アセンションへの道 PartⅠ その理論と技法

2012年には銀河の中心と太陽系そして地球が整列し時代の節目を迎えます。アセンションの理論と技法について考えます。

第12章 万教帰一 ⑦ クリヤー・クンダリニ・ヨーガ

2011-01-14 05:58:49 | 第12章 万教帰一
本章において、筆者はこれまでクリヤー・ヨーガがパラマハンサ・ヨガナンダへと伝受されてきた系譜を説明してきた。それは、偉大なシッダであるババジ(本章⑤参照)から、ラヒリ・マハサヤ師へ伝えられ(本章④参照)、更にそれがシュリ・ユクテスワ師(本章③参照)を経てパラマハンサ・ヨガナンダに伝授され(本章④参照)、現在は米国のSRF(Self Realization Fellowship)等を通じて教えられている。尚、そもそもババジは誰からこのクリヤー・ヨーガの技法を教えられたのかという疑問に就いては、すでに本章⑤において、『完全アセンション・マニュアル』を引用して説明済みであるが、マーシャル・ゴーヴィンダンの『ババジと18人のシッダ』(以下、同書)を読むと、ババジの生い立ちを含め、更に詳しい説明があるので、以前引用したものとの多少重複するが、再度要点のみ同書から引用しておく。

「紀元前5世紀、ゴータマ・ブッダ(仏陀)はその入滅が間近に迫った晩年において、彼自身の没後から500年以内に自分の教えが歪められて失われるだろうと予言した。さらに彼は、この教えが800年以内に再発見され、“ナーガ”という語に縁のある名を持つ人物によって存続されるだろうと予言している。一般にこれはゴータマ・ブッダの入滅から800年後に現れた偉大な仏教の改革者である“ナーガールジュナ”(竜樹)を指すものと考えられている。しかしながらこの予言は、ゴータマ・ブッダが次回の再臨において“マイトレーヤ”即ち世界教師として現れることとの関連で、今日“ババジ”の名で知られ、偉大なシッダ・ヨーギーとして大成した“ナガラジ”という名の子の誕生について述べているであろうことが明らかになってきた。(Leadbeater 1968,P274,279)」
「西暦203年11月30日、インド、タミル・ナードゥ州を流れるカーヴェーリ川がインド洋に注ぐ河口近くの小村で、現在はパランギペッタイと呼ばれる地に一人の子供が生まれた。両親はこの子を“ナガラジ”(筆者註:ババジの本名)と名付けた。この名は“蛇の王”を意味しており、大いなる根元的な力、“クンダリニ・シャクティ”を称えている。・・・」

その後ババジは5歳の時に誘拐され、1600Kmも離れた土地のバラモンに売り飛ばされるのであるが、そこの主人は彼を解放し、やがてババジは出家した人の集団(サンニャーシン)と一緒に放浪生活を送りながらウパニシャッド・バガヴァッド・ギーター等、インドの聖典を学ぶことになる。更にその後、彼はスリランカのカタラガマでシッダ・ボーガナタルに弟子入りし、ヨーガの修行に励み宇宙意識との合一を体験する。ここで、ボーガナタルはババジに、伝説的なシッダであるアガスティヤから呼吸法の伝受を求めるよう指示した。

「こうしてババジは、南インド、タミル・ナードゥのコートラッラムまで徒歩で旅をした。インド国内に64か所ある“聖なる母”としての神に捧げられた聖地、シャクティ・ピータムの一つに到着すると、ババジはアガスティヤからヨーガの秘法を伝授されるまでは、その場を動かないという厳粛な誓いを立てた。ババジは来たるべき試練に備えて瞑想の座法で座り、目を閉じて祈り始めた。彼はアガスティヤの出現と導きを求めて全身全霊を込めて何日間も祈り続けた。・・・神の化身であるアガスティヤに対するババジの愛は日増しに高まり、四方八方から彼を襲う絶望、退屈、休息への欲求を駆逐した。・・・祈りを始めてから48日間、倒れる寸前の状態にありながらババジはアガスティヤの名を呼び続けた。まさにそのとき、卓越したシッダ、アガスティヤが近くの森から姿を現してババジに近づいてきた。アガスティヤはナガラジのひたむきな信愛の念に心を打たれたのだった。彼は易しくナガラジの名を呼んで抱きしめた。ナガラジに水と食べ物を与えた後に、アガスティヤはクリヤー・クンダリニ・プラーナヤーマの極意を彼に伝授した。これはシッダ文献で“ヴァーシー・ヨーガム”と呼ばれる呼吸法のことである。この強力な呼吸法は、タミル・ヨーガ・シッダの最も重要な教えの一つである。アガスティヤはこの呼吸法が厳格な条件の下で行われるべきこと、またこれが高次の意識の覚醒や霊的な悟りを促して、肉体、生気体、メンタル体、知性体、霊体の5つの体の全てを変容させる力を秘めていることを強調した。またアガスティヤは、ヒマラヤ山脈の高地にあるバドリーナート(チベット国境から南に数Kmの、海抜約3100mの地点にあるヒマラヤ山中の町)に赴くことを進言し、そこでこれまでに現れた如何なるシッダよりも、更に卓越したシッダになるようにとババジに奮起を促した。」

「ババジは長い巡礼の旅の末にバドリーナートに至り、そこで長く孤独な18カ月間をグルであるアガスティヤとボーガナタルから伝受された全てのクリヤー(技法)の集中的な実践に充てた。この厳しいヨーガの修行を経た後に、ナガラジは“ソルバ・サマディー”に至った。即ち、神性の降臨によって、彼の霊体、知性体、メンタル体、生気体そして肉体の全てが神の意識と融合して変容を遂げたのである。こうして彼の肉体は老いから解放されて、汚れの無い神聖さを表す黄金の光を放つようになった。」

ということで、ババジがこのクリヤー・クンダリニ・ヨーガを習得した経緯の説明に、必要以上の紙幅を割いてしまったかも知れないが、元々筆者はここで、クリヤー・クンダリニ・ヨーガが、前節で説明したクンダリニ昇華にとって如何に有効であるかを説明する予定であった。然し、以上の説明で、この技法の特徴は、クリヤー・クンダリニ・プラーナヤーマと呼ばれる呼吸法にあることが、凡そ察しがついたものと思う。この点に就いては、パラマハンサ・ヨガナンダ師が『あるヨギの自叙伝』でも説明している(本章④参照、“30秒のクリヤーがもたらす霊的進化は、自然のままに生活する場合の一年分の霊的進化に匹敵するのである”)通りであるが、ここでは『ババジと18人のシッダ』(同書)からの引用を中心に更に詳しく説明しておきたい。先ず、マーシャル・ゴーヴィンダンは、クリヤー・ヨーガ全般の特徴に就いて、次のように説明している。

「クリヤー・ヨーガの技法はクンダリニの覚醒を急速にではなく、段階的に実現するようにできており、またこのことを意図して教えられる。もしクンダリニが急激に目覚めると、無意識のクンダリニの力によってナーディ(筆者註:体の中の無数の気脈)の組織が圧倒されてしまい、その結果として極端な不快感、方向感覚の喪失、そしてときには重度の精神障害が生じる危険さえある。クリヤー・ヨーガは気付きや潜在能力を穏やかに目覚めさせる安全な方法である。」

続いて、ヨーガのポーズ(アーサナ)の説明である。

「クリヤー・ハタ・ヨーガは、アーサナ、ムドラー、バンダからなる。アーサナとはくつろぎをもたらすポーズのことである。ムドラーは体内のプラーナの流れに影響を与えて心の状態にも変化をもたらす仕草、動き、姿勢のことを指す。バンダは体内におけるプラーナの流れを変えてチャクラの覚醒をもたらす、精神的・筋肉的エネルギーの締め付けを意味する。アーサナ、ムドラー、バンダは、心身の各センターやナーディ(気脈)を強化し、エネルギーの滞り(ブロック)を取り除き、徐々に増していくプラーナの流通を可能にし、肉体を不純物、機能障害、病気から解放するためにシッダたちによって開発、実践されてきたものである。またこれらは精神の集中力を増し、我々の人格の二つの主要な側面である、断定的で理性的な男性的側面と、受容的で直感的な女性的側面の統合を助ける。」

次に、いよいよ呼吸法(クリヤー・クンダリニ・プラーナヤーマ)である。

「クリヤー・クンダリニ・プラーナヤーマの実践は、我々の精神状態を左右する肉体の生理機能に直接的な影響を与える。瞑想中の心は肉体の不調、心の動揺、退屈などの妨害によってしばしば影響を受ける。こうした妨害は心そのものの問題であるよりも、消化不良、血液循環の不良、筋肉の痙攣、エネルギーの不足、ホルモン分泌のアンバランスといた生理的な要因の結果であることが多い。こうした妨害に対する心の反応を直接的にコントロールしようとする他の伝統的な方法においては、意思の力によってこれらを克服しようとするために、欲求不満、罪の意識、あるいは心の分裂を極限にまで高じさせてしまう危険がある。他方クリヤー・クンダリニ・プラーナヤーマでは、生理的な現象そのものに対処する。クリヤー・ヨーガの呼吸法の実践においては、もし肉体的に居心地が悪ければ、姿勢を変えてもよい。また、心に雑念が浮かんだとしても、ただ実践を続ければよい。人は、練習を続けることで徐々に心のエネルギーを統御できるようになる。心はエネルギーであり、諸々の激情や雑念がこのエネルギーを波立たせるのである。くつろぎの状態でクリヤー・ヨーガの呼吸法を実践することで、心の状態の原因となる生理現象に影響を与えることができる。こうして徐々に、そして自然に、内的な自覚や集中力が培われる。・・・」
「人に見られる最も基本的な生理現象の一つに、左右の鼻腔に拠る呼吸の定期的な変化がある。通常、人は左右いずれかの鼻腔で呼吸をしているが、これは約3時間毎に入れ替わる。こうして人は体の平均気温を一定に保っているのである。今世紀(筆者註:20世紀)の医学者は脳の左半球が右半身の活動を支配していることを発見した。左脳は主に理性的な至高、分析及び言語に拠るコミュニケーションを受け持っている。また左脳は情報を順序立てて処理し、原因と結果を考察する。他方、右脳は左半身の活動を支配しており、直感的な情報処理、空間認識、物事の認識、そして創造活動のような大量のデータを同時に纏める働きを担っている。右の鼻腔がよくとおっており、その側での呼吸が優勢であるとき、右半身と結びついている左脳の活動が優勢になる。このときに人は、理性的、断定的、積極的な活動を指向するようになる。左の鼻腔が通っており右脳が活動的になると、人は消極的、受容的、直感的な活動へと傾く。呼吸を左右のいずれかの鼻腔でするかは、様々な技法を練習することによって変えることが出来る。例えば、左の鼻腔を通すには右半身を下にして数分間横たわる方法がある。最終的には意識を集中するだけで、左右いずれの鼻腔からでも呼吸ができるようになる。こうして当面の活動に相応しい側で呼吸をすることが可能になる。」
「また、左右の鼻腔で均等に呼吸することを修得すると、個性の主要な二つの側面(陰陽)の融合を図る事が出来る。この状態が実現すると、呼吸のエネルギーが中央のスシュムナー・ナーディを流れるようになり、幸福感や静けさを体験したり深遠な理解が生まれる。これは瞑想の実践にとって理想的な状態である。呼吸によって達成される左右の均衡と内外の空気圧の均衡は、ヨーガにおいてはサマーディと呼ばれる、無呼吸での神との合一の状態に人を導く。・・・」

次に、マーシャル・ゴーヴィンダンはナーディ(気脈)とチャクラ(エネルギー・センター)に就いて説明しているが、チャクラは比較的一般に知られている概念なので、ナーディに就いての説明を引用しておく。

「ティルムラル(筆者註:高名なシッダの名前)によると、人間の体には“ナーディ”と呼ばれる多数のエネルギーの通り道、即ち気脈がある。これらは人体の中心軸に沿って存在するチャクラとも呼ばれる心霊エネルギー・センターと交差または合流している。この人体の中心軸は脊髄の位置とほぼ重なっている。・・・そのうち主要な気脈は、脊髄表面の左側側面近くにある“イダーカライ・ナーディ”(以下、イダー)と、同じく脊髄表面の右側面近くにある“ピンガラーイ・ナーディ”(以下、ピンガラー)である。これらは、皆微細なエネルギーからなるアストラル体にある。第三の主要なナーディである“スシュムナー”は脊柱管の内部を通っている。ピンガラーは太陽、イダーは月によって象徴される。」

そしてクンダリニの覚醒に就いては、前節で説明した通りであるが、そのクンダリニ覚醒と修行の段階を、マーシャル・ゴーヴィンダンは以下のように説明している。

「クンダリニを覚醒させる前の段階において、イダーとピンガラーの両ナーディの浄化と、チャクラやスシュムナーの覚醒を実現するためには、様々な技法を段階的に実践することが極めて重要である。これを怠ると、困難な問題や否定的な影響が生じるからである。もしクンダリニが覚醒する以前にチャクラが開いていないと、エネルギーの流れがいずれかのチャクラにおいて滞ってしまい。そのチャクラに結び付く行動様式が増幅されることになる。こうした事態の発生に伴って、多少のシッディや千里眼などの能力が目覚めることがあるが、この域を超える境地にまで至ることはないだろう。充たされない欲望や否定的な性癖があるままでクンダリニの覚醒が時期尚早に起きると、欲望が過度に増幅されてしまう。スシュムナー・ナーディが開く以前にクンダリニの覚醒が起きると、クンダリニのエネルギーは出口を失ってムーラダーラ・チャクラ(筆者註:ルートチャクラ)において封じ込められてしまう。こうした事態は、結果的に数多くの性的・神経症的な問題を生む。同様に重要なことは、チャクラを徐々に目覚めさせることである。・・・」
「このために、クンダリニ・ヨーガの実践の第一段階においてすべきことは、アーサナ、バンダ、ムドラーそして後にプラーナヤーマの実践によってナーディを浄化することである。またヨーガの実践者は菜食をして、いかなる刺激物の摂取も避け、イダーとピンガラーの両ナーディを交互に通過するプラーナの流れに不均衡を生じさせる過食、不規則な食事、否定的な態度をさけるべきである。」
「瞑想を実践することは、この段階にあるヨーガの実践者が、自身の否定的な傾向を取り除いて、穏やかな気付きを得ることを助ける。ババジのクリヤー・ヨーガにおける第一番目の瞑想法は、旧来の性癖や否定的な態度の根源である“チッタム”即ち、潜在意識の浄化に焦点を当てている。さらにまた、プラーナの流れを上位のチャクラに上昇させるためには、他者への無私の奉仕、聖者の生活や霊的・形而上学的な事柄を題材とする書物の研究、さらには、献身的な活動を初めとする諸活動に携わることも大切である。・・・初期の段階でのプラーナヤーマの実践は制限されるべきである。さもないと、怒り、貪欲、情欲といった否定的な傾向が助長されるからである。プラーナヤーマの実践については、実践者の許容度や浄化の進展に応じて、経験豊富な師の指導の下で回数を増やすことができる。・・・有能な師は、この準備段階において各人に相応しい技法や活動を指示することができる。」

以下、第三段階までの同書説明を要約すると、第二段階ではチャクラの覚醒が行われ、第三段階ではスシュムナー・ナーディを覚醒させる。但し、イダーとピンガラーの均衡が持続しているときにのみ、クンダリニは爆発的な勢いで目覚めて、スシュムナー経由でサハスラーラ・チャクラ(筆者註:頭頂部のクラウン・チャクラ)へ至ると書いてある。
然しその前の段階での注意事項として、菜食をしたり、潜在意識の浄化を行う、更に肯定的な態度を心掛けるなどが必要だとしており、筆者が本ブログの第9章で触れていたこととの間に共通点が多いことに気付かれた方も多いと思う。更には両性の統合に就いても第10章でふれているので、興味の有る方は再度読み返してみることをお薦めする。
但し、クンダリニの覚醒は、決して素人が見よう見まねで行うようなものでは無いので、くれぐれも独学で試してみるようなことはせず、専門の師について正しい指導を受けて頂きたい。
因みに、筆者は次のHPに紹介されている教室で第一イニシエーションを受講した。http://www.babajiskriyayoga.net/japanese/home.htm

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