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FM音源ドライバ「FMP」で作成した曲を公開しています。
FMP7の使い方からMMLによる曲データ作成の方法も掲載!

FMP7で曲データを作ってみよう!(補足編:バランス調整について)

2019-01-05 14:10:15 | 曲データの作り方(補足編)
今回の補足編は、「バランス調整」というざっくりとしたキーワードになります。(笑)
要は各チャンネルの音をまとめて再生させた時に「自分が気持ちよく聴こえる」ように調整するための手段ですね。
 
DAWの世界だと「ミックス」とかそういう言い方になるのでしょうか?
自分の場合は、MMLという作成手段がゆえに「ミックス」というよりは「バランス調整」と言うほうがしっくりくるのでこう呼んでいます。
皆様はお好きなように呼んでもらえればと思いますが、ここでは「バランス調整」という言葉で進めさせてください。
 
 
■ボリュームによるバランス調整
まずは、最も一般的な方法から。
「v」コマンドで各チャンネルのボリュームを調整することで全体のバランスを整えるやり方ですね。
vの設定範囲は0~127ですが、FMP7でのデフォルトの音量管理は少し特殊になっています。
0が「無音」で、127が「最大音量」なのは当然なんですが、1~126は、その間を一定間隔で音量が大きくなっているわけではありません。
 
 
図にするとこんな感じです。
上の数字が実際に出る音量。下の数字がvコマンドにて指定した数値のイメージになります。

これを見ると0の無音と、1の音量の差がかなりあります。
v0で無音なのに、v1を指定すると実際の音量は25弱相当がいきなり出るということです。
v1~127は、25弱~127(最大)の実際の音量を等間隔で音量変化していきます。
 
なぜこういう仕様になったのかは不明ですが、自分が推測するに、音量「+1」もしくは「-1」当たりの音量変化を細かくさせたかったのだと思います。
バランス調整をする上で、1あたりの音量変化量は大事です。「+1」大きくしたら大きすぎる!「-1」にしたら逆に小さすぎる!ということは良くあります。
 
そのため実際の音量1~25弱相当はあまり使われないと想定してバッサリ落とし、よく使われる25弱~127(最大)の範囲で127等分することで細かい音量調整を可能にさせたかったのかなと思っています。
逆に言えば、実際の音量1~25弱相当が使えないことがデメリットです。静かな曲や、手動でフェードイン・アウトが綺麗に表現できないというのも困りもの。
 
そういう場合は、音量テーブル指定をデフォルトから変更するという方法があります、
一番最初のおまじない部分に
 
'{ VolumeExtend=1}
 
と指定することで、音量管理がリニアに変わります。(何も指定しないと、通常の音量管理ということになります)
 
図にするとこんな感じ。
音量テーブル指定を「1」にすると、実際の音量と指定する数字が同じになるのでイメージがつかみやすいです。
 
ただ、使ってみるとわかりますが、これはこれでクセがあります。
大きな音量を扱う曲だと、0~80くらいまでは実際の音はあまり聞こえないので、大体100~127くらいの範囲をメインで使うことになります。
(ディレイチャンネルで80くらいでしょうか。)
 
メインで使うボリューム範囲が狭いので、1つあげると結構ボリュームが大きくなりがちで、バランス調整しにくいケースも出てきます。
どちらの管理テーブルにも一長一短がありますので、作成する曲に応じて音量テーブルを使い分けるというのも最終的なバランス調整をする上で有効かと思います。
 
音量テーブル指定は全チャンネルに適用されるので、一部チャンネルだけ音量テーブル「1」指定ができると嬉しいんですけどねぇ。
※製作者の方に要望を出してみましたが、仕様上とても難しいのだそうです
 

■パンによるバランス調整
パンポッド(Pコマンド)もバランス調整する上で大きな影響を与えます。

「応用編2:パンポット(パン)を活用しよう!」でもお話したのですが、パンは左と右の音量レベルを調節している仕組みになっています。
※つまり、パンを一番左にするということは、「左の音量をMAX、右の音量を0にする」ということになります(パンが中央の場合は両方の音量がMAX)
 
ですので、パンも結果的に「音量によるバランス調整をしているのと同じ」だと自分は思っています。
 
更に255段階もパンが指定できるため、vコマンドとPコマンドの複合調整により実際に耳に聞こえてくる音の変化をより柔軟に設定できます。
一番左とか、一番右にパンを振るということは、vで指定した音量がMAXの状態で左や右だけにダイレクトに耳に伝わりますので、vコマンドで指定した数字以上に耳に入ってくる情報量が多く感じとれます。
音の分離感(要はステレオ感)が生まれるというのは、そういう耳に入る情報量の差によるものかもしれません。
 
そんな感覚をイメージすると、バランス調整もやりやすくなってくるのではないでしょうか。
※もう1つ音色パラメータの変更による音量調整という手段もありますが、ここでは割愛します。いずれ応用編のほうで説明しますね。
 

■SSG音源の音量バランスについて
SSG音源は、FM音源に比べると音量がとりにくいです。
FM音源で多チャンネルを使っていると、その音圧はかなりのものになりますので、一緒に鳴らしているSSG音源のチャンネルをv127で最大にしても、あまり聞こえないことがあります。
これは、SSG音源の特性上、エンベロープ(Eコマンド)により、実際にvで指定した最大音量に到達&それを維持している時間が短いというのが理由の1つとしてあります。
 
じゃあ、どうするのかというと、SSG音源も多チャンネル重ねて音圧を上げるやり方と、SSGミキシングレベル指定でSSGの音量レベルを持ち上げるやり方の2種類があります。
 
(1)SSGチャンネルを重ねる
このあたりは、「応用編1:ディチューンって何?」を参照してもらえるといいですね。
同じ音を重ねてディチューン(Dコマンド)をかけて音を厚くする。
こうすることで、FM音源に少しでも対向するバランス調整が可能です。
 
(2)SSGミキシングレベル指定でSSGの音量レベルを持ち上げる
一番最初のおまじない部分に

'{ SSGMixLevel=*1 } 
(*1の範囲は-20~20)

と指定するこで、SSGの音量レベルを変えられます。

マイナス数値は使うことはほとんどないので、基本的には1~20を指定することになりますが、これを指定すると音割れが発生しやすいです。
使う際は、そのあたりも考慮して使ってみましょう。
ちなみに自分は(1)の方法をメインで使ってます。(2)は最終手段としています。実際は使ったことないですけど。
 

■曲全体の音量バランスについて
多チャンネル構成で音量をガンガン上げていくと、音割れが発生しやすくなってきます。
特にバスドラムやベースなど低域となるチャンネルの音量が上がると確実に音割れが起きます。
それに伴って、ベースやバスドラムの音量を下げると、それに合わせて他のチャンネルの音量も下げざるを得なくなる。
それなら、いっそのこと曲全体の音量バランスをコントロールしたくなりますよね。(いわゆるマスターボリューム的な感じ)
それができるのがミックス割合指定です。

一番最初のおまじない部分に

'{ PartMixLevel=*1 }
(*1の範囲は0~100)

と指定することで、曲全体のボリュームを調整できます。
数字は%で設定し、何も設定しなければデフォルト100%です。
音割れが発生したら、少しずつ%の割合を下げて指定していってください。どこかで音割れしないポイントが見つかるはずです。
 

■WAVE出力時の音割れについて
FMP7は、WAVE出力機能がついています。
FMP7のバーを右クリックし、「ファイル」→「WAVE出力」を選択することで、現在再生中のデータをWAV形式で出力できます。
ネットで動画公開などする場合、とてもありがたい機能です。
 
FMP7再生の時は音割れしないのに、出力したWAVEを再生すると音割れする場合は、WAVE出力のオプションを確認しましょう。

WAVE出力する際の、名前を付けて保存する画面の中の「音量調整」という項目。

デフォルトは、「80%」でチェック「有」となっています。
このデフォルト状態でまずは出力してみてください。

FMP7 ver7.10gでは、このデフォルト状態での出力が、FMP7から直接再生した時とほぼ同じ音量になるように調整されている感じがします。
WAVE出力だと音割れする場合、このチェックが外れてしまっているか、数値が「100%」になっているかもしれません。
※WAVE出力の「音量調整」のデフォルトが、なぜ「80%」でチェック「有」なのか?
 これに関しては自分もよくわかりません。製作者の方に時間あれば確認してみたいと思います。
 
 

以上のように、一言でバランス調整と言っても、いろいろな方法がありますね。(これ以外の方法もあるでしょう)
ただ、1つ言えることは、作り手が一番「気持ちいい!」と感じることが最高のバランス調整だと自分は思っています。
そこに近づけるための手段の1つとして、このブログが参考になれば、うれしいですね。
ではまた!