空は青い。
しかし、地上に目を移すと青色はいたって少ない。
「自然界にある空・海・花以外で、青色のものを答えなさい」とたずねられても、なかなか思いつかない。
孫にたずねたら、即座に「どらエモン」と答えた。
「好きな色はなんですか?」という質問の第一位は青色。
青色は空や海をイメージさせるからだという。
その心理をたくみに利用したのが葛飾北斎。
青色をふんだんに使用している。
日本の絵画で古くから使用されてきた青い顔料は、アズライト(藍銅鉱)という鉱物から作った色で、群青色(ぐんじょういろ)である。
夕闇がせまり、物が色を失う頃になると、空気の青色だけが際立ちすべてが群青に染まる。
海のコバルトブルーや青空の空色は爽やかさが感じられる。
群青色は人を安らかな気持ちにしてくれる。
※葛飾北斎『冨嶽三十六景 相州梅沢左』
※川瀬巴水『馬込の月(「東京二十景」より)』