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司法書士伊藤弥生の好好学習天天向上

日々の司法書士業務に関してあれこれ備忘録など。

組合員の変更(LLP組合員の地位の譲渡)

2025-02-21 10:29:36 | 商業法人登記

LLP(有限責任事業組合)の組合員の地位を第三者へ譲渡することは可能です。

その場合には、他の組合員全員の同意が必要となります。

今回は組合側で作成した譲渡契約書と同意書があったので、それを添付書類として使用できるか管轄法務局に確認したところ、「そこに譲渡する出資持分の記載がなく、譲渡契約書に「別紙の貸借対照表に持分割合は参照」とあるが、貸借対照表にあるのは損益分配割合で、出資持分と一致しているとは限らないから、別の追加書類が必要になって面倒なので、登記用の書類を作成した方が良い」とのアドバイスを受けたので、別途登記用の書類を作成して、登記手続きをしました。

法務局としては、譲渡する出資持分の記載がないとダメとのことです(譲渡する金額は不要)。

登記事項は譲渡する組合員については、「年月日脱退」、譲受する組合員については、「年月日加入」。

新規加入の組合員が個人であれば、個人の印鑑証明書も必要です。法人であれば、職務執行者を別途定めた議事録等も必要です。

LLPの組合員の地位の譲渡について(LLPの登記そのもの)は、これといった書式等がなかなか見当たらないのでいつも手探りですね。どなたかいい書籍等をご存知でしたら教えてほしいです。


監査役設置会社を廃止する際には

2024-07-03 10:17:34 | 商業法人登記

監査役を置くのをやめる場合には、定款変更をして「監査役設置会社の定めの廃止」の手続きをする必要があるのですが、その際に「監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある」旨の登記がされている場合には、そちらも併せて廃止の登記をする必要があります。監査役設置会社の定めの廃止をすれば自動的に抹消されるわけではありません。

うっかり忘れそうだったので、備忘録として記載しておきます。

なお平成27年5月1日以降最初の監査役の退任の登記である場合には、監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある旨の登記及び廃止の登記をする必要はなく、当該監査役の退任登記だけをすればよし。


株主リストに記載する株主

2023-12-13 10:51:36 | 商業法人登記

平成28年10月1日より、登記すべき事項について株主総会の決議を要する場合又は登記すべき事項について株主全員の同意が必要な時は、「株主リスト」が添付書面として必要書類になりました。

7年以上経過しているので、実務でも浸透し当たり前のようになったと思います。

株主リストに記載するのは、①議決権数の上位10名の株主、②議決権割合が3分の2に達するまでの株主、①と②でいずれか少ない方の株主について記載したものが必要です。

自己株式のように議決権を行使できない株式を有する株主は記載しませんが、当該株主総会に欠席または議決権を行使しなかった株主は記載する必要があります。私は勘違いをして、株主総会で議決権を行使した株主のみを記載して提出したので、見事に補正となりました(議決権を行使した株主のみの記載でも、要件を満たしていれば補正にならなかったと思いますが)。

なお遺産分割協議前の株主の株式がある場合には、相続人全員の住所及び氏名を記載する必要がありますが、株主としては相続人全員ではなく、被相続人の人数でカウントします。

遺産分割前の株式の議決権の行使 - 司法書士伊藤弥生の好好学習天天向上 (goo.ne.jp)

自己株式がある場合の株主総会議事録の記載方法及び株主リストの作成方法 - 司法書士伊藤弥生の好好学習天天向上 (goo.ne.jp)


株主総会の普通決議の定足数

2023-12-12 10:48:32 | 商業法人登記

株主総会の決議は、法令または定款に別段の定めがある場合を除き、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し(定足数)、出席した当該株主の議決権の過半数の賛成により成立します(会社法309条1項)。

株主総会の普通決議の定足数は、定款の定めにより変更可能です。法定の定足数の定めを排除し、「出席した株主の議決権の過半数の賛成により決議が成立する。」と定めることも問題ありません。

ただし取締役、会計参与、監査役といった役員を選任または解任する株主総会の決議は、上記のように定足数を完全に排除することは出来ず「定足数は、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1未満とすることはできない(会社法341条)」とされています。役員の選任に関しては、定足数は「議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上が出席し」と定めるのがギリギリのラインだと思います。

なお、特例有限会社についても同様です。

 


死亡を証する書面

2023-09-11 10:31:42 | 商業法人登記

会社法人等の役員が死亡した場合には、死亡による退任登記が必要です。

その際に「死亡を証する書面」が必要になるのですが、具体的には次の書面が該当します。

①死亡の記載のある戸籍謄本等

②死亡診断書(写しのみは不可、原本還付は可能)

③家族が会社宛てに提出した死亡届

いつも戸籍謄本等を提出することが多いのですが、死亡した役員の相続登記にも関与しており、戸籍謄本で死亡の日付は確認済みだったので、今回初めて③の「家族が会社宛てに提出した死亡届」を死亡を証する書面として提出しました。その死亡届を作成した家族の人の肩書には、死亡した人との続柄(長男など)を記載する必要があります。些細なことですが、記載しないと補正の対象になるのでご注意を。