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FM音源ドライバ「FMP」で作成した曲を公開しています。
FMP7の使い方からMMLによる曲データ作成の方法も掲載!

応用編5:LFOで表現力アップ!(ビブラート編)

2014-04-23 20:45:04 | 曲データの作り方(応用編)

今回で5回目を迎えた応用編。

前回までは、ディチューン、パンポット、ディレイについて学びました。

今回はFM音源でも特に重要とされるLFOについてです。
指定できるパラメータが多く、複雑なコマンドですが、これを使えるようになると、より曲データの表現力がアップします。

まずはLFOって何?って所から。
LFO(Low Frequency Oscillatorの略)は、オシレーターと呼ばれるシンセサイザーの音の元となる「波形を作り出す部分」に対して、色々なパラメータに揺らぎを与える仕組みとなります。
これだけじゃ、なんのこっちゃ!?ですよね。(笑)

応用編1のディチューンの説明を思い出して下さい。

FM音源は周波数を変調させて音を奏でるシンセサイザーです。
誤解を恐れず言うのであれば、バイオリズムのような「波形」に色々な変化を与えて音を生み出しています。

ということで、LFOも、波形に対して「変化」を与えるテクニックの1つになります。

音程に対してLFOを掛ければ、ビブラート(音程を上下に反復させる技法。カラオケDAMで加点が稼げるアレですねw)に変化。
音量に対してLFOを掛ければ、トレモロ(音量を上げたり下げたりの反復)に変化。
パンポットに対してLFOを掛ければ、オートパン(パンポットが左右に行ったきり来たりの反復)に変化するわけです。

その他にもワウなどの表現も可能ですが、まずは最もよく使う「ビブラート」「トレモロ」「オートパン」に絞って解説していきます。

今回はその1回目ということで「ビブラート編」です。

まずは、下のMMLをコンパイルしてみましょう。

'{
 Title=LFO(ビブラートsample1)
 DataCreator=wani

 PartSSG=A0-A1
 PartMixLevel=100
 ClockCount=192
}

'A0 T100

'A0 v120 o5 l8 D 0 P128 MPV 0,3, 1,16
'A1 v 80 o5 l8 D 2 P138 MPV 0,3, 1,16 r

★SSGエンベロープ
'@ E 1, 224,032,002,198,001,018

'A01 SP0 E1 @2,1 Q8 cdefgab>c1< r4
'A01 SP1 E1 @2,1 Q8 cdefgab>c1< r4

最初にビブラートなしで、次にビブラートありでドレミファソラシドが演奏されると思います。
後者のほうは確かに震えて聞こえますね。

では、LFOコマンド「M」の説明をしてきましょう。

MPV 0,3, 1,16

今回のサンプルだと、タイプ=V(ビブラート)、delay=0、speed=3、rate=1、depth=16
という設定パターンを「P」チャネルとして保持するという設定にしてみました。チャネルというと覚えにくいので「パターンP」と考えても良いでしょう。

パラメータの扱いに関してはここに記載がありますが難しいです。今は、

・「MPV」でビブラートが使える(Pの部分はQ,R,SでもOKです。つまり4種類のパターンを保持できる)
delayは、指定した音調だけ待ってから震え始める(例えば「8」だと「8分休符」待ってから震え始める)
speedratedepthの値の組み合わせで、震える幅や速さを指定できる
・後は省略可能なら今は省略しちゃえ!

これだけ覚えておいて下さい。詳細はまた後ほど説明しますので。(^-^;;

 で、次の赤字部分の説明です。

SP0
SP1

ここで、「S」コマンドを使って、LFO動作のon/offを切り替えることができます。
「SP0」で「パターンP」で設定したLFO動作をoff(つまりビブラート効果off)
「SP1」で「パターンP」で設定したLFO動作をon(つまりビブラート効果on) に切り替えることができます。

先ほども説明しましたが、パターンは4種類(P,Q,R,S)設定できますので、LFOの指定を「MQV」としたならば、LFO動作のスイッチは「SQ0」でoff、「SQ1」でonとなりますし、「MRV」なら「SR0」とか「SR1」で同じようにスイッチさせることができます。

 

では、先ほどやっつけ説明だったLFOコマンドのパラメータの詳細に戻りましょう。

まずは、delay

先ほどのサンプルだと音の鳴り始めから震えていました。
ただ、これがボーカルパートだとしたら、ちょっと震えすぎですね。
ボーカルは、「アーーーーー~~~~~~~~」というように少し溜めてからビブラートを掛け始めるのが普通です。

なので、この場合、最後のオクターブが上がった「ドーーーー」が一番伸ばしてる部分になるので、ここにビブラートを掛けてみましょう。

'{
 Title=LFO(ビブラートsample2)
 DataCreator=wani

 PartSSG=A0-A1
 PartMixLevel=100
 ClockCount=192
}

'A0 T100

'A0 v120 o5 l8 D 0 P128 MPV 4,3, 1,16
'A1 v 80 o5 l8 D 2 P138 MPV 4,3, 1,16 r

★SSGエンベロープ
'@ E 1, 224,032,002,198,001,018

'A01 SP0 E1 @2,1 Q8 cdefgab>c1< r4
'A01 SP1 E1 @2,1 Q8 cdefgab>c1< r4

同じように最初にビブラートなしで、次にビブラートありでドレミファソラシドが演奏されると思います。
ただ、後者の方は先ほどと違って、最後の「ド」だけが「ドーーーーー~~~~~」というような、よりボーカルっぽい表現になっていると思います。

MMLとして変更したのは赤字の部分だけです。この場合4分休符待ってからビブラートが開始されます。

ここでのポイントは、最初の「ドレミファソラシ」までは8分音符のため、ビブラートが掛かる前に次の音が鳴り始めることから、たとえ「SP1」でビブラートをonにしていても効果がありません。最後の「ド」で初めて効果を発揮しているわけです。

 

speedratedepth
このパラメータの組み合わせで、震え方が変わります。
次のMMLをコンパイルしてみましょう。

'{
 Title=LFO(ビブラートsample3)
 DataCreator=wani

 PartSSG=A0-A1
 PartMixLevel=100
 ClockCount=192
}

'A0 T100

'A0 v120 o5 l8 D 0 P128 MPV 4,6, 1,16 MQV 4,3, 2,16 MRV 4,3, 1,32
'A1 v 80 o5 l8 D 2 P138 MPV 4,6, 1,16 MQV 4,3, 2,16 MRV 4,3, 1,32 r

★SSGエンベロープ
'@ E 1, 224,032,002,198,001,018

'A01 SP1 SQ0 SR0 E1 @2,1 Q8 cdefgab>c1< r4
'A01 SP0 SQ1 SR0 E1 @2,1 Q8 cdefgab>c1< r4
'A01 SP0 SQ0 SR1 E1 @2,1 Q8 cdefgab>c1< r4

どうでしょう?違いが感じられましたでしょうか?

先ほどまでのサンプルは、speed=3、rate=1、depth=16でしたが、ここでは各パラメータの値を変更してみました。

MPVは、speedだけ先ほどのサンプルの倍の値にしたパターン(speed=6rate=1、depth=16)
MQVは、rateだけ先ほどのサンプルの倍の値にしたパターン(speed=3、rate=2depth=16)
MRVは、depthだけ先ほどのサンプルの倍の値にしたパターン(speed=3、rate=1、depth=32)

を作り、「S」コマンドのスイッチを使って、それぞれ順番にパターンを適用させています。

speedを上げると震えの幅がゆったりと広くなりました。
rateを上げると震えの幅がせわしない感じで狭くなりました。
depthを上げると振幅の変化が大きくなりました。

こんな感じで、色々値を変更してみて、音の変化量を体感してみると良いでしょう。

 

では、恒例(?)の「My Song」リッチ化計画ということで、ビブラートを適当に追加してみました。w

'{
 Title=My Song (SSG+PCM sample)
 DataCreator=wani
 Composer=作詞:麻枝准 作曲:麻枝准 編曲:光収容
 Comment=応用編(LFOビブラートサンプル)

 PartSSG=A0-A1,C1-C4,G1-G8
 PartPCM=X0-X3
 PartMixLevel=100
 ClockCount=192
}

'A0 T106

'A0 v 80 o1 l8 D 0 P118 MPV 0,3,30,20,0
'A1 v 80 o1 l8 D 0 P138 MPV 0,3,30,20,0

'C1 v100 o5 l8 D 0 P128 MPV 6,3, 1,16,0
'C2 v 90 o5 l8 D 3 P148 MPV 6,3, 1,16,0
'C3 v 60 o5 l8 D 2 P138 MPV 6,3, 1,16,0 r
'C4 v 50 o5 l8 D 4 P 98 MPV 6,3, 1,16,0 r

'G1 v120 o3 l8 D 0 P108 MPV 0,3,40,20,0
'G2 v120 o3 l8 D 3 P 88 MPV 0,3,40,20,0
'G3 v120 o4 l8 D-3 P 64 MPV 0,3,40,20,0
'G4 v120 o4 l8 D-5 P 44 MPV 0,3,40,20,0

'G5 v120 o3 l8 D 2 P148 MPV 0,2,40,40,0
'G6 v120 o3 l8 D 5 P168 MPV 0,2,40,40,0
'G7 v120 o4 l8 D-5 P188 MPV 0,2,40,40,0
'G8 v120 o4 l8 D-8 P208 MPV 0,2,40,40,0


'X0 v 70 o4 l8     P108
'X1 v 80 o4 l8     P128
'X2 v 90 o4 l8     P128
'X3 v 80 o4 l8     P128

'@ P 0,"pcm-test",i0
'@ P 1,"pcm-test",i1
'@ P 2,"pcm-test",i2
'@ P 3,"pcm-test",i3

★SSGエンベロープ
'@ E 1, 255,255,255,255,004,128
'@ E 2, 224,032,002,198,001,018
'@ E 3, 255,255,255,200,004,064

★PCMドラムセット
'%bb @0 c
'%ss @1 c
'%hc @2 c
'%cc @3 c

■ベース
'A01 E1 @0,0 Q8r4>d4_<d L [g]8[f]8[e]8[d]5gad [c]8[f+16]2f+ef+.[f+16]3f+[f+16]2 [g]3[g16]2[g]4 [f]3f16c16[f]3e16_f&f16_<f

■ボーカル
'C13 E2 @2,1 Q8 L rgab16a16_b#10&b2rg>c<b16a16_b#10&b2.r4>c_d#20&d4c16<b16f+&g4r >c_d#20&d4c16<b16ggaga&b2  r.g16>c16<b16b2r4agag4.&g2r2
'C24 E2 @2,2 Q8 L re-fg16f16_g#10&g2reag16f+16_g#10&g2.r4 a_b#20&b4a16g16  d&e4r  g_a#20&a4e16g16eef+e f+&g2r.c16a16g16g2r4f+ef+e4.&e2r2

■ギター
'G15 E3 @3,1 Q7r2 L [g]8 [f]8 [e]8>[d ]7[d16 ]2 [c]3[c16]4[c]3 dddd.    d16[d]3      <[g]4 [g16]2[g]3> [e-]3[e-16]2[e-]4
'G26 E3 @3,1 Q7r2 L [b]8>[c]8<[b]8>[a ]7[a16 ]2 [g]3[g16]4[g]3 aaga.    a16[a]3       [d]4 [d16]2[d]3  [b-]3[b-16]2[a ]4
'G37 E3 @3,1 Q7r2 L [d]8 [f]8 [e]8>[d ]7[d16 ]2 [c]3[c16]4[c]3 ddcd.    d16[d]3      <[g]4 [g16]2[g]3> [c ]3[c16 ]2[c ]4
'G48 E3 @3,1 Q7r2 L [g]8 [a]8 [g]8>[f+]7[f+16]2 [e]3[e16]4[e]3 f+f+ef+.f+16[f+]3  [c]4<[b16]2[b]3> [f ]3[f16 ]2[f ]4

■ハイハット
'X0 r2 L r[%hc]29r4 r[%hc]10r2.[%hc]7 [%hc]4r2

■シンバル
'X1 r2 L %cc1[r1]3%cc1r4.%cc2r%cc1 r1

■バスドラム
'X2 r2 L [[%bb]2r%bb]7%bb4r4[[%bb]2r%bb]3r2[[%bb]2r%bb]2 [%bb]2r2.

■スネアドラム
'X3 r2 L r4%ss4r4%ss.%ss16 [r4%ss4]3r4%ss.[%ss32]2 r4%ss4 r.[%ss32]2%ss16%ss. r4%ss4r4%ss.%ss16
'X3      r4%ss4r16[%ss16]3%ss4 r4%ss4r4%ss.[%ss32]2 r4%ss.[%ss32]2[%ss]2%ss16%ss.

やはりボーカルの表現力は大幅にアップしますね。

今回はここまでです。次回は「トレモロ編」になります!



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