整列機とは?

部品供給方法、部品供給装置のいろいろ

並び終わったら自動で止まるのかね?

2018-08-16 11:03:11 | 効率アップ
ウエステックの整列機は、部品を面単位で並べる装置です。
並べる部品にもよりますが、整列に要する時間は
概ね1~6分程度になります。

整列機の動きというのは、並べる部品ごとに、
あらかじめプログラムされている振動条件で動作し、
並び終わったらテーブル部が水平に戻って停止します。

では、並び終わったという検知はどうするのか?

通常は人間が行います。

センサーやカメラ等を用い、並び終わった事を
検知する事も可能かとは思いますが、弊社では
それを標準装備として用意していません。

理由は幾つか有りますが、並べる部品が、整列ピッチ、
整列のパターンが多種多様過ぎて、標準化できない
というのが大きいです。

並べる部品は金属・プラスチック・セラミック・
ガラス・ゴム等の材質で、大きさも形も色も
多種多様。金属とプラスチックとゴムが
サブアセンブリーされた部品も有ります。

並び方も、規則正しく縦横それぞれ等間隔に
並んでいれば良いですが、並べた後の次工程に
合わせた並び方ですと、基板上にマウントされる
電子部品のパターンになっていたりですとか、
並べる位置によって部品が左右逆になって
いたりする場合もあります。

並べる部品の種類と同じだけ、整列パターンが
違って来ると言っても過言ではありません。

しかし、それはあらゆる業種の部品を
全て並べようとする、ウエステック社内の話です。
ユーザーであるお客様の方では、整列パターンは
数えるくらいしか無いかも知れません。

すると、自動検出が必要との事であれば、
お客様サイドの方で、検出する装置を
ご用意戴いた方が効率的という事になります。

その方が、並べた後の工程の事も考慮に入れて、
検出装置を設計できるというメリットも
有ります。

また、整列率が毎回必ず100%、というわけでは
ない事も、検出装置の標準化を難しくしています。

ただ並んでいない整列穴が点在する、
という現象ばかりではありません。
整列穴に入ってはいるものの、
向きがおかしいですとか、2個の部品が絡んで
入ってしまっている場合もあります。

更には、部品そのものが変形したり
欠けたりしている場合も有ります。

それらを含めて、全て検出するのは困難です。

ところが、人の目だと意外と簡単です。

全部で1万個並んでいる部品の内、1個だけ少し斜めに
なっている部品が有ると、すぐに分かります。
整列治具を真上から見ても分からない場合でも、
少し斜めから見るとすぐに分かったりします。

実際、部品の外観検査という目的の為に、
整列機で部品を並べる、という需要も多いです。
外観上の不良品は、多数個を同じ方向に並べると、
簡単に見付ける事ができます。

その場合、製品の上下左右を見なければなりませんので、
整列機で或る向きに整列治具上に部品を並べ、その後は、
反転治具に移し替えたり、90°姿勢変換治具に
移し替えたりして、多数個同時に部品の向きを
変えます。

その向きごとに、整列機で並べ直す様な事はしません。

さて、話が脇にそれましたが、並んだどうかを検知して
整列機が止まっているのではないとしたら、
どうやって止めているのか、という疑問が湧く方も
いらっしゃるかも知れません。

実は、整列プログラムを、整列率の良い状態になるまで
長く設定しているだけです。

例えば、4往復で整列率がほぼ99%以上になるものの、
4~5回に1回くらいの頻度で、98%を切ってしまう
場合が有るとします。

この様な場合は、整列プログラムを5往復にします。
すると、コンスタントに99%以上の整列率で安定します。

但し、この辺は考え方次第です。整列プログラムを
5往復にする事によって、整列時間が30秒長くなる
としたら、敢えて4往復で止めてしまい、未整列の箇所は
手修正する、という方法も有ります。手修正が数秒で
終わってしまうのであれば、その方が効率的です。

しかし、手修正に何十秒も要する部品もあります。
拡大しないと部品の向きがハッキリしない、
もしくは手作業では整列穴に非常に入りにくい、
といった場合です。

こういう時は、整列の往復回数を増やしてでも、
平均の整列率を上げた方が良い事になります。

ウエステックの整列機は、作業者が勝手に
整列プログラムを変更しないように、
プログラムをロックする機能があります。

しかし、実際には、作業者に創意工夫させ、
やりやすいように作業してもらった方が、
結果的に作業効率が上がる事も少なくありません。

作業者が慣れて来ると、どんどん処理速度が
上がる場合もあります。

例えば、ウエステック社内で整列データを
取る時は、未整列の部品を回収パレットの上に
投入します。しかし、部品が回収パレットから
整列パレットの上に流れ着くまで、
時間が掛かるようでしたら、いきなり
整列パレットの上に部品を投入しても
良いわけです。

また、部品の補充も、通常は整列が終わって
整列機が水平に停止した時にやりますが、
これも整列機が動いている最中にやっても
良い場合があります。

ただ、整列機が振動中に、部品を補充すると、
その部品が飛び跳ねやすいので、途中補充に
適した部品でしかやらないようにした方が
無難です。

これで少しは涼しくなりますかね?

2018-07-30 11:52:09 | 効率アップ
コーヒータイム(与太話)

関東地方は台風の影響で先週後半だけ
涼しかったのですが、猛暑が戻って来て
しまいました。西日本はずっと猛暑です。

なので、少しでも涼しくなるようにと(?)、
怪談の第3弾をお届けします。

ん?第3弾?って、第1~2弾は去年お届けしています。

第2弾のように、20年以上も前の出来事であれば、
具体的な場所を掲げても支障ないかと思いますが、
今回の話は最近ですので、地名などは伏せておきます。

今のデジカメには、顔検出機能というのが
あります。被写体の中で人物の顔が有れば、
それを検知し、そこに自動でピントを合わせる、
というものです。

この機能は10年ほど前には既に登場していて、
今では当たり前のように使われています。

初期の頃は、顔検出機能を手動でONしなければ
なりませんでしたが、最近ではカメラが人物を
見付けたら、自動で顔検出機能がONになります。

私の友人が、古城で風景写真を撮影していたところ、
自分1人しかいないはずなのに、突然顔検出機能が
ONになりました。

しかし、実はその現象、初めてではなかったため、
また誤動作か?と思い、大して気にも留めずに
撮影を続けていたそうです。

ただ、顔検出機能がONのままだと、
自分が意図しない所にピントが合ってしまうため、
顔検出機能が入らない設定に変更しました。

すると、今度は液晶が乱れ始めます。
それでも友人は慌てません。

実は、そのデジカメは或る不具合で
リコール情報が出ていた製品だったのです。
たまたまこのタイミングで症状が出たか、
と思っただけでした。

そういう事もあるかと思い、
もう1台のデジカメを取り出しました。

さっきのは広角に強いデジカメ、
今度のは望遠に強いデジカメです。
被写体によって使い分けるためもあって、
2台持って来ていたのです。

望遠に強いデジカメも、広角側で撮れば、
それなりに希望に添った撮影ができます。

あたりを移動しながら、撮影を続けていました。
結構な枚数を撮ったので、車を置いてある所に
戻り始めました。

戻りながらも、時々カメラを覗いて
風景を確認します。広角側とは言っても、
さっきのデジカメとは画角が違うため、
同じ場所で撮っても同じ写真には
ならないからです。

しかし、こっちのデジカメも、顔検出機能が
急にONになりました。しかも、さっきのデジカメの
顔検出機能がONになったのと同じ場所です。

2つのデジカメは、メーカーも違います。
ちょっと不思議に思えました。

デジカメの顔検出機能が誤認識するような
被写体があるのか?と思って見回しますが、
特にそのようなものはありません。

その時、カメラバッグの中で、ウィーンと鳴る音が
しました。調子が悪かった方のデジカメが、
勝手に電源が入り、レンズがせり出して来た音でした。

他の荷物が電源ボタンを押しちゃったかな?
いずれにしても、そのままだと、ケースがレンズを
押さえ込む状態になってしまうので、
慌ててそのデジカメをケースから
取り出しました。すると、液晶が直っています。
シャッターボタンを半押しすると、
ちゃんと写せそうです。

しかし、また顔検出機能がONになりました。

あれ?ONにならない設定にしておいたはずだけどな?
それとも、電源を一旦切ると、設定が戻ってしまうん
だったっけな?

偶然にしても、さすがに顔認識ONの3連発は
不自然に思えました。

撮ってみるか、と思い、顔検出が働いている方向に
カメラを向け、シャッターを切ったそうです。

今は正常に戻っていますが、また液晶がおかしくなる
可能性もあったので、もう1台のデジカメの方でも、
同じ方向で顔検出が働いている状態でシャッターを
切ったそうです。

ホテルに戻って来て、部屋の大型テレビとデジカメを
HDMIケーブルでつなぎ、写真を1枚1枚確認していました。

そして、問題の写真です。友人はそのまま
固まってしまいました(何が写っていたかは
話してくれませんでした)。

もう1台のデジカメの方も、確認しておかない
わけには行かないな、と思い、
テレビにつなぎ換えました。

問題の写真に差し掛かった時、友人は思わず
椅子から転げ落ちそうになったそうです。

友人はその2枚の写真だけをデジカメから消して
帰ったそうです。

後日、私は、消された2枚以外の写真を
見せてもらいました。

ファイル名は連番になっていますが、
ちょうど同じような風景の所で、
2ファイルだけ欠番になっていました。

私が「消しちゃったファイルを復旧できる
ソフト持ってるよ」と友人に言ったところ、
その時は「絶対いらない」と言っていましたが、
後日LINEで「貸して欲しい」と連絡がありました。

ちょうど1年前の話です。復旧させたかどうかは、
まだ聞いていません。

点と面

2018-07-23 09:55:50 | 効率アップ
今日の題名は「点と面」です。小説の「点と線」とは
関係ありませんので悪しからず。

ウエステックの整列機は、部品を面単位で整列させる
装置です。

部品によって整列時間はバラバラですが、
概ね1~6分くらいで整列し終わります。

整列が簡単な部品であれば1~2分、
難しい部品で5~6分といったところです。

5分で整列率が悪かったとしても、
10分流せば良くなるのか、というと
必ずしもそうとは言えません。

7~8分も流して、整列率が悪ければ、
その部品は整列機で並べるのには
適さないという判断が出来ます。
10分以上流しても、整列率が良くなって
行かない場合が多いです。

その理由は様々ですが、整列済みの部品に、
未整列の部品が引っ掛かり、空いている
整列穴の場所までたどり着けなかったり、
せっかく並んでいる部品が、整列機の振動や
未整列の部品がぶつかる事で、
整列穴から出て行ってしまう、
といった現象が典型的な例です。

ここが、部品を一個一個供給する
パーツフィーダー等とは大きく異なる
特性の一つです。

一個一個供給する為には、一個一個の
整列が順次そこで完結する必要があります。

一方、面での整列の場合は、文字通り一面に
配置してある整列穴の、どこから並び始めても
良いわけです。

例えば、縦20列×横20列=計400ヶ所の整列穴が
配置されているとして、時間が経つに連れ、
全体的に少しずつ未整列穴が埋まり始める
というパターンが大部分です。

もちろん、流す部品の特性によって、
整列治具の奥の方が並びにくいですとか、
左右の端の方が並びにくい、というケースは
ありますが、手前側は8割以上並んでいるのに、
奥側は1個も並んでいない、といった現象は
起きません。

もし起きているとしたら、揺動を切り返す
タイミングが早過ぎて、部品が奥に流れ着く前に
流れが逆になって部品が戻って来たりといった、
整列機の設定を変えれば対処できる問題に
過ぎません。

整列機は、未整列の部品が、整列済みの部品に対し、
大なり小なり、何らかの影響を与えます。

一方で、一個一個供給する装置の場合は、
部品一個で完結しますので、後から流れて来ている
未整列の部品が、既に供給し終わった部品に対して
影響を与えるという事はありません。

一見すると面単位整列より優れているようにも
思えますが、どれか一個の部品が何らかの原因で
詰まったりすると、その後の部品の供給が
全て止まってしまいます。

例えば、整形品である部品のゲートの切り落としが
うまく行かずに、許容範囲を越えた大きなゲートが
残っており、部品供給中に引っ掛かる寸法に
なってしまっていたりする場合です。

抜き取り方式で部品検査はしていても、
ゲート不良の部品の発生率が非常に低い場合、
組立ラインに不良品が流れて来てしまう事は
珍しくありません。

一個一個部品を供給する装置は、
詰まって機能停止します。アラームを出し、
作業員が不良品を見付けて排出するまでは、
止まったままです。

ゲートの切り落とし不良が混じっている、
という情報が事前に周知されていれば、
まだ対処は早いですが、そういう現象が
初見だった場合は、止まっている原因が
分からなかったりして、復旧するまでに
かなりの時間を要する事になります。

ゲート不良の発生率は極めて低くても、
部品供給ラインでのその影響は多大です。

一方、面単位で部品を整列させる装置は、
ゲート不良の部品は並ばずに整列穴を
通過して行ってしまうか、もしくは
正常な姿勢より少し斜めになった状態で、
整列穴に入ったりします。

一個もしくは数個、整列治具の上で
斜めになっている部品が有ると、
目視でもすぐに発見できます。
コンマ数mmといった小さな部品でもです。

全ての部品が正しく並んでいると、
整列治具の上面は綺麗に平坦になって
いるように見えます。

そこに一個でも僅かに斜めの部品が有ると、
目立つのですぐに分かります。

完璧に掃除した床のカーペットの上だと、
米粒が一個落ちているだけで分かるのと
同じです。

つまり、面単位で並べる整列機は、
エラーの発見と修復が容易で、
チョコ停が起きない事になります。

また、基本的に部品が一個一個しか
出て来ないパーツフィーダーは、
供給スピードに自ずと限界が出て来ますが、
整列機は違います。

並びが非常に良い部品ですと、
1分間に何千個も並ぶ事もありますし、
1万個超並ぶ場合もあります。

想像していたより会社が小さい?

2018-07-17 11:33:50 | 効率アップ
コーヒータイム(余談)

ウエステック
は部品供給装置、その中でも
整列機と呼ばれる、面単位で部品を多数個同時に
整列・供給させる、という機能に特化した製品を
製造・販売しています。

そして、整列率の善し悪しは、7~8割方、
整列治具の出来・不出来で決まります。

整列治具は、並べる部品一つ一つに合わせて
最適な整列穴形状を事前の実験で見付けておき、
その寸法を反映させながら加工します。

そのため、ほとんど全ての整列治具が
オーダーメイドです。

整列治具以外にも、並べた部品を一度に取り出す
吸着治具や、部品の向きを一斉に90°変える
姿勢変換治具、部品どうしの圧入に使う剣山治具等々、
実に様々な治具を作っていますが、それらも全て
オーダーメイドです。

治具サイズもお客様ごとに全てバラバラです。

同じ仕事が2つと無く、ほとんどがオーダーメイド。
その手間たるや、大変なものがあります。

リピートオーダーもたまに来ますが、件数としては
新規の件の方が圧倒的に多い状況です。

すると、どうなるか?

毎日毎日、整列実験・組立実験・本番用治具の確認と調整、
それを何十件も同時進行で進めて行きます。受注していて、
仕掛かっていない分を含めると、100件を越えます。

一方で、ウエステックの社員数は30人もいません。
実際に治具製作にたずさわっている者だけだと、
更に少ないです。

様々な部品の整列・組立を手掛けて来ていますから、
ノウハウの蓄積も半端無いものが有りますが
それでも、これだけ手間の掛かる物をこれだけの
少人数でこなすのは、非常に大変です。

逆の視点から考えますと、これだけのノウハウの
蓄積が有り、これだけ大量の件数をこなしている
のであれば、ウエステックという会社は
それなりに大きく、社員数もそこそこ
いるのではないか、と想像されている
お客様が多いようです。

弊社のホームページの"主な取引先"のコーナーを
見ても、名だたる大手企業が並んでいます。

そんなお客様が、納入前立会とかで弊社に来社されると、
表情には出さなくても、内心「こんな小さな会社なの?」
と驚いていらっしゃるのではないかと容易に推測できます。

しかし、これだけ小回りが効くのは、
小さい会社だから、というのも有ります。

お客様の部品が新製品用だったりすると、
整列治具や組立治具を作っている最中に、
お客様から「部品が設計変更されます」という
連絡が来る事も珍しくありません。

それにも直ぐさま対応できる、修正の内容によっては、
納期を変更せずに対応できる場合もあります。

とにかく手間が掛かる仕事を多数同時進行させ、
途中の変更にも柔軟に、かつ短納期でこなせる、
そこが大きい会社が整列機や整列治具に
参入して来られない理由でもあります。

一方で、中小企業ならではの悩みも有ります。

取引先は大企業が多いですが、セキュリティ面で
同じレベルを求められても困ります。

ウエステックの会社・工場の外観は、"町工場"
と言った方が分かりやすいかも知れません。

まず、門に守衛がいません。飛び込みの営業マン
とかかが普通に入って来てしまいます。

全く関係ない業種の営業マンが突然来る事も
有ります。お菓子を売りに来た事も有りました。

ウエステックは、整列治具を作るにあたって、
当然ですが、お客様から借りた部品や、
図面等を預かっています。お客様にとっては
非常に重要な物です。

それが無関係な部外者に見られてしまう
危険性は無いのか?というのが危惧されます。

一口に部外者と言っても、そういった部品を
見てもサッパリ分からない人が多いでしょうが、
中には製造関連に詳しい人もいるかも知れません。

改築工事を行う前のウエステックは、
明確に"玄関"だと分かる入口が有りません
でしたので、いきなり現場のドアを
ノックして来る人もいました。

当時は、中に入れないよう、中の品物を
見られないよう、注意しながら対応して
いました。ドアに"関係者以外立入禁止"
のステッカーも当然貼っていました。

それでも気付かないのか、いきなり入って
来ようとする部外者が時たまいました。

社屋の改築工事はまだ完了してはいませんが、
現時点でもきちんとした玄関(受付)ができ、
商談室の奥が試作室、そして製作現場へと続く
レイアウトになりました。

もちろん設計や営業・経理といった部署には、
警備会社のセキュリティを導入しています。

1枚の整列治具に、同時に2種類の 部品を流して、整列させる事が可能か?

2018-07-09 11:56:30 | 効率アップ
前回のブログで、整列治具の専用化と共用化、
という話をしました。

ウエステックの整列治具は、並べる部品によっては
共用化(共用)可能な場合が有る事、しかし一方で、
仮に共用化が可能であっても、敢えて
専用化させる必要に迫られる場合が有る事、
について述べました。

さて、今回はそこから更に一歩踏み込みます。

異なる2つの部品を混ぜて投入し、
1枚の整列治具に並べる事は可能か、
というものです。

部品によっては、対応可能です。

しかし、そんな整列治具、使い道が有るのか?
とお感じになる方もいらっしゃるでしょう。

レアケースかも知れませんが、用途は有ります。
主に組立用です。

例えばOリングとリベットです。Oリングの
整列穴にはリベットは入りませんし、
リベットの整列穴にはOリングは入りません。



もちろんお互いの整列穴に入らないサイズの物を
選ぶ必要はありますが、だいたい同じくらいの
サイズであれば、お互い形状が違い過ぎるので、
違う部品の整列穴には入りません。

さて、Oリングとリベットを一緒に並べて
どうするの?と言われそうですが、
例えばこんなケースです。



マニホールドのフタが30個に対し、
Oリングとリベットを各4個ずつ配置する
必要が有るとします。

まずOリングとリベットをそれぞれ120個ずつ、
このパターンで並べます。

整列治具で並べた後、このパターンのまま
Oリングとリベットを各120個いっぺんに
吸着してマニホールドのフタに移し替え
られれば、非常に楽ですし速いです。

サイズの違う2種類のOリングを、
1枚の整列治具に並べる事もできます。



整列治具をこのような断面形状にしておけば、
小さい方のOリングが大きい方の整列穴に
並ぶ事はありませんし、逆もまた然りです。

さて、分かりやすくするために、敢えて簡易的な
例を挙げましたが、或る程度複雑な形状の部品でも、
1枚の整列治具に混ぜて並べる事ができる
場合があります。

しかし、仮に並べられたとしても、2つの異なる部品を
流す事で、お互いの部品に傷やダメージを与える事が
ないか等も慎重に検討する必要があります。

更に、ここが一番重要なのですが、それぞれの部品を
別々に整列させ、移し替えを2回やるのと、
どちらがメリットが有るのか、見極める必要が
あります。

実際、1種類の部品にそれ専用の整列プログラムを
使って並べた方が、整列時間が短くなりやすいです。

もしも、2個の部品を並べるのに各1分ずつを要し、
2回の移し替え作業にそれぞれ30秒かかるとすれば、
1タクト3分です。

一方、2個の部品を一緒に並べるのに2分を要し、
1回の移し替え作業に30秒かかるのであれば、
1タクト2分30秒です。

2個の部品を一緒に並べた時の方が30秒の短縮に
なりますが、これは移し替え作業が1回で済むからに
他なりません。

更に、各部品の整列プログラムが似通っていれば、
2個の部品を一緒に並べるのに1分半で済むかも
知れません。すると1タクトを2分に短縮できます。

逆に、2個の部品が、それぞれの整列穴で、
お互いの部品が並ぼうとするのを邪魔するような
傾向が見受けられると、整列に3分を要する事も
有り得ます。すると、1タクトが3分30秒になり、
時間をロスする事になります。

2種類それぞれ並べて移し替えを2回やっても、
1タクトの時間があまり変わらなければ
素直に2個別々に並べた方が良いかと思います。

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話が少しそれますが、1枚のトレーに、
サイズや形状の異なる部品を並べる用途というのは
他にも有ります。

例えば、1枚のトレーに、

・M3×L6のナベ小ネジを20本
・M3用の平座金を20個
・内径Φ5用のC形止め輪を12個
・M4×L10のキャップボルトを16本
・M4用のバネ座金を16個

以上を並べる必要があるとします。

このトレーは何に使うかと言いますと、
作業者が或る機器の組立を行う際に、
使う部品一式を揃えたものです。

その機器を組み立てるのに、
これらの部品全てを使い切れば、
つまりトレーが空になれば、
組み込み忘れが無い、
という事になります。

例えばM3用の平座金が1個、
トレーに残っていれば、
それを組み込み忘れている事になります。
組み込み忘れ防止のためのトレーです。

トレーを使わず、袋とかから平座金をその都度
出して組み込んでいると、組み込み忘れが
1ヶ所あっても、気付かない恐れがあります。

部品によっては、整列機でトレーをいっぱいにする
事が可能な場合もあります。