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ミステリーで心理学(1)

2009-05-04 | 応用心理

「動機」・「動機づけ」について!
 ミステリーでは「動機」「アリバイ」「トリック」などが“キーワード”となりますが、まず初めに“動機ありき”でしょう。犯人の"心理面”での問題解決手段として、「その犯人以外犯行につながる動機を持つものは他にありえない!」とするものが「ミステリーの動機」であり、その動機を探り当てることによる犯人を特定してゆくのです。すなわちミステリーにおける動機とは、心理学的に言い換えれば、人を犯行に駆り立てる心理的動因・・・つまり人の行動を決定し、方向づける原因ですが、これは欠乏を埋める行動ともいえます。ミステリーの動機の代表的なものは「金銭的動機」「自己防衛」「嫉妬」「復讐」などですが、そこに、ある欠損を補うために一線を越える行動エネルギーを持つ動機と動機づけがあるのです。
 「教育心理学」において「動機づけ(Motivation)」というキーワードがあります。人は何らかの目標に向けて行動を立ち上げ、方向づけを持続させ、推し進める力を有しているものですが、これには、「賞と罰」という外的な働きかけによる動機としての“外発的動機づけ”がまずあります。これに対して賞と罰のような“報酬”によらず活動それ自体が目的となり、それ以外に報酬を必要としない“内発的動機づけ”があるわけです。
 ミステリーでの外発的動機づけは第三者に金銭や脅迫などで、操作強要されての行動が多いわけですが、一方これに対して、“本人の主体的犯行”が内発的動機づけと言えますが、教育心理学の“学習効果”からみると、外発的なものよりは内発的動機づけのほうが実行性が高いと言えます。
 "動機”を重視した作家はなんといっても「松本清張」でしょう。トリックや謎解き物に対して、「犯行の動機」に視点を向け、日常性の中に潜む犯罪の動機を、社会性の中において浮かび上がらせ、リアリティを演出していきます。彼に代表される「社会派推理作家」は、まさに「ホワイダニット・・なぜ犯行に至ったか?」に重きを置き「動機の描写」に視点を置いています。現代の作家でいえば、高村薫が挙げられるでしょう。
 これに対して「動機なき犯罪」というものももちろんあるわけですが、これは次回の「プロファイリングについて」で“異常心理と類型論・特性論”を中心に考えます。

 



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