今回で5回目を迎えた応用編。
前回までは、ディチューン、パンポット、ディレイについて学びました。
今回はFM音源でも特に重要とされるLFOについてです。
指定できるパラメータが多く、複雑なコマンドですが、これを使えるようになると、より曲データの表現力がアップします。
まずはLFOって何?って所から。
LFO(Low Frequency Oscillatorの略)は、オシレーターと呼ばれるシンセサイザーの音の元となる「波形を作り出す部分」に対して、色々なパラメータに揺らぎを与える仕組みとなります。
これだけじゃ、なんのこっちゃ!?ですよね。(笑)
応用編1のディチューンの説明を思い出して下さい。
FM音源は周波数を変調させて音を奏でるシンセサイザーです。
誤解を恐れず言うのであれば、バイオリズムのような「波形」に色々な変化を与えて音を生み出しています。
ということで、LFOも、波形に対して「変化」を与えるテクニックの1つになります。
音程に対してLFOを掛ければ、ビブラート(音程を上下に反復させる技法。カラオケDAMで加点が稼げるアレですねw)に変化。
音量に対してLFOを掛ければ、トレモロ(音量を上げたり下げたりの反復)に変化。
パンポットに対してLFOを掛ければ、オートパン(パンポットが左右に行ったきり来たりの反復)に変化するわけです。
その他にもワウなどの表現も可能ですが、まずは最もよく使う「ビブラート」「トレモロ」「オートパン」に絞って解説していきます。
今回はその1回目ということで「ビブラート編」です。
まずは、下のMMLをコンパイルしてみましょう。
'{ PartSSG=A0-A1 'A0 T100 'A0 v120 o5 l8 D 0 P128 MPV 0,3, 1,16 ★SSGエンベロープ 'A01 SP0 E1 @2,1 Q8 cdefgab>c1< r4 |
最初にビブラートなしで、次にビブラートありでドレミファソラシドが演奏されると思います。
後者のほうは確かに震えて聞こえますね。
では、LFOコマンド「M」の説明をしてきましょう。
MPV 0,3, 1,16 |
今回のサンプルだと、タイプ=V(ビブラート)、delay=0、speed=3、rate=1、depth=16
という設定パターンを「P」チャネルとして保持するという設定にしてみました。チャネルというと覚えにくいので「パターンP」と考えても良いでしょう。
パラメータの扱いに関してはここに記載がありますが難しいです。今は、
・「MPV」でビブラートが使える(Pの部分はQ,R,SでもOKです。つまり4種類のパターンを保持できる)
・delayは、指定した音調だけ待ってから震え始める(例えば「8」だと「8分休符」待ってから震え始める)
・speed、rate、depthの値の組み合わせで、震える幅や速さを指定できる
・後は省略可能なら今は省略しちゃえ!
これだけ覚えておいて下さい。詳細はまた後ほど説明しますので。(^-^;;
で、次の赤字部分の説明です。
SP0 |
SP1 |
ここで、「S」コマンドを使って、LFO動作のon/offを切り替えることができます。
「SP0」で「パターンP」で設定したLFO動作をoff(つまりビブラート効果off)
「SP1」で「パターンP」で設定したLFO動作をon(つまりビブラート効果on) に切り替えることができます。
先ほども説明しましたが、パターンは4種類(P,Q,R,S)設定できますので、LFOの指定を「MQV」としたならば、LFO動作のスイッチは「SQ0」でoff、「SQ1」でonとなりますし、「MRV」なら「SR0」とか「SR1」で同じようにスイッチさせることができます。
では、先ほどやっつけ説明だったLFOコマンドのパラメータの詳細に戻りましょう。
まずは、delay。
先ほどのサンプルだと音の鳴り始めから震えていました。
ただ、これがボーカルパートだとしたら、ちょっと震えすぎですね。
ボーカルは、「アーーーーー~~~~~~~~」というように少し溜めてからビブラートを掛け始めるのが普通です。
なので、この場合、最後のオクターブが上がった「ドーーーー」が一番伸ばしてる部分になるので、ここにビブラートを掛けてみましょう。
'{ PartSSG=A0-A1 'A0 T100 'A0 v120 o5 l8 D 0 P128 MPV 4,3, 1,16 ★SSGエンベロープ 'A01 SP0 E1 @2,1 Q8 cdefgab>c1< r4 |
同じように最初にビブラートなしで、次にビブラートありでドレミファソラシドが演奏されると思います。
ただ、後者の方は先ほどと違って、最後の「ド」だけが「ドーーーーー~~~~~」というような、よりボーカルっぽい表現になっていると思います。
MMLとして変更したのは赤字の部分だけです。この場合4分休符待ってからビブラートが開始されます。
ここでのポイントは、最初の「ドレミファソラシ」までは8分音符のため、ビブラートが掛かる前に次の音が鳴り始めることから、たとえ「SP1」でビブラートをonにしていても効果がありません。最後の「ド」で初めて効果を発揮しているわけです。
speed、rate、depth
このパラメータの組み合わせで、震え方が変わります。
次のMMLをコンパイルしてみましょう。
'{ PartSSG=A0-A1 'A0 T100 'A0 v120 o5 l8 D 0 P128 MPV 4,6, 1,16 MQV 4,3, 2,16 MRV 4,3, 1,32 ★SSGエンベロープ 'A01 SP1 SQ0 SR0 E1 @2,1 Q8 cdefgab>c1< r4 |
どうでしょう?違いが感じられましたでしょうか?
先ほどまでのサンプルは、speed=3、rate=1、depth=16でしたが、ここでは各パラメータの値を変更してみました。
MPVは、speedだけ先ほどのサンプルの倍の値にしたパターン(speed=6、rate=1、depth=16)
MQVは、rateだけ先ほどのサンプルの倍の値にしたパターン(speed=3、rate=2、depth=16)
MRVは、depthだけ先ほどのサンプルの倍の値にしたパターン(speed=3、rate=1、depth=32)
を作り、「S」コマンドのスイッチを使って、それぞれ順番にパターンを適用させています。
speedを上げると震えの幅がゆったりと広くなりました。
rateを上げると震えの幅がせわしない感じで狭くなりました。
depthを上げると振幅の変化が大きくなりました。
こんな感じで、色々値を変更してみて、音の変化量を体感してみると良いでしょう。
では、恒例(?)の「My Song」リッチ化計画ということで、ビブラートを適当に追加してみました。w
'{ PartSSG=A0-A1,C1-C4,G1-G8 'A0 T106 'A0 v 80 o1 l8 D 0 P118 MPV 0,3,30,20,0 'C1 v100 o5 l8 D 0 P128 MPV 6,3, 1,16,0 'G1 v120 o3 l8 D 0 P108 MPV 0,3,40,20,0 'G5 v120 o3 l8 D 2 P148 MPV 0,2,40,40,0
'@ P 0,"pcm-test",i0 ★SSGエンベロープ ★PCMドラムセット ■ベース ■ボーカル ■ギター ■ハイハット ■シンバル ■バスドラム ■スネアドラム |
やはりボーカルの表現力は大幅にアップしますね。
今回はここまでです。次回は「トレモロ編」になります!
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