WOWOWカンヌ国際映画祭ブログ

現地に飛んだスタッフが映画祭の様子を毎日レポート!

グランプリ受賞の河瀬監督「ドキドキしすぎて疲れました。」

2007年05月28日 | 現地レポート

「殯(もがり)の森」囲み取材
時間:現地5月27日 21:30頃
場所:パレ内、記者会見場前



Q:受賞の気持ちをお聞かせ下さい。
A:早くこの喜びを、日本のみなさんに伝えたいです。

Q:授賞式の会場で発表を待つ時の気持ちはどうでしたか?
A:ドキドキしすぎて疲れました。最初に何か賞があると聞かされていたけど(ほかの賞が呼ばれていくにあたって)グランプリとパルム・ドールしかなくなっていたので何かの間違いかと思って…。

Q:最後に名前が呼ばれなくて(パルム・ドールではなくて)残念でしたか?
A:あります。(でも)次のステップにあがれる賞だと思っているので。

Q:10年前の受賞(「萌の朱雀」:カメラ・ドール)と今回の受賞での気持ちの変化は?
A:ある意味落ち着き、ある意味興奮し、10年前とは全然違う気持ちです。今回はプロデューサーもこなし、映画を作ることの困難を乗り越えて完成させてたのでフランスとの共同も含め、そこ(映画製作)に携わった人たちと喜びを分かち合いたい気持ちでいっぱいです。

Q:自身ではどこが評価されたのかと思いますか?
A:今回、"殯"(死)を描いた作品が多く、世界的に何かに迷っているのだと思う。人は何かが足りないと思う時に、物質的なものではなく、形のないものに心のよりどころを求めたり、日本人は先祖代々から受け継がれるものに、感謝する民族だと思うのでそういう部分が映画に描かれたいたので、世界が評価してくれたと思います。つまり、日本が評価されたと思いたいです。

Q:夫とお子さんにメッセージはありますか?
A:本当に、彼らのおかげです。

Q:お子さんに何か言われましたか?
A:昨日の公式上映を一緒に見て、主人公が森で彷徨うシーンで泣き出しそうになっていたけど、「しげき(うだ)が苦しい時には、真千子(尾野)が助けてくれて真千子(尾野)が苦しい時には、しげき(うだ)が助けてくれるんだからね」といったら納得してくれて…。人間と人間が助け合い、つながって生きていくことを伝えたかったんだけどまだ3歳なんで、どうかな…(笑)

Q:今回の受賞が、今後の作品作りに与える影響はありますか?
A:また、(今回のように)大騒ぎになると思いますし外から声もかかるともいますが、10年前と同じで自分にしか撮れないものを作り続けていきたいと思います。

Q:審査員の方からの感想はどうでしたか?
A:審査委員長(スティーブン・フリアーズ)が「すごく好きな映画だ」と言ってくれた。審査に対しては、すごい討論が分かれた様ですが、最終的に、すごくいい評価を与えてくれたのだとも思います。

Q:奈良(映画の舞台となってる土地)の皆さんにメッセージをお願いします。
A:私の古里が世界に評価されました。本当に小さな田舎町で撮った映画が、世界で賞をもらいました。一緒に喜びを分かち合いたいです。早く。

Q:最後に賞状を見せていただけますか。
A:(賞状をみせつつ)これはどのくらいすごい賞なんですかね~。

Q:なにも知らずにグランプリというのは、どんな気持ちですか?
A:とにかくドキドキしすぎて疲れました。まさか脚本賞では、ないだろうと思って(笑)。

「殯(もがり)の森」2007年6月より全国順次ロードショー

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■番組紹介

WOWOW「VIVA カンヌ映画祭 2007」
放送は、
6月3日(日) 午後 7:00~
再放送は、
6月5日(火) 午後 6:00~
お楽しみに!


第60回カンヌ国際映画祭-受賞会見の模様

2007年05月28日 | 現地レポート

第60回カンヌ国際映画祭が日本時間の28日未明に閉幕。
授賞式後に行われた、受賞者の記者会見の模様です。

→受賞結果はコチラ

◎パルムドール(最高賞)
「4 Months, 3 Weeks and 2 Days」クリスチャン・ムンギウ監督(ルーマニア)
→気になる作品の内容はコチラ


クリスチャン・ムンギウ監督



◎グランプリ
「殯(もがり)の森」河瀬直美監督(日本)


河瀬直美監督



◎主演女優賞
チョン・ドヨン「Secret Sunshine(密陽)」(韓国)


チョン・ドヨン



◎主演男優賞
コンスタンチン・ラヴロネンコ「The Banishment」(ロシア、ベルギー)


代理で出席したアンドレイ・ズビャギンツェフ監督

◎監督賞
ジュリアン・シュナーベル監督「潜水服は蝶の夢を見る」(フランス)


ジュリアン・シュナーベル監督

◎脚本賞
ファティ・アキン「The Edge Of Heaven」(ドイツ、トルコ)


ファティ・アキン監督

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グランプリに輝いた「殯(もがり)の森」河瀬監督のコメント

2007年05月28日 | 現地レポート

授賞式直後の記者会見でのコメント。

グランプリの賞状を手に会見場に現れた河瀬監督..
「今朝は朝から逃げ出したい気持でした。そして何かしらの賞が与えられるとの電話がきて。10年前に私はカンヌでカメラドールを頂きましたが、カンヌ映画祭も私も互いに変化をしてきていると思います。これからカンヌ映画祭が発展して行くように私も発展していきたい。恥じないように歩みを続けたい。」


賞状を手にする河瀬監督

「日本人として恥じないような映画だと思ってます。日本人が誇りにしたい想いを込めて作ったこの作品がカンヌでグランプリをとれて本当に嬉しい。今私が大事にしたいと思う事が発信できて幸せです。」


グランプリの賞状を披露する河瀬監督

授賞式では良くある、「嬉しいですー」「ありがとうー」なんて甘いスピーチではなく、感情に流されることなくきっちりと自分の想いとメッセージを言葉にして表現した河瀬監督。凄いです!見ていて誇らしくなります!

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速報!「殯(もがり)の森」グランプリ受賞!第60回カンヌ国際映画祭受賞結果

2007年05月28日 | 現地レポート

速報!第60回カンヌ国際映画祭受賞結果

第60回カンヌ国際映画祭が日本時間の28日未明に閉幕。
コンペティション部門に日本から唯一参加した、
河瀬直美監督の「殯(もがり)の森」がグランプリを受賞した。


パルム・ドール(最高賞)
「4 Months, 3 Weeks and 2 Days」
クリスチャン・ムンギウ監督(ルーマニア)
→気になる映画の内容は?現地試写レビューはコチラ

「4 Months, 3 Weeks and 2 Days」

グランプリ
「殯(もがり)の森」河瀬直美監督(日本)

グランプリを受賞した「殯(もがり)の森」

◎男優賞
コンスタンチン・ラヴロネンコ「The Banishment」
(ロシア、ベルギー)

◎女優賞
チョン・ドヨン「Secret Sunshine(密陽)」(韓国)


◎監督賞
ジュリアン・シュナーベル監督「潜水服は蝶の夢を見る」(フランス)


◎審査員賞
「Persepolis」マルジャン・サトラピ監督、ヴァンサン・パロノー監督(イラン、フランス)


「Silent Light」カルロス・レイガダス監督(メキシコ、フランス、オランダ)


◎脚本賞
ファティ・アキン「The Edge Of Heaven」(ドイツ、トルコ)


◎60周年記念賞
「Paranoid Park」ガス・ヴァン・サント監督(米国)

◎カメラドール
「Medozut」E.Keret,S.Geffen監督


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ダイアン・クルーガー登場!クロージング作品の記者会見

2007年05月28日 | 現地レポート

ドゥニ・アルカン監督クロージング作品Days Of Darkness  (The Age Of Ignorance) (原題)の記者会見が行なわれました。

左からダイアン・クルーガー、ドゥニ・アルカン監督、マーク・ラブレシュ

キャスト:
ダイアン・クルーガー(Diane Kruger)
エマ・ドゥ・コーヌ(Emma de Caunes)
マーク・ラブレシュ(Marc Labreche)

スタッフ:
ドゥニ・アルカン(Denys Arcand)監督
Denise Robert
Dominique Besnehard

今回の映画祭のセレモニーマスターを勤めるダイアン・クルーガー主演作品。


質問:ダイアン・クルーガーの起用について
ダイアン・クルーガー:監督から連絡が来て、作品について説明されたの。でも、とにかく会ってみましょうということになってね。飛行場に降りたら、監督が花束を持って待っててくれたのよ。そしてお食事に行って、楽しいひと時を過ごしたの。

ドゥニ・アルカン監督:ダイアンとの出会いもそうだけど、好感を持てる人とじゃないと仕事をしたくないんだ。撮影現場での食事時間にスタッフが全員が食べていて、座りたくないテーブルが一つでもあって欲しくないと思うんだ。

ダイアン・クルーガー


エマ・ドゥ・コーヌ

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WOWOW「VIVA カンヌ映画祭 2007」
放送は、
6月3日(日) 午後 7:00~
再放送は、
6月5日(火) 午後 6:00~
お楽しみに!


いよいよ28日未明カンヌ国際映画祭パルムドール発表!

2007年05月27日 | 現地レポート

いよいよ日本時間28日未明にカンヌ国際映画祭パルムドールが発表されます!

河瀬直美監督「殯(もがり)の森」は果たして受賞なるか!

気になる賞の行方は?

現地で取材された映画雑誌「スクリーン」元・副編集長、岡田光由氏によるパルムドールの予想はコチラから。

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放送は、6月3日(日) 午後 7:00~
再放送は、6月5日(火) 午後 6:00~
お楽しみに!


拍手の嵐!!コンペ作品「殯(もがり)の森」の公式上映

2007年05月27日 | 現地レポート


「殯(もがり)の森」の上映会が行われたメーン会場

コンペティション部門に出品された河瀬直美監督「殯(もがり)の森」の公式上映が行われました。

いざ、レッドカーペットに出陣!




河瀬監督とキャスト


記者の質問に答える河瀬監督




公式上映が終了すると約5分間のスタンディングオベーションに包まれました。


スタンディングオベーションに応える河瀬監督とキャスト


河瀬直美監督「殯(もがり)の森」の記者会見

2007年05月27日 | 現地レポート

26日
カンヌ映画祭コンペティション部門最後の作品「殯(もがり)の森」の記者会見が行われました。

「殯(もがり)の森」2007年6月より全国順次ロードショー

会見の出席者は...
河瀬直美監督
尾野真千子
うだしげき
渡辺真起子

質問:
認知症の人物を主人公においたことについて。
河瀬直美監督:
認知症の方々を可哀相とか下に見ている人が多い。でも彼等は認知できないだけで、感情や魂がないのではない。人間の感情が大切だと描く事で人々に訴えたかった。
それから。もうひとつこの作品の中で言いたかったのは、渡辺真起子さんが演じた主任が「こうしなきゃあかんことはないから。」と言うのですが、この言葉を映画を通して伝えたかった。私たちは、こうしなきゃ、とかってことに縛られて、傷ついたり、苦しくなったりする。私が私らしくいれば、こうしなきゃいけないってことはない、と伝えたかった。

河瀬直美監督

質問:
今回の作品はフランス映画会社セルロイド・ドリームズが共同製作していますが、その経緯について。
河瀬直美監督:
10年前「萌の朱雀」でカメラドールを受賞して以来、私の作品は沢山のフランスの方に見てもらっています。作り終えた作品を売る、というやり方でなく、一緒に作った方が世界に広がるのではと思い、脚本を持って単身フランスへ渡りました。セルロイド・ドリームズのプロデューサーがその場で脚本を読みこう言いました。直美、半分日本で資金を集めなさい。残りの半分はフランスで集めるからと。

質問:
役作りについて。
尾野真千子:
私の役は子供を亡くして、離婚して、おじいさんと出会ってという役ですが、役作りは奈良で、小さな部屋にお風呂もテレビもなく、外からの情報が入ってこないところに住んで、監督ともあまり連絡がとれない環境で2週間くらい住みました。
(尾野さんは緊張されて、河瀬さんが耳元で囁きながら助けてのお返事でした。後で聞いた話によると、緊張して頭の中が真っ白になってしまってたそうです!)

尾野真千子

うだしげき:
生きるという事は死ぬ事に近づいている事と思っています。私は今60歳で映画の中のしげきは70歳。演じてるとき10年後の自分を考えていました。介護施設に3ヶ月間寝食共にして、一緒に感じて役作りをしました。

うだしげき

渡辺真起子:
実際の看護士の方々の助言を頂いたりして役作りをしながら、1週間一緒に過ごしました。人間はいつか死んで行くという現実を目の前に、おじいちゃんやおばあちゃんと過ごして、その中で現実を受け入れ、乗り越えるのが一番大変でしたね。

渡辺真起子

カンヌ映画祭では数少ない常連の女性監督として、河瀬さんは、
「カンヌ映画祭100年周年に77歳でこのポスターのピラミッドの上でジャンプしていたいと思います!」と、とても意欲的でした。


コンペ作品「Promise Me This」の記者会見

2007年05月27日 | 現地レポート

26日
エミール・クストリッツァ監督コンペ作品「Promise Me This」の記者会見。

「Promise Me This」

会見の出席者は...
キャスト:
ミキ・マノイロヴィッチ(Miki Manojlovic)
マリアン・ペトロヴィッチ(Marija Petronijevic)
Uros Milovanovic
Ljiljana Blagojevic
Aleksandar Bercek

スタッフ:
エミール・クストリッツァ(Emir Kusturica)監督
Olivier Delbosc
Marc Missonnier


1985年「パパは出張中」にてパルムドールを獲得し、1995年「アンダーグラウンド」に2度目のパルムドール獲得。その他にも何度もカンヌ映画祭コンペにノミネートされるクストリッツァ監督ですが、「ジル・ジャコブにカンヌに家を借りてくれって言おうかと思ってるよ。」と余裕発言。

作品の発端について。
エミール・クストリッツァ監督:
「街へ行きなさい。そして何かを果たしてから田舎に戻ってらっしゃい」という内容の日本の童話を思い出したんだ。その考えが気に入っててね。それから今回はいつもよりシンプルなものを作りたかった。でも、結果的には予想以上複雑になったけど!この作品は今までの僕のキャリアの中で初めて予算内で、しかも延期なしに撮影を終えたんだ。これは新鮮だったね。まあ、たぶん、僕の奥さんがプロデュースしてるから予算を初めて気にしたってのもあるけどね!

エミール・クストリッツァ監督

「パパは出張中」「アンダーグランド」でもお馴染みのミキ・マノイロヴィッチ:
エミール・クストリッツァはある時代の映画史を刻んだ男だ。人生の深い部分を真っ正面から映画を通して描いているから重要な存在なんだ。


ミキ・マノイロヴィッチ


「殯(もがり)の森」上映前に行われたアニエスb主催のレセプションに潜入!

2007年05月27日 | 現地レポート

26日「殯(もがり)の森」の公式上映前に作品の協賛をしたアニエスbがカンヌのショップにてちょっとしたレセプションを開きました。


アニエスbは映画支援に力を入れていることでも有名ですが、今回も「殯(もがり)の森」のプレス資料を読み、すぐに気に入って支援を決定したとアニエスは語ってました。

プレス資料を見て渡辺真起子さんが大のお気に入りだったようで、「あなた本当に素敵!美しいわ!」と絶賛。渡辺真起子とアニエスのツーショット写真を撮ったら、その後「ねえ、この写真あとで送ってね。」とアニエスに言われました!

渡辺真起子さん


渡辺真起子さんとアニエス

河瀬監督は、皆より少し遅れて到着。それもそのはず。60周年なのだからと、華やかな着物姿で登場して大注目!ちなみに、髪型はクリスチャン・ディオールのヘアメイクさんが手掛けたそう。

河瀬監督

奈良の日本酒の樽割りをしてお祝いしました。



河瀬監督とキャストの皆様

レセプションでは、うだしげきさんが女性記者達の人気者!しげきさんは普段は古書店を営むおじさま。
「男優賞という話しも浮上してますが」との声に「え~、そんな話あるの?」と満面の笑顔が可愛かったです。

うだしげきさん

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「殯(もがり)の森」

監督:河瀬直美
キャスト:うだしげき、尾野真千子、渡辺真起子