続・軍務尚書の戯言

国際情勢や医学ニュースに関して日々感じたことを残すブログです。

北京オリンピックー終わりの始まりー

2008-06-18 21:27:42 | 国際情勢
過日発生した四川大地震における学校校舎の相次ぐ倒壊について、手抜き工事が原因だと政府を批判した人々が次々に当局に拘束されているとのこと。

四川大地震、学校の手抜き工事批判の元大学教員逮捕
四川大地震1か月、学校倒壊追及に当局が圧力

目前に迫った北京オリンピックに対する世界の関心は急速に失われているが、体面を重んじる中国人はそれこそあらゆる手段ー検閲、情報操作、強制動員、ドーピングなどなどーを使い、たとえ世界の他の国々が興味を喪失していても、国家の威信にかけてこのプロジェクトを成功させるのは間違いない。
しかし本当の危機はその後に訪れる。

上海総合株式指標はアメリカサブプライムローン問題の発生以降、急速な値下がりを示しているのは周知の事実であるし、上海を中心とした沿海州の地下が軒並み下落し、日本を始めとしたいわゆる先進資本主義諸国であれば恐慌と呼んでもなんら不思議でない状況である。
中国の現在の経済状況の分析については、多くの報告がなされているので専門家に譲るとして、ではなぜ恐慌が発生していないのだろう。
かつてマルクス・レーニンが唱えたように、共産主義は資本主義よりも優れており、経済をコントロールすることが可能なのか?

決してそうではない。

共産主義国家の本質とは、ソビエト連邦と東欧諸国の崩壊後明らかになったように、偽装と隠蔽である。
現在中国共産党は北京オリンピックを口実に強烈な情報統制を行っており、前述の四川大地震における政府批判やチベット問題だけでなく、どさくさにまぎれてサブプライムローン問題で生じた莫大な不良債権や、株価の下落による企業の経営危機をひた隠しにしている可能性が極めて高い。
彼ら中国人にとって「体面」は、日本人の「恥」と同じく、すべての判断の基本となるきわめて重要な要素であり、「企業倫理」「社会正義」よりも守らねばならない。
こうした背景から、少なくとも北京オリンピック終了まではお互いの体面を守るために、政治家も官僚も一丸となって経済危機を回避するためのあらゆる手段を講じるであろう。

しかし、祭りが終わった後に起こるのは、すべてをかなぐり捨てた生存のための争いである。

事実を知る党官僚と、それに連なる企業家たちの投売りが一気に発生するのは間違いない。
北京オリンピックが中国の「終わりの始まり」になると、小生は恐れる次第である。

今日の箴言:
「危機は繁栄の中に潜む」

300<スリーハンドレッド>

2008-06-17 22:38:27 | 映画と本
総合評価
 熱血度
 現実度
 恋愛度

紀元前492年に始まったペルシャ戦争・テルモピュライの戦いを描いた歴史アクション映画。

デジタル処理により自在に変化するアングルとスローモーションにより、極限まで高められた戦闘シーンの芸術性ばかりに目を奪われがちであるが、この映画の真髄は最後の5分にある。
なぜスパルタ王レオニダスは、まったく勝機のない300対100万の戦いに、愛する妻と息子を残し命を懸けて挑んだのか。
なぜ300人のスパルタ兵は、王の命令に一言の異議も唱えず、100万の敵に対峙し全員玉砕したのか。
レオニダス王は部下たちに「戦いの意義」「玉砕の必要性」を声高に叫ぶことはなく、観客は「なぜこんな無茶な戦いに挑んだのか」と疑問を持ち、降伏を勧めるペルシャ王クセルクセスの言葉に「ここで引いとけば安泰だろうに」と考える。
だが最後のシーンにおける、片目を失ったがゆえにその後のスパルタを託され戦場から離脱した1兵士の咆哮により、すべての疑問は氷解するのだ。

時代考証はむちゃくちゃで、世界史を愛したものにとっては突っ込みどころ満載であり、原作者・脚本家は歴史の知識が乏しいと推測できるが、それゆえに彼らは真剣に「なぜ300人のスパルタ兵は玉砕したのか」を考え、真理に到達したのである。
事実、テルモピュライの戦いとスパルタ軍の玉砕により作られた3日間で、アテナイは防衛体制を整えることが可能になり、後のサラミスの海戦の勝利とクセルクセス王の撤退へとつながるのだ。

打算・利己主義・計算に埋め尽くされた現代社会に生きる我々に、「男として生きるとはどういうことか」を強烈に問いかける熱い傑作であり、男を忘れ日々鬱々と生きる小生のような男性諸氏にぜひお勧めしたい。

お詫びとお知らせ

2008-06-16 15:33:26 | その他
いろいろありましたが、このたびブログを再開させていただきます。
今まで投稿させていただいていた文章も、順次読みやすく改変させていただくつもりです。
また小生の趣味の分野についても、徐々に充実させていただきます。
しばらくは読みにくい状態となりますが、どうぞ御容赦くださいますよう。
今後もどうぞよろしくお願いいたします。