ビスケットのあれこれ

ビジュアル言語ビスケット(Viscuit)に関するあれこれを書いてゆきます.

ビスケットでコンピュータウィルスを説明する

2010-08-28 22:54:31 | 1
ビスケットを使って,コンピュータウィルスの仕組みを説明してみる.

まず,準備.
ビスケットの入門用ワークショップにビスケットランドというのがある.

このように,参加者が作った作品を全部まとめて一つのプロジェクターに表示するというもの.
たとえば,
ビスケットランド
のような画面になる.作った動きが,大きく表示され,非常に盛り上がるワークショップである.

このワークショップに高学年の子どもが参加したときに,その子に飽きさせないような新しい技として,
「はてな」というのを教えることがある.
たとえば,

のように使う.「はてな」はワイルドカードで,任意の図形にマッチするという意味をもつ.2つめのメガネは「このみどりの魚は,何かに衝突すると,よける」という動きである.

実は上のURLの中の海にもこのみどりの魚が泳いでいた.ほとんどの魚は決められたとおりの泳ぎしかしないが,このみどりの魚だけは,他の魚に干渉して複雑な動きをする.世界一単純なロボットプログラミングといってもいいかもしれない.

さて,やっとウィルスの説明の準備ができた.ここで,

のような作品をつくる.
「はてな」が理解できた人ならこれがどのような動きをするかわかるだろう.
2つ目のメガネは,「黄色い顔が何かに当たったら,相手も自分と同じ黄色い顔にする」という意味である.
これを実際に海に放流するとこうなる.
怖いビスケットランド
今まで楽しかった海が,一瞬で怖いウィルスだらけになる.

このウィルスの変形で,「黄色と何かがぶつかったら,相手を赤にする」というのもつくれる.黄色は増えずに,赤だけが増えるので,感染はすごく遅い.数に比例した時間がかかる.それに対して,上の黄色のウィルスは,自分が増殖するので,一気に感染してゆく.指数関数のすごさである.

物が腐る,マルチ商法,風邪がうつる,みな指数関数だが,指数関数を直感で理解するのは難しい.3日腐らなかったから4日目も大丈夫だろう,というものではない.

プログラミング教育がなぜ必要か.
世の中を生きる上でプログラミングが直接役に立つという局面はほとんどない.未来のプログラマーを育てるためではない.

我々は,子どもの頃に積み木遊びをしたから,荷物を高く積むと崩れそう,という直感が働く.
コンピュータやインターネットの直感的な理解はどのようにして得られるだろうか.
それはプログラミング遊びを通じて獲得してゆくものなのである.

このコンピュータウィルスの授業は小学校高学年なら90分くらいでやれるだろう.ご興味のある学校があればご連絡ください.
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