成安造形大の卒業制作展に行ってきました

仕事の関係で成安造形大の学生さんと接する機会が多い．今年卒業する学生さんから，卒業制作展のチケット（ていうか，無料だから招待状？フライヤー？）をもらいました．場所は京都市美術館の本館と別館．映像やハイパーメディアなど，関わりのある学生さんの作品は別館の展示です．

まずは本館を覗いてみたところ，いきなり知り合いの学生さんが記録映像を撮っているのに出くわす．本館は絵画や彫刻を中心にした展示．卒業する学生さん全員の作品が並んでいるわけですから，かなりのボリューム．じっくり見ていたら時間が足りないので，さらっと見回って別館へ．

別館は京都開館の裏にあり，規模も小さいので目立たない．よく考えたら初めて来たかも．ハイパーメディアの作品は，もうひとつ考えが足りていない感じ．入り口で撮った顔写真がそのまま棺の中の人形の顔にプロジェクションされていても，それはそこまでの話．例えば，椅子に座って膝に鏡を置いて下を向き，鏡に映った顔を見ると，10 年後の顔になっているという．そういう仕掛けを入れるなり，顔のモデルにマッピングして画像処理で年をとらせるとか，何か時間経過を実装しないと，単に自分が死体になっただけ．そこが狙いなのかもしれないが，曖昧で判断に苦しむ．

もっと残念なのは，優秀賞をとっていた「意図電話」という作品．机の向こうにスクリーンがあり，そこから糸電話が伸びている．椅子に座って，机の糸電話を耳に当てると，スクリーンに人が現れて何か喋りかけてくる．致命的なのは糸電話のインタフェースが壊れているということ．糸電話で声を聴こうと思えば，紙コップを糸に対してまっすぐ引っ張って，それを耳にあてる．つまり視線は糸に対して直交する方向に顔がくるはずで，そのときスクリーンを見ることはできない．見えない映像をスクリーンに出されても困る．

あとは映像作品．じっくり見る時間がなかったので，知り合いの学生さんの作品を探してチェック．写真のウサギの耳はその学生さんの作品についているヘッドホンの飾り．作品は実写を線画に起こしたアニメーション．ストーリーは，とある日曜日，ふと見かけたウサギ男を追っかけていくとお菓子の家にたどり着き，そこに飾られていたウサギの砂糖菓子を...といったファンタジー．iMac が置かれていてそこで作品を観るのだが，音を聞こうと思ったらヘッドホンを着けなくてはならない．そのヘッドホンにウサギの耳．ワナだ...

卒業制作展というものをみるのは初めてだったのだが，これを出発点にみなさんアーティストを目指すのですね．未熟ということは可能性がたくさんあるということでもあります．頑張ってくださいね．