アセンションへの道 PartⅠ その理論と技法

2012年には銀河の中心と太陽系そして地球が整列し時代の節目を迎えます。アセンションの理論と技法について考えます。

第16章 神の詩 ⑧出家と離欲

2012-02-24 06:57:54 | 第16章 神の詩
本章③カルマ・ヨーガにおいて紹介した、「ギーターの要諦は無執着だ」というラーマ・クリシュナの言葉を覚えているだろうか。 まさにこの「出家と離欲」というテーマは、その「無執着」の実践に関連するものである。そしてこのことは繰り返しギーターの中で語られているので、『神の詩』から関連する章節を順に引用していく。

[アルジュナ問う]
はじめにあなたは仕事(カルマ)を離れよと言い
次には奉仕の精神で活動せよと勧める
どちらが本当に尊く また有益なのか
いまここで明確にお示し下さい   (第5章1節)

[至上者(バガヴァーン)こたえる]
仕事の放棄(サンニャーサ)も 奉仕活動(カルマ・ヨーガ)も
ともに人を解脱へと導く
だが この二つのうちでは
奉仕活動(カルマ・ヨーガ)の方が勝っている  (第5章2節)

仕事の結果に欲望も嫌悪もいだかぬ人は
常に 離欲・放棄を行じているのだ
その人は あらゆる二元対立を超えて
容易に物質界の鎖を断ち完全な自由を得る    (第5章3節)

サーンキヤ*とヨーガを    (*訳註:この場合は物質界の哲学的分析研究)
愚者は異なるものと考える
だが一方の道を極めた人は
両方の成果を得るのである  (第5章4節)

サーンキヤを通じて到る境地には
ヨーガによっても達する
この二つを不異(おなじ)と見る人は
事物の実相を了解した賢者である  (第5章5節)

奉仕活動(カルマ・ヨーガ)を行わずに
ただ仕事を放棄する人は不幸である
ヨーガによって浄められた聖者(ムニ)は
すみやかに至上者のもとに到る   (第5章6節)

以上と基本的に同様のことが、次の第6章において、次のように語られている。

[至上者(バガヴァーン)こたえる]
仕事の結果に執着することなく
ただそれを義務として行う人は
供犠の火を燃やさず祭典を行わずとも
真の出家(サンニャーシン)であり ヨギである  (第6章1節)

真の離欲(サンニャース)とヨーガは同じもの -そして
ヨーガとは至上者と結合することだ
感覚を満足させたいという欲望を
放棄しなければヨギにはなれない    (第6章2節)

更に、第13章においては、次のように語られている。

謙遜 虚栄(みえ)を捨てること
非暴力 寛容 正直
正師を求めて師事すること
清潔 堅忍不抜の精神 自制   (第13章8節)

欲望の対象から心を離すこと
我執を無くすこと
生老病死を苦とみなし
その本質を究めること  (第13章9節)

あらゆる事物に執着しないこと
妻子や家庭に対する愛情を捨てること
愉快なこと 不愉快なことにあたって
冷静であること ―    (第13章10節)

至上者に対する不動の信仰
世俗を離れ 静かな処に独居する希望
一般大衆 俗世間の人々と
無益な交際をしないこと  (第13章11節)

自己の本性を知(さと)ることの重要さを認識すること
絶対真理への探究心 ―
以上のことは智慧の本質であり
これに反することは無知無明である  (第13章12節)

そして、ギーター最後の第18章は田中嫺玉氏によって『離欲の完成』という章題が与えられているだけあって、かなり具体的な記述がある。

[アルジュナ言う]

ケーシー鬼を滅した御方である
無限の力をもったクリシュナよ
離欲(ティヤーガ)と出家(サンニャーサ)の生活について
何とぞ私にご教示下さい     (第18章1節)

[至上者(バガヴァーン)語る]
名利を求める目的(ため)の活動を止める
これを偉大な学者は出家生活と称び
仕事の結果を期待しないことを
賢者たちは離欲とよんでいる  (第18章2節)

ある学者たちは言う ― 『活動(しごと)は必ず
何らかの悪を含むから全面的に中止すべし』と
また ある学者たちは言う ―
『供犠と布施と修行だけは止めるな』と  (第18章3節)

バラタ王家で最も秀れた人よ
離欲についてのわたしの判断を聞け
人類のなかで最も秀れた人よ
聖典は『離欲に三種あり』と説く   (第18章4節)

供犠 布施 修行に関する行為は
止めてはいけない 進んで行え
まことに この三つの行為は
賢者をも益々浄化するからである   (第18章5節)

だが これらの活動をするとき
執着なく 結果を期待せず行え
当然の義務だと思って行うことだ
アルジュナよ これがわたしの結論である  (第18章6節)

定められた義務は捨ててはならぬ
もし判断に迷って
義務の遂行を怠るならば
そのような離欲はタマスである    (第18章7節)

定められた義務を煩わしいと思い
また肉体的に苦痛だからと恐れて
それを捨てるのはラジャスの離欲であり
決して霊的向上を望むことはできない  (第18章8節)

アルジュナよ 名誉や利得に関心無く
仕事の結果に何の執着ももたず
ただ自分のなすべき義務を果たす人は
サットワの離欲を行じているのだ   (第18章9節)

サットワの離欲者は
不運な仕事も嫌わず
幸先のよい仕事にも執着せず
活動についての正しい信念を確立している  (第18章10節)

肉体をまとった者たちにとって
活動をすべて止めることは不可能だ
しかし 仕事の結果を放棄した人は
真(まこと)の離欲者である   (第18章11節)

離欲せぬ者は死後その生前の行為による
快 不快 またはその混合の報果をうける
だが離欲の生活を送った者は
そのような悲喜の報果をうけることはない  (第18章12節)

暫く間を飛ばして、更に続ける。前段の4節は本章⑤修行で引用した部分である。

敵を懲罰する者 アルジュナよ
バラモン クシャトリア ヴァイシャ
そしてスードラは生来持つ物質性(グナ)によって
それぞれに義務(仕事)が定められている   (第18章41節)

平静 自制 修行  
純潔 寛容 正直
知識 智慧 深い信仰心 -
これらは生来の性質によるバラモンの義務である (第18章42節)

武勇 支配力 決断力
知謀 機知および資力に富むこと
戦闘における勇気 寛大 指導力
これらは天性によるクシャトリアの義務である  (第18章43節)

農耕 牛飼い 商売は
ヴァイシャの天性による仕事であり
労働と召使の仕事は
スードラに与えられた仕事である     (第18章44節)

自分に生来与えられた仕事をして
すべての人は完成に達する
どのようにして それが可能なのか
わたしの言うことを聞きなさい   (第18章45節)

自分に与えられた天職の遂行を通じて
あらゆる時処に遍在し
一切万有を展開するかれを礼拝する人は
究極の完成に達するのである    (第18章46節)

自分の義務が完全にできなくても
他人の義務を完全に行うより善い
天性によって定められた仕事をしていれば
人は罪を犯さないでいられる    (第18章47節)

どの仕事にも短所や欠点がある
ちょうど火に煙がつきもののように
アルジュナよ 故に自分の天職を捨てるな
たとえ その仕事が欠点だらけでも ―   (第18章48節)

何ものにも執着しない理性をもち
自己を制御し 何ごとも切望しない人は
その離欲の修行を通して
全ての仕事から離脱して完成の境地に到る  (第18章49節)

クンティーの息子(筆者註:アルジュナのこと)よ
どのようにしてこの完成の境地に達するか
円満完全なるブラフマンに達するかを
簡単に話して聞かせよう    (第18章50節)

正しい知性(ブッディ)を通じて清純となり
固い決意によって自己の心を制御し
感覚的快楽の対象を退け
物事に愛憎の念をもたず   (第18章51節)

静かな場所に住み
小食にして体と心と言葉を抑制し
常にヨーガに余念なく
世事に煩わされず   (第18章52節)

我執 力 物欲 誇りを捨て
情欲と怒りから離脱し
所有意識を持たず常に平静である人は必ず
ブラフマンと合一し至上完全の境地に到る   (第18章53節)

この境地に達した者は
ブラフマンと合一して大歓喜に浸り
憂いなく望みなく 全生物を平等に視る
そしてわたしに純粋な信愛(バクティ)を捧げる  (第18章54節)

人は信仰と愛を通じて
わたしの実相を知るようになる
そしてわたしを知ると
彼は直ちにわたしの浄土(くに)に入ってくる  (第18章55節)

どんな種類の仕事をしていても
私の純粋な信愛者(バクタ)は
常にわたしに保護され わたしの恵みにより
永遠妙楽の住処(すみか)に来るのである   (第18章56節)

わたしに頼ってすべての活動をし
常にわたしの保護のもとで働け
至上者であるわたしを信じきって
常に意識をわたしで満たしておけ   (第18章57節)

わたしを想い 慕っていれば
わたしの恵みで全ての障害が除かれる
だが わたしを意識せずに我執で働き
わたしの言葉を聞かぬ者は滅びる   (第18章58節)

もし身勝手な考えで『戦わない』と思っても
その決心は空しいものだ
武士階級(クシャトリア*)としての天性によって  (筆者註:アルジュナのカースト)
君はどうしても戦わなければならぬのだ   (第18章59節)

クンティーの息子よ 君は迷いのため
わたしの指示に従うのをためらっている
しかし 天性にかりたてられて
為(し)ないといっていることを為(す)ることになる   (第18章60節)

つまり要約すると、「一切の欲望、見栄、権力、利益などに執着せず、クリシュナを信じ、クリシュナに頼り、クリシュナの保護のもと、自分の天性によって定められた義務(仕事)を何も期待せずに果たしなさい」ということになる。

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