続・軍務尚書の戯言

国際情勢や医学ニュースに関して日々感じたことを残すブログです。

アメリカ社会雑感~其の一:多民族国家アメリカの現実~

2005-05-31 15:57:36 | アメリカ文化雑感
アメリカは紛れもなく世界最大の多民族国家である。
国家の成り立ち自体が、ヨーロッパで食い詰めた移民の国であり、その後の奴隷貿易によるアフリカ系アメリカ人の流入、第一次世界大戦以後のアジアや隣国メキシコを中心とした移民の持続的流入がそのままアメリカの歴史を形成しているといっても過言ではない。

小生の住むカリフォルニア州は「フロンティアの終着駅」であったことからその傾向が特に強く、統計では白人約60%に対してヒスパニック系30%、アジア系10%、アフリカ系約7%となっており、実際の生活でも本当にいろんな人種に接する機会が多い。
自分自身がアメリカに住んでみて感じるのは、やはりその門戸の広さである。
同時多発テロ以降、移民や小生のような一時居住者に対する制限が強化されたとはいえ、行政手続きは日本と比較して非常に簡単であり、「こんなんでいいのかなあ」と本人が思うぐらいである。
また日常生活でも表面的には多くのアメリカ人は非常に親切かつ友好的で、極東アジアの島国から来た黄色人種を気軽に自宅に招いたり、パーティーに招待したりしてくれる。
もちろん、小生がアメリカ51番目の州日本から来ているからと言う側面もあるだろうが、そうだとしても日本人と比較するとアメリカ人の移民や在米外国人に対する寛容さは驚くべきものがある。
こうした形で移民を受け入れ、それを国家を支える国民としてうまく活用することで、アメリカは20世紀初旬以降世界の大国たり得たのだとしみじみ実感するわけだ。

ただし、先ほど「表面的」と書いたのには訳がある。
人種・文化・宗教の異なる集団がともに社会を形成する場合、残念ながら集団間の摩擦や軋轢は完全になくすことは出来ない。
これはいかに教育や法律を徹底してもなくなることのない人間の「性」であり、人種の坩堝アメリカもその例外ではない。
差別を教育により消失させ得ると信じるのは「頭の中お花畑」の理想論者のやることだ。
この理想論者に騙されて西ヨーロッパ各国は大量の移民を受け入れた結果、現在は民族主義と異民族排斥運動の荒れ狂うネオナチの格好の土壌となっている。
多数の人種によって構成される移民の国アメリカでさえ、人種差別の撤廃を行政として決定したのは高々40年前であり、現実には人種差別は存在し続けている。

その代表的なものが「人種の住み分け」である。

ロサンゼルスでは人種による明らかな住み分けがなされており、これにより人種間の軋轢を回避するシステムが出来上がっているのである。
例を挙げれば、いわゆるダウンタウンとその周辺はアフリカ系アメリカ人の牙城である一方、ビバリーヒルズを中心とした郊外の高級住宅地はまさに「金髪碧眼」白人のメッカ、小生の住むウエストロサンゼルスはアジア系と白人がほぼ半々といった具合で、各人種が社会的・行政的に完全に分離された状況になっている。
この居住地の人種的偏りは行政や法律で強制されたものではないものの、生活環境・教育・治安・家賃によりそれ以上の影響力を持っており、暗黙のうちに固定化されているのだ。
具体的にいえば、アジア人の小生はいくらお金があってもビバリーヒルズに住むのは難しい。なぜなら文化的相違による近隣住民とのトラブルを解決するのが困難なばかりではなく、有色人種であるがゆえに子供の幼稚園や自治会など社会的にも受け入れてもらえないからである。
一方、麻薬と銃犯罪が横行し毎晩警察のヘリコプターが上空を飛び交うダウンタウンに住むことも普通の日本人にとっては困難であり、おのずから住む地区は限られてくるといった具合になる。

多民族国家アメリカでさえ、表向きの差別撤廃とはうらはらにアメリカらしくない「暗黙の了解」を使って民族間の対立と摩擦を何とか避けようと必死なのである。
近年肉体労働をはじめとする単純労働力の不足から日本でも移民を受け入れるべきだとの、妄言が経済界を中心に上がっているようだが、言語・文化・宗教を共有するほぼ単一民族から形成される日本が移民をうまく受け入れることは到底不可能であり、それこそ民族主義を助長し差別を激化させるだけだ。
左翼や経済界の机上の空論に惑わされることなく、アメリカの現実を直視し、民族間に真の平和はありえないことを理解しなくてはならない。

今日の箴言
「水と油は決して混ざることはない」

民主党が政権を取れない理由~信念なき野合政党~

2005-05-29 16:21:29 | 国際情勢
民主党が宗教団体謹製公明党に政権離脱をかけて首相を説得せよと発言したとのこと。
先日も党首の岡田代表が東アジア共同体構想を発表したり、アメリカよりも中国を重要視した政策を学生の前で公演するなど、まさに妄言もはなはだしい。

「小泉政権との差を際立たせる」ことが目的だとの指摘もあるが、際立たせるポイントがまるっきり間違っている。
これでは女性党首が護憲や労働者の権利をガナリ立てつつ職員を解雇する某左翼政党や、中国共産党の手先以外の存在意義が認められない某共産党と同じではないか。

小生は決して自民党の腐敗・硬直しきった「まあこんなとこでしょう政治」を支持しているわけではないが、今回の中国における反日暴動とその後の呉副首相のドタキャン問題を通じた小泉内閣の姿勢は今までの土下座外交とは一線を画すものであり、生ぬるいとはいえ今後の日本にとって大変意義のあるものであったと考えている。
何せ相手は共産党一党独裁国家であり、体制維持のためなら自国民にマシンガンをぶっ放すことすらやってのける国だ。
こんな国家を信用して共同体を作るなどと言う発想は、本当の歴史や現状を全く理解できていない頭お花畑平和主義者が持つものであり、到底政権を担うことを指向する党首の発言ではない。

岡田代表は元々は小沢代表と同じく改憲主義者のはずだが、何をどう間違って親中・左翼主義者に偏向されたのか。
売国奴的発言を繰り返す経団連会長をはじめとする経済界との結びつきを強化したいといった思惑もあるのだろうが、そうした「利得」のみを考えた政治姿勢では、一時の人気は得られてもそれを維持することは出来ないのである。

今日の箴言
「巧言令色少なし仁」

第三の敗戦を繰り返さないために~其の一:二つの敗戦~

2005-05-28 06:41:18 | 論文・考察
現在日本は、経済的にも,政治的にも,軍事的にも、戦後の日本を支えてきたシステムの劇的な変化に直面している。
経済的には長かったバブル景気崩壊後の不況と先進国がはじめて経験するデフレからの脱却に伴う経済構造の変化。
政治的には戦後の自民党ではきわめて特殊な政治家である小泉純一郎氏の首相就任と彼の推進する構造改革。
軍事的には戦後初の戦地派兵と増大する中国の脅威に対する極東アジア防衛政策の変換。
日本は現在、今後の50年を左右する歴史的分水嶺にいるといっても過言ではないだろう。
こうした状況の中で,「温故知新」ではないが日本の経てきた道のりを振り返り,日本人の特性と問題点を検証し,日本のとるべき道を再考することは無意味ではあるまい。
特にここ数年の経済不況と社会構造の変化に伴う国民に鬱積するフラストレーションと,靖国神社や教科書問題に端を発した中国・韓国との軋轢は、日本人の意識を急速に変化させ民族主義化が加速しているようにも見える。
民族主義自体はなんの問題もなく,左翼系マスコミとアカ教師によって植え付けられてきた自虐史観が正常化するのは喜ばしいことだが,日本人はともすればこれが行き過ぎて「皇国日本・神風特攻」状態に陥りやすい。
本稿は歴史から得られる教訓をもとに日本人の特性と問題点を検証し、国際情勢や事件を参考にシリーズとして投稿する予定である。

近代以降,日本は大きな二つの敗戦を経験した。
第一の敗戦はまぎれもなく第二次世界大戦におけるポツダム宣言受諾と連合国への無条件降伏。
第二の敗戦は1990年に発生したバブルの崩壊とその後の平成不況・デフレ経済。
それぞれの敗戦をきっかけにして日本は社会的、経済的、文化的に根本的な価値観の変化と構造改革を迫られた。

第二次世界大戦の敗北はまぎれもなく皇国日本の終焉であり,「神風特攻」に代表される自爆攻撃の果てに300万人の自国民を死亡させ、日本の国家の存在そのものを一時的にではあるが消滅させた。
バブルの崩壊はアメリカとの経済戦争における敗北であり、バブルに国民全てが文字どおり「踊り狂った」挙げ句、莫大な不良債権と企業の倒産を体験した。
自覚に乏しいため社会構造の変化は敗戦と比較してゆるやかだが、これを期に戦後日本が一貫して堅持してきた社会制度や国民意識が劇的に変化し,日本がそれまでの価値観を捨て新たな道を進みはじめざるをえなかったことから第二時世界大戦の敗戦に匹敵するインパクトを持っていたと考える。

そしてこの二つの敗戦には,驚くほど共通した事象が見受けられる。
二つの敗戦の間には約50年・ほぼ2世代の差があり、社会構造から教育システムまで全く異なるにも関わらず,驚くほど似通った行動様式や思考過程が見受けられる。「責任を取らない司令官」「自己の過信と敵の軽視」「情報や失敗の隠蔽」「全国民の熱狂と客観性の喪失」、、、
そしてその行き着く先がともに無惨な敗北で終わったことは,これらに共通する問題点が日本人が陥りやすく改善しなくてはならない固有の事象であると考えることができるだろう。

こうした日本人の特性を理解した上で,ソビエト連邦の崩壊以降急激に変化する国際情勢、特に中国の台頭により机上の空論である「一国平和主義」にあぐらをかいていられなくなった極東パワーバランスにおいて、日本の取るべき方向を検討しなくてはならない。
そうしなければ,またブチキレて無謀な戦争に突入したり調子に乗って戦況を客観的に把握できなくなった結果,自国民に甚大な災厄をもたらして崩壊するという同じ轍を踏むことになるであろう。

今日の箴言
「歴史は繰り返す。だからこそそうしないための努力が必要である。」

激変する医療界~医療改革の行方~

2005-05-27 02:39:24 | 医学ニュース
ようやく最近になって研修医制度の義務化とその弊害をマスコミが報じるようになったが,現在日本の医療情勢は戦後最大の変革期を迎えている。
すなわち、研修医の義務化に伴う医局制度の崩壊である。

一般の読者は医局制度と言われても理解が困難だと思うので,まず「医局」と言う医学界独特の制度から説明させていただく。
「医局」とは大学医学部に存在する医師が所属する暴力団の組と同じ性格の組織のことである。
大学病院に行くと,看板に「循環器学教室」や「第1外科」等と書かれているのを目にすると思うが,これが「~組」に相当する医局の名前だ。
医局には唯一絶対の教授を頂点とし,研修医を底辺とする完全なピラミッド形権力構造が確立されている。
そこには大学病院の医師だけでなく、関連病院と呼ばれる教授の人事権がおよぶ病院に所属する医師,医局で研修後開業した医師まで所属しており、都市部大学病院の勢力の強い内科医局などでは医局員が数百人におよぶ場合もある。
医学部を卒業し国家試験に合格した新米医師のほとんどは、まず自分が所属する医局を選択しなくてはならない。なぜなら国家試験を合格しただけでは何の役にも立たず,大学病院で研修医として数年働かなくては医師として独り立ちできないからである。
この時点で「内科」「外科」「産婦人科」等の専門を選ぶこととなり,その医師の一生はほぼ確定する。なぜ確定するかと言えば,ひとたび医局に所属した以上は暴力団と同じく、上司に反抗したり医局を脱退するのはきわめて困難だからである。
絶対権力者である教授は医局員の人事権から医局費の裁量権、大学院生の学位裁定権まで全てを一手に握り,しかもその職は定年まで保証され,まさにプチ皇帝といったところであり、教授の意向に逆らうことはすなわち「僻地病院への転勤」であり「研究の中断と学位の放棄」であるからだ。
こうして先日高視聴率をたたき出した「白い巨塔」のような閉鎖的・前時代的な医局が完成するわけであり、ドラマで描かれた医局やその人間関係は決して誇張されたものではない。

近年の医療事故の表面化(実際の医療事故数は変化していないが,表に出るようになった)や、相次ぐ情報隠蔽と教授による贈収賄事件の多発で社会の医学界に対する不信感と批判が噴出したことを受けて,医局制度にあぐらをかいて言うことを聞かない教授たちを以前から問題視していた厚生労働省は,ついに医療制度の抜本的改変に乗り出した。
それが研修医の義務化である。
これは今まで大学病院の臨時職員でしかなかった研修医を国家公務員として義務化し各病院の受け入れ数を制限した上で、研修医期間中には専門を選択させず複数の科をまわらせ(これをローテートと言う)、医局による医師の囲い込みと医師人事のコントロールを廃止しようとしたものだ。
これにより若い医師を確保できなくなった医局は、人事権によりコントロールしてきた関連病院を手放さざるを得なくなり,結果大学病院に集中していた権力や資金が停止し,医局制が崩壊するとふんだ訳である。
確かにこの政策は医局による関連病院支配と教授の権力を弱め,医療界を変革するには役立った。しかしものすごい弊害が表面化するのはこれからである。

第一に,ニュースにも取り上げられているように,これから都市部と地方~僻地の医師数ならびに医療レベルの差が急速に拡大し、多くの地方病院が医師不足により閉鎖される一方,都市部では医師過剰による弊害が表面化するだろう。
医局制度はもともと医師を確保できない地方病院が中央の大学病院に医師の派遣を依頼する見返りに便宜を図ることから始まったものだ。この制度の下で多くの医師が「教授の一声」で泣く泣く地方の病院へ赴任した一方,地方はある一定水準の技術を持った医師を常に確保できるメリットがあった。
厚生労働省は医師数が少ない地方病院では給与が上昇し医師の確保がはかれると踏んでいるようだが,どっこいそうは問屋が卸さない。
このあたりは医師でないと理解できないかもしれないが、多くの医師は仕事に「経済的見返り」よりも「やりがいや自尊心の充足」を求めるからである。これはものすごい年収をたたき出す開業医が、医師の序列の中では低く扱われることからも分かる。

第二に,個々の医師の技術レベルが著しく低下する可能性が高い。
これは医療技術の多くが経験により修得される職人的技能に属するからであり、経験するためには常に医療事故のリスクを負わなくてはならないからである。
医局制度の元では全ての研修医は先輩医師から指導を受け,いわゆる徒弟関係を形成する。危険の伴う手技や技術が必要な手技は指導医の元で実施するわけだが、指導医としても自分の患者に医療事故のリスクがある手技は本来研修医にさせたくない。自分でやった方が数百倍も早いし安全なのだ。
それでもあえて研修医を指導し手技をやらせるのは,彼が同じ医局に所属する自分の後輩であり、自分も研修医の時に先輩の指導で成長した経験があるからなのだ。
ところが研修医の義務化によりローテートになると,研修医は数カ月で他科に移ってしまうし、しかも自分の後輩になるとは限らない。
研修医も自分が希望している以外の科では手技や診療に熱心ではない。
こうなると誰があえて患者の危険や自分が責任を追及されるリスクを冒してまで,研修医に手技を教え実施させるだろうか。

第三に、医師の倫理レベルが著しく低下する恐れがある。
昔語りになってしまうが、小生が研修医だった時代は先輩医師に怒鳴られながら必死に診療に当たっていた。
患者の状態が悪化して指導医が病院に泊まり込めば研修医である自分ももちろん泊まり込み、労働時間が週100時間を超えることも日常茶飯事だった。
そうした中で患者と家族の思いを知り、患者の死をみとることで生と死について考え,医師としての死生観と倫理観、生命を扱う医師という職業の責任を学んで行くのである。
ところが研修医の義務化によって、彼等は国家公務員であるために労働時間も労働基準法を遵守することが求められ、泊まり込みなどはしなくて良くなった。いきおい朝やってくると患者が既に死亡していたり,主治医により大幅な治療方針の変更がなされていたりして,診療から取り残され主治医としての責任感が低下してしまうことになった。
またローテートであるため自分の希望する以外の科は「適当にやっておく」風潮が蔓延し,治療が大変な重症患者は見にこない研修医や、医療手技だけに熱心で実際の診療には興味を示さない研修医といった、患者の命を預かるという自覚に欠けた医師が大量生産される事態に陥っている。

医局制度はドラマでも描かれているように前時代的で封建的・閉鎖的な組織で多くの弊害を持ち、医療界の進歩と患者の権利拡大を阻害していたのは間違いなく、改革は必要であった。
しかし今回厚生労働省が行った研修医の義務化をはじめとする医療改革は,官僚が現状を理解せず机上で作り上げた政策の典型的見本であると言わざるを得ない。

きわめて問題の多い現在の研修医システムで、医師として最も大切だと言われる研修医の時期を過ごした医師たちが診療の主体となる10年後には,日本の医療レベルが劇的に低下し、現在以上に医療事故が頻発することを危惧してやまない。

今日の箴言
「問題は官僚の机の上でなく、現場で起っているものだ」

漂流する韓国~国家存亡の危機~

2005-05-26 05:03:45 | 国際情勢
韓国が日本の外務次官の非公式発言を公表すると言う大ボケをかましたうえでまた日本に逆切れ。

どうやら韓国政府は「非公式発言」という言葉の意味が分からないようだ。
そんなことだからアメリカに信用してもらえないのだが。

逆切れはいつものことだから放置しておくとして,今回の事態でアメリカが完全に極東アジア戦略から韓国を切り離しつつあることが明白になった。
昨年発表された在韓米軍の削減とそれに伴う在韓予備物資の廃止、ライス国務長官の極東アジア訪問中の華麗な韓国スルーを見ても,アメリカが極東アジアにおける対中国防衛戦略を日本-台湾を結ぶラインに変更することは確実である。
この戦略の変更は対テロ戦略に基づくアメリカ軍の世界的再編の一環だが,やはり昨日述べた北朝鮮問題と、民族主義的傾向と反米主義が強く何かとアメリカの戦略にいちゃもんをつけるノムヒョン大統領によるところが大きい。

ノムヒョン大統領は「極東アジアバランサー論」などと言う寝言を掲げ,さも韓国が極東アジア情勢におけるイニシアチブをとっているかの様にふるまっているが,実際はアメリカから切り離され孤立化への道を一直線に歩んでいるに過ぎない。
現在のアメリカ極東アジア戦略はそのまま強大化する対中国戦略と言い換えても過言ではない。
急速に経済発展を遂げるとともに軍備の近代化を急ぐ中国が今後唯一の超大国アメリカを脅かす大国となる危険性はアメリカの各シンクタンクが再三警告している。
だからこそアメリカは台湾有事を日米安全保障条約の適格条項に含めることで戦略的に中国の台湾侵略を封じ込め,日本と台湾を結ぶ防衛ラインを構築しているのだ。
戦略的には韓国はこの防衛ラインから突き出た橋頭堡のはずだったのだが,民族主義的傾向の強いノムヒョン大統領の対米追従を良しとしない姿勢と、最悪のテロ国家北朝鮮に対する「宥和政策」に業を煮やしたアメリカは韓国を切り離す決断をしたと言えるだろう。

ひるがえって我が日本を見れば,イラク戦争で憲法を曲げてまでアメリカ追従を打ち出した小泉政権を土下座外交だと非難する向きがあるが,国際連合を無視して戦争を強行したブッシュ政権に明らかな支持を表明したからこそ,日本はアメリカを後ろ楯とした防衛政策を堅持できているのである。
そうした意味では,小泉政権の外交政策は現実のパワーバランスに則した極めて有効なものであり、今後ますます増大する中国の脅威に対処する上で必要不可欠なものなのだ。

韓国の経済的軍事的立ち位置についてはマーケットの馬車馬さんの「大丈夫か韓国」シリーズで述べられているためそちらをご一読頂くとして,アメリカ極東戦略から外れた韓国には今後どのような未来が待ち受けているのだろうか?
ノムヒョン大統領の威勢の良い発言とは裏腹に,国際連合すら無視できる(笑)超大国アメリカとの同盟関係から切り離された韓国が経済的にも軍事的にもやって行けないのは明らかである。
中国、ロシアとの同盟を模索しているようだが,方や共産主義一党独裁国家,方や帝政に向けてまっしぐらの国家であり,信用できないこと甚だしい。
しかもすぐ隣には最低最悪の独裁国家・北朝鮮が控えている。
金正日氏が不老不死の薬を開発したなら話は別だが(笑)、今後20年以内に必ず発生する北朝鮮の崩壊を期に,韓国もその混乱に巻き込まれて中国に併合され,独立国家としての歴史に幕を閉じる可能性が極めて高い。

韓国国民は大嫌いな日本人にこんなことを言われたくないだろうが,ノムヒョン大統領の反米反日民族主義プロパガンダに踊らされず,冷静に現状を見つめ考え直す必要がある。
今度国家を失っても,それは日本のせいにできないし、中国は賠償金を決して払ってはくれないから。

今日の箴言
「敵を知らず,己も知らざれば,必ず敗れる。」

困ったチャンの国・北朝鮮~21世紀に出現した王国~

2005-05-25 08:25:15 | 国際情勢
拉致被害者の家族会が,北朝鮮に対する制裁発動を政府に申し込んだとのこと。

拉致被害者のご家族の方々には大変申し訳ないのだが,日本政府が効果的な経済制裁を発動する可能性は皆無だ。
なぜなら日本だけでなく中国,韓国,ロシア、アメリカと6か国協議の構成メンバーは金正日体制が崩壊してもらっては非常に困るからであり,6か国協議は北朝鮮に対し圧力をかけ対話を促す場ではなく,いかに金正日体制を維持するか,金正日氏が死亡した後の北朝鮮をいったいどうするのか協議する場だからである。

北朝鮮は21世紀に突如出現した中世の王国であり,しかも王様は先代と取り巻きに甘やかし放題甘やかされた究極のばか殿様である。国民が餓死する傍らで美女をはべらし美食の限りを尽くし、国内のエネルギー不足をよそに高級外車と電化製品を使いまくり,不老不死の研究までしていると言う。
国内だけならまだしも周辺諸国の若者を拉致するだけでなく,あろうことか日本の主要都市を壊滅可能な核兵器とミサイルまで開発保持しているのだ。
このような人物が核兵器を持っている状況は,まさに「○違いに刃物」を具現化した見本であり,我々の常識を超えた理由で核ミサイルが発射されても不思議ではない。
彼には相互確証破壊(MAD)などという理論は通用しない。彼が滅ぶなら彼の王国もまた滅ぶべきなのだ。
巻き添えを食う日本はたまったものではない。
本来なら一刻も早くこの最低最悪な独裁国家を打倒するために全力を尽くすべきである。

ところが、実際は日本を含めた全ての周辺諸国は金正日体制のできるだけ長い継続と安定を望んでいる。それはなぜだろうか?

マーケットの馬車馬さんも述べておられるが,金正日体制が崩壊すれば周辺諸国はとんでもない被害を被るからだ。
金正日体制が崩壊すれば,厳しい飢饉を乗り越え先軍政治による軍事訓練を受けた2000万人の乞食が周辺諸国に殺到することになる。かれらは軍隊から放出された武器を片手に中国,韓国、日本に食料を求めて流入し,凄まじい社会的混乱を巻き起こす。
具体的に言えば,日本海にぼろボートが次々と漂着し,機関銃を持った乞食がなだれをうって日本に流入してくるといった状況である。しかも彼等は骨の髄から「反日」であり、日本における強盗や殺人にはなんら躊躇しないであろう。
どれほどの混乱と経済的損失がが日本に生じるか,想像すらできない。

陸続きで北朝鮮に対し「民族的同胞」などと言う世迷いごとを言っている韓国はもっと悲惨である。殺到する難民対策と残る荒れ果てた北朝鮮国土のために,下手をすれば北朝鮮崩壊後数年して韓国も崩壊してしまう可能性が高い。
中国はさすがに共産主義独裁国家、ロシアも事実上元KGBプーチン帝国なだけあって難民を虐殺もしくは内陸部へ強制移住させるだろうが,そうした行為によって国際社会で失うものはあまりにも大きい。
アメリカのブッシュ大統領は極東の半島と島国が混乱しようが壊れようがどうでも良いのだろうが,核兵器とその技術が流出しテロリストの手に渡ることを極めて恐れている。
そして金正日体制が崩壊してこれらの国々が得られるのは,農業政策の失敗により荒れ果てた国土だけなのである。

こうしてみると、なぜ日本政府が北朝鮮制裁に踏み込まないのか,なぜキレやすいアメリカブッシュ大統領が我慢強く6か国協議を続けようとしているのか,非常に理解しやすい。
みんな金正日氏にせいぜい正気を保ちつつ長生きしてもらい,あれはてた自分の王国をしっかり管理してもらいたいのだ。
だからブチギレないようにできるだけ刺激せず,時々無茶な要求をしてくる時は表向き拒否しつつ赤十字や韓国を通じて援助を行い,少なくとも中国による北朝鮮併合の環境が整うまで金正日政権を維持させておきたいのが本音なのである。

その間に日本としてできるのはアメリカとの同盟強化により「変なことしたらアメリカが許さへんぞ」程度の脅しをかけることと,万が一金正日氏がブチギレた時のためにミサイル防衛網を構築するぐらいであろう。

今日の箴言
「隣の機関銃を持った○違いにかかわるのは自殺行為」

靖国神社問題~外交カードとしての重要性~

2005-05-24 07:38:18 | 国際情勢
またまた中国の胡主席が小泉首相の靖国神社公式参拝について抗議したとのこと。

靖国神社に関しては日本国内にも様々な意見がある。
いわゆる左翼の人々は中国の丁稚よろしく,靖国神社を戦前の日本帝国主義の象徴とみなし、政治家の公式参拝は憲法の定める政教分離に反するとして訴訟を起こしている。
一方,右翼の人たちは靖国神社は日本を守るために戦い死んで行った人々の眠る聖地であり,彼等の尊い死を忘れないためにも参拝を続けるべきだと言う。

小生の立ち位置は限りなく右にいる中道もしくは真ん中よりの右派なのだが、正直に言うと首相の靖国神社公式参拝自体には肯定的・否定的いずれの意見も持ち合わせていない。
先の大戦における日本人の死者は600万人,その中には神風特攻隊でなくなった若い兵士もいれば、広島で原子爆弾により一瞬にして灰になった少女もいる。
亡くなった全ての人が「御国のため,大東亜共栄圏のため」自分の死を受け入れられたとはとうてい思えないし,それが人間と言うものだろう。
そうした人々を「祀る」場所に参拝することに意味があるとすれば,その後アメリカの属国として繁栄を享受している日本が、先の大戦の記憶を呼び覚ますことだけであり,つまりは現在の日本人がどのように先の大戦をとらえるかと言うことにつきると思う。

それでは経団連奥田会長宗教団体謹製の公明党幹事長らが言うように「両国関係の重要性を考慮して」首相は公式参拝を中止すべきなのだろうか。

絶対にそうではない。

靖国神社に死者を祀る行為は日本の文化に根ざしたものである。
日本人は「死者に寛容」だと言われ、これは死者を「仏」と呼ぶ習慣からも分かる通り,仏教を通じて形成されたものだ。
よほどのことがない限り死ねば生時の悪行は清算され良き仏として成仏するのであって、逆に成仏してもらわないと「悪霊」となり生きているものが困るのだ。
だから一兵卒には捕虜となることを禁止し自決を命じたにもかかわらず自分は東京裁判の後処刑されたA級戦犯も,アメリカ軍の無差別爆撃により犠牲となった市井の少女もみんな一緒に「仏」になっていただかなくてはならない。
そのための施設が靖国神社であり,祀る行為にA級戦犯も市民も区別はないのである。
「死者にむち打つ」故事のある中国人には決して理解できないだろうが、理解できないからといって批判される筋合いはない。

首相が靖国神社を公式参拝することの違憲性や是非は純然たる日本の国内問題であり,いくら過去に日本が中国を侵略したからといって中国が日本に内政干渉をする権利はどこを探しても存在しない。
武部幹事長が同じことをいったら中国側が激怒したらしいが、お門違いも甚だしい。
中国共産党の丁稚と化した日本の左翼政党や左翼系マスコミは「日中関係をこれ以上冷却させてはならない」といったたわごとをくりかえしてプロパガンダに熱心だが,主権国家と主権国家の外交上最も守るべきルールを逸脱しているのは中国であり,これを指摘せずして何をか言わんやである。

ただし,この靖国問題を日本の外交戦略における非常に狡猾なカードだと見る分析もある。
すなわち、靖国神社を参拝すること自体には本来なんら外交的価値はない。
日本人にとっては一部の共産主義者をのぞいて「ああそうか」程度のことであり,中国にとっても参拝を中止させたからといってODAが増額されるわけでもない。
小泉首相の公式参拝に中国が抗議をし,これに日本国民が反発する。中国は愛国反日教育を行って来た手前抗議を引っ込められないが、小泉首相も頑固に参拝を続けるため外交問題化せざるを得なくなるわけである。
中国の視点からみれば、小泉首相になってからの日本の防衛政策の変化は本来外交問題化するに十二分なはずであった。
戦後初の自衛隊の戦地派兵,アメリカとの軍事同盟強化,台湾-日本を結ぶ対中防衛ラインの構築と,中国にとっては重要な案件が目白押しだったのである。
ところが小泉首相の頑固さのために、本来「中国国民のプライドを満たす」ぐらいしか意味のない靖国神社問題に気を取られてしまい,これら重要案件はさしたる外交問題になることなくスルーされてしまったのである。

こうした「靖国問題の外交カード化」は最初から小泉首相や外務省の意図したところではないだろう。
おそらく途中から靖国カードの有効性,特に対中政策の変更と自民党内の親中派追放に有効であることが分かり、最近は意識して使用しているようにも見える。

いずれにせよ中国が気を取られているうちに,今後の日本と極東アジアの運命を左右する問題である憲法改正と自衛隊の合法化並びに国防軍昇格を急いでやらなくてはならない。
それが首相との会談をドタキャンする国、中国の脅威に対抗する唯一の手段である。

今日の箴言
「ゴミを高く売るのがリサイクルショップの極意」

エイズウイルス~人類が直面する最強最悪のウイルス~

2005-05-24 04:49:14 | 医学ニュース
日本は先進国中で唯一HIV感染が増加している国である。

一時のエイズパニックが収束し,熱しやすく冷めやすい国民性のおかげで最近はニュースで見かけることもほとんどなくなってしまった。
その影でHIVは確実に日本に蔓延し,性道徳の乱れがウイルスの拡散にさらに拍車をかけている状況である。

HIVはおそらく人間が直面する最強最悪のウイルスに間違いない。
HIVに比べれば,アフリカで騒がれている致死性の高いマールブルグ病やエボラ出血熱は悪性度からいけば子供だましである。
その理由は以下に要約される。

1. 自覚症状のない長い潜伏期間
HIVは感染初期にはほとんど症状がなく,感染を自覚することがきわめて困難である。その上自覚症状のない潜伏期間が10年にもおよぶため,感染者はキャリアとして知らず知らずのうちにウイルスを拡散させてしまう。
2. 人間の生活と切り離せない感染経路
感染経路が人間の本能的欲望の一つ,性欲に伴う性交渉であり防止が困難である。本能的欲望であるが故に理性的な感染予防対策(コンドームの使用)が採られにくく、行政の対策も後手後手に回ってしまう。
3. 極めて高い致死率
近年のカクテル療法の進歩によりAIDSの発症を遅らせることは可能となったが,ウイルスを完全に消し去ることは困難であり,AIDSを発症すれば死亡率はほぼ100%である。ウイルス感染症に効果的なワクチンの開発も,変異しやすい表面抗原のせいで開発は不可能視されている。

マールブルグ病もエボラ出血熱も死亡率は90%以上と極めて高いが,現時点では潜伏期間は2週間程度であり感染経路も接触感染に限られている。
感染者を見分けるのも激烈な症状から比較的容易だし,接触感染であれば感染予防は比較的簡単だ。
分かりやすく言うと,これらのウイルスでは感染者が出た村が全滅して誰も居なくなれば、それ以上ウイルスは拡散せず感染は収束し、アウトブレイクにならない。

アメリカをはじめとする先進諸国はなりふり構わぬ感染対策と青少年への教育でなんとかHIVの蔓延を封じ込めることに成功している。
日本でも早急にHIV対策を実施しないと,大変なことになる。
現在の感染者数は報告の10~100倍と予想されており,このままではアウトブレイクが起こりアフリカ諸国の様に国民の75%が感染者といった状況に陥りかねない。

しかしHIV対策においては,教育者や議員のきれいごとをまとった対策は全く無意味である。
「青少年の性風俗の乱れ」や「売春の一掃」をかかげても、なんら効果は期待できないであろう。
なぜならHIVは法律や教育では完全にコントロールできない本能に根ざした性交渉を感染経路としているからだ。
青少年教育や感染情報の積極的な公表はもちろん,ラブホテルでのコンドームの無料化,ラブホテルでのエイズ感染を啓蒙するポスターの義務化、性風俗産業従事者の登録制とHIV検査の義務化など、なりふり構わない対策が急務である。

今日の箴言
「セックスの際には必ずコンドームの着用を!」

ごあいさつ

2005-05-24 03:18:38 | 論文・考察
あたらしくBlogを開設させていただきます。
ニュースやロサンゼルス生活で感じたこと,驚いたことを中心に書いて行くつもりです。
時に放言もありますが,どうぞご容赦を。