河内国喜志村覚え書き帖

大坂の東南、南河内は富田林市喜志村の歴史と文化の紹介です。
加えて、日々の思いをブログに移入しています。

67 / 花色

2023年07月23日 | よもやま話

空は青い。
地球を取り巻く空気が、青い光をよく反射するからだ。
空気が少し青いから、空は青く見える。
我々の周囲には空気があるので、青い光に満ちていることになる。
だから、青色の花は少ない。めだたない!
畑を見回しても青色の花は無い。
と、思っていたら有った。
露草。

しかも、実に見事な青。
昔は露草の花の汁を染料に使っていたので「着き草(→月草)」と呼んでいた。
ところが、色が定着せずにすぐにあせてしまうので、はかない恋の象徴として歌に詠まれた。
 朝(あした)咲き、夕(ゆふべ)は消(け)ぬる月草の 消(け)ぬべき恋も我れはするかも [万葉集]
(朝に咲いて、夕方にはしぼんでしまう月草のような消え入りそうな恋であっても、私はするかもしれませんよ)


 この露草の花で染めた木綿を「縹(はなだ)」と言ったことから、青色を「はなだ色」と呼び、それが江戸時代に「はな色(花色)」に変化する。
上方落語のなかの『花色木綿』がそれである。主として着物の裏地に使っていた。

「着物の裏地は花色木綿に限る」と教えられた男。それからというもの、布団が破れたと聞くと「裏は花色木綿に限る」。草履に穴が空いたと聞けば「裏は花色木綿に限る」。はては、やかんの底に穴が空いたと聞けば「裏は花色木綿に限る」。
ある日、男が住む長屋に泥棒が入ったが誰も捕まえようとはしない。それを見ていた大家が嘆いて言う。
「この裏長屋のやつは弱いやつばっかしやなあ」
すると男が「裏が弱かったら花色木綿にしなはれ」

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畑――酒

2023年07月22日 | 菜園日誌

中華鍋で炒められているような暑さである。
この一週間は「危険」が二回、あとは「厳重警戒」の日々が続いた。
日中は外には出られない。今週の畑作業は計3時間。ほぼ夏休み状態。
にもかかわらず、一雨ごとにものすごい勢いで草は伸びる。

畑作業の七割は草抜きである。
たとえば、東と北の畦道は畑の持ち主が責任をもって管理するという約束がある。
だから、念入りに草を抜く。今年になって五回は手作業で除草した。
しかし、この暑さと草の勢いには、もはやお手上げである。
いたしかたなく、今年初めて除草剤をまいた。
この暑さに、三日間できれいに枯れた。
畑に行く時間が減ったのはそのためでもある。

山奥のぽつんと一軒家なら無農薬に励むだろうが、周りを田んぼに囲まれた我が畑では意味がない。
我が畑が無農薬でも、田んぼには大量の農薬や化学肥料が使われている。
郷に入っては郷に従え

朱に交われば赤くなる
だからといって、どっぷりとまでは朱に交わりたくはない。
とはいえ、農薬には害があるかもしれないが、無くしてしまうとしんどくなる。
つまり、必要悪!
農薬は酒のようなものなのだ。
だから、毎日、どっぷりと酒にひたって赤くなっている。
♪エライヤッチャ エライヤッチャ ヨイヨイヨイ良い♪
同じ阿呆なら踊らにゃ損々

※版画は川瀬巴水『日本風景選集』(国立国会図書館デジタル)

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畑――マッカ

2023年07月21日 | 菜園日誌

知らぬ間に落ちた種が芽を出して、手入れをしなくても育った野菜や花を「こぼれ種」という。
去年も記事にしたが、今年いちばんのこぼれ種はマッカ。
正式にはマクワウリ。二世紀頃から岐阜県にあった真桑村で作られ始めたので真桑瓜。
そのマクワがなまってマッカ。
生えているのは去年に作っていたニューメロンという品種。
黄マッカとともに昭和世代には懐かしいマッカである。
地味な甘さが地味に美味い。

除草した草を集めて積んでいたのが土になってしまった所に生えたのを残しておいた。
どうせヌートリアのエサになるだろうと思っていたが、どっこい、元気に育っている。
まったく肥糧も与えない100%の放任栽培。
自然の力だけに任せるという自然農法のすごさをあらためて実感する。

 瓜売りが瓜売りに来て瓜売れ残り売り売り帰る瓜売りの声
ウリ科でよく知られているのは、甜瓜、胡瓜、真桑瓜、青瓜、白瓜、冬瓜、西瓜、南瓜、糸瓜。
Q:さてこの中で果物屋で売られているのはどれ?

甜瓜(メロン)と西瓜(スイカ)。二つとも分類上は野菜なのだが、「果実的野菜」として果物屋で売られている。
大雑把にいえば、木になるのが果物。
イチゴ、バナナ、パイナップルも実は野菜。
Q:ならば逆の「野菜的果実」が一つある。なに?

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66 / 三伏

2023年07月20日 | よもやま話

SNSの発達のせいで「暑中見舞い」のハガキを見ることがなくなった。
日本郵便は2021年にくじ付き暑中見舞い用はがき「かもめ~る」の発行を廃止している。
加えて、新型コロナウイルス感染拡大による経済活動の抑制で一段と利用が減ったそうな。
1993年のキャンディーズ『暑中お見舞い申しあげます』が懐かしくなる。

(ウーワツ) 暑中お見舞い申し上げます
まぶたにくちづけ (アハハ)
受けてるみたいな (ウーウン)
夏の日の太陽はまぶしくて
キラキラ渚を (アハハ)
今にもあなたが (ウーウン)
かけてくるしぶきにぬれて
(作詞:喜多條忠/作曲:佐瀬寿一)

「拝啓 三伏(さんぷく)の候」という時候の挨拶が、昔の暑中見舞いの定番だった。
「三伏」とは、陰陽五行説では夏至以降の三つの庚(かのえ)の日をいう。
夏の勢いがとても盛んで秋の気配を降伏させるという意味がある。
したがって、「三伏の候」を言い換えれば「酷暑の候」になる。
ちなみに2023年の三伏日は以下の通り。
初伏は7月11日(火)・中伏は7月21日(金)・末伏は8月10日(木)

なぜかパラソルにつかまり
あなたの街まで飛べそうです
今年の夏は胸まで熱い
不思議な不思議な夏です
暑中お見舞い申し上げます

こんな夏が30年前にはあったのだ。
今や「三伏」には降伏した四伏!
「暑中お見舞い申し上げます」どころか、
猛暑厳重注意お願いいたします!

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65 / あっ!

2023年07月18日 | よもやま話

三っ日連続の熱中症警戒アラートが発令。
朝の6時に畑へ行っても、7時には30℃。
予報通りの危険な暑さになりそうな。
もはやこれまでと早々に帰宅。

帰って来たところで別段することはない。
パソコンの前に座ってのんびりとネット遊覧。
さて、次はブログの記事でも書くとするか。
とはいえ、ペットもいなければグルメをする余裕もない。
第一に何の行動もしていないではないか。

人は何かの行動をすることで、何らかの心理になって、それを会話や文章で言葉にする。
九州や東北の豪雨災害のボランティアをしている人は、ボランティア活動をすることで、相手の感謝に喜びを感じて、それを言葉にする。
そして、もっと親切に優しくしようと力をいれる。
行動が動機となって次の行動が生まれる。
「do for the doing(行為の為に行為する)」のである。

などと思っても、「我思う、故に我あり」で、何かを思うような行動をしていない自分を認識するだけ。
せめてもと時計を見る。11時45分。
あっ!
12時から、六回目のワクチン接種を予約してたのを忘れてた!
・・・・
あわてて行って、今、帰って来た。
だから、写真はない。

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