実に可愛い。
明るい色彩の傘の光りに包まれた、二人の少女。
ハイライトをバックにしての、人物の配置は青木繁の持ち味を出している。
その陰のなかで、少女と幼子のおしゃべりが聞こえてきそう。
姉なのか年上の少女は、幼子の目をのぞき込んでいる。
小さな子は、姉様の手元を見ている。
綺麗なカサがほしいのかナ。
『 二人の少女 』 1909年
独り身の気安さで、全国を放浪していた。山深い温泉街でくらしていたころ。よく、ちょっとした押しつけガイドなども、仕事あいまのつれづれに、遣ったことがある。気の好い年配夫婦などが、なが~い山道を歩いていると、声をかけてあげたりしていた。それで車はいつもちょっとはきれいに磨いておいたりもしていた。小一時間ほどの名所案内のあと、帰り際にちょっとしたこころざしを呉れたりもする。いちおうは、もぐりのタクシーではないのでと断るのだが、それでもガソリン代の足しにでもとか熱心に言われれば、受け取ることもある。
若い娘たちだと、帰り際に食いかけの菓子袋なんかを於いていく。ああ、あとか思うのだが、持ち帰って宿で働く仲間たちとの、酒のつまみになったりもした。若い外人の三人連れに、声かけられた。英語は得意ではない。これは困ったと思っていたら、一人東洋人とのハーフのような小柄な娘が、日本語で道案内を乞うた。説明するのも面倒でもあり、暇でもあり、ちょうど国鉄の駅まで行っても好いと思っていたので、同乗させることにした。
行楽シーズンのまっただ中、メーンの通りは大渋滞。なのでちょっと寄り道をしてみることとなった。
よりみちの続きは、