視覚の影響力は絶大で、
だから僕もこのブログで画像を多く取り入れています。
いまだシンセンを見ぬ人にとって、
いくつかの断片を切り取ってお見せするのが、
今現在のシンセンを伝えるには、
一番良い方法と考えています。
ですが、僕自身が何年かを経て、
シンセンを思い出すとき(そのときどこにいるかわかりませんが)
強烈に刻み込まれているのは、
匂い、音、味わいなどだと思うのです。
おそらく。
それはシンセンの音で、
シンセンの匂いで、
シンセンの味覚です。
そのときその自分が色んな気持ちをかかえながら聴いていた音楽。
マージャンパイの音。
怒鳴り声。
排気ガスや食べ物やホコリや花の匂い。
茶餐廰のワンタン麺の味。
大型バスのスーパーチャージャーの排気音。
シンセンの4月の美しい朝、
僕はいつもどおりまたバスに乗りました。
空気もさりげなく澄んでいました。
バスの中には甘ったるい中国人男性歌手の歌が流れていました。
それは全く持って凡庸で、
コピーと貼り付けを3回繰り返すと出来上がる、
そんな感じの歌でした。
けれどいつか何処かでこの歌を聴くとき、
この風景と匂いを、
ありありと思い返すことができるだろうなと
そう思いました。