WOWOWカンヌ国際映画祭ブログ

現地に飛んだスタッフが映画祭の様子を毎日レポート!

今年も来た!オダギリジョー!『ゆれる』記者会見

2006年05月25日 | 現地レポート

カンヌ国際映画祭の監督週間で選出された、西川美和監督の『ゆれる』。

日本人としてのひいき目を差し引いても、ここカンヌでの評判はかなり高いです。

その『ゆれる』の記者会見に、主演のオダギリジョーさんと監督の西川美和さんが来てくれました。


このボサボサの髪と不精ヒゲも似合うオダギリさん

 

西川監督には今回初めてお会いしましが、こんなに若い方だったんですねぇ。ウォン・カーウァイ審査員長が最初の会見で話していた通り、カンヌでは国籍も年齢も関係なく才能が認められるということが理解できました。


写真右:愛くるしい外見と豊かな才能でカンヌでも注目される西川監督

 

Q:最初に脚本を読んだと時、内容とご自分の役についてどう思われましたか?オダギリ:撮影のかなり前に脚本を読ませていただき、その時点で既に面白かったので、すぐにやらせて欲しいと思いました。撮影の時は29歳だったので、あとから振り返って20代最後の締めくくりとしてその時の自分の代表作になったと思います。とにかく今までお芝居で勉強してきたことや経験してきたことを、すべて注ぎ込もうと思いました。


日本映画界に名コンビの誕生!?

 

Q:兄役の香川さんと共演してみて、いかがでしたか?オダギリ:香川さんはパルムドールも受賞して、日本でも実力のある役者さんなので、撮影前から楽しみでした。香川さんは怖くて…でも、怖さも1周すると面白くなってきて、笑えるようなって。そういうことも学べました。


ぼそぼそと低い声で話すオダギリさん。独特の雰囲気です

 

カンヌという場所なので海外の取材がたくさん来ているのは当然のことですが、この会見には特にアジアからの取材チームが目立ちました。オダギリさんが既にアジアで注目されている俳優だということの表れだよね。

オダギリさんは日本を代表する俳優として、西川さんは監督として、毎年カンヌに来てくれれば嬉しいなぁ。そのうち、世界の超大物スターとの共演もありえる!


速攻…紳士的…俳優としての選択肢カードも増えていく!

 

自信に満ち凛とした表情のオダギリさんと、晴れ晴れした表情の西川監督。今年はこの作品でカンヌが揺れた!


これからも期待しています、オダギリさん&西川監督!

 


舞台挨拶!『バベル』公式スクリーニング!

2006年05月25日 | 現地レポート

今宵は念願の『バベル』公式上映に参加してきました!

パルムドール候補と言われる作品でもあるので、是非とも公式上映にて制作者&出演者と共にこの晴れの舞台(スクリーニング)を共にしたかった!…というか、ガエルの大ファンだし…ってのが本音かな(『モーターサイクル・ダイアリーズ』を観て彼に魅了されない人っていないよね??)

レッドカーペットは素早く走り渡り、バルコニーのいい席を確保だ!と真っ先にメイン会場に駆け込み、スクリーンに映し出されたレッドカーペットのライブ映像を鑑賞。

沢山のセレブ、スター達が歩き、いよいよメインスタッフ登場。ケイト・ブランシェット着物風ドレスも決まっていたけれど、それにも負けずに目立ったのが菊池凛子ちゃんの金髪ヘアの着物姿でした! 彼女の堂々たる姿は見ていて気持ちよかった!役所広司さんも本当にシックでエレガント! モロッコ人の兄弟役を演じた少年達もモロッコの伝統衣装のジェラバをまとい、多国籍スタッフによるレッドカーペット歩き。

レッドカーペットでの振る舞い方で人格を呼んでしまうのは安易かとは思うが、沢山の取材カメラのフラッシュの前で位置を変える度に、ガエルは常に周囲にいた凛子ちゃんや、モロッコ人の少年をエスコートしていて、そんな彼の優しさが、やっぱりあの最高に魅力的なガエルスマイルに現れてるんだな~と改めて納得してしまった。

 

盛大な拍手で会場に入るスタッフを迎え、そして上映が始まる…

感動作…私は勿論ですが、周囲に座っていた気の強そうなフランスマダムも鼻をすすっていた…。

メキシコ人監督のアレハンドロの現代社会の捉え方は、ストレートに私のツボにはまりました。

 

画面がクレジットに入ると、会場から盛大な拍手、歓声が響き渡り、スタンディングオーベーションが8分程続きました。これも公式上映でしか味わえない最大の感動の瞬間です。最後にアレハンドロガエルが抱き合い、会場にいた人達の涙をさらに誘いました。


ナンニ・モレッティ新作『カイマン』にてベルルスコーニ元首相を背負ってカンヌ入り。

2006年05月25日 | 現地レポート

2001年に『息子の部屋』でパルムドールを受賞したイタリアの映画監督ナンニ・モレッティが新作『カイマン』にてカンヌへ戻ってきました!

初期の映画でもイタリアの政治を批判してきたナンニですが、今回の作品では、会社は倒産寸前、妻とは離婚寸前のB級映画のプロデューサー(シルヴィオ・オルランド)が監督志望の若い女性(『息子の部屋』で娘役を演じたジャスミン・トリンカ。立派な女優の道を歩んでいるようです)に『ベルルスコーニ』についての映画のシナリオを渡され繰り広げられるストーリー。

2001年のカンヌ映画祭でナンニのインタビューを事前申請したら、プレスの女史に、『まずは試写をして、作品についての感想をまとめてからインタビュー申請して下さい。ナンニはテレビインタビューはあまり好きでないので断る可能性のほうが高いです。』と言われ気合い入れて初回の試写で観て、これはパルムドールを受賞するに違いない!と確信した勢いで再度プレス女史に掛け合った。その甲斐あってか、『OK。そこまで言うなら何とかしましょう。でも今回WOWOWは唯一の日本のTV媒体よ。他は入れません。』そして結果的にナンニはパルムドールを受賞し、このインタビューは有り難い映像となった!

今年も11時の記者会見に晴々とした気持ちで出席する為に、朝8時半の初回プレス試写にて早速スクリーニング。

ユーモラスでもあり、神経質でも有名なナンニですが、記者会見では予想通りベルルスコーニやイタリアの政治状況についての質問攻め、『今日の記者会見は6時間くらい時間があるんだっけ?では…イタリアの政権について一からご説明しましょう…』と返したり。

 
ユーモアたっぷりのナンニ!

 

記者会見の一部紹介。

Q:イタリアの政治についての物語の映画でカンヌにくることで、理解されないという恐れはなかった?ナンニ:イタリアの政治状況が海外の人に理解できないというのは、一市民としては嬉しいことだよ。なぜならこうした正常では考えられない、6チャンネルあるテレビ地上波のうちの3チャンネルを所有している男がイタリアでは4度も首相に当選してきたのだから、こんな状況を海外の人は理解できないでしょう!でも、イタリア人はこういった状況を異常だと思っていないんだから恐ろしいことなんだ。僕は正当なコンペティションが好きだから、こうしてカンヌに作品を出品しセレクションされて来れるのは嬉しいかぎりだよ。イタリアでは正当なコンペティションさえできないんだから。このデモクラシー世界で選挙の後15日間も負けたことを認めない奴が国の頂点にいるなんて恐ろしいことだと思いませんか?

Q:『カイマン』はイタリアでは選挙前に公開されましたが、この映画の影響がベルルスコーニの敗戦につながったと思う?ナンニ:それはどうかな…プロデューサー:皆がナンニに選挙の結果に影響を及ぼしたか?と質問するけど、誰かこの過去10年でベルルスコーニに、あなたの当選はあなたがTV局を3チャンネルも持っていた事と関係があると思いますか?って聞いたことがありますか?ナンニ:イタリアでは『親愛なる日記』を出した後、なぜ内科に行かずに専門科医のところへ行ったんだとか、君が癌にかかったのはブルジョアな生活のせいだ、と批判ばかりされた。でもフランスでは作品も認められ、素晴らしい待遇を受けたんだ。これがイタリアとフランスの違いだね。フランスには本当に感謝しているよ。

 

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政治批判の映画ではあるけど、ナンニ独特の描き方、そして家族のあり方の多様性さ、などなど充分ナンニワールド満足度ありの作品です!

2001年の公式上映の後もナンニはリムジンに乗らず徒歩で海岸通りへスタッフと共に消えて行き、その一貫した態度に感動したけど、やはり今年も夜カールトンホテル前を歩いていたらナンニとバッタリ遭遇!

ナンニ大ファンの私は、思わず声をかけて写真を撮らせてもらった!


偶然夜道で会ったナンニは、とても紳士的でした!

握手してもらった彼の手は、とっても大きくて厚みのある魅力的な男の手をしていました!