財産とは「亡くなった人の財産に関する権利義務」となっています。

それでは、受取人が亡くなった被相続人となっている場合はどうでしょうか。

これは民法上の相続財産「亡くなった人の財産に関する権利義務」に当たるため、相続放棄をしたら受け取ることは出来ません。

他にケースバイケースとして、受取人の指定がない場合、保険約款に「保険受取人の指定のない時は、被保険者の相続人に支払う」という約款があれば、保険金受取人を相続人と指定したとされ受取りが可能とされています。

というわけで、受取人が指定されていれば相続放棄をしても生命保険金を受け取ることは問題ないのですが、相続税法上の生命保険金等に関する非課税枠の制度が使えなくなるようです。この辺りは税理士等の専門家に相談した方が良さそうです。

どうやら税法上は相続放棄した人も相続人としてカウントされるようで(もちろん財産を相続することは出来ませんが)、考え方が違うようですね。

 


有限責任事業組合(LLP)における法人組合員の職務執行者の選任方法

2021-07-29 14:23:19 | 商業法人登記

有限責任事業組合(以下、LLP)の組合員の中に法人がある場合には、法人は直接組合の業務を行うことができないため、当該法人自身がその職務を行うべき者を選任する必要があります。

職務執行者の選任方法は法人の形態によって次のとおりとなっています。

♪株式会社(取締役会設置会社)

取締役会の決議

♪株式会社(取締役会非設置会社)

取締役の過半数の決定。

なお一人取締役の場合は、当該取締役が職務執行者を選任

♪合同会社

社員の過半数の一致

以上のとおりです。

では、特例有限会社の場合はどうなるのでしょうか。

株主総会?と思いましたが、平成18年5月1日会社法施行によって、既存の有限会社は会社法上は「株式会社」として扱われるから、取締役会非設置会社の株式会社と同様、取締役の過半数で選任するという自分の中の結論に至り、それで登記手続きも問題なく完了しました。

これについては何処を調べてものっておらず、LLP関連の書籍も今や市場に出回っていないものが多いので、スッキリしません。

それ以前に知っていて当然と言われたらそれまでですが。。