うざね博士のブログ

緑の仕事を営むかたわら、赤裸々、かつ言いたい放題のうざね博士の日記。ユニークなH・Pも開設。

どのくらい、木は大きくなるのか?

2010年07月02日 12時47分13秒 | マンションの植物管理

 ここでは、木はどのくらい大きくなるか?という素朴な疑問への答えを話題にしたい。わたしとしては業務に支障のない範囲で、先日調べたばかりのある緑地の樹木データを公開する。その当時、わたしが少し植栽計画にもからんでいたもので工事も担当したが、ここでは関東近県にある樹木(郷土種)が選ばれた。植栽樹木としては、関東地方に自生する落葉樹主体の雑木林の構成樹種である。植木市場としては、クスノキ、モッコク、マキ、ハナミズキなどの庭園向きの樹木ではなく自然木の扱いになるだろう。
 樹木のサイズがどう変わったか。
 植栽してから23年と 3か月経った場合である。これに植木畑での育成期間を7、8年加えると樹齢になるだろう。ここでは高木のみのケースである。
     
     
     

◎現況樹木調査日; 平成22年6月10日
◎植栽工期(初植栽時期) ; 昭和62年1月 8日~昭和62年3月18日
◎数量/樹種;
 【初植栽時】
;常緑樹 なし
小計 0本
;落葉樹 イヌシデ28 エゴノキ10 エノキ2 クマノミズキ1 ケヤキ7 コナラ22 ミズキ17 ヤマモミジ10 ヤマザクラ7
  小計 104本
数量; 合計 104本   樹種数;  9種
【調査時】
;常緑樹(特殊樹含む) シラカシ7 スダジイ1 モウソウチク11
  小計 19本
;落葉樹 アカメガシワ2 イヌシデ24 エゴノキ4 エノキ2 ケヤキ6 コナラ18
     ミズキ10 ヤマモミジ8 ヤマザクラ4
  小計 78本
数量; 合計 97本  樹種数;  12種
 
◎成長の比較:(サンプルのみ)
・生育期間; 昭和62年(西暦1987年)3月 ~ 平成22年(西暦2010年)6月
    =23年 3月  
 *** **  ***  **  ***  **  *** 
    凡例: H;樹高 m C;目通り周 cm W;葉(枝)張り m
 *** **  ***  **  ***  **  ***
№1 ヤマモミジ H3.5 C20 W- → H6.0 C48 W5.0
№2 イヌシデ H6.5 C - W - → H13.0 C82 W4.0
№3 エノキ H4.5 C- W3.0 → H10.0 C84 W5.0
№4 イヌシデ H6.5 C- W- → H9.0 C54 36 W5.0
№5 ヤマモミジ H5.0 C株立ち W- → H7.0 C69 72 68 W4.5
№6 ミズキ H4.0 C- W- → H10.0 C112 W7.0
№7 ミズキ H5.0 C- W- → H9.0 C93 W7.0
№8 エゴノキ H3.5 C- W- → H8.0 C12 13 22 29 24 22 16 W6.0
№9 ヤマモミジ H5.0 C株立ち W- → H6.0 C22 8 27 15 18 24 22 15 W6.0
№10 ケヤキ H6.0 C- W- → H9.0 C45 60 40 W6.0
№11 ヤマザクラ H5.0 C- W- → H8.0 C31 41 43 W5.0
№12 ケヤキ H4.0 C-  W- → H10.0 C95 W5.0
№13 ヤマザクラ H5.0 C- W- → H11.0 C108 W7.0
№14 ケヤキ H3.5 C- W- → H10.0 C64 W3.0 
№15 ミズキ H5.0 C-  W- → H9.0 C80 W3.0
№16 ケヤキ H3.5 C-  W- → H12.0 C92 W5.0

 ここの生育環境はある程度人間に都合いいように機能的な役割を与えられており、多分に維持管理目的の人間の手が入っている。現地での感覚では、個々に樹冠が上空をおおいすでに完成した樹林を形づくっているように見える。したがって、景観的な視点も必要になってくるであろう。

 また、数量的には、生態的に自然淘汰が進み2割以上は減っているのが分かる。
 個別に成長を比べると樹高的にほぼ 2倍強以上であり、樹木の太さをあらわす目通り周は 3倍から 5倍になっていく。しかし、本来の生長の度合いをあらわす成長量で見ると、実はそんなレベルではすまない。地中の発根量ももちろん、顕著に分かるのが幹や枝先の着葉量になるのだが、それが膨大なのだ。
 ここで、樹種的には エノキ や ケヤキ などの ニレ科の成長速度が早いことが明瞭である。
 なお、私見では寺社林をのぞき、人間の居住する里山や都市のオープンスペースではせいぜい樹高が11m、高くなっても15m止まり、との認識を持っている。
 ただし、材木生産の山林樹木と異なり、鑑賞目的の仕立て樹木は別にして、造園やランドスケープの世界でもとめられているのは緑量である。

 維持管理の方向としては、以下のように提案することにした。
 ①さらに数量的に10%の樹木を根元部分でカットし、その後に “ひこばえ” が発生したら株立ち状に仕立て直す。つまり伐採である。こうすることによって、樹形の最小化をはかりそのうえでその株数を管理していく。この方法は雑木や強い樹木にのみ対応する、しかしあまりにも強い樹種は根を抜くことも必要になるケースがある(根絶やし)。
 ②芯止め作業も含め、枝や幹を切り詰めて樹形のコンパクト化をすすめる。
 ③各樹木の樹冠や下枝を透かせて地際に日照が届くように緑地全体で管理する。
 実はここの場合、緑地全体が成長経過的にはマックスになっており、施肥は不要だし(自己給肥系と言ったかな・・)、水やりもある意味で放任していていいのだが、それよりもむしろ、緊急時の病害虫対策と大量に降り積もるであろう落ち葉の処理作業に意外と手間と費用がかかることになるだろう。

 もし、緑地のメンテナンスの問題でお困りの方がいましたら、どうぞ、遠慮なくご相談ください。これはあくまで参考ですが、下記のサイトもついでにのぞいてみてください。
  詳しい内容、ご予算の目安はこちらです。

 お問い合わせ、ご質問に際して、連絡方法は下段のコメント(0)をクリックするか、少々面倒ですがこちらのH・P 有限会社グリーンワークスから入り、お問い合わせフォーム、メール等でお願いいたします。
          

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