ウィッシュ研究所

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刑事コロンボの心理トリック 2

2008-04-02 | 応用心理
刑事コロンボの“導入”術
 今回は、刑事コロンボの「導入テクニック」をみていきたいと思います。コロンボは、犯人との初期の会話ではかならず、「うちのかみさんは~」や「うちの甥が・・」と身内の話をしたり、「実は私自身が、あなたのなさっていることに今ちょうど興味がありまして・・・」などと、“自己開示”を始めます。これは「初対面での心理トリック」とも言えるもので、心理学者の多湖輝先生も「緊張の中、思いがけずに相手の内面的生活に触れるとホッとするもの」と、初対面の相手とすぐ親しくなるトリックについて述べている。これにより犯人の防衛意識のバリアを弱める効果を発揮しています。また、コロンボは初めての捜査の場面で、犯人の前で物をなくし、犯人を物探しに巻き込みます。これも、多湖先生は「“相手の警戒心をほぐすトリック”であり、“なにげなさ”や“偶然のイベント”などによって心理的規制や隔壁が取り払われる。」と言っています。
 この心理トリックは、インタビューやカウンセリング又セールスについて、よくなされるものです。「インタビュー」ではインタビューフロー(インタビューの流れ)の初めにウォーミングアップとして「導入」をもうけ、自己紹介や雑談を取り入れます(当ブログ2007.07.04参照)。「カウンセリングでも最初の事務手続き(インテーク)のあとに、導入として、またリラックスのため雑談のような会話を取り入れます(当ブログ2007.08.03参照)。そして、セールスの世界でも、「アンケート協力」や「ちょっとお話を」という消費心理学での「水路づけ―フット・イン・ザ・ドア」(当ブログ2007.10.03参照)と名づけられた“心理テクニック”が重要となっています。つまり、セールスマンが玄関に入れてもらうため、「小さな依頼」や「何気ない会話」で“水路づけ”をされると、人の防衛心理は一歩その中に踏み込まれた後は、急速に弱体化していくものです。
 次回は、このシリーズの最後として、コロンボの脱緊張の心理トリックについてです。

 参考文献 : 多湖 輝
 1971 「心理トリック」 ごま書房


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