ビスケットのあれこれ

ビジュアル言語ビスケット(Viscuit)に関するあれこれを書いてゆきます.

園児でもできるプログラミング

2016-02-19 17:26:16 | 1
桐蔭学園の幼稚部のアフタースクールでビスケットのワークショップが行われた内容をご紹介します.

【幼稚部】スペシャルプログラム「海のせかいを描いて動かそう!」

記事を読むと,みんな楽しそうに遊んでいます.これほど子供の表情がわかるくらい近くで見れるのも珍しいです.

この中の上から6枚目の写真でおばけのゆらゆらを作っている画面がはっきりと見えるので,そこの解説をしましょう.

いま,ひっそりとテスト的にリリースされているAndroid, AIR(windows/Mac)版には,メガネのランダムな選択という機能が入っています.これが初期のビスケットを非常に表現力の豊かなものにしています(古いビスケットでは動きません).



このように,おばけの動きで,メガネが2つ使われています.上のメガネはおばけが上に進む.下のメガネはおばけが下に進むです.今までのビスケットでは,メガネの左側(条件部分)がまったく同じ場合はどれか一つのメガネが選ばれたらそのままずっと選ばれっぱなしになってました.古いプログラミング言語の考え方ではこれが真っ当な仕様です.

ところが,新しいビスケットではこのメガネの選択をランダムにしました.毎回どちらが選ばれるか変わります.交互でもないです.

その結果,このおばけはゆらゆらと上下する動きになるのです.



どういう教え方をするかというと,「メガネをこうすると,おばけは上に動きます」「メガネをこうすると,おばけは下に動きます」「では,上に動くメガネと下に動くメガネを2つにしたら,どうなるかというと,このようにゆらゆら動くようになります」

そうやって,自分たちで試してもらいます.

それで,先ほどの子供の写真に戻りますと,写真をよく見るとおばけの動きに,メガネが3つ使われています.例えば,こういうことです.




ここでは3つ目に,おばけは後ろに下がるというのを追加しました.これによって「おばけは上に行ったり,下に行ったり,後ろに下がったり」するようになります.

メガネを3つ4つと増やせば,どんどん動きが複雑になってゆく,というのを発見する子供は,幼稚園児対象でも毎回何人かいます.


この応用で,カニが進んだり止まったり,というのもあります.横に動くというメガネと,動かない(左右で絵が同じ位置に入っている)というメガネをつくると,じっとしてて時々動くというカニができます.動かないというメガネをいれるといろんなものがすごく生き物っぽくなるんですよね.





ここまでは,基本的な動き(上下左右,早い遅い止まる)とメガネがランダムに選ばれるということだけを教えましたが,それらを組み合わせると実にいろんな動きを作ることができます.これらの動きはこちらからは教えません.自分で発見してもらいます.メガネを増やせば増やしただけ動きが複雑になります.

僕が子供たちに伝えたいことは,コンピュータの複雑さはどこからくるのか,ということです.ゆらゆら動くとか,ときどき止まるといったことは,もともとコンピュータの機能には入っていません.コンピュータは基本的な動きだけしかできません.最初はその基本的な動きだけで遊びます.それらを組み合わせることで複雑な動きができるようになります.新しい組み合わせを発見すると,できることが一気に広がります.その広がって行く感じ,これこそが僕たちがコンピュータに感じている可能性です.

これを幼稚園児に体験を通じて伝えられるということは,なかなかすごいことですよね.


さて,2月28日はビスケットの誕生日です.今年はちょっと特別なイベントビスケットバースディ~パーティーを企画しました.様々な方にビスケットの魅力についてお話しいただきます.

http://party.viscuit.com/

阿部さんとの対談が個人的には楽しみです.