東京23区のごみ問題を考える

脱焼却の循環型ごみ処理システムは可能か!!
~ごみ問題のスクラップブックとして~

23区清掃一組 令和2年度「清掃工場等作業年報」、稼働実績、故障件数、電力使用量、CO2排出量など~

2021年09月17日 18時32分28秒 | 東京23区のごみ

清掃工場等作業年報(令和2年度)」が公表された~
以下、東京二十三区清掃一部事務組合「清掃工場等作業年報」より転載
グラフは、「清掃工場等作業年報」から作成
昨年よりも1ヶ月早い公開、、、


東京二十三区清掃一部事務組合(更新日:2021年9月17日)
令和2年度清掃工場等作業年報を掲載しました
 清掃工場等作業年報 令和2年度
  ・本文(PDF:460KB)
  ・資料編(PDF:985KB)

 

令和2年度 「清掃工場等作業年報」

【清掃工場稼働実績】
●処理量(令和2年度)
令和2年度は21清掃工場体制でごみの焼却
(大田第一、有明、千歳、江戸川、墨田、北、新江東、港、豊島、渋谷、中央、板橋、多摩川、足立、品川、葛飾、世田谷、大田(新)、練馬、杉並、光が丘)
コロナ禍で事業系の持込ごみの減少か、前年度よりも181,027トン(6.6%)の減少。

●清掃工場別ごみ処理量と残灰排出量(令和2年度)
可燃ごみ等が2,547,317.60トン焼却され、
残灰搬出量は 277,291.71トン
ごみ埋立量をゼロにするには、ごみ総量・ごみ焼却量を減らさない限りは焼却灰はでてくる、今や、埋立量の大半は焼却灰である~


●残灰の埋立処分量と資源化搬出量(清掃工場別)
焼却灰の資源化が進んできたとはいえ、まだまだ大半は最終処分場で埋立へ


●残灰の埋立処分量と資源化搬出量(主灰)
セメント原料化は飛灰も始まった、徐冷スラグ化は主灰も飛灰も、、、
セメント原料化はロータリーキルン炉で、徐冷スラグ化も結局は溶融処理、、、
自前の灰溶融炉を全て廃止して、灰溶融の外注(民間委託)、、、



●残灰の埋立処分量と資源化搬出量(飛灰)

 

●清掃工場 延べ稼働時間の推移
令和2年度の全清掃工場(21清掃工場 39炉)
炉稼働時間  230,102.38時間(稼働日数 5,108日)
休炉時間合計     86,410 時間
 定期点検補修  43,353 時間
 中間点検           16,381 時間
 予備炉・調整    14,222 時間
 故障                   12,453 時間
 年末年始                     0 時間
 その他                         0 時間

 

●清掃工場別 延べ稼働・休炉時間内訳(令和2年度) 
令和2年度も、年末年始の停止はすべての工場でゼロとなっている。
計画稼働日は年末年始停止は4日分マイナスしているので、
計画稼働日数の稼働率がいいのはそのおかげなのか?
令和2年度、水銀含有廃棄物による焼却炉停止は
有明清掃工場1号炉で令和2年11月22日~令和2年12月19日まで停止。

計画年間稼働日数
=暦日数-計画停止日数-年末年始停止日数-故障停止日数
(計画停止日数=定期点検補修+中間点検日数)
=365日-69日-4日-9日=283日

●清掃工場別 稼働状況(率)(令和元年度)
暦日数での稼働率、括弧内は計画稼働日数に対する稼働率
世田谷はなんとか稼働はしてきたが、

港清掃工場は3炉施設で1炉は予備炉としていたのが、((平成14年度、平成24年2月24日から平成27年11月30日まで及び平成28年12月21日から3炉稼働))

●清掃工場稼働状況(率)年度推移
令和2年度は調整が多くなった、、コロナ禍でごみ減となったためか、、、


●清掃工場の故障件数(令和2年度)

令和元年度、故障による休炉件数は全工場で66件と、前年度よりも17件増えた
故障による炉停止は、当然ながら休炉中はごみの焼却ができないだけでなく、立ち上げ立ち下げ回数が多いと補助燃料の使用量も多くなる~


●清掃工場別 故障による休炉件数の推移
いまなお世田谷の故障多し、、、


●清掃工場別 故障による休炉回数と炉停止の時間(令和2年度) 

当然のことではあるが、単純に故障による炉停止の件数だけではその影響ははかれないが、、、
どんなトラブルかによって,炉停止の時間も変わってくる、、令和2年度の休炉回数と炉停止の時間、、
世田谷は故障件数がダントツ多いので、休炉時間も長くなるが、板橋は故障による炉停止は5件でも2,447時間の休炉となった。それほど大きな故障という感じでもなかったが、、


平成27年度は、目黒清掃工場は、故障による休炉は4回だったが、、炉停止時間は3.497時間
平成28年度は、足立:1,292時間、世田谷:1,228時間、目黒:1,083時間と、1,000時間を超えた
平成29年度は、江戸川、板橋、世田谷が休炉時間1000時間超え、
平成30年度は、休炉時間が1000時間を超えた工場は、江戸川、新江東、港、足立、世田谷、
令和元年度は、港清掃工場が3,331時間、板橋が1,167時間
1000時間というのは42日間、1ヶ月以上故障で焼却炉が停まっているということ、、、、
令和2年度は、板橋の休炉時間が2,447時間、、

☆参考 具体的な故障の内容など↓↓
東京23区「清掃工場故障週報」令和2年度 (日付順) 
東京23区「清掃工場故障週報」令和2年度 (工場別) 

(情報開示請求で「清掃工場故障週報」から私的に作成)


●清掃工場 故障件数の年度推移
令和2年度は、21清掃工場で故障による休炉は66回と前年よりは17件増えている。清掃工場数が増えているせいか、、、また、ごみクレーンなどのトラブルによる停止が12件となっている。


●清掃工場 故障による休炉件数と休炉時間推移


●総使用電力量の推移
令和2 年度の清掃工場の総使用電力量527,554,750 kWh



●ごみ1t焼却あたりの使用電力量及び発電電力量の推移
令和2年度、ごみ1トンを焼却処理するための単位使用電力は20 6.7kWh/t で、単位発電電力は492.6KWh/t

発電効率が10%、20%というのはどういう計算? 単位発電電力が多ければいいのだろうか?
みつけた ↓ ↓ さっぱりわからないけど、、、

○発電効率の定義
発電効率は、タービン発電機定格出力を設定した時の「ごみ発熱量」と「外部燃料投入量」を用いて以下の式で計算する

環境省「高効率ごみ発電施設整備マニュアル」から


●ごみ発電電力量の推移
令和2年度のごみ発電による発電電力量は12億3,389万KWhで、前年度よりも6,808万KWhの減少。内訳は所内使用量が478,170,112KWh(38.7%)、売電電力量が742,440,591KWh(60.2%)、
令和元年度から自己託送電力量が0.1億KWh、令和2年度が13,276,977KWh
自己託送制度を活用した電力の地産地消
江戸川、北、新江東、港の売電電力量の一部を中防処理施設管理事務所へ送電

●総発電量と売電量、売電金額の推移
固定価格買取制度により売電単価が17円/KWhとなったため売電金額は一気に増大し、売電収入は、平成27年度は117億6,576 万円となる。ところが、平成28年度は、売電電力量は、7 億43万 kWh で、前年度比で4,043 万 kWh (6.1%)の増加であれ、売電収入は、98 億190 万円となり、前年同期と比較して19 億6,386 万円(16.7%)の減少である。2016年(平成28年)4月1日からの電気の小売全面自由化の影響での売電単価の下落となったようだ。
令和元年度(平成31年3月~令和2年2月)の売電収入は106億5,936万円、令和2年度の売電収入は94 億 6,9 88 万円

令和2年度 余熱利用実績(令和2年3月~令和3年2月)

資料編(PDF:985KB)」35P
  ←クリックで拡大


●清掃工場の水道使用量の推移
令和2年度、清掃工場における水道使用量は197 万 1,335 m3



●清掃工場別 補助燃料使用量(令和元年度)
令和2年度、清掃工場の焼却炉における補助燃料(都市ガス)の使用量は368 万 9, 57 1 m3


立上げ、立下げ回数:有明12回、千歳8回、江戸川10回、墨田5回、北6回、新江東24回、港18回、豊島18回、渋谷6回、中央12回、板橋19回、多摩川18回、足立12回、品川18回、葛飾18回、世田谷30回、大田(新)8回、練馬12回、杉並16回、光が丘3回となっている。


●世田谷清掃工場 補助燃料使用量推移
流動床ガス化溶融炉 300t/日(150t×2炉)平成20年3月竣工
ガス化溶融炉、助燃用にもかなりの都市ガスを要するのだ、、、


●焼却炉の都市ガス使用量の年度推移

☆平成14年度は、補助燃料として重油(11.6KL)使用の工場あり。(たぶん大田第二)中防の破砕ごみ処理施設は都市ガスではなく、重油を使用


●補助燃料使用量の推移
☆世田谷清掃工場平成20年3月に竣工してから助燃用が急増
そして、世田谷、故障も多く、立ち上げ立ち下げでも燃料使用増加に、、

灰溶融施設処理実績

令和2年度から全ての灰溶融施設は休止となった~

過去の灰溶融の作業年報
関連(本ブログ)
23区清掃一組 令和元年度「清掃工場等作業年報」、稼働実績、故障件数、電力使用量、CO2排出量など~2020年10月22日


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●清掃工場別CO2排出量(令和2年度)
東京都の環境確保条例はエネルギー起源も、非エネルギー起源も報告義務。
エネルギー起源は削減義務有り

令和2年度 全清掃工場CO2排出量
 エネルギー起源    22,886トン
 非エネルギー起源  1,314,708トン


清掃工場以外のエネルギー起源CO2排出量
京浜島不燃ごみ処理センターは大田第一工場に含む
中防灰溶融、中防不燃ごみ処理センター、粗大ごみ破砕処理施設:4,339 t、

●清掃工場CO2排出量推移

 ●清掃工場、温室効果ガス排出量の法的義務



23区の清掃工場、補助燃料は全て都市ガス
使用電力量と補助燃料使用量が、エネルギー起源CO2排出で削減義務の対象
非エネルギー起源CO2:廃プラスチックや合成繊維などの焼却により発生するCO2
(廃プラスチック1トンを処理すると2.7トンのCO2が出る計算)

(生ごみなどの有機物の焼却により発生するCO2はカーボンニュートラルとして算定しない。)

 

●労働災害発生状況

これまでの作業年報では、労災発生件数は「再雇用職員及び業者による災害は含まない」となっていたのだが、平成24年度作業年報から、職員、再雇用者、運転管理委託、定期点検請負、その他請負工事業者などの労働災害発生件数内訳もだしている。

(令和2年度)
死亡災害 ゼロ
重傷災害 6件(休業日数が1日以上要した災害)
 清掃工場等職員(再雇用者含む)1件
 運転管理委託等業務受託者 1件、その他の請負工事業者・受託者 4件
その他の労働災害18件(休業日数なし(0日)の災害)
 清掃工場等職員(再雇用者含む)7件、運転管理委託等業務受託者2件、定期点検補修工事請負業者5件、その他の請負工事業者・受託者4件


●清掃工場バンカ内出火状況推移
世田谷のバンカ内火災、平成29年度は11件、平成30年度は13件、令和元年度は16件、令和2年度は21件。平成28~令和2年度の5年間で合計122件のうち、世田谷は64件と5割は世田谷
世田谷区、プラスチックの資源化が進まないので、バンカ内も火災が多発か?

消防署出動、平成15年度は新江東、平成18年度は品川、平成19年度は千歳、平成21年度は世田谷




●薬品使用実績推移

 

●ごみ焼却、灰溶融に関する物質及びエネルギー収支

資料編(PDF:985KB)」4p

 

前年度と比べてみて、いろいろ気になる部分もあるのだが、、、
とりあえず~


ごみのことを少しでも理解しようと、こんなブログまで作って、、、
しかしここまで続けても、清掃工場の休止も、清掃工場の規模縮小も、なにもままならないだけでなく、長年休止していた大田第一まで再稼働だから、、意気消沈、、なにもやる気も無くなるが、、、

 

 

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