河内国喜志村覚え書き帖

大坂の東南、南河内は富田林市喜志村の歴史と文化の紹介です。
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ちょっといっぷく43 験かつぎ

2023年01月04日 | よもやま話

江戸の浮世絵師歌川広重の「魚づくし」から「験(げん)」の良い絵。
さて、魚の名は?

左上の狂歌には、
あたたかい なたのしほかせ ふくからに つほみもひらく 梅の折枝 数寿垣」
「ふぐ」はわかるのだが、もう一匹がわからない。
答えは出世魚の「ぶり」の別名、といってもわからない。
関西では成長におうじてブリの名を、
ツバス・ハマチ・メジロ・ブリ・・・という。
これでもわからない。
関東では、
ワカシ・イナダ・ワラサ・ブリ・・・という。
というわけで、「いなだ」が正解。
「暖かい灘の潮風吹くからに蕾も開くの折れ枝」

ところで、なぜ「験」に「担ぐ」という動詞を付けたのか?
「験を付ける」「縁起を付ける」とした方がぴったりだと思うのだが。
そこで調べてみると、
本来、担いでいたのは神主さんが御祓いをする時の「御幣」だった。
昔は、祭りや祝い事なので、縁起が良くなるように御幣を担いで歩いた。
そこから「御幣を担ぐ」が縁起を良くするの意味に使われた。
それがいつしか「縁起を担ぐ」に変化する。
正に、御幣(=神道)と縁起(仏教用語)が融合した神仏習合(神道と仏教は同一という考え)の典型のような言葉なのである。
この「縁起(えん・ぎ)を博打うちが逆さ言葉にして「ぎ・えん」。これが変化して「げん」になる。
験をかつぐ」の「験」は「霊験あらたか」からきた当て字。

一天地六の賽の目に明日の行く末をたくすには験をかつぐしかない。
ちなみに、験かつぎのベスト3は「お守り・トンカツ・日頃の習慣」だとか。
私のおすすめは奈良漬。
<瓜>=売りにつながるから「商売繁盛」
<胡瓜>=九利、九の利を得るに通じ「利益が多い」
<守口大根>=細くて長い形状から「丈夫で長生き」
<瓢箪>=太閤秀吉の馬印から「出世」
奈良漬は縁起や験をしっかりとつけている。


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