今回は、LFOのトレモロ編です。
前回は、「音程」にLFOを掛けることでビブラートに変化することを学びました。
トレモロの場合は「音量」にLFOを掛けることになります。
理屈が分かれば、基本的にパラメータの考え方はビブラートの時と一緒です。
まずは以下のMMLをコンパイルしてみてください。
'{ PartSSG=A0-A1 'A0 T100 'A0 v120 o5 l8 D 0 P128 MPT 0,7,6,35,0 ★SSGエンベロープ
|
前回のビブラートのサンプルをトレモロ用に書き直しました。
実際に聞けばビブラートと違い、「音量」に変化が加わっていることが一発で分かりますね。
MMLとして変更しているのは赤字の部分だけ。
MPT 0,7,6,35,0 |
今回のサンプルだと、タイプ=T(トレモロ)、delay=0、speed=7、rate=6、depth=35、波形=0(三角波)
という設定パターンを「P」チャネルとして保持するという設定にしてみました。
・タイプを「T」とすることで「トレモロ」として動作。
・delay=0なので、音の鳴り始めからトレモロが動作。
・speedとrateで、音量の変化速度を決定しています。
・depth=35が実際の音量の変化量を指定しています。
そして、前回のビブラートでは「省略可能」だったので省きましたが、今回、「波形」のパラメータを設定しています。波形=0は「三角波」となります。
省略しても「0:三角波」として動作するので、前回は敢えて記載を省きました。
ただ、今回はこの「波形」パラメータの値を色々変えてみたかったので記載しています。
じゃあ、実際に「波形」パラメータの値を変えてみましょう。
'{ PartSSG=A0-A1 'A0 T100 'A0 v120 o5 l8 D 0 P128 MPT 0,7,6,35,1 ★SSGエンベロープ |
差分は赤字の部分だけです。
波形を「1」にすると、「のこぎり波」の波形になります。
MMLマニュアルのここから「波形別動作図」の「1.のこぎり波」の波形図を見てみましょう。
ギザギザの波なので、上から下への音量変化がまっすぐストンっと落ちています。
だから「三角波のサンプルと同じspeedとrate」なのに「早い周期で音量が変化」しているのが分かると思います。
この他に、自分がトレモロでよく使う波形は「3(ワンショット)」です。
波形図を見るとこれもわかりやすいですね。音量が徐々に上がって、上限に達するとその音量で一定になります。
MMLだとこんな感じです。
'{ PartSSG=A0-A1 'A0 T100 'A0 v120 o5 l8 D 0 P128 MPT 0,20,5,60,3 ★SSGエンベロープ
|
差分は赤字の部分です。
depth=60なので、vで指定した音量から最終的には60上がります。
ここでポイントとなるのでが、「vで指定した音量がいくつか?」です。
vコマンドの最大値が「127」なのに対して、このサンプルの「vで指定した音量」はと言うと、A0チャンネルの音量が「120」になっています。
このままでは60も音量は上がりません。(7だけ上がって頭打ち)
なので、あらかじめ 「(60」で音量を相対的に60下げているのがMMLから分かると思います。
「(」で、その後ろ値の数だけ音量を相対的に下げます。「)」はその逆で音量を相対的に上げることができます。
このサンプルの場合、A0チャンネルがv120から60下がって音量は「v60」に。A1チャンネルがv80から60下がって音量は「v20」になります。
その他にも色々な波形がありますので、試して見ると良いでしょう。
では、今までの知識と今回のトレモロを使って曲を作ってみましょう。
お題は「パッヘルベルのカノン」です。弦楽四重奏ですね。
楽譜はここのサイトの「パート譜(PDF)」を使用させて頂きました。
チェロ・第1ヴァイオリン・第2ヴァイオリン・第3ヴァイオリンの4種類のパート構成です。
楽譜だけ見ると、こんなにたくさんMML打ち込むのかーと思うかもしれませんが、よく見ると「パッヘルベルのカノン」の特徴に気付くと思います。
・チェロは、たった2小節のフレーズを28回繰り返しているだけ
・第1・第2・第3ヴァイオリンも、それぞれ全く同じ音を、2小節ずつ遅れて演奏させているだけ
なんですね。
なので、各パートの最初と最後だけ気をつければ、結構各パートは共通化できそうです。
楽譜をとりあえずMMLにするとこんな感じです。
'{ PartFM4=A1,B1,C1,D1 'A1 T46 'A1 v100 o3l8 ■チェロ ■バイオリン 'B1C1D1 f+4e4d4c+4 <b4a4b4>c+4 d4c+4<b4a4 g4f+4g4e4 'B1 d<dc+>c+<b<ba>ag>gf+<f+ebe>e f+<f+e>ed<dc+>c+<b>ba<ag.>e16<aaa2.r2 ★チェロ ★ヴァイオリン |
Aチャンネルを「チェロ」。
B~Dチャンネルをそれぞれ「第1・第2・第3ヴァイオリン」に割り振っています。
とりあえず「ベタ打ち状態」です。
ここに、ディチューン、パンポット、ディレイを加えます。
'{ PartFM4=A1-A4,B1-B4,C1-C4,D1-D4 'A1 T46 'A1 v100 o3l8 D 0 P118 'B1 v 80 o4l8 D 2 P108 'C1 v 80 o4l8 D 4 P168 'D1 v 80 o4l8 D 6 P 88 ■チェロ ■バイオリン 'B1234C1234D1234 f+4e4d4c+4 <b4a4b4>c+4 d4c+4<b4a4 g4f+4g4e4 'B1234 d<dc+>c+<b<ba>ag>gf+<f+ebe>e f+<f+e>ed<dc+>c+<b>ba<ag.>e16<aaa2.r2 ★チェロ ★ヴァイオリン |
各パートにディレイチャンネルを3つずつ付けてます。とても豪勢です。(^-^;
これだけでも、それっぽく聞こえますね-。
そして、ここにビブラート(三角波)とトレモロ(ワンショット)を加えます。
'{ PartFM4=A1-A4,B1-B4,C1-C4,D1-D4 'A1 T46 'A1 v100 o3l8 D 0 MPV 0,3,40,20,0 MQT 0,20,1,20,3 P118 'B1 v 80 o4l8 D 2 MPV 0,3,40,20,0 MQT 0,20,1,20,3 P108 'C1 v 80 o4l8 D 4 MPV 0,3,40,20,0 MQT 0,20,1,20,3 P168 'D1 v 80 o4l8 D 6 MPV 0,3,40,20,0 MQT 0,20,1,20,3 P 88 ★LFO動作スイッチ ■チェロ ■バイオリン 'B1234C1234D1234 f+4e4d4c+4 <b4a4b4>c+4 d4c+4<b4a4 g4f+4g4e4 'B1234 d<dc+>c+<b<ba>ag>gf+<f+ebe>e f+<f+e>ed<dc+>c+<b>ba<ag.>e16<aaa2.r2 ★チェロ ★ヴァイオリン |
どうでしょう?
いい感じに、弦楽四重奏になっているかと思います。
「S」コマンドのスイッチ部分で、ビブラートだけoffにしてみたり、トレモロだけoffにしたりして、聞き比べてみると良いでしょう。
今回はここまでです。次回は「オートパン編」です!
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