やっと青天の日々が続く。暦の上では6月5日が芒種、21日が夏至。入梅標準日が6月10日とされるが、今年は中旬になると気象予報は出ている。
ところで、ここではギボウシの品種の見分け方について触れる。このブログでは10数年前に26の系統で分類し書き込んでいたが、この時の記事に今でもアクセスしてくるようだ。わたしとしては当時は思い切ったもので、その時の知見を確定させるためにWeb上に挙げてみた。また再掲載する。今でも修正も考えるが慎重にならざるを得ない。(このサイトのカテゴリー「ギボウシの系統と分類」も参照されたい)
****・****・****・****・****・****・****
■ギボウシの分類と系統■
作成日時:210505 20190430 20210524
全体依拠 学説:藤田昇
ギボウシはキジカクシ科リュウゼツラン亜科ギボウシ属≪旧ユリ科ギボウシ属≫(Hosta)であり、アジア東部特産の宿根草です。その分布域は中国大陸北部から沿海州・朝鮮半島・サハリン・日本で、亜寒帯から温帯に及んで自生しており、日本において最も著しく分化し、多数の種や変品種の自生や栽培があります。
ギボウシの花は、ユリ科を証明するようなユリに似たラッパ形、種類により花期は5月から11月まで変化が多く、花冠の長さ14cmの大型から3cmのごく小型まで変化が多く、花茎の高さは長いものは2m以上に達し、低いものは15cmのものもあります。色はほとんどの種が淡紫色から濃い色の紫色系で、中国産の1種とその変種のみが白色で、紫色系の品種のいくつかに白色が知られています。
花冠の基部は狭筒で順次太い筒形になり、上部は6裂し、雌しべ1本、雄しべ6本です。
朔は、3室に分かれて扁平な種子が2列重なって入っており、熟すると朔が裂開し、風に乗って遠くまで種子を散布する点もユリそのものに似ています。
葉は、根生で叢生するがウラジロギボウシのように1~2枚のものもあり、葉は葉身と葉柄に分かれるが中には葉柄に葉身が細長く流れるものもあって、葉身の形は宝珠に似た広卵形や長楕円形が多く、披針形の細長い種類もあります。
地下に塊状の地下茎があって、根は種類により細長いがやや太い紐状で、地下茎に新芽ができて繁殖します。コバギボウシやサクハナギボウシは、細長い地下茎を出してその先にも新芽が生じます。
自生の状態は、北海道や東北方面の寒冷地は湿地性が多く、関東中部以西では原野や山林の緑辺・疎林内に多く、種類や地域によっては岩盤や樹幹に生育しています。
ギボウシの異種間や同種内の変品種の判定ははなはだ難しく、それは区別点が明確でないためです。その原因は同一種でも地域によって変異の幅が大きく、また同一地帯の種内の個体差が大きく、分布域が重なって雑種が多いことなどです。ギボウシは進化過程の植物で、分化が完成していないとの考え方もあります。またたとえば、命名されたものが栽培品で自生地がわからず、そのうえ栽培中にも雑種が生じやすく、ますます原種の判別が難しいのです。
〈ギボウシの栽培と観察〉 渡辺健二
■ギボウシの分類と系統(私案)■
作成日時:20200505 20200811 20240606
****・****・****・****・****・****・****
① ■オオバギボウシ■
Hosta(属)―Bryocles(亜属)―Helipteroides(節)―sieboldiana―var.sieboldiana
Montana F. Maek
種の形容語は長崎のオランダ商館の医師として来日したシーボルトの名にちなむ。 オオバギボウシ はHosta属を代表する野生の原種である。沖縄を除く九州の屋久島から北海道中部まで分布し、岩場、草原、林内と生育場所は幅広く、身近な里山でも見ることができる。シーボルディアナ (Sieboldiana) とモンタナ (Montana) の系統。シーボルディアナはブルー系の親として重要で、山陰から北陸地方に多く分布する。モンタナは斑入り種が多くて、全国的に分布するが太平洋岸に多いとされている。
食用としては、原種の “オオバギボウシ” と園芸品種 “天竜” が知られていて、“オオバギボウシ” は東日本特に東北地方では野菜に代わる山菜として常食されている。園芸市場では、家庭菜園用に秋植えの根株として店頭販売される。
性質はやや立ち葉で大型になり、花の色は白からうすいラベンダー色になる。季節による変化は少ない強健種である。
① ■クロギボウシ系(オオバギボウシの変種)■
Hosta(属)―Bryocles(亜属)―Helipteroides(節)―sieboldiana(Lodd.) Engler
―var. nigreicens Makino
オオバギボウシの変種。東北の栽培品。中型種、葉の形態は中葉、立ち葉である。
② ■キヨスミギボウシ■
Hosta(属)―Bryocles(亜属)―Helipteroides(節)―kiyosumiensis F. Maek.
近畿南部、東海道、房総半島の太平洋岸要素の分布。中型種。
③ ■ヒュウガギボウシ■
Hosta(属)―Bryocles(亜属)―Helipteroides(節)―kikutii―var. kikutii F. Maek
種の形容語は園芸学者の菊池秋雄の名にちなむ。九州、四国、近畿南部に分布し、主として谷沿いの岩場に産する。
④ ■ウナズキギボウシ/トサノギボウシ(ヒュウガギボウシの変種)■
Hosta(属)―Bryocles(亜属)―Helipteroides(節)―kikutii―var. caput-avis( var.tosano)F. Maek.
紀伊半島と四国の一部に分布する。中型種。
⑤ ■ハチジョウギボウシ■
⑥ ■スダレギボウシ■
Hosta(属)―Bryocles(亜属)―Helipteroides(節)―kikutii―var. polyneuron四国全土、和歌山県の一部に分布する。
⑦ ■ウラジロギボウシ■
Hosta(属)―Bryocles(亜属)―Helipteroides(節)―hypoleuca Murata
愛知県三河地方の岩場に産する。ウラジロギボウシは大きな葉と葉裏の白色が特徴で、垂直に近い断崖の岩場に大きな葉を1~2枚だけ垂らして自生する。サムアンドサブスタンスは、春から初夏にかけて、葉を伸ばしみるみる大きくなりその後生長が止まる性質の最大級の大型種、葉の形態は大葉、立ち葉と言えるだろう。ギボウシのなかでは草姿がギボ
ウシらしからぬ印象をあたえるユニークな品種である。
⑧ ■イワギボウシ■
Hosta(属)―Bryocles(亜属)―Picnolepi(節)―longipes―var. longipes(Franch. et Savat.) Matsum.
九州から東北まで分布し、岩上や樹上に着生する。どっしりした葉姿の小型品種である。自生地ではしばしば群生しているのを見かける。繁殖力は強く、小株を増やしていく。
現代では、ギボウシの中では一番新品種を作り出するためにて交配、選抜がなされている。
⑨ ■ヒメイワギボウシ■
Hosta(属)―Bryocles(亜属)―Picnolepi(節)―longipes (Franch. et Savat.) Matsum.―var. gracillima (F. Maek.) N. Fujita
小豆島、四国に分布する。小型種。
⑩ ■セトウチギボウシ■
山口県周防大島、同島周辺のみに自生する。葉裏は雪白色で花茎は細長く斜めに出て、花は淡い紫から濃紫・紅紫色と変化し美しい。陽地でも葉焼けせず、陰地ではかえって生育がわるく。なるほど。頑強で繁殖力も強い。中型種。
⑪ ■コバギボウシ/オモトギボウシ■
Hosta(属)―Bryocles(亜属)―Nipponsta(節)― albo-marginata (Hooker) Ohwi
Hosta(属)―Bryocles(亜属)―Helipteroides(節)―sieboldii―var.lancifolia
九州から、サハリン、沿海州まで分布し、草原、湿原に多い。中型~小型種。
⑫ ■ヤクシマミズギボウシ(コバギボウシの小型種)■
Hosta sieboldii f. spathulata?
⑬ ■ツボミギボウシ■
Hosta(属)―
朝鮮半島原産。匍匐根茎による繁殖や生育に安定した特性を持つ品種で、多くの交配に用いられる原種。ツボミギボウシの変種。繫殖力旺盛で強権種。韓国産の三倍体野生種のサクハナギボウシ(H. clausa var. normalis)、不稔性品種3倍体(2n=90)。この種はかなりの濃色花である。変種サクハナギボウシ。中型種。
⑭ ■ミズギボウシ■
Hosta(属)―Bryocles(亜属)―Nipponsta(節)―longissima Honda
東海、関西を中心に静岡以西の西日本に分布し、湿地に産する。中型種。
⑮ ■ツシマギボウシ■
Hosta(属)―Bryocles(亜属)―Tardanthae(節)―tsushimensis N. Fujita
長崎県対馬の山地に産する。中型種。
⑯ ■シコクギボウシ■
Hosta(属)―Bryocles(亜属)―Enbryocles(節)―shikokiana N. Fujita
四国の山地の岩場に産する。
⑰ ■オトメギボウシ■
Hosta(属)―Bryocles(亜属)―Venusta(節)―venusta F. Maekawa
済州島とその付近の諸島に分布し、日本で栽培される極小型種。
⑱ ■タチギボウシ■
Hosta(属)―Bryocles(亜属)―Helipteroides(節)―sieboldii―var.rectifolia Nakai
北海道の湿原や東北に分布、北に行くほど大型で花茎は1m以上になる。中型種。
⑲ ■カンザシギボウシ/イヤギボウシ■
Hosta(属)―Bryocles(亜属)―Lamellatae(節)―capitata (Koidz.) Nakai
三重以西の西日本と朝鮮半島南部に分布し、主として石灰岩の岩場に産する。
カンザシギボウシ(簪擬宝珠)とイヤギボウシ(祖谷擬宝珠)は、水はけの良い土壌、自生地では傾斜地の岩場に好んで生えるようだ。花序は房状に上部につく。マニア垂涎の野生種だ。なお、ゴールデン ティアラ類は、今後、緑地の植栽計画上、小面積のグランウンドカバープランツとして寄せ植えにして利用したいものだ。中型~小型種。
㉑ ■マルバタマノカンザシ■
学 名:Hosta(属)― Hosta(亜属)―plantaginea Aschers(節)―var. plantaginea
英 名:Plantain Lily Funkia
原産地: 中国北部
分類体系の学名の plantagineaとは、あの踏跡植物で雑草のオオバコ(大葉子)のような、という意味か? なんだろう、葉が似ているということか。原産地が中国北部とはいわゆる、旧満州のことか?
タマノカンザシ系は匂いギボウシと別称されるとおり、花には斑入り種・青葉種ともすべてに芳香がある。芳香の種類は、なるほどこれがユリ科と思わせるほど似ているが、百合のような癖のある刺激臭ではなくフルーテイで甘い香りだとおもう。なお花について、丸葉タマノカンザシと玉の簪は夜開性、ほかの園芸品種は昼間性である。
関東地方では、開花時期がギボウシの中では遅咲きで梅雨明け前後から秋の彼岸過ぎまで、長い間咲き続ける。ダイナミックに花茎を伸ばし大きな花をつける、それは華やかで堂々としており、ギボウシでは唯一、この系統の玉の簪が切り花にできるものではないだろうか。大型種。ただし、このなかで <スウィート スーザン> だけは草姿が小ぶりである。
この品種系は見かけとちがい丈夫でしかも成長は早い方に属し、栽培は比較的簡単な部類にはいる。株分けは容易であるが、どうも結実しにくいようだ。もっと大株でないと駄目なのかな。原種は実生で繁殖する。
わたしのおすすめの品種は、実は、ギボウシに詳しからずとも一般的に人気のあるタマノカンザシではなく、白の縁取りでアップルグリーンの葉を持つ <フレグラントブーケ> である。
㉒ ■スジギボウシ■
学 名: Hosta(属)― Bryocles(亜属)― Helipteroides(節)―undulata (Otto et Dietr.) L. H. Bailey
原産地: なし
栽培品で自生地はない、とされている。おまけに、出生・系統分類も不明、人工、自然交配がすすみすぎた交雑種、ということになるのか。白からクリーム色の中斑の中葉、中型種が多い。
<スジギボウシ> という品種、一般的にギボウシと言えば普通はこれを日常生活のなかで、目にするはずである。古くから出回っており、季節も早春の園芸店の店先に並べられる。ギボウシの仲間ではいの一番に展葉する。春先、芽吹きが早く花付きもよくて、早めに伸びていく。しかも春から夏に移っていくにしたがい、やや全体がよれて後暗み(のちくらみ)するようだ。
これはどこにでもあるありきたりな強健種のギボウシ、しばしば造園設計上は境栽的な植栽、露地にボーダー状に植えられる。
このなかで、わたしのおすすめは <クリスマス キャンディー> 、明るくすっきりしたトーン、清涼感がモダンな感じだ。
㉓ ■トウギボウシ系■
学 名: Hosta(属)― Bryocles(亜属)― Helipteroides(節)―sieboldiana (Lodd.) Engler
原産地: ?
オオバギボウシの変種。sieboldiana シーボルディアナ(命名は、あのオランダの Philip Franz von Siebold シーボルト博士にちなむもの)は日本の言い方ではトウギボウ
シ(唐擬宝珠?)、ほぼ全葉が青葉系の品種が多く(濃緑色)、なかには一部に黄緑の葉色がある。それに対して、同じ変種の斑入り種は montana モンタナと区別される。
しかしまた、ある通説によると、分類・系統する上では、葉の裏が裏白なのがトウギボウシ、そうでないものがオオバギボウシといった区別が一般的である。自生地については、日本海側がトウギボウシ、太平洋側はオオバギボウシとされている。
トウギボウシ系は、どの品種も葉脈も葉形が似ていて地味めである。性質は安定しており植物の光合成率に左右される、後暗み後冴えの生理現象とも無関係であるが、成長はきわめて遅い。中型から大型の種類が多く、ゆっくりと成長するが、やがて存在感が増してくる。品種によるが草紅葉と言うか、紅葉はおすすめする。
㉔ ■フォーチュネイ系■
学 名: Hosta(属)― Bryocles(亜属)― Helipteroides(節)― sieboldiana
― var.fortunei
原産地: なし
レンゲギボウシ (Fortunei)の系統。フォーチュネイ系は園芸種を便宜的に分類するた
めの系統で自生種はない。したがって、形態的な特徴をあげても個々にバラバラでありそれほど意味がない。
具体的な育種履歴・栽培経験で見ていく。これは、オオバギボウシの突然変異種などを交配したもので、19世紀後半以降に欧米でつくりだされた品種が多く、形態は小型、中型種である。斑入り種・青葉種とも存在する。花の色はすべてラベンダー色になる。
一般的にこのフォーチュネイ系には、一部に後暗みの徴候が見受けられるが、季節による斑の変化は少なくそのまま秋まで美しいものが多い。
ギボウシの(小品)盆栽の世界では、原種系のギボウシ、日本の古典的な 徳玉 に混じり パトリオット の盆栽仕立てが山野草の展示会によく出されている。育てやすさと明快な白斑が魅力なのだろうか。ポピュラーなギボウシの代表と言えば、この <パトリオット> が挙げられよう。
わたしのおすすめは、 <ゴールド スタンダード> と <オーガスト ムーン> である。斑のあるなしにかかわらず、透明感のある葉色がいい。また、 <キャプテン クック> は トクダマ に似て鮮やかで多彩な葉色がいい。デザイン的に使いまわしが利き重宝なレイアウトの素材、ということになる。コンテナガーデン、ホスタガーデンには必ず取り入れたい品種である。
㉕ ■トクダマ系■
学 名: Hosta(属)― Bryocles(亜属)― Helipteroides(節)― sieboldiana
― var.tokudama
Hosta sieboldiana (Lodd.) Engler var. condensata (Miq.) Kitam
原産地: なし
山陰に自生があるといわれている。オオバギボウシの変種、園芸種。徳玉という名前は葉が丸いことによる。中葉の小型、中型が多く成長速度が遅い。トクダマ系は、種間交雑が積極的に人工的におこなわれているようだ。新しい交配種には斑入りが多く見られるが、地色との複色系の多彩な葉のコンビネーションが人気の秘密か。開花時期は比較的早い。花の色は白からうすいラベンダー色になる。個人的な経験では、種子繁殖をする場合、トクダマ系は空さやが少なく結実がきわめていいようだ。季節による斑の変化は少なくそのまま秋まで美しいものが多い。
わたしには、観賞価値が高くて飽きの来ない品種という思いが強い。マイコレクションのトクダマ系は、地元の市場で仕入れているが、札落ち同然、品種名が曖昧で確定作業にひそかに苦慮している。しかし、これからはこのグループの増殖と収集には傾注していきたい。
㉖ ■クロナミギボウシ系■
学 名: Hosta(属)― Bryocles(亜属)― Helipteroides(節)
―sieboldiana (Lodd.) Engler ―var. fluctuans F. Maek.
原産地: なし
****・****・****・****・****・****・****
クロナミギボウシ(黒波擬宝珠)系では“寒河江”がこの世界では有名。山形県寒河江市で偶然、発見された自然交雑種。このグループは大型で肉厚でウェーブをもった大葉の
品種が多く、本来は鉢やポットではなく地植えに向いている。落葉時期が遅く、結実状況は、熟すのが遅い部類に入るが空さやが少なくきわめていいようだ。ギボウシの仲間ではよく花も咲くし強健種であり、存在感があり大鉢や化粧鉢を用いたディスプレイに最適の草花である。
この品種は外国でも日本でも共通して人気品種である。
■不明品種■
F. アニー. アイランド チャーム(Flamboyantの交配種). アバ ダバ ドウ.
アルポ ピクタ. グランド マスター. ママミヤ. ファイヤー アンド アイス.
キャサリン ルイス. パトリシア. R.
****・****・****・****・****・****・****
閑話休題、この話はまだ続く。
一般的には植物の分類はよく花自体で見分けることとされている。通常、わたしは変異種や交雑種が多く複雑怪奇なこのギボウシの品種の鑑定や同定に悩むことが多いが、ここでは、入手難となっているあの 『ぎぼうし図鑑』2010年4月30日発行ー誠文堂新光社 のコラム的な文章 ギボウシの品種の見分け方(簡単な分類) とある頁を転載してみたい。しかし、内容は長文かもしれないが分かり易いようで実は具体性に乏しいとも言えるだろうか。なかなか、品種名特定まではいかない。
≪花の特徴で言えば、まずギボウシは大きく二つに分かれる。一つは、花が純白で夜咲きで、これが タマノカンザシ で、後はその他多数である。
更に二つに分けると、花の内側の脈は着色しないかごく淡い、これが オオバギボウシ の仲間である。花の内側の脈が濃く着色する、こちらが コバギボウシ の仲間。更に更にと辿っていくと種名にまで到達するという一覧表である。細部になると苞(花の保護の役目だろうか、透明のようなもの)これの形や色、早く落ちるかどうかなど、難しくなる。
判りやすい例をあげると,関東に自生するのはおおむね オオバギボウシ と コバギボウシ 、イワギボウシ であるが、花茎の先にツボミのかたまりが出るが、苞が瓦を葺いたように重なり、上から見ると星のように見えるのが オオバギボウシ 、橋の欄干に見られる、いわゆる擬宝珠のようにふっくらとかたまっているのが コバギボウシ である。このツボミの形からギボウシの名がついたと言われている。葉を見ても オオバギボウシ は丸みを帯びた葉にスプーンのように葉柄が着いているが、 コバギボウシ のほうは葉からなだらかに葉柄につながり、葉全体がしゃもじ形である。イワギボウシ はおおむね葉柄に紫褐色の斑点があるので区別がつく。
本州中部から四国・九州ではそう簡単に言えないが、種類が多くそれだけたのしみも多いといえるだろう。細かい部分まで観察していくと、先ほどのツボミであるが、四国・九州産の ヒュウガギボウシ の系統はツボミが鳥のクチバシのような特別の形で、一見それと判る。変種の ウナズキギボウシ は更に花茎そのものが下向きとなり、崖の中腹にあるので、昆虫が見つけやすいように進化したという面白いものである。頷きギボウシの名前の由来である。
その他にも、普通花の形はユリのようになだらかに開いていくのに、ワイングラスのような形の ムラサキギボウシ 、花茎に葉が付く スジギボウシ 、これは乳白色の斑が入るが、青葉のものはその名の通り オハツキギボウシ 、つい指でさわって試したくなる オトメギボウシ は花茎が四角。≫
なお、ここで手近な本としては 「日本植物誌」(大井次三郎・至文堂)と 「日本の野外植物」(草本編Ⅰ・平凡社)では検索表がついていて、観察の手引きになる。いづれも古本でほぼ絶版に近いが図書館で見られると紹介している。
ところで、ここではギボウシの品種の見分け方について触れる。このブログでは10数年前に26の系統で分類し書き込んでいたが、この時の記事に今でもアクセスしてくるようだ。わたしとしては当時は思い切ったもので、その時の知見を確定させるためにWeb上に挙げてみた。また再掲載する。今でも修正も考えるが慎重にならざるを得ない。(このサイトのカテゴリー「ギボウシの系統と分類」も参照されたい)
****・****・****・****・****・****・****
■ギボウシの分類と系統■
作成日時:210505 20190430 20210524
全体依拠 学説:藤田昇
ギボウシはキジカクシ科リュウゼツラン亜科ギボウシ属≪旧ユリ科ギボウシ属≫(Hosta)であり、アジア東部特産の宿根草です。その分布域は中国大陸北部から沿海州・朝鮮半島・サハリン・日本で、亜寒帯から温帯に及んで自生しており、日本において最も著しく分化し、多数の種や変品種の自生や栽培があります。
ギボウシの花は、ユリ科を証明するようなユリに似たラッパ形、種類により花期は5月から11月まで変化が多く、花冠の長さ14cmの大型から3cmのごく小型まで変化が多く、花茎の高さは長いものは2m以上に達し、低いものは15cmのものもあります。色はほとんどの種が淡紫色から濃い色の紫色系で、中国産の1種とその変種のみが白色で、紫色系の品種のいくつかに白色が知られています。
花冠の基部は狭筒で順次太い筒形になり、上部は6裂し、雌しべ1本、雄しべ6本です。
朔は、3室に分かれて扁平な種子が2列重なって入っており、熟すると朔が裂開し、風に乗って遠くまで種子を散布する点もユリそのものに似ています。
葉は、根生で叢生するがウラジロギボウシのように1~2枚のものもあり、葉は葉身と葉柄に分かれるが中には葉柄に葉身が細長く流れるものもあって、葉身の形は宝珠に似た広卵形や長楕円形が多く、披針形の細長い種類もあります。
地下に塊状の地下茎があって、根は種類により細長いがやや太い紐状で、地下茎に新芽ができて繁殖します。コバギボウシやサクハナギボウシは、細長い地下茎を出してその先にも新芽が生じます。
自生の状態は、北海道や東北方面の寒冷地は湿地性が多く、関東中部以西では原野や山林の緑辺・疎林内に多く、種類や地域によっては岩盤や樹幹に生育しています。
ギボウシの異種間や同種内の変品種の判定ははなはだ難しく、それは区別点が明確でないためです。その原因は同一種でも地域によって変異の幅が大きく、また同一地帯の種内の個体差が大きく、分布域が重なって雑種が多いことなどです。ギボウシは進化過程の植物で、分化が完成していないとの考え方もあります。またたとえば、命名されたものが栽培品で自生地がわからず、そのうえ栽培中にも雑種が生じやすく、ますます原種の判別が難しいのです。
〈ギボウシの栽培と観察〉 渡辺健二
■ギボウシの分類と系統(私案)■
作成日時:20200505 20200811 20240606
****・****・****・****・****・****・****
① ■オオバギボウシ■
Hosta(属)―Bryocles(亜属)―Helipteroides(節)―sieboldiana―var.sieboldiana
Montana F. Maek
種の形容語は長崎のオランダ商館の医師として来日したシーボルトの名にちなむ。 オオバギボウシ はHosta属を代表する野生の原種である。沖縄を除く九州の屋久島から北海道中部まで分布し、岩場、草原、林内と生育場所は幅広く、身近な里山でも見ることができる。シーボルディアナ (Sieboldiana) とモンタナ (Montana) の系統。シーボルディアナはブルー系の親として重要で、山陰から北陸地方に多く分布する。モンタナは斑入り種が多くて、全国的に分布するが太平洋岸に多いとされている。
食用としては、原種の “オオバギボウシ” と園芸品種 “天竜” が知られていて、“オオバギボウシ” は東日本特に東北地方では野菜に代わる山菜として常食されている。園芸市場では、家庭菜園用に秋植えの根株として店頭販売される。
性質はやや立ち葉で大型になり、花の色は白からうすいラベンダー色になる。季節による変化は少ない強健種である。
① ■クロギボウシ系(オオバギボウシの変種)■
Hosta(属)―Bryocles(亜属)―Helipteroides(節)―sieboldiana(Lodd.) Engler
―var. nigreicens Makino
オオバギボウシの変種。東北の栽培品。中型種、葉の形態は中葉、立ち葉である。
② ■キヨスミギボウシ■
Hosta(属)―Bryocles(亜属)―Helipteroides(節)―kiyosumiensis F. Maek.
近畿南部、東海道、房総半島の太平洋岸要素の分布。中型種。
③ ■ヒュウガギボウシ■
Hosta(属)―Bryocles(亜属)―Helipteroides(節)―kikutii―var. kikutii F. Maek
種の形容語は園芸学者の菊池秋雄の名にちなむ。九州、四国、近畿南部に分布し、主として谷沿いの岩場に産する。
④ ■ウナズキギボウシ/トサノギボウシ(ヒュウガギボウシの変種)■
Hosta(属)―Bryocles(亜属)―Helipteroides(節)―kikutii―var. caput-avis( var.tosano)F. Maek.
紀伊半島と四国の一部に分布する。中型種。
⑤ ■ハチジョウギボウシ■
⑥ ■スダレギボウシ■
Hosta(属)―Bryocles(亜属)―Helipteroides(節)―kikutii―var. polyneuron四国全土、和歌山県の一部に分布する。
⑦ ■ウラジロギボウシ■
Hosta(属)―Bryocles(亜属)―Helipteroides(節)―hypoleuca Murata
愛知県三河地方の岩場に産する。ウラジロギボウシは大きな葉と葉裏の白色が特徴で、垂直に近い断崖の岩場に大きな葉を1~2枚だけ垂らして自生する。サムアンドサブスタンスは、春から初夏にかけて、葉を伸ばしみるみる大きくなりその後生長が止まる性質の最大級の大型種、葉の形態は大葉、立ち葉と言えるだろう。ギボウシのなかでは草姿がギボ
ウシらしからぬ印象をあたえるユニークな品種である。
⑧ ■イワギボウシ■
Hosta(属)―Bryocles(亜属)―Picnolepi(節)―longipes―var. longipes(Franch. et Savat.) Matsum.
九州から東北まで分布し、岩上や樹上に着生する。どっしりした葉姿の小型品種である。自生地ではしばしば群生しているのを見かける。繁殖力は強く、小株を増やしていく。
現代では、ギボウシの中では一番新品種を作り出するためにて交配、選抜がなされている。
⑨ ■ヒメイワギボウシ■
Hosta(属)―Bryocles(亜属)―Picnolepi(節)―longipes (Franch. et Savat.) Matsum.―var. gracillima (F. Maek.) N. Fujita
小豆島、四国に分布する。小型種。
⑩ ■セトウチギボウシ■
山口県周防大島、同島周辺のみに自生する。葉裏は雪白色で花茎は細長く斜めに出て、花は淡い紫から濃紫・紅紫色と変化し美しい。陽地でも葉焼けせず、陰地ではかえって生育がわるく。なるほど。頑強で繁殖力も強い。中型種。
⑪ ■コバギボウシ/オモトギボウシ■
Hosta(属)―Bryocles(亜属)―Nipponsta(節)― albo-marginata (Hooker) Ohwi
Hosta(属)―Bryocles(亜属)―Helipteroides(節)―sieboldii―var.lancifolia
九州から、サハリン、沿海州まで分布し、草原、湿原に多い。中型~小型種。
⑫ ■ヤクシマミズギボウシ(コバギボウシの小型種)■
Hosta sieboldii f. spathulata?
⑬ ■ツボミギボウシ■
Hosta(属)―
朝鮮半島原産。匍匐根茎による繁殖や生育に安定した特性を持つ品種で、多くの交配に用いられる原種。ツボミギボウシの変種。繫殖力旺盛で強権種。韓国産の三倍体野生種のサクハナギボウシ(H. clausa var. normalis)、不稔性品種3倍体(2n=90)。この種はかなりの濃色花である。変種サクハナギボウシ。中型種。
⑭ ■ミズギボウシ■
Hosta(属)―Bryocles(亜属)―Nipponsta(節)―longissima Honda
東海、関西を中心に静岡以西の西日本に分布し、湿地に産する。中型種。
⑮ ■ツシマギボウシ■
Hosta(属)―Bryocles(亜属)―Tardanthae(節)―tsushimensis N. Fujita
長崎県対馬の山地に産する。中型種。
⑯ ■シコクギボウシ■
Hosta(属)―Bryocles(亜属)―Enbryocles(節)―shikokiana N. Fujita
四国の山地の岩場に産する。
⑰ ■オトメギボウシ■
Hosta(属)―Bryocles(亜属)―Venusta(節)―venusta F. Maekawa
済州島とその付近の諸島に分布し、日本で栽培される極小型種。
⑱ ■タチギボウシ■
Hosta(属)―Bryocles(亜属)―Helipteroides(節)―sieboldii―var.rectifolia Nakai
北海道の湿原や東北に分布、北に行くほど大型で花茎は1m以上になる。中型種。
⑲ ■カンザシギボウシ/イヤギボウシ■
Hosta(属)―Bryocles(亜属)―Lamellatae(節)―capitata (Koidz.) Nakai
三重以西の西日本と朝鮮半島南部に分布し、主として石灰岩の岩場に産する。
カンザシギボウシ(簪擬宝珠)とイヤギボウシ(祖谷擬宝珠)は、水はけの良い土壌、自生地では傾斜地の岩場に好んで生えるようだ。花序は房状に上部につく。マニア垂涎の野生種だ。なお、ゴールデン ティアラ類は、今後、緑地の植栽計画上、小面積のグランウンドカバープランツとして寄せ植えにして利用したいものだ。中型~小型種。
㉑ ■マルバタマノカンザシ■
学 名:Hosta(属)― Hosta(亜属)―plantaginea Aschers(節)―var. plantaginea
英 名:Plantain Lily Funkia
原産地: 中国北部
分類体系の学名の plantagineaとは、あの踏跡植物で雑草のオオバコ(大葉子)のような、という意味か? なんだろう、葉が似ているということか。原産地が中国北部とはいわゆる、旧満州のことか?
タマノカンザシ系は匂いギボウシと別称されるとおり、花には斑入り種・青葉種ともすべてに芳香がある。芳香の種類は、なるほどこれがユリ科と思わせるほど似ているが、百合のような癖のある刺激臭ではなくフルーテイで甘い香りだとおもう。なお花について、丸葉タマノカンザシと玉の簪は夜開性、ほかの園芸品種は昼間性である。
関東地方では、開花時期がギボウシの中では遅咲きで梅雨明け前後から秋の彼岸過ぎまで、長い間咲き続ける。ダイナミックに花茎を伸ばし大きな花をつける、それは華やかで堂々としており、ギボウシでは唯一、この系統の玉の簪が切り花にできるものではないだろうか。大型種。ただし、このなかで <スウィート スーザン> だけは草姿が小ぶりである。
この品種系は見かけとちがい丈夫でしかも成長は早い方に属し、栽培は比較的簡単な部類にはいる。株分けは容易であるが、どうも結実しにくいようだ。もっと大株でないと駄目なのかな。原種は実生で繁殖する。
わたしのおすすめの品種は、実は、ギボウシに詳しからずとも一般的に人気のあるタマノカンザシではなく、白の縁取りでアップルグリーンの葉を持つ <フレグラントブーケ> である。
㉒ ■スジギボウシ■
学 名: Hosta(属)― Bryocles(亜属)― Helipteroides(節)―undulata (Otto et Dietr.) L. H. Bailey
原産地: なし
栽培品で自生地はない、とされている。おまけに、出生・系統分類も不明、人工、自然交配がすすみすぎた交雑種、ということになるのか。白からクリーム色の中斑の中葉、中型種が多い。
<スジギボウシ> という品種、一般的にギボウシと言えば普通はこれを日常生活のなかで、目にするはずである。古くから出回っており、季節も早春の園芸店の店先に並べられる。ギボウシの仲間ではいの一番に展葉する。春先、芽吹きが早く花付きもよくて、早めに伸びていく。しかも春から夏に移っていくにしたがい、やや全体がよれて後暗み(のちくらみ)するようだ。
これはどこにでもあるありきたりな強健種のギボウシ、しばしば造園設計上は境栽的な植栽、露地にボーダー状に植えられる。
このなかで、わたしのおすすめは <クリスマス キャンディー> 、明るくすっきりしたトーン、清涼感がモダンな感じだ。
㉓ ■トウギボウシ系■
学 名: Hosta(属)― Bryocles(亜属)― Helipteroides(節)―sieboldiana (Lodd.) Engler
原産地: ?
オオバギボウシの変種。sieboldiana シーボルディアナ(命名は、あのオランダの Philip Franz von Siebold シーボルト博士にちなむもの)は日本の言い方ではトウギボウ
シ(唐擬宝珠?)、ほぼ全葉が青葉系の品種が多く(濃緑色)、なかには一部に黄緑の葉色がある。それに対して、同じ変種の斑入り種は montana モンタナと区別される。
しかしまた、ある通説によると、分類・系統する上では、葉の裏が裏白なのがトウギボウシ、そうでないものがオオバギボウシといった区別が一般的である。自生地については、日本海側がトウギボウシ、太平洋側はオオバギボウシとされている。
トウギボウシ系は、どの品種も葉脈も葉形が似ていて地味めである。性質は安定しており植物の光合成率に左右される、後暗み後冴えの生理現象とも無関係であるが、成長はきわめて遅い。中型から大型の種類が多く、ゆっくりと成長するが、やがて存在感が増してくる。品種によるが草紅葉と言うか、紅葉はおすすめする。
㉔ ■フォーチュネイ系■
学 名: Hosta(属)― Bryocles(亜属)― Helipteroides(節)― sieboldiana
― var.fortunei
原産地: なし
レンゲギボウシ (Fortunei)の系統。フォーチュネイ系は園芸種を便宜的に分類するた
めの系統で自生種はない。したがって、形態的な特徴をあげても個々にバラバラでありそれほど意味がない。
具体的な育種履歴・栽培経験で見ていく。これは、オオバギボウシの突然変異種などを交配したもので、19世紀後半以降に欧米でつくりだされた品種が多く、形態は小型、中型種である。斑入り種・青葉種とも存在する。花の色はすべてラベンダー色になる。
一般的にこのフォーチュネイ系には、一部に後暗みの徴候が見受けられるが、季節による斑の変化は少なくそのまま秋まで美しいものが多い。
ギボウシの(小品)盆栽の世界では、原種系のギボウシ、日本の古典的な 徳玉 に混じり パトリオット の盆栽仕立てが山野草の展示会によく出されている。育てやすさと明快な白斑が魅力なのだろうか。ポピュラーなギボウシの代表と言えば、この <パトリオット> が挙げられよう。
わたしのおすすめは、 <ゴールド スタンダード> と <オーガスト ムーン> である。斑のあるなしにかかわらず、透明感のある葉色がいい。また、 <キャプテン クック> は トクダマ に似て鮮やかで多彩な葉色がいい。デザイン的に使いまわしが利き重宝なレイアウトの素材、ということになる。コンテナガーデン、ホスタガーデンには必ず取り入れたい品種である。
㉕ ■トクダマ系■
学 名: Hosta(属)― Bryocles(亜属)― Helipteroides(節)― sieboldiana
― var.tokudama
Hosta sieboldiana (Lodd.) Engler var. condensata (Miq.) Kitam
原産地: なし
山陰に自生があるといわれている。オオバギボウシの変種、園芸種。徳玉という名前は葉が丸いことによる。中葉の小型、中型が多く成長速度が遅い。トクダマ系は、種間交雑が積極的に人工的におこなわれているようだ。新しい交配種には斑入りが多く見られるが、地色との複色系の多彩な葉のコンビネーションが人気の秘密か。開花時期は比較的早い。花の色は白からうすいラベンダー色になる。個人的な経験では、種子繁殖をする場合、トクダマ系は空さやが少なく結実がきわめていいようだ。季節による斑の変化は少なくそのまま秋まで美しいものが多い。
わたしには、観賞価値が高くて飽きの来ない品種という思いが強い。マイコレクションのトクダマ系は、地元の市場で仕入れているが、札落ち同然、品種名が曖昧で確定作業にひそかに苦慮している。しかし、これからはこのグループの増殖と収集には傾注していきたい。
㉖ ■クロナミギボウシ系■
学 名: Hosta(属)― Bryocles(亜属)― Helipteroides(節)
―sieboldiana (Lodd.) Engler ―var. fluctuans F. Maek.
原産地: なし
****・****・****・****・****・****・****
クロナミギボウシ(黒波擬宝珠)系では“寒河江”がこの世界では有名。山形県寒河江市で偶然、発見された自然交雑種。このグループは大型で肉厚でウェーブをもった大葉の
品種が多く、本来は鉢やポットではなく地植えに向いている。落葉時期が遅く、結実状況は、熟すのが遅い部類に入るが空さやが少なくきわめていいようだ。ギボウシの仲間ではよく花も咲くし強健種であり、存在感があり大鉢や化粧鉢を用いたディスプレイに最適の草花である。
この品種は外国でも日本でも共通して人気品種である。
■不明品種■
F. アニー. アイランド チャーム(Flamboyantの交配種). アバ ダバ ドウ.
アルポ ピクタ. グランド マスター. ママミヤ. ファイヤー アンド アイス.
キャサリン ルイス. パトリシア. R.
****・****・****・****・****・****・****
閑話休題、この話はまだ続く。
一般的には植物の分類はよく花自体で見分けることとされている。通常、わたしは変異種や交雑種が多く複雑怪奇なこのギボウシの品種の鑑定や同定に悩むことが多いが、ここでは、入手難となっているあの 『ぎぼうし図鑑』2010年4月30日発行ー誠文堂新光社 のコラム的な文章 ギボウシの品種の見分け方(簡単な分類) とある頁を転載してみたい。しかし、内容は長文かもしれないが分かり易いようで実は具体性に乏しいとも言えるだろうか。なかなか、品種名特定まではいかない。
≪花の特徴で言えば、まずギボウシは大きく二つに分かれる。一つは、花が純白で夜咲きで、これが タマノカンザシ で、後はその他多数である。
更に二つに分けると、花の内側の脈は着色しないかごく淡い、これが オオバギボウシ の仲間である。花の内側の脈が濃く着色する、こちらが コバギボウシ の仲間。更に更にと辿っていくと種名にまで到達するという一覧表である。細部になると苞(花の保護の役目だろうか、透明のようなもの)これの形や色、早く落ちるかどうかなど、難しくなる。
判りやすい例をあげると,関東に自生するのはおおむね オオバギボウシ と コバギボウシ 、イワギボウシ であるが、花茎の先にツボミのかたまりが出るが、苞が瓦を葺いたように重なり、上から見ると星のように見えるのが オオバギボウシ 、橋の欄干に見られる、いわゆる擬宝珠のようにふっくらとかたまっているのが コバギボウシ である。このツボミの形からギボウシの名がついたと言われている。葉を見ても オオバギボウシ は丸みを帯びた葉にスプーンのように葉柄が着いているが、 コバギボウシ のほうは葉からなだらかに葉柄につながり、葉全体がしゃもじ形である。イワギボウシ はおおむね葉柄に紫褐色の斑点があるので区別がつく。
本州中部から四国・九州ではそう簡単に言えないが、種類が多くそれだけたのしみも多いといえるだろう。細かい部分まで観察していくと、先ほどのツボミであるが、四国・九州産の ヒュウガギボウシ の系統はツボミが鳥のクチバシのような特別の形で、一見それと判る。変種の ウナズキギボウシ は更に花茎そのものが下向きとなり、崖の中腹にあるので、昆虫が見つけやすいように進化したという面白いものである。頷きギボウシの名前の由来である。
その他にも、普通花の形はユリのようになだらかに開いていくのに、ワイングラスのような形の ムラサキギボウシ 、花茎に葉が付く スジギボウシ 、これは乳白色の斑が入るが、青葉のものはその名の通り オハツキギボウシ 、つい指でさわって試したくなる オトメギボウシ は花茎が四角。≫
なお、ここで手近な本としては 「日本植物誌」(大井次三郎・至文堂)と 「日本の野外植物」(草本編Ⅰ・平凡社)では検索表がついていて、観察の手引きになる。いづれも古本でほぼ絶版に近いが図書館で見られると紹介している。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます