続・軍務尚書の戯言

国際情勢や医学ニュースに関して日々感じたことを残すブログです。

北京オリンピックー終わりの始まりー

2008-06-18 21:27:42 | 国際情勢
過日発生した四川大地震における学校校舎の相次ぐ倒壊について、手抜き工事が原因だと政府を批判した人々が次々に当局に拘束されているとのこと。

四川大地震、学校の手抜き工事批判の元大学教員逮捕
四川大地震1か月、学校倒壊追及に当局が圧力

目前に迫った北京オリンピックに対する世界の関心は急速に失われているが、体面を重んじる中国人はそれこそあらゆる手段ー検閲、情報操作、強制動員、ドーピングなどなどーを使い、たとえ世界の他の国々が興味を喪失していても、国家の威信にかけてこのプロジェクトを成功させるのは間違いない。
しかし本当の危機はその後に訪れる。

上海総合株式指標はアメリカサブプライムローン問題の発生以降、急速な値下がりを示しているのは周知の事実であるし、上海を中心とした沿海州の地下が軒並み下落し、日本を始めとしたいわゆる先進資本主義諸国であれば恐慌と呼んでもなんら不思議でない状況である。
中国の現在の経済状況の分析については、多くの報告がなされているので専門家に譲るとして、ではなぜ恐慌が発生していないのだろう。
かつてマルクス・レーニンが唱えたように、共産主義は資本主義よりも優れており、経済をコントロールすることが可能なのか?

決してそうではない。

共産主義国家の本質とは、ソビエト連邦と東欧諸国の崩壊後明らかになったように、偽装と隠蔽である。
現在中国共産党は北京オリンピックを口実に強烈な情報統制を行っており、前述の四川大地震における政府批判やチベット問題だけでなく、どさくさにまぎれてサブプライムローン問題で生じた莫大な不良債権や、株価の下落による企業の経営危機をひた隠しにしている可能性が極めて高い。
彼ら中国人にとって「体面」は、日本人の「恥」と同じく、すべての判断の基本となるきわめて重要な要素であり、「企業倫理」「社会正義」よりも守らねばならない。
こうした背景から、少なくとも北京オリンピック終了まではお互いの体面を守るために、政治家も官僚も一丸となって経済危機を回避するためのあらゆる手段を講じるであろう。

しかし、祭りが終わった後に起こるのは、すべてをかなぐり捨てた生存のための争いである。

事実を知る党官僚と、それに連なる企業家たちの投売りが一気に発生するのは間違いない。
北京オリンピックが中国の「終わりの始まり」になると、小生は恐れる次第である。

今日の箴言:
「危機は繁栄の中に潜む」

日中友好という名の幻想~日本を守るために~

2005-08-05 02:54:47 | 国際情勢
沖縄の日本への帰属には国際法上の問題があると中国誌が主張しているとの事。

先日の原子力潜水艦による日本領海侵犯、反日暴動とその後の中国政府の対応,東シナ海ガス田採掘権問題など、50年前であれば確実に日中戦争を引き起こしたであろう中国共産党の暴挙を目の当たりにしながら,それでも「中日友好」「アメリカ追従からの脱却」などという寝言をほざいている左翼系マスコミ・媚中派政治家・平和主義知識人の方々は、ぜひ中国に移住して自国民を戦車でひき殺す共産主義体制のもとで盗聴と逮捕におびえながら幸せに暮らしていただきたい。

今までも何度か述べているが,国民レベルでの交流は別として、日本と共産主義国家・中国が友好関係を築ける可能性はまったく無い
社民党や共産党が主張するように,中国の主張にことごとく服従し日本の領土を割譲した挙げ句,中国共産党に侵略されて中国に併合されれば、ある意味日中関係は平和に解決されることになるのだろうが,その代償として数千万人の知識人虐殺と満州北部への強制移住にともなう日本民族の滅亡を甘受せねばならず,気の○った共産主義者にだけ受け入れることのできる案である。
日本が日本民族としての尊厳と権利を維持しようとする以上,中国共産党は日本の最大の脅威であり,国家としての日本と日本民族の命運は増大する中国の脅威にいかに対抗するかにかかっているのである。

その理由の第一は,中国共産党の外交政策と国民感情の基本に存在する中華思想である。
簡単に説明すれば,中華思想とは読んで字の如く中国人とその国家を「世界の中心に咲く美しい花の様に光り輝く国家」と考える思想であり,じつは中国の正式名称(中華人民共和国)に使われていたりする。
つまり中国は公式に「おれたちは世界の中心にある最もすばらしい国だ」と宣言している訳であり,第二次世界大戦当時にヒトラーが主張した「ゲルマン民族の優位性とヨーロッパの支配」や、日本が主張した「皇国史観=日本は神の国」となんら大差のない偏狭な民族主義的主張を、あろう事か国家の名称に用いている国なのである。
この中華思想は民衆から政府まで幅広い層に強烈に保持されており,近年の急速な経済成長による生活レベルの上昇が触媒となって、中国国民に偏狭な中国第一主義・民族主義を勃興させるとともに,政府に近隣諸国の領海侵犯や外交礼儀を無視した閣僚の帰国をはじめとする傲慢な外交政策と、台湾侵攻計画をはじめとする膨張主義をとらせる思想的背景となっている。
またこの中華思想は、自国や自分達の利益のみを優先し商道徳や国際ルールを守らない中国の経済構造に如実に現れており,国家ぐるみで違法コピーの製造販売を行ったり,粗悪品・偽物を平気で海外に輸出する中国人の道徳心の低さは、これが原因となっているのである。
たしかに世界に文明が発生したとされる紀元前2000年頃から20世紀の初頭までの4000年間、中国は経済的にも文化的にも東アジアの盟主であった。
日本をはじめとする多くの近隣諸国が中国から強く影響を受け,その文化を取り入れる事で発展してきたのも事実である。
特に日本は、現在でも中国の漢字~彼等にとっては古文~と漢字から派生した仮名文字を使用し,中国の歴史や文化に強く影響されていることは文学作品や三国志をはじめとするゲームが大人気である事からも良く理解できる。
しかしそうした事実はもはや全て過去の栄光に過ぎないのだが,中国人はそれを受け入れる事ができないのだ。
だからこそ彼等は、自分達の従属国であったはずの日本があろう事か中国を侵略し,一度は敗北したものの再びアメリカの子分となって目覚ましい経済成長を遂げ、豊かな生活を享受している事が許せないのである。
こうした歴史的背景に裏付けられた中華思想があり日本を従属国と考える風潮がある以上,日本が中国と対等に友好関係を結ぶ事ができる訳が無い。

理由の第二は、今までも再三述べてきた江沢民国家主席が開始した反日愛国教育である。
彼等が幼少期からいかに「残虐非道な日本軍の蛮行」を学校で植え付けられているかを実際に目の当たりにすれば,日中友好が不可能である事は瞬時に理解できる。
「上海大空襲」「南京大虐殺」「731部隊と人体実験」「三光作戦」等々の日本軍が行ったとされる蛮行を、彼等は歴史教育の名のもとに再三再四教え込まれるのだ。
しかもその内容の多くは歴史的検証が全くなされておらず、中国共産党の意向に添った事実の捏造や歪曲・誇大表示が至る所にほどこされ、もはや中国共産党謹製一大フィクション「日本軍的蛮行及英雄的抗日運動」と化した代物なのである。
中国共産党はナチス・ドイツがヒットラーユーゲンとを洗脳してその両親までもナチスに服従するよう画策したのと同様,純粋で何事も容易に信じ込んでしまう幼少期からこうした教育を徹底的に行う事で,厳格な思想統制を実施しているのだ。
そのうえ、情報統制と隠蔽により、一般国民の多くは戦後補償とODAの名の下に日本が中国に対して莫大な資金を提供してきた事実や、中国人留学生が日本で犯罪の限りを尽くしている事を全く知らない。
こうした世代が成長して社会の中核を担うようになった時、どのような事態が発生するかは、先日の反日暴動とその後の経過や、最近の「謝罪しない日本人は入店禁止」と張り紙したレストラン,「日本人の診療を拒否する」と公表した病院の例が示す通り火を見るより明らかだ。
また現在でも、こうした反日愛国教育は中国共産党への不満をそらすはけ口として継続されており,これは毎年数千万人におよぶ反日活動家が中国国内で政府によって生み出されているのと変わらない。
媚中派政治家や左翼系マスコミが訴えるように日本がいくら謝罪して中国と友好を結ぼうと試みても,彼等にとって日本人は祖父母を虐殺し,強姦し,人体実験に用いた残虐な民族であり,真の友好が築けるはずは無いのである。
彼等が骨の髄まで日本人を憎んでいるからこそ、彼等を留学生として暖かく迎えた日本人の家族を子供も含めて平気で皆殺しにして海に放り込んだり,強盗・窃盗などの犯罪を平気でやってのけるのだ。
「話し合い,理解しあえばお互い許しあえる」などといった夢物語に決してだまされてはならない。

「政権を取る」等とほざきつつ靖国参拝を批判し東アジア中心外交などと言う妄想を叫ぶ民主党岡田代表や、自民党媚中派政治家~河野洋平や加藤紘一~は、中国人華僑の政治献金や中国の安い労働力に依存している日本の経済界からの要請を受けて中国との友好を主張しているが,彼等の行おうとしている事は売国奴的行為であるだけでなく,日本と民族の存亡を脅かすものであり、まさに亡国の政治家と言う名称がふさわしい。
小生は自民党の腐敗しきった「まあこんなところでしょう政治」に賛成している訳ではないが,一企業でしかない某ジャスコのために日本を嬉々として中国に売り渡すような政治家を党首にすえる政党に、日本を任せてはならない。
早く左翼系教育者による洗脳の呪縛から日本人が脱却し,中国共産党の真の姿と日本の危機的状況を自覚するよう祈ってやまないのである。

今日の箴言
「改革者気取りの売国奴を日本の元首にしてはならない」

宗教と民族の対立~人類の業はてしなく~

2005-07-14 06:19:44 | 国際情勢
先日発生し多数の死傷者を出したロンドン同時テロが,国外から入国したテロリストではなくパキスタン系イギリス人により実行された自爆テロであったことが、イギリスとヨーロッパ社会に大きな波紋を広げている。
毎日新聞の社説にもあるように、9・11テロ以降、テロリスト集団として様々な差別に曝されてきたイスラム教の人々に鬱積した不満が、ウサマ・ビン・ラディンらの指揮する「西欧社会に対するジハード」と結合して悲惨なテロリズムに昇華した典型的な例と考えることができる。

イスラム教徒として差別されていたとはいえ,彼等はパキスタン系イギリス人として西洋式の教育を受け、人権意識がある程度浸透した西欧社会に住み,生活環境もそれなりに豊かであったはずである。
たしかに9・11テロ以降、イギリス公安組織による逮捕や監視のような有形の差別に加え,一般市民による嫌がらせやイスラム教冒涜のような無形の差別に日常的に曝されていたのは事実だろうが、それだけが彼等に自爆テロを計画・実行させる理由であったとは思えない。
つまり今回のロンドン同時テロは,日々の食料にも事欠き、古くからの因習と宗教的戒律がすべてを支配して西洋的な人権意識に乏しく、国土と経済が荒廃する一方で富裕層が富と権力を独占する絶望的環境の中東の若者が、イスラム原理主義とテロリズムにしか生きる意義を見いだすことができずに行った自爆テロとは異なるのだ。
西洋社会に住み、中東の最貧国と比べれば格段に豊かな生活を送り、それなりの未来も将来もあったにもかかわらず,彼等はイスラム教にもとづく彼等の正義を実行するために、自らの若い命を50人以上にもおよぶイギリス人と共に爆発によって消し去る道を選択したのである。
彼等が自爆テロにおよんだ背景は今後徐々に解明されていくだろうが,現在の世界情勢を考えるたびに宗教と民族の対立という人類の深く消すことのできない「業」に思いを馳せずにはいられない。

「頭の中お花畑」の左翼系平和主義者が呪文の様に唱える「民族・宗教の和解と共存」という一見すばらしいスローガンは,人類の歴史と現在の世界情勢を見ればいかに虚しい机上の空論であるかが理解できる。
人類の歴史はそのまま民族対立による虐殺と宗教戦争の歴史であるといっても過言ではない。
古くは十字軍によるイスラム教徒の大量虐殺,近代以降では第二次世界大戦におけるユダヤ人迫害や広島・長崎への原爆投下、そして最近の9・11テロとその後のアフガニスタン戦争・イラク戦争と続発するテロリズムは,民族と宗教の融和がほぼ不可能であることを我々にまざまざと見せつけている。
マルクスとレーニンは民族と宗教による対立をなくすにはそれらを消失させることが重要と考え,あらゆる文化と宗教を否定し社会主義による世界の統合を夢見たが、結局は最悪の非民主主義体制である共産主義体制を誕生させ、権力闘争による一億人以上の粛正を招いた挙げ句,強制移住により民族対立がさらに複雑化・激化するという置きみやげを残して失敗した。
こうした民族・宗教による対立の根本的な原因は,人間が進化の過程で獲得してきた本能と、人間の種としての限界にあると思われる。

第一の原因である本能とは、「同族意識」という極めて根本的且つ重要な感情のことである。
万物の霊長であるとはいえ人類も動物の一種であり、その究極の存在意義は「自己DNAの保存」に過ぎない。
この「利己的遺伝子論=全ての生物は遺伝情報であるDNAの単なる容器に過ぎない」とする考え方に関しては後日改めて詳述するが,人類を含め全ての生物は自己のDNAを子孫に保存・拡大するために生きているのだ。
常に存在する淘汰の圧力に屈することなく、自己のDNAを子孫に伝えその数を拡大していくためには、自己と同じDNAを持つ家族や肉親を外敵や異なるDNAを持つ個体から守らなくてはならず、その結果身を以て子供をかばう行動や家族のために犠牲をいとわない行動を生み出すのである。
この行動様式は自己のDNAを持つ個体にだけでなく,類似したDNAを持つ個体にも作用する。
なぜなら類似したDNAを持つ個体はそれだけ血縁関係が濃く、間接的ながら自己のDNAを保存することに寄与するからである。
この現象を現実社会に当てはめれば,自己と同じDNAを持つ個体とは家族であり,類似したDNAを持つ個体とは民族ということになる。
つまり他人や自分と異なる民族を排斥することはあらゆる生命に共通の基本原理であり,この原理に従って淘汰の圧力に屈することなく生存競争に勝ち抜いた個体の子孫が現在生き残っている我々なのだと考えられる。
従って家族や自己の所属する民族に対する「愛情」や「忠誠心」と、他民族に接した際に惹起される「恐怖」「警戒感」「敵対心」は,人類の本能に根ざした自然な感情であり、性欲や食欲と同じく教育や制度で矯正できるものでは決してないのである。

第二の原因である人類の限界とは,人間の理解力には限界があり全てを許容することは不可能である事実だ。
実際の生活の中でも実感できるように,人間の記憶力や理解力にはおのずから限界が存在し、しかもそれらには感情や主観といったバイアスが大きく影響する。
簡単な例を挙げれば,好きなゲームの攻略法はすらすら暗記できるのに、嫌いな勉強はどれだけ努力しても記憶できないといった現象のことだ。
このためインターネットをはじめとする情報技術の急速な進歩により莫大な情報を手に入れることができるものの、人間の理解力には限界が存在するためおのずから取り込める情報量は限られてしまう。
この情報の取捨選択の際に前述した感情や主観といったバイアスが大きく影響することで、自分の感情に適した情報は理解される一方,そうでない情報は遮断され非常に偏った理解や偏見が生み出されるのである。
この現象はその構造上、いかに情報量を多くしてもなくなることはなく、むしろ情報量が多ければ多いほどバイアスの影響が強くなり偏見が増悪されるという特徴がある。
これだけ情報化社会が進歩し、民主主義教育が徹底されても差別や偏見がなくなるどころかより増悪している理由はここにある。
また宗教に関しては,その根本が「検証を許されない教義」であるが故に教義に合う事実のみ理解され他はシャットアウトされてしまう結果,「正義の軍隊と邪悪な悪魔」という単純な構図に落ち込み、虐殺や迫害が横行する結果を生むのだ。
歴史的にも「自己の信仰と正義を信じる最も敬虔な者が最も残虐な殺戮者となり得る」事実は列挙にいとまがなく,いかに人間の理解力に限界があるかを如実に示している。

ヨーロッパ各国は第二時世界大戦の反省と社会主義の影響を受けてあさはかな人権主義に陥り多くの他民族と宗教を受け入れた結果、ドイツを中心に荒れ狂うナチズムの再興と各国の民族主義の台頭により民族対立が激化しただけでなく,サミットのために先進国の首脳が集まっていたロンドンで自爆テロが発生するという前代未聞の悲劇を招いた。
ヨーロッパ各国には多数の差別・抑圧されているイスラム教徒が存在しており,今回の事件を期に高まるであろうイスラム排斥運動はさらに彼等を追いつめ、新たなテロを志向させることは確実である。
切り込み隊長さんも述べておられるが、理想に踊らされ机上の空論に従った結果,ヨーロッパは当初の目標であった融和と協調ではなく分裂と排斥に陥ったのだ。
日本でグローバル化のために移民を受け入れろと主張するエセ社会学者や労働力不足から移民を受け入れろと主張するエセ経済学者は、歴史の教訓をどのように考え、この事態をどのようにとらえ、彼等の主張をどのように言い訳するつもりなのだろうか。

今日の箴言
「水と油は決して混ざらない。民族や宗教も同じである。」

皇帝ウラディミル・ウラディミロヴィッチ・プーチン~復活するロシア帝国~

2005-07-01 04:03:33 | 国際情勢
7月イギリスで開催されるグレンイーグルズ・サミットで,小泉首相とロシア・プーチン大統領の首脳会談が決定したとのこと。
北朝鮮問題と北方領土問題を抱えなんとか事態を打開したい日本側からの再三にわたる要請にようやくプーチン大統領が答えた形である。

2000年にアル中大統領エリツィンに代わりロシア共和国第二代大統領に就任したウラディミル・ウラディミロヴィッチ・プーチンは、チェチェン紛争における強権的手法によって得た国民の高い支持率を背景に着々とロシアの中央集権化と自己の権力強化を果たしており,現在ロシアは「共和国」ではなくもはや「帝国」であるとする論評すら見かけられ、小生もこの意見に賛同する。

知られているようにプーチン大統領は、旧ソビエト連邦時代はあの悪名高きKGBに所属しスパイとして東ドイツに駐在していた経歴の持ち主であり、その半生はソビエト崩壊後のロシアの混乱を反映し大変興味深いものである。
彼は東ドイツ滞在中に歴史的なベルリンの壁崩壊と東ドイツの消失を目の当たりにし,こうした事態に直面してもなんら有効な手段を取れず右往左往するクレムリンに愛想を尽かし共産主義を捨てたとされている。

事実かどうかは明らかではないがエピソードが伝えるところによれば,ベルリンの壁崩壊で暴徒化した東ドイツ市民がソビエト大使館につめかけた際、本国にソビエト軍による大使館保護を要請したが聞き入れられず、市民に対し「大使館に侵入したものは即座に射殺する」と威嚇してことなきを得たという。

帰国後レニングラード大学に勤務していたところレニングラード市議会議長のアナトリー・サプチャクにその高い能力と冷徹さを買われて腹心に抜擢され,政治家への道を進むことになった。
1991年のソビエト連邦崩壊後メキメキと頭角を現し,サプチャクのレニングラード市長就任後は副市長として辣腕を振るい,高い事務処理能力と冷静且つ的確な判断力で「灰色の枢機卿」と呼ばれていた。

サプチャク市長落選後,中央政界に引き抜かれて1994年大統領府総務局次長に就任し、以後はエリツィン大統領のもと出世街道を驀進。
1998年7月KGBが前身となるFSB(連邦保安庁)長官に就任以降はKGB時代に養った秘密警察のノウハウをフルに活用して組織の改革と権力の強化に努め,1999年には首相となりエリツィン大統領の後継者の筆頭に立ち,同年エリツィン大統領の突然の辞任により大統領代行に就任、翌2000年3月の大統領選挙で正式に大統領に選出されたのである。

大統領就任後は「強いロシアの復活」を掲げ、ソビエト連邦時代の失政と崩壊後の社会的混乱により失墜した大国ロシアの権威を復活させるべく様々な政策を次々と実施しており,世界で最も精力的な指導者の一人であることは間違いない。
外交面では、首相時代からの懸案であるチェチェン紛争において強行な態度を取り軍事力による解決を選択して勝利を得るとともに,以後続発するチェチェン軍事勢力によるテロに対しても一貫して強硬路線を維持することで国民の高い支持を得ることに成功している。
近隣アジア諸国に第二次世界大戦に関し土下座外交を続ける日本とは異なり,ヒトラーとの密約で国際法上明らかな違法行為であるバルト三国併合を行ったにもかかわらず,謝罪を求められると「何回謝れば気が済むのだ!!」逆ギレするほどの強硬派なのである。
アメリカとは対テロ戦争で共闘する姿勢を表明する一方でイラク戦争ではフランス・ドイツよりの立場を維持して一定の距離を保ち,チェチェンやウズベキスタンにおける人権問題で付け入る隙を与えていない。
国内政治では次々と中央集権化を進める政策を実施するとともに、経済の再建とソビエト連邦崩壊後の混乱やエリツィン時代の側近政治に乗じて国有企業を買収し莫大な利益をむさぼっていた新興財閥の解体と企業の再国有化,ロシア軍の近代化と再構築を強力に推進中である。

こうした政策の中心となっているのが前述した彼のKGB時代に得た知識・戦略・人脈であり,彼の手足となっている人物には旧KGB出身者が圧倒的に多く、その政策も秘密警察の香りがムンムンでお世辞にも開かれた民主主義とは言い難い。
特に新興財閥の解体と企業の国有化に際し、トップを脱税や汚職で逮捕したうえで企業を解体・処理して国有化するという強盗まがいの手段を用いたり,大統領や政府に批判的なマスコミや評論家を厳しく弾圧し放送局の閉鎖やキャスターの更迭を強要するなど、ソビエト連邦時代を彷佛とさせるものがある。

このように強権的かつ中央集権的・秘密警察的な政策を次々と実行しているプーチン大統領だが、昨年の大統領選挙での70%を超える支持率が示すように国民の人気は高い。
これはチェチェン紛争をはじめとする国際紛争で強硬路線を取ることで「強いロシアの復活」を強くアピールし,ロシア国民に喪失していた自信を回復させたためだけではなく、ソビエト連邦崩壊後のドサクサにまぎれて国有企業をタダ同然の価格で手に入れ,窮乏する国民生活をよそに巨利を得て贅沢の限りを尽くしていた新興財閥のトップを裁判にかけることで社会正義を前面に押し出し,政府の政策を正当化することに成功しているからである。

また国民に対する大統領の宣伝とカリスマ化も巧妙で,政府の宣伝機関と化したマスコミをフルに活用して「如何に大統領が誠実に職務を遂行しているか」「如何に大統領の政策がすばらしいものか」を繰り返し国民に植え付けている。
たしかにプーチン大統領は、伝え聞くところによれば金銭欲や色欲に乏しく、趣味は日本柔道で日常生活もストイックであり汚職や横領などの不正を憎むこと甚だしく、今までの経歴においてもこうした不正行為の摘発から組織改革を実行してきた実績があるとともに、本人にはそうした疑惑が上がったことはなかったとされている。
ただこうした人物は歴史的に見ると権力欲や支配欲が極めて強い場合があり、彼もその一人の可能性が高い。

現在はまだ「灰色の枢機卿」時代に賞賛された冷徹な判断力と客観性を保っていられるだろうが,権力の集中と側近政治が「強力な指導者」を「悪逆な独裁者」に変化させる最高の触媒であることは歴史が証明している。
また多くの独裁者は権力掌握の初期には圧倒的な国民の支持を背景にしており、国民の熱狂が独裁者誕生の原動力となっていることは疑いの余地はない。
ロシア国民には帝政ロシアから最悪の反民主主義体制である共産主義体制を経て大統領制に移行したため民主主義の概念が乏しく,「強力な指導者」を求める風土があることもこの傾向に拍車をかけている。
こうしたことを考えると、現在のプーチン大統領の状況はヒトラーが誕生した状況に非常に似通っており、独裁制や帝政樹立に後一歩の段階だと言うことができるのだ。
彼が独裁的権力を確立した際にどのように変化し、強大な権力と軍事力をどのように用いるのか,隣国日本の我々は注意深く監視しなくてはならない。

今日の箴言
「独裁者は国民が作るものである。」

日米同盟の意義~その重要性~

2005-06-22 05:08:24 | 国際情勢
毎日新聞の実施した在沖縄米軍に関するアンケートで,沖縄県民の70%、全国では45%が「不要」と回答したとのこと。
第二次世界大戦末期の沖縄戦で民間人を含めた20万人が犠牲となり,戦後も在日米軍専用施設の75%が集中し米軍の理不尽な行為やレイプを含めた犯罪に苦しめられている沖縄県民が在沖縄米軍を拒否する気持ちは理解できる。
しかし全国でも45%もの人々が米軍基地の重要性を理解していないことには,驚きを通り越してあまりの「平和ボケ」にあきれるしかない。

小生は以前にも述べた通り,思想的には中道右派もしくは右派の穏健派といったところである。
そのため当然、左翼の平和ボケ夢想論にもとずく「米軍撤退と自衛隊の廃止」に関しては,夢物語として議論しない。
しかし同時に右派の一部の人々が唱える「米軍撤退と日本人による独自防衛」にも到底賛成できないのである。

まず第一に,アメリカが現時点で世界最強の軍事力・経済力を保有し,国際連合すら無視して他の独立国家を濡れ衣のもとに攻撃できる唯一の超大国であることは議論の余地はなく、同盟を破棄することは自殺行為に等しい点である。
今回のイラク戦争で明らかになった最も重要な事実,それは「アメリカににらまれたらどんなに国際連合で弁明しても攻撃される」「アメリカの決断を国際連合は掣肘できない」ということだ。
国際法や国際連合は,超大国アメリカの前では全く無力なのだ。
在日米軍の撤退とこれに伴う日米安保条約の改正はこのアメリカとの同盟を破棄することを意味し、以後アメリカから濡れ衣を着せられて攻撃される可能性が生じることを意味する。
これは軍事的な意味だけでなく,「アメリカがくしゃみをすれば日本が風邪を引く」と揶揄されるほどアメリカに依存している日本経済は,敵対的なアメリカ国内法を数本発行されればそれだけで大変な経済的損失を被る。
超大国との同盟を維持することで国際社会での地位を安定化させることは国際政治学の常識であり,在日米軍の撤退はこの常識に反するものなのである。

第二に,在日米軍なしに軍事的に日本固有の軍隊だけで日本を中国やロシアの侵略から防衛することは現状ではほぼ不可能に近く,しかも厖大なコストがかかる点である。
前述の「自衛隊の軍事力~隠された実力~」でも検証したが,確かに自衛隊の軍事力は現時点では装備の面で近隣諸国を圧倒しているが、それは装備においてだけで実際の自衛隊は専守防衛の制約に縛られてきわめて偏ったシステムに陥っており,実際の戦闘で兵器の額面どおりの働きができるかというと疑問符が付かざるを得ない。
さらに日本人は戦後の左翼系教育者による偏向教育により「頭の中お花畑」の平和ボケにどっぷりと浸かってしまっており,国家の基本的権利である「国土防衛」に関する意識の低さは笑福亭某と言うタレントがラジオで「竹島を韓国にやれば良い」と発言するほどなのだ。
こうした国民を再度教育して一つにまとめあげ,さらに自衛隊を単独で日本国土を防衛できるだけの規模にするためには厖大な時間と費用が必要である。
しかも仮想敵国である中国とロシアは核保有国であることから究極的には日本も核兵器の所有が必要になるが,国民感情を考えてもこれはほぼ不可能に近い。

第三に,日本が独自で自国を防衛できる軍隊を所有した場合,極東アジア諸国が確実に軍拡競争に突入する点である。
中国や韓国の日本に対する不信感と軍国主義化に対する恐怖感は,近年のアジア情勢を見れば容易に理解できる。
中国や韓国にとって、日本は東の島国で文化も共通したものが多いにも関わらずいち早く西洋化を成し遂げ、あろう事か同じアジアを侵略し、一旦は敗北したもののアメリカにすり寄って復活し大国としてのしあがった信用できない国なのだ。
日本が軍備増強に努めればこれらの諸国も恐怖心から軍拡につとめ,結果終わりのない泥沼の軍拡競争と極東アジア情勢の軍事的緊張をもたらすことになり,これは日本だけでなく世界情勢にも大きな影響を及ぼす。
また、最近のブッシュ・小泉両首脳の蜜月関係とは裏腹に,アメリカも日本を完全に信用してはおらず日本の軍備増強を望んではいない。
アメリカにとって日本人は「日頃は大人しいくせにキレると何するか分からない国」であり、真珠湾攻撃・万歳突撃・神風特攻は記憶に生々しく残っている。
アメリカも日本が同盟国として大人しくしていてくれる方を望んでいるのである。

小林よしのり氏が著書で主張している通りアメリカは白人優位主義国家であり,日本を蔑視し51番目の州ぐらいにしか考えていないことはよく理解している。
原子爆弾を動物実験感覚でソ連への威嚇のために投下したり,歴史上希有な都市への無差別爆撃を実施したうえ、東京裁判という茶番劇を堂々とやってのける国家だ。
そうして第二次世界大戦では多くの日本人の若者が白人の植民地支配から日本とアジアを守るという理想のもとに若い命を散らして逝ったことも知っている。

だからこそ現代に生きる我々は日本をいかにして安全で住み良く、世界に誇れる国にするかを真剣に考えなくてはならない。

在日米軍撤退と独自防衛を主張するのは勇ましいが,現状を分析すればあまりにも国際情勢を無視した暴挙だと言わざるを得ないのである。
また某次期政権政党・民主党岡田代表の言うアジア重視の外交政策と対米追従の見直し論がいかに空疎で「頭の中お花畑」な考え方であるかが理解できるだろう。

沖縄の人々には大変申し訳ないが,沖縄の米軍基地は今後ますます緊張の増す日米対中国の軍事戦略において最重要の拠点であり,アメリカが撤退することはあり得ない。
本土住民としては,償いとして保証金の拠出を進める一方,日米関係そのものをゆるがす米軍兵士の犯罪に関しては政府の毅然とした態度とアメリカ政府への断固とした再発防止策の要求ぐらいしか,沖縄のためにしてあげられないのが残念である。

今日の箴言
「泣く子とアメリカには勝てない」

小泉外交の成果~土下座外交からの脱却~

2005-06-21 05:01:06 | 国際情勢
韓国で実施された日韓首脳会談で歴史問題に関する土下座外交が回避されたとのこと。
会談後の記者会見でも,小泉首相は韓国国民の神経を逆撫でする正論(笑)をはいてくれて,韓国不法操業船だ捕問題で鬱積した日本国民のストレスも少しは軽快しただろう。
ノムヒョン大統領が支持率アップのために再び反日運動をあおるかもしれないが、今回の日韓首脳会談は対東アジア土下座外交からの脱却を示す重要な一歩となったことは間違いなく,北朝鮮による日本人拉致問題を明らかにしたことと並んで小泉首相の大きな業績だと思う。

まず第一に,日本が独立国家であり侵略国・敗戦国という呪縛から解放されつつあることを内外に示したことだ。
「靖国神社問題~外交カードとしての重要性」でも述べたが,靖国神社を首相が公式参拝することの是非は純然たる日本の国内問題であり、いくら第二次世界大戦の被害者(一応そういうことにしておく)だからといって韓国がそれを非難し中止を要求する理由はどこにもない。
日本が韓国の植民地であるならいざ知らず、両国はれっきとした独立国家同士であり,自国に影響が及ばないにもかかわらず他国の首相の行動をとやかく言うのは明らかな内政干渉で国際法と国連憲章に違反する。
今までの歴代首相や政治家と外務省はこうした当たり前の外交原則すら理解せず、他国から批判があればすぐに修正するという土下座外交を繰り返してきた結果,日本の国際社会での地位はその経済力とは裏腹に著しく低く、常に中国や韓国に軽視されて続けてきたのである。
小泉首相の姿勢は,日本が独立国家であると言う当たり前の事実を周辺諸国に明らかにしただけなのだが,今まで誰もなし得なかったことであり非常に大きな業績であろう。

第二に,国際条約や外交姿勢を継続的に維持できず、政権が交代すれば手のひらを返した様に前政権時代の公約を反古にする韓国に付け入る隙を与えなかった点である。
小生は嫌韓ブームに乗っかるつもりはないのだが,韓国の歴代政権による統一性なく国際条約を軽視し自国の利益のためには平気で条約を破棄する外交姿勢にはもはやうんざりである。
彼等には日本人が持っているような「信義」は存在しないし、それを信じて海上保安官を拉致した漁船を韓国に引き渡す日本人はバカとしか言い様がない。
ただし韓国国民にこうした概念が存在しないのは善悪の問題ではなく,文化的な相違でしかない。
中国と日本にお互いへの侵攻路として再三侵略され、封建的な儒教制度の下で多くの人々が長い間抑圧され悲惨な生活を送ってきた涙を誘う歴史のため、彼等には他者を信頼し行動するといった倫理観が極めて低い。
いわんや相手が「侵略国日本」であれば、倫理観など通用するはずがあろうか。
そうしたことを理解せずに、相手を信じて今まで謝罪や共同宣言を乱発し,律儀にそれを守ってきた日本の方がお人好しを通り過ぎてバカ丸出しだったのだ。
小泉首相はこうした「おバカ外交」を中止し,日本が世界に恥をさらすことを避けてくれたのである。

第三に、アメリカから離れ北朝鮮に接近する韓国と一定の距離を保つことで日米同盟を堅持することを国際社会に表明した点である。
先日の米韓首脳会談でのブッシュ大統領の華麗なスルーをみても、アメリカがもはや韓国を同盟国とみなしておらず,極東アジア戦略を日米同盟を中心に据えた対中国政策に切り替えたことは明白である。
再度マーケットの馬車馬さんの「大丈夫か韓国」シリーズをご参照頂きたいのだが,国家間の同盟関係で最も大切なのは政治力学であり,日本にはもはやアメリカから切り離された韓国と友好関係を維持するメリットがなくなっているのだ。

小泉首相は就任当初は「外交に弱い」とされていたが,ふたを開けてみれば内政の失敗を外交で取りかえすと言う政治手法を駆使して支持率と政権を維持してきた。
今回の首脳会談もそうした手法の一環なのだが,「正論を貫くことで支持を得る」という当たり前の様でも政治家がなかなかできないことを実行しており,やはり今までの慣例にことごとく反して首相の座をもぎ取ったひとかどの人物なのであろう。

今日の箴言
「当たり前のことを貫く,それが正義」

日本の国際連合常任理事国入り問題~変化する世界の枠組み~

2005-06-08 02:45:01 | 国際情勢
日本の国際連合安全保障理事会常任理事国入りが中国の反対でほぼ絶望的になったとのこと。
ごちゃごちゃうるさい韓国と、どう考えても賛成しそうにない中国はほっておくとして、予想されたこととはいえどうやらアメリカも本音では反対のようだ。

中国やキ印の韓国が喜ぶかと思うと内心穏やかではないが,正直日本が国連安保理常任理事国になる意味はないし,ならない方が良いと小生は思っている。

まず国際連合はこの記事の様に第二次世界大戦における連合国と同義である。
つまり枢軸国である日・独・伊に勝利した連合国側が戦後の世界秩序の枠組みを決定するために作り上げた組織であり,それが世界情勢に合わせて機能を拡大・変化させて来たとは言え、基本的には「反日・反独・(反イタリア)」が出発点なのである。(ちなみにイタリアが括弧付きなのは,早々に降伏して連合国側に寝返ったため。)
そんな組織に火の車の国家財政をおしてまで莫大な資金を提供してきた日本は,まさに「お人好しのバカ」と言うほかない。

つぎに、もはや国連安全保障理事会が唯一の超大国・アメリカを掣肘する機能を全く持たないことが誰の目にも明らかなことである。
イラク戦争ではフランスを中心に他の常任理事国が強行に反対したにもかかわらず,アメリカのイラク攻撃を阻止することは不可能であった。結果イラク・フセイン政権は大量破壊兵器を持っていなかったにもかかわらず濡衣を着せられた挙げ句に滅ぼされるという悲惨な目にあった。
これはアメリカに逆らえばどんなに安全保障理事会で申し開きをしても許してもらえないということを示しており,アメリカに対し国連は全く無力なのだ。
その無力な国連の安保理常任理事国に今さら加入したところでなんら意味はないし、拒否権を持ったとしても議決においてアメリカに逆らおうものなら今度は日本が言いがかりをつけられて攻撃される可能性がある。

最後に,国際連合がもはや事務総長のファミリービジネスの場と化していることだ。
歴代事務総長の絡んだ不透明な国連ビジネスの実態や,国際連合の官僚主義と非合理的で無駄の多い予算主義はアメリカが再三指摘しており,国際連合自体が前時代的な利権の巣窟と化している。
今回の国連安保理常任理事国拡大を含めた国連改革案も,より多額の予算を日本やインドから獲得したいアナン事務総長の捲いたエサのように思えてならない。
彼が欲しているのは国連安保理に日本が常任理事国として加盟することではなく,日本がさらにお金を出してくれることである。
事実外務省はホイホイ誘いに乗ってさらなるODAの拠出を約束しており、愚かとしか言い様がない。

これ以上国民の税金を意味のない国連安保理常任理事国入りと言う外務省の意地のために使うことなく,本当の意味での外交に使わなくてはならない。すなわち、
1. チベットなど中国国内の反体制派の支援。
2. 台湾との関係強化と防衛戦略構想の構築。
3. 国内の不法残留外国人の取り締まりと検疫強化。
4. トルコやインドなど親日国への積極的支援と,中国および韓国への円借款即時停止。
5. 各国における親日派養成のための正規留学生の受け入れと教育。
これが本当に日本が今すぐ実施しなくてはならない外交課題であると思う。

今日の箴言
「ジャイアンの国・アメリカは誰にも止められない」

自衛隊の軍事力~隠された実力~

2005-06-02 08:40:52 | 国際情勢
日本の排他的経済水域で違法操業を行っていた韓国漁船が検査のため乗り込んだ海上保安官を拉致して逃走したとのこと。
最近のノムヒョン大統領の親日派狩りと反日行動を考慮に入れれば,20世紀前半ならこれを期に即刻国交断絶と最後通牒をつきつけ日韓戦争に突入するのだろうが,21世紀の現在ではそういう訳にも行かない。
中国も、先日の潜水艦による領海侵犯に続き沖ノ鳥島周辺で不穏な動きを見せており、近年日本海における軍事的緊張は急速に高まりつつある。

いつも述べているように小生は「頭の中お花畑」の左翼系平和主義者とは衛星軌道に届く思考的乖離があり、「軍事力を持たないことが平和につながる」という妄想につきあう気は全くない。
国家も不完全な人間が運営するものである以上、暴力や欲望とは縁を切れずそれを抑止するのは強力な懲罰でしかない。どれだけ教育を施しても人間が欲望に支配され他者に残酷な生物であることに変わりがないのは,ニュースを見たり20世紀の歴史を紐解けば明らかではないか。
「頭の中お花畑」の人々は現実と「風の谷のナウシカ」を混同しているのであり,ナウシカは即死して風の谷も全滅、ペジテはトルメキアのゲリラ狩りにより全員虐殺というのが正しい現実である。

こうした現実世界で、実力と乖離した夢想国家韓国、共産党一党独裁国家中国,元KGBプーチン帝国ロシアから日本国民を守るためには,「こちらに手を出せば痛い目を見る」ということをに理解させるだけの軍事力を保持する以外に方法はない。
それでは、現在の日本の軍事力はどの程度であり,仮想敵国と比較した場合の優劣すなわち戦争を始めたと仮定した場合、勝利するのはどちらなのだろうか。

ここで考えなくてはならないのは,比較する軍事力の質である。
なぜなら主戦場をどの地域に設定するかで,保有する軍事力の有効率が全く異なるからである。分かりやすく言ってしまうと,ズゴックは宇宙では戦えない(分からない人,すいません!!)ということだ。
では主戦場はどこになるかと言えば、やはり日本海~東シナ海といった海洋であろう。
突然皇国日本が復活し中国大陸への侵略を意図するなら話は別だが,現実的には日本が積極的に大陸に軍隊を送ることは20年はあり得ない。
また日本国土での防衛戦争については検討する価値がない。なぜなら島国日本の場合国土に上陸されることは敗北を意味するからだ。先日から国会で長々と議論されている日本国土での戦争を想定した有事法制なるものは全く無意味であり、他国の軍隊が日本に上陸すればその地域は阿鼻叫喚で到底法律の影響が及ぶところではない。
こうしたところが日本人が平和ボケをぶちかましている点だが,戦争状態のなか侵略してきた軍隊が人道的にふるまう可能性など皆無であり、占領地域は暴行・レイプ・略奪・殺人が蔓延する地獄と化すのは歴史の常である。
こうした理由で,比較する軍事力は「海軍力」になることが分かる。

では海軍力において,日本は近隣諸国に勝つことができるのだろうか?
結論から行けば,「現時点では楽勝だ」ということになる。

海上自衛隊は事実上アメリカ海軍に次ぐ実力を持っているといっても過言ではない。
アメリカに次ぐ4隻のイージス艦を保有し,さらなる建造をも急いでいるからである(ちなみにアメリカは60隻!!)。
イージス艦の最大の特徴は,高性能レーダーによる半径400Kmに及ぶ索的能力とイージスシステムによる強固な防空能力であり,これは近隣諸国の海軍に対する圧倒的なアドバンテージとなっている。
具体的には,敵の艦船は日本のイージス艦の所在を索敵している間に撃沈されうると言うことだ。
第二次世界対戦中各国の海軍は競って大型戦艦を建造したが、これはアメリカ的に「大きいことは良いことだ」と考えていた訳ではない。
艦の大きさがその主砲口径および砲撃可能距離に直結するからこそ、国力を総動員して馬鹿でかい戦艦を建造したのである。
大きい戦艦ほど飛距離の長い大きい主砲を搭載でき,敵艦の射程外から攻撃することが可能となる。このアウトレンジ攻撃理論を極論すれば、世界で最も大きい戦艦は他の小さな戦艦すべてを無傷で撃破することが可能なのだ。
世界最大の戦艦・大和は航空機による魚雷攻撃であえなく撃沈したが,戦艦同士の砲撃戦であれば間違いなく世界最強であったと言える。
そして現代戦においてこの砲撃可能距離に相当するのがレーダーによる索的および目標追尾能力であり、この分野での海上自衛隊の優位は絶対的なのだ。
その他の護衛艦,潜水艦もイージス艦ほどではないにせよ高度にデジタル化された管制システムを持つ第一級の装備を有しており,特に潜水艦は就役後19年以上経過したものはなくほとんどすべてが最新式のものばかりだ。
このように最新技術を投入し圧倒的に優位にある海軍力を、現在でも第一級の戦闘能力を誇る戦闘機F-15を200機以上保有するだけでなく,航空戦力の効果的運用に欠かせない防空システムの「目」である早期警戒機を多数保有している航空自衛隊と有機的に運用することで、敵に対し圧倒的に有利な状況を作り出すことが可能となる。

こうして見ると,中国や韓国がことあるごとに日本の軍事大国化帝国主義の復活を声高に叫ぶ理由が分かる。
平和憲法のもと表向きは軍隊を保持していないはずの日本は実は経済大国であるだけでなく既に軍事大国でもあるのだ。
ただし、これらのデーターは装備のデーターであるに過ぎない。
実際の自衛隊は「専守防衛」の制約のもと,きわめて偏った装備とシステムに陥っており,しかも実戦を経験していないという欠点がある。
ただし根本的に重要なのは、先にも述べた通り実際の戦争に勝つことではなく、近隣諸国の勝利方程式の対日勝率を一桁下げ,「日本に手を出したら大変なことになる」と思わせることであり、そういう意味では自衛隊は非常に有効な装備を備え、その存在理由にかなった軍事力を保持しているといえるのである。
自衛隊の装備が世界一高いことは有名だが,実際の戦争が発生した場合の人的・経済的損失を考慮に入れれば,抑止力の維持と同盟国アメリカへの上納金としてのGNP1%程度の支出は安いものだと思う。

今日の箴言
「戦争は最後の手段である」

中国の実情~揺らぐ共産党の支配~

2005-06-01 09:01:04 | 国際情勢
天安門事件から16年目に当たる6/4に際し、中国政府が反政府暴動の激化に神経を尖らせているとのこと

先日の反日暴動で中国の国内事情に関心が集まった結果,今までは報道管制により隠蔽されていた中国各地で頻発する反政府暴動の情報が漏れてくるようになった。
反日暴動の経緯と照らし合わせて検討した時見えてくるのは、急速な経済発展とインターネットをはじめとする情報化社会により揺らぐ中国共産党の一党独裁体制に他ならない。

いまいましい反日暴動において、中心となったのは中国政府が後に発表したような「反政府的不満分子」ではなく,インターネットを利用できる経済力と教養を持った20-30歳代の中産階級であったことは周知の事実である。
今回の暴動は各マスコミが伝えているように、当初は半分お祭り騒ぎであったデモ行進が一部の過激な扇動者と繰り返されるシュプレヒコールにより加熱して暴徒化し、治安当局のコントロールを超えたというのが実際であろう。
つまり、こうした中産階級に、簡単なきっかけで治安当局がコントロール不可能な暴動が発生するだけの不満が鬱積しているということに他ならない。
その背景には、共産主義を標榜しながら急速な経済発展と共に拡大する貧富の差,中国の伝統である腐敗する官僚組織,共産党一党独裁を維持するための情報統制がある。
報道にもあるように、中国は情報統制のおかげで一見強固な政治体制を維持しているように見えるが,その実は急速な社会の変化とこれに対応できない共産党のあいだで大きな矛盾をかかえ、国民に一種即発の不満が蓄積し暴発寸前の状況にあるのだ。
だからこそ中国政府は手のひらを返したような反日活動家狩りと情報統制により、反政府暴動に拡大する恐れのあった反日デモを徹底的に押さえ込んだのである。一方で政府への陳情を受け付けるキャンペーンを実施するなどしているところを見ても,中国政府がいかに国民の不満の鬱積に危機感を抱いているかを知ることができる。

こうしてみると、国際的評価が低下し対日関係が悪化することを承知で今回の反日デモとこれによる被害に謝罪しないだけでなく,小泉首相との会談をドタキャンするという暴挙を選択せざるを得なかった中国の苦悩が分かる。

中国国民から見れば、どんな理由であれ日本に謝罪することは「世界の中心」中華人民共和国が極東の小国に屈服することであり、けっして受け入れられるものではない。
しかも彼等は江沢民時代に開始された「反日愛国教育」にどっぷり浸かっているのである。
「南京では日本兵が笑いながら妊婦の腹を突き刺して殺しました」
「731部隊では中国人捕虜を丸太と呼んで残酷な人体実験を繰り返しました」
「三光作戦では,レイプや略奪は日常茶飯事でした」
といった教育を繰り返し受けている人々が,それを行ったとされる日本人に好感を持つ理由はどこを探してもない。
こうした状況下で中国政府が日本に謝罪すれば,これをきっかけに発生した反日・反政府暴動が鬱積する不満と結合して中国全土に広がる恐れが十二分にあるのだ。
また先日も述べたが、小泉首相が呉副首相との会談で再度靖国参拝を公言した場合,中国政府は反発する国民を沈静化させるために何らかの対日行動を起こさざるを得なくなり,それはさらなる日中間の緊張を生み出し、中国経済に多大な影響力を持つ日本の対中投資の減少だけでなく日本・アメリカとの軍事的緊張をももたらす。
だからこそ中国政府は日本政府の反発と国際的信用の低下というリスクを冒してまで副首相を緊急帰国させたのである。

今回の反日暴動は,高度成長を続ける経済の影で中国国内に鬱積する不満と、揺らぐ中国共産党の支配体制を白日の下にさらす結果となった。
売国奴的発言をした日経連会長をはじめとする経済界も,中国リスクを再検討し事業計画を見直さざるを得ないであろう。
そういった意味では,反日暴動で中国は国際的信用のみならずその他多くのものを失い、そのうえ政府の追いつめられた状況が明らかになったわけであり、まさに自爆状態ともいえる。

日本政府にとって、いまこそ靖国問題や教科書問題で嫌がらせを繰り返し、中国国民のフラストレーションに油を注ぐことで台頭する中国の足下をすくう絶好のチャンスであり、イニシアチブは日本にあるのである。

今日の箴言
「一言の謝罪を得るより,中国共産党の弱体化が大事」

民主党が政権を取れない理由~信念なき野合政党~

2005-05-29 16:21:29 | 国際情勢
民主党が宗教団体謹製公明党に政権離脱をかけて首相を説得せよと発言したとのこと。
先日も党首の岡田代表が東アジア共同体構想を発表したり、アメリカよりも中国を重要視した政策を学生の前で公演するなど、まさに妄言もはなはだしい。

「小泉政権との差を際立たせる」ことが目的だとの指摘もあるが、際立たせるポイントがまるっきり間違っている。
これでは女性党首が護憲や労働者の権利をガナリ立てつつ職員を解雇する某左翼政党や、中国共産党の手先以外の存在意義が認められない某共産党と同じではないか。

小生は決して自民党の腐敗・硬直しきった「まあこんなとこでしょう政治」を支持しているわけではないが、今回の中国における反日暴動とその後の呉副首相のドタキャン問題を通じた小泉内閣の姿勢は今までの土下座外交とは一線を画すものであり、生ぬるいとはいえ今後の日本にとって大変意義のあるものであったと考えている。
何せ相手は共産党一党独裁国家であり、体制維持のためなら自国民にマシンガンをぶっ放すことすらやってのける国だ。
こんな国家を信用して共同体を作るなどと言う発想は、本当の歴史や現状を全く理解できていない頭お花畑平和主義者が持つものであり、到底政権を担うことを指向する党首の発言ではない。

岡田代表は元々は小沢代表と同じく改憲主義者のはずだが、何をどう間違って親中・左翼主義者に偏向されたのか。
売国奴的発言を繰り返す経団連会長をはじめとする経済界との結びつきを強化したいといった思惑もあるのだろうが、そうした「利得」のみを考えた政治姿勢では、一時の人気は得られてもそれを維持することは出来ないのである。

今日の箴言
「巧言令色少なし仁」