入来祐作のメッツ入団が意味すること

　　FA選手の契約が落ち着き、大リーグ関係の報道が全くと言っていいほどない最近、入来祐作のメッツ入団はポツポツとアメリカで報道されている。しかしメッツのオフィシャルサイトでは、日本での成績が羅列されているだけだ。一方、ESPNでは元メッツの吉井理人と同じく（ほとんどの大リーガーが投げない）シュートを投げると紹介されている。そして日本人選手（松井稼頭央）に対する批判的なコメントが多いNewsdayのDavid Lennonは、予想通りの記事を書いてくれた。冒頭から、大リーグのほとんどの球団から声がかからなかったにもかかわらず、大リーグ入りを望んでいたとネガティブなイメージを植え付けるコメントの記事だ。

　　中継ぎと臨時先発を勤めることが出来る便利屋投手の位置づけで入来祐作を獲得、とGMのOmar Minayaは発表している。1軍登録の投手を10人と考えると最後の枠の熾烈な戦いに参戦することになる。先発は、Pedro Martinez、Tom Glavine、Kris Benson、Steve Trachsel、Victor Zambranoで決定。ブルペンは、Billy Wagner、Duaner Sanchez、Aaron Heilman、Chad Bradfordがほぼ確定。そして最後のスポットをSteve SchmollやJuan Padillaらと競うことになる。昨シーズン、先発やったり、ブルペンをやったり、３Aに落とされたりしていたJae Seoのポストを埋めることになったのは確かである。

　　ベテランで怪我をしがちな先発陣だけに、誰かが戦列を離れることは確実だ。そのため臨時先発は絶対に必要。ただその事態が生じた時、入来祐作に声がかかるかどうかは疑問だ。今季オフに「先発の起用でないならトレードしてくれ」と吠えていたAaron Heilmanに先発させる可能性の方が高いと思われるからだ。そもそも予定外にドジャーズから臨時抑えまで出来るDuaner Sanchezを獲得したため、Aaron Heilmanのブルペンでの位置づけは、花となる抑え（Billy Wagner）やセットアップ（Duaner Sanchez）でもなく、中継ぎと格下げになってしまった。入来祐作よりもAaron Heilmanが優遇されるのは間違いない。

　　GMのOmar Minayaが入来祐作を獲得した理由は二つ考えられると思う。一つは、Jae Seo、石井一久、高津信吾、Dae-Sung Kooらが抜けたことによる、アジア出身選手の獲得のため。GMのOmar Minayaは、観客動員においてライバルとなるヤンキース対策として、幅広いバックグラウンドの選手を獲得することを心がけているような気がしてならない。ニューヨークに住在する幅広い人種をファンに惹きつけるため、選手も幅広い人種を揃えていると思われる。もう一つは、トレード要因となる選手の育成。今季オフにトレードされたJae Seo、Mike Jacobsらと同様に、少しでも化けたら年棒が低い（入来祐作の年棒75万ドル）場合、トレード資産として価値が非常に大きい。もしこの二つ目の理由による獲得の場合、7月末のトレード期限までに他球団の評価を得ることをフロントが企めば、以外にも早く入来祐作のシェイスタジアムでの先発姿が見れるかもしれない。