ひねって・焼いて・陶

陶芸の様々な技法、釉薬、お会いした陶芸家の方々の話等々、私が陶芸で学んだこと、発見したことなどを綴ります。

轆轤のかめ板について

2013年10月10日 | 仕事場や道具
僕が関わっている陶芸クラブで新たにロクロのかめ板が必要になった。このクラブの講師の先生のリクエストは底の平らな大皿を引くためのかめ板ということで写真の八角形のものを作製した。この形状は先生に教えていただいた形なのだが、下駄の足に相当する部分は、四角から八角にするために切り落とした三角を使うので材料取りに無駄が無い。一般に販売されているかめ板は丸が普通だが昔は作りやすい八角形が普通だったそうだ。


さて、そうこうする内にフェイスブック友達のKさんが使っているかめ板を知ることとなった。これはものすごくシンプルでただの正方形で足が無い。ロクロのテーブルとの固定は、テーブルにドーナツ状の粘土をひいて上面はシッカリ水平を出し、そこに板を押し付けるだけ。実際に作って使ってみるとこれで十分ではないか。クラブの先生によると、昔のかめ板は一枚板だと湿気で反りが出るので板目を異なる方向に複数組み合わせ、それを繋ぎ合わせるためにも裏に足を付ける必要があったとのこと。板とテーブルを固定するのに足は無くてもよかったのだ。以前買った陶芸の本を2冊ひっぱり出してみたらどちらもかめ板は足が無く、テーブルへの固定はせんべい状の粘土を3点置いていた。市販されているものには足が付いているが、足の無いものを使っている陶芸家は結構居るのだ。


ところで、僕が自宅で使っているかめ板はアメリカ方式だ。これは大変に便利。その特長は、1.板の取り付け取り外しが簡単で水平出しが要らない 2.取付に粘土を使わないので後片付けが簡単 3.一度外してからまたテーブルに載せて追加の仕事が出来る
これはテーブルに小さなピンが付いていて、かめ板にピン用の穴があるだけ。こんなに便利でアメリカでは当たり前のものが日本で普及しないのは不思議に思えるが、その理由を推測すると日本では伝統的に足付きのかめ板を使って来たのでロクロを教える人がアメリカ式を使ったことが無いこと。そして日本で販売される電動ロクロにはピンの無いテーブルがセットになっていて、ピン付きのテーブルは後から追加で買わなければならないためだと思う。ピン付きテーブルはシンポ製で5枚のかめ板が付いて21,000円する。
ちなみに僕のテーブルはピン無しのものをピン付きに自分で改造したもので、円筒形のアルミの削り出しと六角穴ボルトに蝶ナットで数千円で出来る。かめ板も12mm合板で自作。アメリカのかめ板の素材はプラスチックや木材に似た風合いの合成材で1枚400~1,000円くらいと安い。日本のかめ板は1枚2,000円くらいするのでプロは大抵自作しているようだ。アメリカはプロも既製品を使うので量産効果で安くなるのではないかと思う。

さて、知り合いのKさんのカメ板に話は戻るが、いっそのこと固定用の粘土を板の裏側には付けないで、外側四ケ所だけにして試してみるとこれでも問題ない。板はテーブルに直に置くので水平出しが要らなくて楽だ。アメリカ式と日本式の中間のような方式で、後片付けも比較的簡単。この方式はテーブルよりかめ板がある程度小さくなければならないが、写真のものは一辺が21cm。まあ、相当大きなものでなければ大抵のものはこれでこと足りる。ピンの無い日本のテーブルにはこれが向いているのではないかと思う。ちなみに、固定に使った粘土は500gで、量が少なかったり土が軟らかかったりすると板がずれるので注意が要る。ちなみに、このやり方で1kgの土は問題なく挽けた。2kgでも挽けたがこの辺が限界のようだ。より強力に固定するには、ドーナツ状の粘土を少し板からはみ出す位の径にして板を押し付ければ良いことも分かった。


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