続・軍務尚書の戯言

国際情勢や医学ニュースに関して日々感じたことを残すブログです。

愛する家族に贈る言葉:其の九

2005-06-30 07:09:19 | 愛する家族に贈る言葉
愛する息子よ,頼むから

風邪で吐いているにもかかわらずミルクを大量摂取するのはやめてくれ!!

お前の吐物でベットはどろどろで、パパの寝る場所すらないではないか!
吐き気がある時は食べずに大人しく眠るものだ!

アメリカ文化雑感~其の七:アメリカアニメ事情~

2005-06-29 06:26:40 | アメリカ文化雑感
アメリカはその広大な国土のせいで地上波テレビはあまりなく,あっても極めて画像が悪い地方チャンネルが数個見れるだけで、ほとんどの家庭では有料のケーブルテレビをひいている。
このケーブルテレビのチャンネル数が半端ではなく,最も基本的な契約のものでも100近いチャンネルがあり,それぞれがあるジャンルに特化しているという特徴がある。
分かりやすくいうと,ニュースチャンネル(ABCやFox11)は朝から晩までニュース,ドラマチャンネル(TNTやA&E)は朝から晩までドラマといった具合で,中には料理番組ばかりを扱うFood Channelや動物番組ばかりで構成されるAnimal Planetといったマニアックなものまで存在するのだ。
小生には3歳の娘がいるため、アメリカに転居してからも自宅で主に見るテレビ番組は子供向けのものが中心で、特に子供が大好きなのがアニメを中心とした子供番組を放送するNickelodeonと少し高学年向きのアニメ番組ばかりで構成されたThe Cartoon Channelである。
子供たちと一緒にアメリカのアニメを見ていると,アメリカアニメと日本のアニメの質的な差に驚くとともに,日本のアニメーションが世界中の子供たちと一部の大人たちに熱狂的に指示されている理由がよく理解できる。

アメリカのいわゆるコアなアニメファン(アニメオタクとも言う)の状況に関しては,Moonlight Fantasiaのホームページで非常に詳しく述べておられるのでそちらをご参照頂きたいのだが,アメリカはディズニーによるアニメーション発祥の地であるにもかかわらず一般のアニメのレベルが極めて低く、このため日本のアニメが非常に人気がある。

この原因としては,アメリカと日本における漫画やアニメの認知度の大きな違いがあげられる。
「アルプスの少女ハイジ」や「日曜アニメ劇場」等の質の高いアニメを子供の頃から普通に鑑賞し,ドラマや小説と遜色ない深いテーマや社会性をもった漫画を大人になっても読む日本とは違い、アメリカでは漫画やアニメは「子供のもの」でしかなくそこに芸術性や社会性は全く求められていない。
子供向け玩具やキャンディーと同様に幼児期にだけ接するものであり,従って分かりやすさや子供の注目を集める色彩が強調されるのである。
この結果、アメリカ製のアニメはその多くが単純な絵・原色だけの色彩・コメディイタッチの分かりやすい内容になり、確かに子供は喜ぶのだが、宮崎駿や押井守のアニメを知っている大人には鑑賞に堪えられるものではない。
特に子供が大好きなアメリカの長寿アニメ番組Spongebob Squarepantsなどは、ビキニ湾の海底に住むカイメンの子供Spongebobとその仲間たちのどたばたコメディで,いわゆる「アメリカンジョーク」満載、日本ならPTAが選んだ子供に見せたくない番組10選に必ず選ばれそうな内容である。
また前述したようにデジタル処理やコンピューターグラフィックスを多用する日本のアニメとは違って、ほとんどが単純な構図と原色で構成されているため、分かりやすいが飽きやすいという欠点もあるようだ。

こうしたアメリカアニメの質の低さのため、日本のアニメは非常に人気がありその認知度も極めて高い。
日本でも大人気だった「ポケモン」「ドラゴンボール」「遊戯王」はその関連商品と共にアメリカの小学生を席巻しているだけでなく,日本で最近放映されたばかりの「One Piece」「鋼の錬金術師」「金色のガッシュベル」も現在Cartoon Channelで絶賛放映中,なんと「攻殻機動隊」まで深夜放送しており、全てが高い視聴率を記録している。
またアメリカの番組中で日本のアニメ~特にポケモンとドラゴンボール~を取り上げたりパロったりしていることもしばしばあり,ここからも日本アニメの認知度の高さが伺える。
一番驚いたのは日本でとんと見かけなくなったPuffyがアニメとコラボレーションしてアメリカで大ブレイク中であることで、彼女たちが主人公のアニメ「Hi!Hi! Yumi & Ami」はCartoon Channelの歴代視聴率1位を獲得したのだそうだ。

こうしたアメリカにおける日本のアニメの浸透と関連商品の普及は、アメリカ人の若い世代の中で日本人を「極東島国の黄色人種」から「Coolなアニメと精密機械を作る人々」へ徐々に変容させている。
もちろんアニメを通じてのものであるためかなりの誤解もあるようだが、いずれにせよ世界に誇る日本のアニメにより日本人のイメージが良い方向に変化するのであればこれほど喜ばしいことはないだろう。
外務省が高い金額を出してODAに精を出すより、良質な日本アニメの輸出と普及につとめた方が,日本の文化と日本人の優秀さを世界の人々に知らしめる最良の方法になるのではないかと思うのだが、いかがだろうか。

今日の箴言
「三つ子の魂百までも」

アメリカ文化雑感~其の六:治安問題~

2005-06-28 08:12:14 | アメリカ文化雑感
アメリカ,特にここロサンゼルスは犯罪発生率が非常に高いことが知られている。
犯罪の増加傾向がピークに達した2002年には年間の殺人事件発生数が658件と全米で最悪となり,以後は当局の必死の努力により改善傾向にあるものの、多くの人々が犯罪の犠牲となっていることに変わりはない。
なにせここ2か月の間に9件のHighway Shooting(高速道路で走行中に発砲されること)が発生して死者が4名に達し,これでも毎年と比べれば少ないのである。

小生の家族はロサンゼルスの中でも最も治安の良い地区の一つ,UCLAのふもとにあるWestwoodと呼ばれる地域に住んでいる。
ここはロサンゼルスでも珍しく夜間でも歩いて外出できる地域なのだが、逆に言えば他の地域は夜間は歩いて外出できないということなのだ。
特にアフリカ系アメリカ人の多く住むロサンゼルス市中心部,DowntownからSouth Centralと呼ばれる地区はまさにギャング映画に出てくる光景そのもので,崩壊しかかったような古いビルディングと落書きだらけのシャッターがおろされた商店が軒を並べ,昼間でも歩くのはおろか自動車で通るのすら恐怖を感じるゴーストタウンとなっている。
また治安の良い地区であっても犯罪者の流入は防ぐことができず,週に1度は警察のヘリコプターとパトカーが犯罪者を追跡するため派手なカーチェイスを演じているし,ホームレスがアパートの裏口で眠っていることもしばしばある。
日本の犯罪率の増加が叫ばれる昨今だが,アメリカに住んでみるといかに日本が安全で日本警察が優秀か,実感せずにはいられない。

こうした高い犯罪率の背景には,極端な所得格差・人種間の軋轢・銃社会等があげられるが、それにもまして実感するのは,アメリカ人の倫理観の低さである。
アメリカンドリームがもてはやされ,それぞれが成功のために激しく競争を繰り広げているアメリカ社会では,とにかく「勝ったもの勝ち」であり、勝利へのプロセスがほとんど評価されない特徴がある。
日本人の様な「卑怯な手を使って得た勝利に意味はない」「結果ではなく,正直にこつこつと努力することが大切だ」といった倫理観は、アメリカ人の心の平原を地平線まで探しても見つけることはできない。
とにかくどんな汚い手を使っても勝利をつかむことが大切であり,成功すれば汚い手段が正当化される風潮すらあるのである。

よく日本とアメリカを比較して「日本人には宗教的倫理観が乏しいため不正がおこるが,アメリカ人はそうではない」などという評論家の寝言を耳にするが,実際のアメリカ人を知ってから発言していただきたい。
彼等の心の中に「なんじ盗む事なかれ」「上着を盗むものあらば下着まで与えよ」と教えたイエス・キリストの精神は日曜日の午前中しか存在していないのは明白である。
こうした倫理観の欠如は小生の医学研究分野でも日常茶飯事で,他人の研究アイデアの窃盗や研究結果の流用、果ては教授の論文盗用まで日本では考えられないような事態が毎日の様に耳に入ってくる。
こうした人々の低い倫理観が多発する犯罪の背景にあることは間違いない。

彼等はとにかく成功するためにばれなければ何をしても良いと考えており,それが強盗や窃盗の大きな背景になっている。
このためアメリカでは住宅の空き巣や窃盗よりも行きずりの人を狙った強盗の発生件数が極めて高い。
これは空き巣や窃盗には技術が要る上証拠が残りやすいが,行きずりの人を狙った強盗では犯人を特定しにくく検挙されにくいという事情があるのだそうだ。
もちろん,アメリカ人の多くは法を守り他人種に寛容で底抜けに明るい健全な市民だが,それでもとにかくみんな「楽をして他人のものを奪いたい」という社会であることは間違いないであろう。

かく言う小生も,たまたま出かけた少し治安の良くないスーパーでさらわれかけるという希有な経験をした。
子供や妻には気を配っていたが,まさか自分が狙われるとは思っておらず,ついつい油断したのがいけなかったようだ。
アメリカの犯罪に詳しい知人によると,こうした事例の場合はほとんどがレイプか臓器売買が目的で,さらわれれば100%生きては帰ってこられないとのこと。
幸い抵抗してことなきを得たが,一般人が安心して買い物もできないような社会が先進国と呼べるのかどうか疑問をもたざるを得ないのである。

今日の箴言
「アメリカはやっぱり侵略者の国」

第三の敗戦を繰り返さないために~其の四:誤った民族主義への警鐘~

2005-06-25 03:49:53 | 論文・考察
沖縄は23日、日本軍の組織的抵抗が終了したとされる日である60回目の「慰霊の日」を迎えた。
1945年4/1にアメリカ軍の沖縄上陸によって始まった沖縄戦は,牛島満司令官に指揮された日本軍の強固な抵抗により泥沼の地上戦に突入し,民間人を巻き込んでまさに地獄絵図となった。
アメリカ軍は54万人の大兵力を動員し圧倒的な物量を誇ったにもかかわらず、沖縄攻略に三か月近い日数と7万5千人にのぼる死傷者を出し、太平洋戦争で最も被害をうけた戦闘となった。
一方,十分な装備や食料もないまま「死守命令」を受けた7万5千人の日本軍と多数の沖縄県民は、絶望的な戦いと「捕虜となる辱めを受けず」と言う皇国教育にもとずく集団自決であわせて20万人以上の犠牲者を出して壊滅し、1945年6/23牛島司令官は自決し日本軍の指揮系統は完全に消失,この日を沖縄戦における組織的抵抗が終了した慰霊の日と定めているのである。

沖縄戦をはじめとする第二次世界大戦末期の歴史上類を見ない日本軍の玉砕戦は、良い意味でも悪い意味でも我々の心を強く打たずにはおられない。
特に神風特別攻撃隊として戦場に若い命を散らした兵士の遺言書や家族に宛てた手紙を読んだ時,彼等が崇高な理想と高度な知識を持ちながら迫り来る極めて理不尽で確実な「死」をなんと淡々と受け入れているかに驚き、その文章からにじみ出る憂国の情,母なる国・日本への思い,そして家族を守るという強い意志と崇高な自己犠牲の精神を知り、同じ日本人として涙せずにはいられないのである。
これは我々日本人だけでなく実際に日本軍と戦ったアメリカ軍兵士にも感じられた様で,彼等には考えられないような悪条件の中で強固に抵抗し最後の一兵となるまで戦闘を続けた日本軍兵士や、自らを爆弾の一部として戦艦に特攻してくる神風特別攻撃隊の操縦士を単に「クレイジー・モンキー」と吐き捨てるものばかりではなかった。
アメリカ太平洋艦隊司令長官ニミッツ提督は,ペリュリュー島の日本軍1万2千人がアメリカ軍の猛攻に最後の一兵となるまで強固に抵抗し、司令部全員が割腹自殺するという壮絶な玉砕を遂げたことに強く感銘を受けた一人であり,彼が建立した石碑にはこう書かれている。

諸国からこの島を訪ねる旅人たちよ
どうか伝えてほしい
この島を守るために日本軍人は
勇敢な愛国心をもって戦い
そして全員玉砕したということを

人類の歴史上「壮大かつ最も愚かな社会実験」であったソビエト連邦の崩壊とこれによる共産主義圏の消失は、今まで隠蔽されてきた共産主義による多くのグロテスクな現実を白日の下にさらけ出し,長年左翼系教師のもとで反日偏向教育を受けてきた日本人の心に大きな変化をもたらした。
今までは絶対的タブーであった憲法改正や自衛隊の合法化が公に議論されるようになっただけでなく,第二次世界大戦における日本の果たした役割やその意義について考えるとともに,いままでは「加害者」として常態化していた東アジア諸国に対する土下座外交を改める機運すら生まれるようになった。
反日偏向教育の象徴であった教科書に関しても,今までの左翼的自虐史観に疑問を投げかけ独自の視点から日本史を見つめ直すことを目的とした教科書が検定を通過し、教育現場で使用可能となった。
また次世代を担う若者に小林よしのり氏をはじめとする新世代民族主義に強く賛同する人々が現れ,左翼系の人が呼ぶ「ネット右翼」「ネチズン」と呼ばれる集団を形成しているのは周知の事実である。
こうした近年の流れは,偏向した左翼的自虐教育と左翼系マスコミによる情報操作から人々が解放され,第二次世界大戦を再度自分の目で見直すことでこれまで否定されてきた日本人的価値観を取り戻そうとする動きであり非常に喜ばしいもののはずなのだが,残念ながら小生はこの流れの中に非常に危惧すべき点があると考えている。

それは左翼的価値観からの急速な反動の結果,日本人が再び自己中心的で独善的な民族主義に陥る危険性だ。

小林よしのり氏をはじめとする新世代民族主義の人々は,彼の著書「戦争論」にも記されているように、左翼系教育者や左翼系マスコミが封殺してきた第二次世界大戦における日本の果たした正の側面に焦点を当てることで人々に訴え,共感を得ることに成功している。
すなわち、

1. 第二次世界大戦以前の帝国主義時代において,日本はアジアで唯一の独立国であり,欧米列強の侵略から日本を防衛するためには帝国主義的政策をとる必要があったこと。
2. 太平洋戦争の開戦は,アメリカの貿易封鎖とハル・ノートによる最後通牒により,やむにやまれぬ決断であったこと。
3. 黄色人種が白色人種と対当もしくはそれ以上に戦えると言う事実を世界中に知らしめ、多くのアジア民衆が日本の勝利に喝采を送ったこと。
4. 第二次世界大戦中の占領地で日本軍により教育を受けた人々の多くが第二次世界大戦後独立運動の指導者となり,帝国主義時代の終焉をもたらしたこと。
5. 左翼的偏向教育とは異なり,神風特別攻撃隊をはじめとする多くの日本軍兵士が崇高な理想と母国防衛の情熱に燃えた勇敢な戦士であったこと。
6. 日本軍の神風特攻や玉砕を辞さない凄まじい抵抗がアメリカ軍の本土上陸を躊躇させ,結果戦後の国体および天皇制の維持につながり,現在の日本繁栄の礎となったこと。

以上の主張に関しては小生は諸手を挙げて同意する。
第二時世界大戦は、我々が偏向教育の中で押し付けられた様に「帝国主義に狂った日本政府と軍部がアジアを侵略して非道の限りを尽くした挙げ句、多くの日本人とアジア人を犠牲にして正義の国アメリカと中国に敗北した」戦争ではない。

しかしこうした主張の問題点は,反動のあまり客観的な視点が欠落し、左翼系教育者の場合と同じく歴史の持つ違った側面や事実を無視してしまっている点だ。
確かに日本軍兵士の多くは「大東亜共栄圏」という理想を持った勇敢な兵士であったが,その理想の高さ故に独善的となりアジアの民衆を蔑視し,戦況の悪化により多くの残虐な行為や虐殺,捕虜の虐待を行ったのは事実である。
また玉砕攻撃や神風特別攻撃隊に代表される兵士の気高い自己犠牲精神と日本防衛の情熱とは裏腹に,「第三の敗戦を繰り返さないために~其の二:責任の明確化~」でも述べた様に、兵士を指揮する軍指導部では統帥権を楯に無謀な作戦を連発する辻政信のような参謀や、インパール作戦を強行した上に失敗の責任を部下に押し付け自分は娼婦と戯れていた牟田口廉也のような将軍が権力をほしいままにしていたのだ。
彼等の兵士の生命を軽視する姿勢・自己の権力と体面の維持・統帥権を楯にした専横が、補給を軽視した無謀な作戦の乱発や戦略的に無意味な死守命令を招き,結果日本軍は各地で補給もなく分散したまま圧倒的なアメリカ軍に各個撃破され民間人を巻き込んで玉砕するという悲惨な敗北を繰り返したのである。

遺書にもあるように非常に高い教養と理想を持ち日本防衛の情熱に燃えていた若い兵士たちを,提案した司令官大西瀧治郎中将自らが「邪道の作戦」と呼びその成功率も通常攻撃と比し高くはなかった神風特別攻撃隊として使用したこと,日本軍兵士の死因の多くは実際の戦闘による戦死ではなく補給の軽視から招いた食料の不足による餓死・病死であったこと、沖縄戦では住民を巻き込んだ地上戦の狂気の中、日本軍による虐殺や自決強要により10万人以上の沖縄県民が犠牲となったことは、目を背けてはならない歴然とした事実である。

第二次世界大戦では、欧米列強からアジアと日本を守るため日本は高い理想をかかげて勇敢に戦い、多くの兵士は祖国と家族のためその尊い命を犠牲にした。
だからこそ、第二次世界大戦を単に賛美・美化するのではなく,彼等を現地で略奪をせざる得ないような状況に追い込み,無謀な作戦で戦略的に無意味な死守命令のもと多くの兵士を玉砕させた軍指導部の無能さと卑劣さをしっかりと認識しなくてはならない。

神風特別攻撃隊の提案者・大西瀧治郎中将は常に自分の実施した作戦に苦悩し、多くの若い命を空に散らせたことに責任を取って「吾死を以て旧部下の英霊とその遺族に謝せんとす」との遺書を残して敗戦翌日割腹自殺した。
しかし他方では多くの兵士を無駄死にさせ悲惨な敗戦を招いた張本人である辻政信参謀と牟田口廉也司令官は、ともに責任を取ることなく戦後長寿を保ち自己の正当性を声高に叫び続けたのである。

人は聞きたいことしか聞かず見たいものしか見ない傾向があり,われわれの祖父たちが「残虐な日本兵」であるとするより「勇敢な兵士」であるとするほうが受け入れやすい。
第二時世界大戦の意義を見直し、日本と家族のために勇敢に戦い死亡した兵士たちの失われた尊厳を取り戻すのはすばらしいことだ。
しかし同時に日本軍指導部の愚かさ、唾棄すべき人々の存在、日本軍が行った残虐な行為を正当化することがあっては決してならないのである。

現代に生きる我々は,崇高な理想のもとで戦った多くの兵士の死を無駄にしないために,偏狭で独善的な民族主義に陥ることなく、客観的に歴史を見つめ,反省すべきは反省し,それをこれからの日本に役立てて行かねばならない。

今日の箴言
「諫言は耳に痛く,良薬は口に苦し」

アメリカ文化雑感~其の五:食文化~

2005-06-23 04:57:46 | アメリカ文化雑感
アメリカに暮らして実感するのは,日本との食文化の大きな違いである。
日本人の食生活が近年西洋化していると声高に叫ばれるが,実際にアメリカの食文化に直接触れると、西洋化と言っても本家アメリカの足下にも及ばないことがわかるし、自分が日本人であり日本食をどれだけ愛していたかが実感できる。

まず彼等は骨の髄から「肉食人種」である。
牛肉,鶏肉,その他諸々の肉をとにかく毎食大量に食べるし、どうやら肉を食わないと食事をした気にならないらしい。
彼等にとって日本でお馴染みの「コロッケ定食」は、「フライしたポテトにご飯とサラダ」と認識され、我々が食事にサラダだけを食べる状況と等しく感じるのである。
小生のラボにはボスの希望で日本人コックによるまかないが付いているのだが,一度コロッケ定食が昼食だった時,アメリカ人の多くが「こんな野菜ばかりの食事では仕事ができない。」とハンバーグを買いに行ったのには,食文化の違いを実感させられた。
ただし、肉大好きなアメリカ人だが,その調理法は日本人から見るとお世辞にも豊かとは言えず,基本の塩胡椒に加えアメリカ謹製のこってりバーベキューソースと日本から輸入され大ブームの甘辛いテリヤキがあるぐらいで、ほとんど同じ味である。
また日本とは異なって「柔らかさ」よりも「歯ごたえと肉汁」を好む結果,日本人の感覚からいくと堅くて冷めるとまずい肉がおいしいとされているようだ。
また彼等は魚をほとんど食べず,結果スーパーの魚売り場には鮭と白身魚の切り身ぐらいしかおいていない。
しかも鮮度はかなり疑わしく,調理済みのものにいたっては,日本人が口にしたとたん料理を地面に叩き付けたくなるようなものばかりである。

次に感じるのは,単純な味のものを大量に摂取する傾向だ。
アメリカの食事はとにかく何でも量が多いのが特徴であり,日本でお馴染みのマクドナルドやケンタッキーフライドチキンも約1.5倍の分量がある。
ケンタッキーフライドチキンのマッシュポテトにいたっては,皿の上に小山を形成するほどの量で最後まで食べきるのは通常の日本人であればまず不可能だ。
そしてお味の方は非常に単純でいわゆるダシのようなコクや深みが全くなく,「塩からい」「甘い」「辛い」に分類され,しかもそれぞれが極端に濃いのである。
特にひどいのがケーキなどの「甘い」味で,一般にショートケーキは頭痛がするほどに甘く、一口食べても何のケーキであるかすら分からないほどだ。
こうした極端な味覚の食事をダイエットコーラと共に胃に豪快に流し込むのがアメリカ流といっても過言ではない。
彼等がちまちまと出てくる日本の懐石料理を食べてもちっとも満足できないのは現地の食生活を知ると十分に理解できるのである。

ただこうした食事を続ける結果,アメリカの肥満率は年々上昇し、特にここカリフォルニアは人口の30%以上が肥満でアメリカで最も肥満人口の多い州という不名誉な称号を得ている。
確かに街を歩くと十両クラスは当たり前で小錦クラスの人もちょくちょく見かけるし、日本と比較して「太っている人」の定義が全く違うのである。
こうしたことから積極的にダイエットを進める広告や、肥満の大きな原因とされるファーストフード摂取の減少を呼びかけるキャンペーンが行われているが,あまり効果はないようだ。
多くの人はフードコートで特大サイズのピザを丸ごと食べながらダイエットコーラを飲むという,日本人が見ると思わず突っ込みを入れたくなるような食生活を続けている。

小生は日本にいた時は仕事柄マクドナルドなどのファーストフードをよく利用していたのだが,こちらに来てとんと食べなくなってしまった。
貧乏留学のせいもあるのだが,食事はもっぱら妻の作ってくれる和食,しかも日本ではほとんど食べなかったような焼き魚や野菜の煮物が中心になっており、日々食文化の違いを実感する毎日なのである。

今日の箴言
「ロサンゼルスでおいしいものが食べたければ,日本料理店に行くべきである」

日米同盟の意義~その重要性~

2005-06-22 05:08:24 | 国際情勢
毎日新聞の実施した在沖縄米軍に関するアンケートで,沖縄県民の70%、全国では45%が「不要」と回答したとのこと。
第二次世界大戦末期の沖縄戦で民間人を含めた20万人が犠牲となり,戦後も在日米軍専用施設の75%が集中し米軍の理不尽な行為やレイプを含めた犯罪に苦しめられている沖縄県民が在沖縄米軍を拒否する気持ちは理解できる。
しかし全国でも45%もの人々が米軍基地の重要性を理解していないことには,驚きを通り越してあまりの「平和ボケ」にあきれるしかない。

小生は以前にも述べた通り,思想的には中道右派もしくは右派の穏健派といったところである。
そのため当然、左翼の平和ボケ夢想論にもとずく「米軍撤退と自衛隊の廃止」に関しては,夢物語として議論しない。
しかし同時に右派の一部の人々が唱える「米軍撤退と日本人による独自防衛」にも到底賛成できないのである。

まず第一に,アメリカが現時点で世界最強の軍事力・経済力を保有し,国際連合すら無視して他の独立国家を濡れ衣のもとに攻撃できる唯一の超大国であることは議論の余地はなく、同盟を破棄することは自殺行為に等しい点である。
今回のイラク戦争で明らかになった最も重要な事実,それは「アメリカににらまれたらどんなに国際連合で弁明しても攻撃される」「アメリカの決断を国際連合は掣肘できない」ということだ。
国際法や国際連合は,超大国アメリカの前では全く無力なのだ。
在日米軍の撤退とこれに伴う日米安保条約の改正はこのアメリカとの同盟を破棄することを意味し、以後アメリカから濡れ衣を着せられて攻撃される可能性が生じることを意味する。
これは軍事的な意味だけでなく,「アメリカがくしゃみをすれば日本が風邪を引く」と揶揄されるほどアメリカに依存している日本経済は,敵対的なアメリカ国内法を数本発行されればそれだけで大変な経済的損失を被る。
超大国との同盟を維持することで国際社会での地位を安定化させることは国際政治学の常識であり,在日米軍の撤退はこの常識に反するものなのである。

第二に,在日米軍なしに軍事的に日本固有の軍隊だけで日本を中国やロシアの侵略から防衛することは現状ではほぼ不可能に近く,しかも厖大なコストがかかる点である。
前述の「自衛隊の軍事力~隠された実力~」でも検証したが,確かに自衛隊の軍事力は現時点では装備の面で近隣諸国を圧倒しているが、それは装備においてだけで実際の自衛隊は専守防衛の制約に縛られてきわめて偏ったシステムに陥っており,実際の戦闘で兵器の額面どおりの働きができるかというと疑問符が付かざるを得ない。
さらに日本人は戦後の左翼系教育者による偏向教育により「頭の中お花畑」の平和ボケにどっぷりと浸かってしまっており,国家の基本的権利である「国土防衛」に関する意識の低さは笑福亭某と言うタレントがラジオで「竹島を韓国にやれば良い」と発言するほどなのだ。
こうした国民を再度教育して一つにまとめあげ,さらに自衛隊を単独で日本国土を防衛できるだけの規模にするためには厖大な時間と費用が必要である。
しかも仮想敵国である中国とロシアは核保有国であることから究極的には日本も核兵器の所有が必要になるが,国民感情を考えてもこれはほぼ不可能に近い。

第三に,日本が独自で自国を防衛できる軍隊を所有した場合,極東アジア諸国が確実に軍拡競争に突入する点である。
中国や韓国の日本に対する不信感と軍国主義化に対する恐怖感は,近年のアジア情勢を見れば容易に理解できる。
中国や韓国にとって、日本は東の島国で文化も共通したものが多いにも関わらずいち早く西洋化を成し遂げ、あろう事か同じアジアを侵略し、一旦は敗北したもののアメリカにすり寄って復活し大国としてのしあがった信用できない国なのだ。
日本が軍備増強に努めればこれらの諸国も恐怖心から軍拡につとめ,結果終わりのない泥沼の軍拡競争と極東アジア情勢の軍事的緊張をもたらすことになり,これは日本だけでなく世界情勢にも大きな影響を及ぼす。
また、最近のブッシュ・小泉両首脳の蜜月関係とは裏腹に,アメリカも日本を完全に信用してはおらず日本の軍備増強を望んではいない。
アメリカにとって日本人は「日頃は大人しいくせにキレると何するか分からない国」であり、真珠湾攻撃・万歳突撃・神風特攻は記憶に生々しく残っている。
アメリカも日本が同盟国として大人しくしていてくれる方を望んでいるのである。

小林よしのり氏が著書で主張している通りアメリカは白人優位主義国家であり,日本を蔑視し51番目の州ぐらいにしか考えていないことはよく理解している。
原子爆弾を動物実験感覚でソ連への威嚇のために投下したり,歴史上希有な都市への無差別爆撃を実施したうえ、東京裁判という茶番劇を堂々とやってのける国家だ。
そうして第二次世界大戦では多くの日本人の若者が白人の植民地支配から日本とアジアを守るという理想のもとに若い命を散らして逝ったことも知っている。

だからこそ現代に生きる我々は日本をいかにして安全で住み良く、世界に誇れる国にするかを真剣に考えなくてはならない。

在日米軍撤退と独自防衛を主張するのは勇ましいが,現状を分析すればあまりにも国際情勢を無視した暴挙だと言わざるを得ないのである。
また某次期政権政党・民主党岡田代表の言うアジア重視の外交政策と対米追従の見直し論がいかに空疎で「頭の中お花畑」な考え方であるかが理解できるだろう。

沖縄の人々には大変申し訳ないが,沖縄の米軍基地は今後ますます緊張の増す日米対中国の軍事戦略において最重要の拠点であり,アメリカが撤退することはあり得ない。
本土住民としては,償いとして保証金の拠出を進める一方,日米関係そのものをゆるがす米軍兵士の犯罪に関しては政府の毅然とした態度とアメリカ政府への断固とした再発防止策の要求ぐらいしか,沖縄のためにしてあげられないのが残念である。

今日の箴言
「泣く子とアメリカには勝てない」

小泉外交の成果~土下座外交からの脱却~

2005-06-21 05:01:06 | 国際情勢
韓国で実施された日韓首脳会談で歴史問題に関する土下座外交が回避されたとのこと。
会談後の記者会見でも,小泉首相は韓国国民の神経を逆撫でする正論(笑)をはいてくれて,韓国不法操業船だ捕問題で鬱積した日本国民のストレスも少しは軽快しただろう。
ノムヒョン大統領が支持率アップのために再び反日運動をあおるかもしれないが、今回の日韓首脳会談は対東アジア土下座外交からの脱却を示す重要な一歩となったことは間違いなく,北朝鮮による日本人拉致問題を明らかにしたことと並んで小泉首相の大きな業績だと思う。

まず第一に,日本が独立国家であり侵略国・敗戦国という呪縛から解放されつつあることを内外に示したことだ。
「靖国神社問題~外交カードとしての重要性」でも述べたが,靖国神社を首相が公式参拝することの是非は純然たる日本の国内問題であり、いくら第二次世界大戦の被害者(一応そういうことにしておく)だからといって韓国がそれを非難し中止を要求する理由はどこにもない。
日本が韓国の植民地であるならいざ知らず、両国はれっきとした独立国家同士であり,自国に影響が及ばないにもかかわらず他国の首相の行動をとやかく言うのは明らかな内政干渉で国際法と国連憲章に違反する。
今までの歴代首相や政治家と外務省はこうした当たり前の外交原則すら理解せず、他国から批判があればすぐに修正するという土下座外交を繰り返してきた結果,日本の国際社会での地位はその経済力とは裏腹に著しく低く、常に中国や韓国に軽視されて続けてきたのである。
小泉首相の姿勢は,日本が独立国家であると言う当たり前の事実を周辺諸国に明らかにしただけなのだが,今まで誰もなし得なかったことであり非常に大きな業績であろう。

第二に,国際条約や外交姿勢を継続的に維持できず、政権が交代すれば手のひらを返した様に前政権時代の公約を反古にする韓国に付け入る隙を与えなかった点である。
小生は嫌韓ブームに乗っかるつもりはないのだが,韓国の歴代政権による統一性なく国際条約を軽視し自国の利益のためには平気で条約を破棄する外交姿勢にはもはやうんざりである。
彼等には日本人が持っているような「信義」は存在しないし、それを信じて海上保安官を拉致した漁船を韓国に引き渡す日本人はバカとしか言い様がない。
ただし韓国国民にこうした概念が存在しないのは善悪の問題ではなく,文化的な相違でしかない。
中国と日本にお互いへの侵攻路として再三侵略され、封建的な儒教制度の下で多くの人々が長い間抑圧され悲惨な生活を送ってきた涙を誘う歴史のため、彼等には他者を信頼し行動するといった倫理観が極めて低い。
いわんや相手が「侵略国日本」であれば、倫理観など通用するはずがあろうか。
そうしたことを理解せずに、相手を信じて今まで謝罪や共同宣言を乱発し,律儀にそれを守ってきた日本の方がお人好しを通り過ぎてバカ丸出しだったのだ。
小泉首相はこうした「おバカ外交」を中止し,日本が世界に恥をさらすことを避けてくれたのである。

第三に、アメリカから離れ北朝鮮に接近する韓国と一定の距離を保つことで日米同盟を堅持することを国際社会に表明した点である。
先日の米韓首脳会談でのブッシュ大統領の華麗なスルーをみても、アメリカがもはや韓国を同盟国とみなしておらず,極東アジア戦略を日米同盟を中心に据えた対中国政策に切り替えたことは明白である。
再度マーケットの馬車馬さんの「大丈夫か韓国」シリーズをご参照頂きたいのだが,国家間の同盟関係で最も大切なのは政治力学であり,日本にはもはやアメリカから切り離された韓国と友好関係を維持するメリットがなくなっているのだ。

小泉首相は就任当初は「外交に弱い」とされていたが,ふたを開けてみれば内政の失敗を外交で取りかえすと言う政治手法を駆使して支持率と政権を維持してきた。
今回の首脳会談もそうした手法の一環なのだが,「正論を貫くことで支持を得る」という当たり前の様でも政治家がなかなかできないことを実行しており,やはり今までの慣例にことごとく反して首相の座をもぎ取ったひとかどの人物なのであろう。

今日の箴言
「当たり前のことを貫く,それが正義」