先日、住宅金融支援機構及び福祉医療機構への返済は随分前に完了しているところ、抵当権抹消登記の手続きを放置し、さらに抹消登記書類も紛失していたケースがありました。司法書士でも委任関係がわかるものを提出すれば抹消書類の再交付が可能なので、当方で取得しました。その際に識別情報通知がない場合には、事前通知を利用することになっていましたが、委任状に押印してある印鑑についての印鑑証明書が同封されていませんでした。同封し忘れてしまったのか?と思いましたがそうではなく、令和2年3月30日に公布及び施行された「不動産登記等の一部を改正する省令」によって、不動産登記の申請において会社等の印鑑証明書が添付不要とされましたが、それは事前通知を利用する際に委任状に押印した印鑑についても同様の取り扱いとなりました。
根拠条文を確認しておくと、「法人の代表者又は代理人が申請書又は委任状に記名押印した者である場合において、その会社法人等番号を申請情報の内容としたときは、印鑑証明書の添付を要しない」(不動産登記規則第48条第1項、第49条第2項第1号)。「承諾を証する情報を記載した書面に記名押印した者の印鑑証明書についても同様である」(不動産登記規則第50条第2項)。
申請書における添付情報の表示として「印鑑証明書(会社法人等番号 〇〇〇ー〇〇〇)」のように記載します。また従前のように印鑑証明書を添付することも可能です。
法人の印鑑証明書の添付が省略できるとしても、例えば売買などの所有権移転登記をする際には、本人確認も兼ねて従前どおり印鑑証明書の原本(3か月以内)を確認する必要があるように思います。