再録感想、後半です。
第76話「人の形 石の形」
兵の雑嚢とか、階段の角に吹き溜まった雪とか、木箱の縁の板は少し厚みがあるのだとか、よく描き込まれているよねえ。こういうのが「画面の空気」を作っているんだなあって思う。
荒川先生はすっきりした絵なのに、こういう背景は細かい。なにしろ描くことがお好きなんだなあ。
そして人工物が好き。それもちょっと古びた。コンクリ階段の角の欠けを、ここまで自然に描き込んじゃう人ってあんまいないんじゃなかろうか。
鉄とコンクリと木の質感の違い。上手いよなあ。
服の布は、厚いと薄いしか書き分けないのにさ(笑)。
さて。
えっと。まずは、ひっかかったとこ。
「先回りだ 竪坑近くに狙撃のポジションを確保する」
から
「いるんでしょう?鋼の錬金術師」「呼んだか」
の場面転換。
Blauer×Himmelで、ともえあや様もご指摘でしたが、
>いるもなにも、そばにいたじゃん、
そ。前のページで、キンブリーのすぐ後ろにいる。
つまり、ページめくりの間に、キンブリー隊とマイルズ隊は分かれ、そしてエドはキンブリー隊と距離をおきつつ後ろをついて来ていたわけですね。
こういう「読者の好意的な補完に寄り掛かった」描写って、荒川先生には非常に珍しい。
荒川先生は、距離の移動や時間経過はあまり描かない方ですが、人物の位置については綿密に計算なさいます。
ここは距離や時間ではなく、人物の配置の描写不足。
ゆえに、今月のページ数の少なさが、気になるのですよ…。
とか書いてたら、先生が入院…!すみません、この記事、書きかけのまま3週間ほったらかしだったので、感想に時差があります;
とゆー訳で、うわあヤられたっっっ!なエド串刺しシーン。
これさあ、ほんっと上手いよね!絶対これ、この回を描きながら考えたんじゃなくて、前々からこうしてやろう、って計画してたよね!!
そんで、事前に、キメラ戦で一度落として。
あ、話ずれるけどさ、このゴリラキメラがパイプに片手でぶら下がっている絵。この空中感、本人のラクさが実に上手い! 絵だけでゴリラってわかる。うまいなあ!
けどさあ。ゴリラにしろライオンにしろ、基本ヨーロッパ気候のアメストリスにはいないんじゃないの?
外国まで行って捕まえてきたワケ?お父様?
てかそんな貴重な動物をキメラ化してんじゃないよー!
あっ、そうか貴重な動物だから寒さとかで弱ったところを「もったいないから有効利用~♪」とキメラにしてみちゃったりとか?お父様にしてみりゃヒトも獣も同じ虫けらだもんなあ。
にしても生け捕りしてきたってことは動物園とかあるってこと?アル好きそう~!
それから、ジャングル探検する兄さん・19世紀探検隊風コスプレ・とか想像して萌えた。似合ってる~♪
話を戻して戻して。
えーと。そう、エドを一度落として、「背ぇ縮む~!」ってギャグかましておいて。
で、もっかい落とす。キンブリで。
この「貴方の敗因です」とかゆってるキンブリの顔が、イイよー!
そして爆発。
対キンブリーだからタダでは済まないだろうと緊張してるけど、キメラ達が「ひでえ俺たちまで」って言ってるし、エドもすぐ気付いて「いでで・・・」とか言ってるし、まだ第一ラウンドだと読者は気を抜くのよ。けど背景でズズン、って鉄柱落ちててちゃんと前フリ説明してんのよ!
で。
え?とエドのとまどいと同期させ、読者の理解を待たずに、ページをめくる。
エドの、串刺し。
ぎゃああああーーーー!!
こっ、これは上手いわっ!
マンガとゆーメディアでしかない「ぺージめくり」と「絵のインパクト」!もう、この上手さ、騙された快感、ついに主人公ピンチ!そしてアルも!!ぎゃーやってくれるぜ荒川ッ!と、初読から興奮にほっぺたニヤニヤで読んでしまいました。<酷いヤツ!
どーなるのかしらどーなるのかしら、次号。
再び扉をくぐるのかしら。
エドの魂が引っ張られて、真理くんが手を差し伸べて。
でもそこで、アルが、エドと真理くんの間に立ちはだかったりするのかしら?
アル真理くんじゃなくて、鎧の中の魂が具現化した、健康な少年のアルが。
エドからは背中しか見えなくて、その背中に「何やってるんだ兄さん!」って叱咤されて、エドの意識が戻るのかしら。
そんで間近に、キンブリの手から弾き落とした賢者の石が落ちてて、「お前こそ、そんな所で何やってるんだ、アル…」とか言って、その賢者の石を使っちゃうのかしら?
で、傷を治したはいいけど弱りまくりのエドんとこにキンブリが降りて来て、またちょー嫌味でカッコイイ苛めっ子台詞を言うのかしらー!キャー!
はい。
妄想タイム終了ー!
「あざとさ」で行くなら、生殺しもありえますね!
セントラルに舞台を移して、マスタングに「ところで君は、人体錬成に興味はあるかね?」と聞くブラッドレイとかね!なぜか抜き身の刀を右手にね!そんでその斜め後ろに紅茶のお盆持ったまま立ち尽くす補佐官ホークアイとかね!!(はいはい、妄想タイム終了だってば)
そんで19巻終了だったら、すげー鬼畜だわ!さすが牛!鬼牛!
でも荒川先生はやさしいから、単行本をまたいで主人公死にかけ、ってことは無いでしょう。だって荒川先生はちみっこの味方だもん。子供の頃、次の単行本が出るまでやきもきやきもきした気持ちを、忘れてない方だもん。
あー、こんなに次号が心配な回って無いわ…。
エドの命はもちろんのこと、運命が物語が、どう動くのか心配。
そして漫画のキレは、絵の質は、ページ数は、何よりちゃんと掲載されるのか、心配…!
今月の余所様ネタ二つ。
あちこちのブログでアップされたMC様のハロウィンカードに笑いました!
左脇腹に血みどろ仲間~(笑) そーかロイエド的には同じ場所に傷痕舐めなめ(<こら)な萌えシチュだけど、スカちんもキンちゃんもスカ兄ちゃんもおそろい♪なのね~(笑)
あと、右手の錬成陣破って油断したとこをやられるって、焔対鋼(外伝「軍部祭り」)と同じじゃん成長してないなエド、っての。ほんとだー!(笑) いやでも、そのすぐ騙される短絡で甘ちゃんでお子様なトコがまた、いいのよ~vvv
第77話「逆転の錬成陣」
〔最初の叫び〕
表紙のエドが、かっこいいいいーーーっ!!!
そして歌猫の予想は1ミリたりともカスりませんでしたーっ!!!
それと。
今月も32ページでした。ページ数が少めなの、先月はぶーぶー文句言ってたりなんだりしてたけど、荒川先生入院なさったり、それがご病気かどうかは分からないけれど、そういう色々大変なことがあるのだから、32ページでも十二分に嬉しいです。
も、もっと読みたい…!と悶えはするけれど(笑)、うん。作画に息切れとか感じたら、そっちのが辛いから。てかそっちのが怒るから。貴様編集部共っ荒川大先生を牛馬のごとく働かせてんじゃねー!って(笑)<笑えない・・・・・・
でも何より、がっつりリキ入った32ページを読めたのが幸せです。
荒川先生、ありがとう…!
〔改めて、感想〕
表紙絵カッコイイー!!
こういう、ざっくり描かれた絵って、最近更に上手いですよね!
しかも柄トーンを使ってますよ牛様が!<見るとこそこかよ!
いやだって、洒落っ気の薄い牛様が、こーゆー「効かせ」トーン使うってなんか珍しくて、おお!と(笑)
でもこーんな豪華な王様ちっくな雰囲気なのに、足元が岩とゆーか瓦礫なとこがやっぱりな(笑) ここでベルベット張りのソファとか置かないあたりが、牛様ですね!
さて本編。
痛たたたーっ!
鉄柱がねじれて、痛い痛い痛い!エド痛い!
先月より、今月のが、痛いです…!
で。
エド、自力で治した…!!
目を見開く思い。
私、賢者の石か、キンブリーか、ともかく「他人の助け」で、なんとかすると思っていたのね。
それが、自分の生命を「賢者の石」として使って、治した。
「自前の生命エネルギーを使って」
この、エドの顔に痺れる。
弱っていて、でも冷静で、覚悟を決めた目だけが光る、顔。
「ケツは自分で拭く」本当に。マジで。
グラトニーの腹の中から脱出したイメージ。今までの経験を糧に、危機を突破。
ああ、本当に、エドは強い。
だからやっぱり、エドは自分の魂を使えば、アルを元に戻せる。
やらないけれど。
「勝手に殺すな」で、エドのアンテナがピンと立つのがいい(笑)
キメラ兵二人が、馴れ合ってないのがいい。命を助けられたから借りを返すだけ。もちろん見捨てるのも後味悪いだろうけど、見捨てる選択肢も持っている、が、まあ連れて行くか、という態度がいい。
さっきまで戦っていた相手の面倒を見る、その流れが自然。
てかライオンさん!エド死にかけてるから!おぶう前にそのコートかけてやってちょうだいよ!ちっこい上に片手片足で血液の絶対量少ないんだから!しかも氷点下だから体温奪われまくりだし自分の血液で凍傷なんてのシャレじゃないんだよ!モコモコたてがみで温めてやってよ!緊急事態ゆえ私が許す!<何を でも、はだけた胸板で温めるのは許さない!<だから何を
えー。
今、何か臭ったよーですが、気にしないでください。
でもって。
アル達。
スカーがアルの胴体を背負ってるってシチュエーションもびっくりだが。
何にびっくりってメイのフンドシマントだ!
鎧頭だけじゃ満足できず、フンドシまで我が物に!それも抱えるとか胸に抱くとかじゃなくて、首に巻くっすよ?!
メイ!君はミュンヘンエドを越えた!その鎧への開けっぴろげな盲愛!素晴らしい!
ああ、今まで君はアルには全く不釣合いだと思っていたけれど、今!改めよう!
あのアル命ミュンヘンエドを一瞬でも越えたからには、私はアルメイとゆーカプリングを認めなければなるまい!アルエドはガチだがノーマルカプもまた好物なのだ!アルメイOK!いや、メイアルOK!超メロ惚れ→鈍感美人!少女漫画の定番よっしゃ!
あ、あれ?
なんか違う方向に突っ走っておりますが、えと、いや。
フンドシ襟巻きって、すげーなー、と…。(誰も止めなかったのかよ…)
ああでも、錬成陣を読み解くメイちゃんは賢そうでイイ感じでした。ようやく彼女も彼女らしいキャラクターになってきたなあって思う。
そして上手い!と唸ったコマ。
逆転の錬成陣ではなく、その前の。
「危機的状況を…逆転だ!!」
このアル。
全体像 → アップ → ベタバックどアップ
頭がないのに、手足も無いのに、彼に語らせる!
アルの、はっ、と気付き、考え、目を見開く…その思考の流れを、「頭部の無い、空っぽの胴体」だけで、表してしまう!
すげええええーーー!
見開きページ全体の、このコマの重さ。ベタの多さとトーン、コマそのものの大きさ。計算とセンス。
上手い!
それと、いつも思ってたんだけど、アルは鎧だけど、その人格は血文字の錬成陣に宿るんだよね。
頭部は常に頭として描かれる。電話をかけるときはその耳に当て、本を読むときはその目で見ている。
でも、頭部が外れたら、語るのは胴体。
今回みたいに頭部がすぐそばにあっても、台詞を語るとき、そのコマの中心には空洞ベタ塗りの胴体がある。
こういう、妥協の無いこだわり、あるいは無意識に掴んでいるキャラの芯。そういうのの上手さが、表情の無いアルというキャラでもって、明瞭に表れる。
だから、私はアルが好き。アルという人格とともに、アルの鎧というマンガ的造形が、好きだ。
スロウスのトンネルと炭鉱が、こんな風に繋がるとは!
トロッコが引かれてるから人の手も入っているんだよなあとか、土砂はどーした通気口はどーしてるんだとか、昔の穴掘り脱走映画好きにとっては捨て置けない理屈が、しっかり設定されておりました!
そしてプライドが、相変わらず怖ええ…!!
顔のあるお父様より、プライドのが、恐ろしさが増してきましたよね。
キンブリーは人柱を殺すなという命令は受けていなかったのかな。エドの生死を確認してないし。
殺すなと命じられていても「人間兵器同士の戦争です、私は貴方がたと違い不死身ではありませんからね。殺さないというのは無理は話でしょう」とか平然と言いそうだけど。
この後の展開はどーなるんだろ。
とりあえずエドは医者に見せないと。
私だったら、キンブリーが入院してたという麓の病院に連れていくな。キメラ兵が知ってる病院ってそこくらいだろうし。
でも中央の追っ手が気になるから、別の診療所でもいいか。ライオンかゴリラのどっちかが元々この辺り出身だとかの設定つけて。
で、そこの医者はマルコーの知り合いっつーことにすればアルエド再会&メイの錬丹術でエド復活!&セントラル兵を物語から切り離し、もできる…が、今月の予想もカスリもしなかったんで、来月もきっと全然違う展開だと思います(笑)
〔全然違う展開でした(笑)〕
〔感想追記〕
エドが意識を取り戻すところ。
回想に、ホークアイがいることに、ちょっと驚きました。
そして、納得した。
ああ、やはりホークアイは、エドにとっての人生の指標という、立ち位置なんだなあと。
マスタングがエドの目に焔を点けた時。
ホークアイもそこにいた。
マスタングは「主人公を見守る大人」としてのキャラクター。
そしてホークアイもまた、主人公を見守る大人として、在る。
ホークアイという人物は、つい、マスタングとの関係性を一番に見てしまうけれど。
視点を主人公に置いてぐるりと周りを見渡すと、違う景色が見えてくる。
それが多分、物語の幹の部分。
ホークアイはずっと身近にいるし(エドにも、読者にも)、マスタングほど劇的ではないから気付きにくいけれど。
ホークアイもまた、エドの世界を「開いた」人だ。
グラトニーの腹の中で、ここから出られないという事実を告げられたとき、エドの脳裏に浮かんだのはアルひとり。
ずっと、エドの中心はアルだけだった。「おまえの笑った顔が見たい」
けれど。
ホークアイからイシュバールの話を聞き、エドはひとつ、大人になった。
「アルだけじゃなく 皆の笑っている顔も見たいよ」
マスタングはエドに、目的を示した。
ホークアイはエドに、目的を果たしたその先を、示した。
エドの視野は広がった。
だから、ウィンリィへの淡い恋心も自覚できたんだ。
だから、回想の順序が、ホークアイ、アル、そしてウィンリィなんだなあ、と。
エドウィン~♪とか喜びつつ、そんなことも思ったのでした。
第78話「7つの罪」
どなたかが今話の題は「宣戦布告」のが合ってない?とおっしゃっておられましたが、私も賛成!
さて、以下、ネタバレです。
初っ端から叫びますよ。
ロゼ!!!
いやあ!ロゼ出てきたよ!ビックリでした。てっきり初回限定ゲストキャラだと思っていたから。
アニメであの扱いだったし、今後の出番はないだろーなーと。
でも。
ああ!出てきてよかった!!
そして1巻を振り返る内容に、ああ、もう本当に、終わりが近いんだなあと。
えっと。
歌猫は原作派ですが、アニメも素晴らしい出来だと思います。
けれど、アニメ最大の失敗は、このロゼの扱いだと思います。
アニメという巨大メディアにおいて、ちょいキャラとはいえ連載デビュー作第一回の登場人物をあの扱いってのは、原作者としてちょーっとヤなものがあっただろうな、と思うんですが、うん、だからこそ、ごく自然に、自然なロゼが出てきてよかったv
かわいいなーロゼ。そーだよロゼはいつも笑顔のしっかり者なんだよー♪
ロゼって名前でも、初期キャラだなあって感じがしますよね。(酒屋のチラシを見て名前をつけたという話)
ロアもドルチェットもマーテルもお酒の名前。ウルチはきっとうるち米(笑!)。
ところで、じゃあ、イモリ男のビドーって、どこから?
ビドー?びどー?びどう?
……。
まさか美童グランマルニエ…!!
いやいや、ビドーって普通にフランス人の苗字だから…! うん、牛様は有閑倶楽部とかも絶対読んでそーだけど、そういや「あさりちゃん」はサザエさんへのリスペクトから名前つけたとか聞いたことあるけど、いやいや、まさか…。うん、まさか…。
ま、置いといて!
ところでとーちゃんは、不老不死でも腹は減るんですね。
お父様はどうなんだろ?リンもやっぱり腹が空くんだろーか?で、エンヴィーが士官食堂あたりから運んでくるあの結構美味しそうな料理を、10人前くらい食ってるんだろーか?(笑)
錬金術は手をつかう、と以前の記事*で書いたけど、ホーエンハイムとお父様は別扱いとゆーことで。自身が賢者の石だからね。
ロゼの問いに「宣戦布告」って返すとーちゃんの、格好いいこと!
あーもー、とぼけてる癖にこういうところが、エドのとーちゃんだなあとか思っちゃいます~vvv
話が変わりますが、フュリーが戦場でびっくり。10巻でホークアイをグラトニーから救ったときもそう思ったけど、どんなにほのぼのキャラでも、軍人は軍人なんだなあ、と。
そういや、ファルマンは民家から電話してましたよね。買出しとか、お遣い?の途中なんでしょうか。
実はカノジョの家とかだったら面白いのにー!(笑)
エドもマスタングも出てこない、今回。
さあ、これがどうなるか?!
うふふー楽しみです~v
〔また語る・・・〕
『鋼の錬金術師』は、少年の成長物語だ。
そして物語の軸は、「人体錬成と 人の命と 賢者の石」
1巻の一話目から、ずっと。
当初は別個のものだった。今、それは一つになった。
人体錬成のために賢者の石が必要なのではなく、賢者の石のために人体錬成が必要なのだ。
エドとアルの旅は、賢者の石を探す旅。失った肉体を取り戻す旅。
「石」は、錬金術において「肉体」をあらわす記号。
賢者の「石」とは、賢者の「肉体」。
ホーエンハイムは賢者の石。
ホーエンハイムは西の賢者。
フラスコの中の小人は、肉体を求めた。
フラスコの中の小人は、賢者の石を得た。
フラスコの中の小人は、東の賢者となった。
そして彼は、己を父と呼ばせる。
石は人の命から成り、石と肉体は同一であり、石は賢者であり、賢者は父であり、父は支配者、そして超えるべきもの。
なんという構図!
人体錬成と 人の命と 賢者の石
人体錬成のために賢者の石が必要なのではなく、賢者の石のために人体錬成が必要なのだ。
では、人の命のためには何が必要なのだ?
人の命は、造れない。だから人体錬成は不可能。
ゆえに、賢者の石もまた、あってはならない物だと思う。おそらくホーエンハイムは否定される。
けれど、賢者の石は、人の命をつくることができる。人という不完全な存在と、営みを共にすることで。
賢者の石の息子。エドとアルと。
彼らはこの命題の、答えなのかもしれない。
なんという漫画!
だから、彼らはもう、自らの肉体をとりもどすために、賢者の石を必要としない。父を必要としない。
少年は、成長したのだ。
こんなにも深い、なのにワクワク楽しい少年漫画。
この作品に出会えて、私はものすごく幸せだ!
以上。
感想再録、おわりです。
それにしても、マリモちんが容れ物を、もーちっと若い頃を再現して作ってくれたなら、こー、いろいろと萌え燃えだったのに・・・!と思うと、惜しくてなりません(笑)
ここまで読まれたお客様。あなたは偉い!
どうも、お疲れ様でございました・・・。
第76話「人の形 石の形」
兵の雑嚢とか、階段の角に吹き溜まった雪とか、木箱の縁の板は少し厚みがあるのだとか、よく描き込まれているよねえ。こういうのが「画面の空気」を作っているんだなあって思う。
荒川先生はすっきりした絵なのに、こういう背景は細かい。なにしろ描くことがお好きなんだなあ。
そして人工物が好き。それもちょっと古びた。コンクリ階段の角の欠けを、ここまで自然に描き込んじゃう人ってあんまいないんじゃなかろうか。
鉄とコンクリと木の質感の違い。上手いよなあ。
服の布は、厚いと薄いしか書き分けないのにさ(笑)。
さて。
えっと。まずは、ひっかかったとこ。
「先回りだ 竪坑近くに狙撃のポジションを確保する」
から
「いるんでしょう?鋼の錬金術師」「呼んだか」
の場面転換。
Blauer×Himmelで、ともえあや様もご指摘でしたが、
>いるもなにも、そばにいたじゃん、
そ。前のページで、キンブリーのすぐ後ろにいる。
つまり、ページめくりの間に、キンブリー隊とマイルズ隊は分かれ、そしてエドはキンブリー隊と距離をおきつつ後ろをついて来ていたわけですね。
こういう「読者の好意的な補完に寄り掛かった」描写って、荒川先生には非常に珍しい。
荒川先生は、距離の移動や時間経過はあまり描かない方ですが、人物の位置については綿密に計算なさいます。
ここは距離や時間ではなく、人物の配置の描写不足。
ゆえに、今月のページ数の少なさが、気になるのですよ…。
とか書いてたら、先生が入院…!すみません、この記事、書きかけのまま3週間ほったらかしだったので、感想に時差があります;
とゆー訳で、うわあヤられたっっっ!なエド串刺しシーン。
これさあ、ほんっと上手いよね!絶対これ、この回を描きながら考えたんじゃなくて、前々からこうしてやろう、って計画してたよね!!
そんで、事前に、キメラ戦で一度落として。
あ、話ずれるけどさ、このゴリラキメラがパイプに片手でぶら下がっている絵。この空中感、本人のラクさが実に上手い! 絵だけでゴリラってわかる。うまいなあ!
けどさあ。ゴリラにしろライオンにしろ、基本ヨーロッパ気候のアメストリスにはいないんじゃないの?
外国まで行って捕まえてきたワケ?お父様?
てかそんな貴重な動物をキメラ化してんじゃないよー!
あっ、そうか貴重な動物だから寒さとかで弱ったところを「もったいないから有効利用~♪」とキメラにしてみちゃったりとか?お父様にしてみりゃヒトも獣も同じ虫けらだもんなあ。
にしても生け捕りしてきたってことは動物園とかあるってこと?アル好きそう~!
それから、ジャングル探検する兄さん・19世紀探検隊風コスプレ・とか想像して萌えた。似合ってる~♪
話を戻して戻して。
えーと。そう、エドを一度落として、「背ぇ縮む~!」ってギャグかましておいて。
で、もっかい落とす。キンブリで。
この「貴方の敗因です」とかゆってるキンブリの顔が、イイよー!
そして爆発。
対キンブリーだからタダでは済まないだろうと緊張してるけど、キメラ達が「ひでえ俺たちまで」って言ってるし、エドもすぐ気付いて「いでで・・・」とか言ってるし、まだ第一ラウンドだと読者は気を抜くのよ。けど背景でズズン、って鉄柱落ちててちゃんと前フリ説明してんのよ!
で。
え?とエドのとまどいと同期させ、読者の理解を待たずに、ページをめくる。
エドの、串刺し。
ぎゃああああーーーー!!
こっ、これは上手いわっ!
マンガとゆーメディアでしかない「ぺージめくり」と「絵のインパクト」!もう、この上手さ、騙された快感、ついに主人公ピンチ!そしてアルも!!ぎゃーやってくれるぜ荒川ッ!と、初読から興奮にほっぺたニヤニヤで読んでしまいました。<酷いヤツ!
どーなるのかしらどーなるのかしら、次号。
再び扉をくぐるのかしら。
エドの魂が引っ張られて、真理くんが手を差し伸べて。
でもそこで、アルが、エドと真理くんの間に立ちはだかったりするのかしら?
アル真理くんじゃなくて、鎧の中の魂が具現化した、健康な少年のアルが。
エドからは背中しか見えなくて、その背中に「何やってるんだ兄さん!」って叱咤されて、エドの意識が戻るのかしら。
そんで間近に、キンブリの手から弾き落とした賢者の石が落ちてて、「お前こそ、そんな所で何やってるんだ、アル…」とか言って、その賢者の石を使っちゃうのかしら?
で、傷を治したはいいけど弱りまくりのエドんとこにキンブリが降りて来て、またちょー嫌味でカッコイイ苛めっ子台詞を言うのかしらー!キャー!
はい。
妄想タイム終了ー!
「あざとさ」で行くなら、生殺しもありえますね!
セントラルに舞台を移して、マスタングに「ところで君は、人体錬成に興味はあるかね?」と聞くブラッドレイとかね!なぜか抜き身の刀を右手にね!そんでその斜め後ろに紅茶のお盆持ったまま立ち尽くす補佐官ホークアイとかね!!(はいはい、妄想タイム終了だってば)
そんで19巻終了だったら、すげー鬼畜だわ!さすが牛!鬼牛!
でも荒川先生はやさしいから、単行本をまたいで主人公死にかけ、ってことは無いでしょう。だって荒川先生はちみっこの味方だもん。子供の頃、次の単行本が出るまでやきもきやきもきした気持ちを、忘れてない方だもん。
あー、こんなに次号が心配な回って無いわ…。
エドの命はもちろんのこと、運命が物語が、どう動くのか心配。
そして漫画のキレは、絵の質は、ページ数は、何よりちゃんと掲載されるのか、心配…!
今月の余所様ネタ二つ。
あちこちのブログでアップされたMC様のハロウィンカードに笑いました!
左脇腹に血みどろ仲間~(笑) そーかロイエド的には同じ場所に傷痕舐めなめ(<こら)な萌えシチュだけど、スカちんもキンちゃんもスカ兄ちゃんもおそろい♪なのね~(笑)
あと、右手の錬成陣破って油断したとこをやられるって、焔対鋼(外伝「軍部祭り」)と同じじゃん成長してないなエド、っての。ほんとだー!(笑) いやでも、そのすぐ騙される短絡で甘ちゃんでお子様なトコがまた、いいのよ~vvv
第77話「逆転の錬成陣」
〔最初の叫び〕
表紙のエドが、かっこいいいいーーーっ!!!
そして歌猫の予想は1ミリたりともカスりませんでしたーっ!!!
それと。
今月も32ページでした。ページ数が少めなの、先月はぶーぶー文句言ってたりなんだりしてたけど、荒川先生入院なさったり、それがご病気かどうかは分からないけれど、そういう色々大変なことがあるのだから、32ページでも十二分に嬉しいです。
も、もっと読みたい…!と悶えはするけれど(笑)、うん。作画に息切れとか感じたら、そっちのが辛いから。てかそっちのが怒るから。貴様編集部共っ荒川大先生を牛馬のごとく働かせてんじゃねー!って(笑)<笑えない・・・・・・
でも何より、がっつりリキ入った32ページを読めたのが幸せです。
荒川先生、ありがとう…!
〔改めて、感想〕
表紙絵カッコイイー!!
こういう、ざっくり描かれた絵って、最近更に上手いですよね!
しかも柄トーンを使ってますよ牛様が!<見るとこそこかよ!
いやだって、洒落っ気の薄い牛様が、こーゆー「効かせ」トーン使うってなんか珍しくて、おお!と(笑)
でもこーんな豪華な王様ちっくな雰囲気なのに、足元が岩とゆーか瓦礫なとこがやっぱりな(笑) ここでベルベット張りのソファとか置かないあたりが、牛様ですね!
さて本編。
痛たたたーっ!
鉄柱がねじれて、痛い痛い痛い!エド痛い!
先月より、今月のが、痛いです…!
で。
エド、自力で治した…!!
目を見開く思い。
私、賢者の石か、キンブリーか、ともかく「他人の助け」で、なんとかすると思っていたのね。
それが、自分の生命を「賢者の石」として使って、治した。
「自前の生命エネルギーを使って」
この、エドの顔に痺れる。
弱っていて、でも冷静で、覚悟を決めた目だけが光る、顔。
「ケツは自分で拭く」本当に。マジで。
グラトニーの腹の中から脱出したイメージ。今までの経験を糧に、危機を突破。
ああ、本当に、エドは強い。
だからやっぱり、エドは自分の魂を使えば、アルを元に戻せる。
やらないけれど。
「勝手に殺すな」で、エドのアンテナがピンと立つのがいい(笑)
キメラ兵二人が、馴れ合ってないのがいい。命を助けられたから借りを返すだけ。もちろん見捨てるのも後味悪いだろうけど、見捨てる選択肢も持っている、が、まあ連れて行くか、という態度がいい。
さっきまで戦っていた相手の面倒を見る、その流れが自然。
てかライオンさん!エド死にかけてるから!おぶう前にそのコートかけてやってちょうだいよ!ちっこい上に片手片足で血液の絶対量少ないんだから!しかも氷点下だから体温奪われまくりだし自分の血液で凍傷なんてのシャレじゃないんだよ!モコモコたてがみで温めてやってよ!緊急事態ゆえ私が許す!<何を でも、はだけた胸板で温めるのは許さない!<だから何を
えー。
今、何か臭ったよーですが、気にしないでください。
でもって。
アル達。
スカーがアルの胴体を背負ってるってシチュエーションもびっくりだが。
何にびっくりってメイのフンドシマントだ!
鎧頭だけじゃ満足できず、フンドシまで我が物に!それも抱えるとか胸に抱くとかじゃなくて、首に巻くっすよ?!
メイ!君はミュンヘンエドを越えた!その鎧への開けっぴろげな盲愛!素晴らしい!
ああ、今まで君はアルには全く不釣合いだと思っていたけれど、今!改めよう!
あのアル命ミュンヘンエドを一瞬でも越えたからには、私はアルメイとゆーカプリングを認めなければなるまい!アルエドはガチだがノーマルカプもまた好物なのだ!アルメイOK!いや、メイアルOK!超メロ惚れ→鈍感美人!少女漫画の定番よっしゃ!
あ、あれ?
なんか違う方向に突っ走っておりますが、えと、いや。
フンドシ襟巻きって、すげーなー、と…。(誰も止めなかったのかよ…)
ああでも、錬成陣を読み解くメイちゃんは賢そうでイイ感じでした。ようやく彼女も彼女らしいキャラクターになってきたなあって思う。
そして上手い!と唸ったコマ。
逆転の錬成陣ではなく、その前の。
「危機的状況を…逆転だ!!」
このアル。
全体像 → アップ → ベタバックどアップ
頭がないのに、手足も無いのに、彼に語らせる!
アルの、はっ、と気付き、考え、目を見開く…その思考の流れを、「頭部の無い、空っぽの胴体」だけで、表してしまう!
すげええええーーー!
見開きページ全体の、このコマの重さ。ベタの多さとトーン、コマそのものの大きさ。計算とセンス。
上手い!
それと、いつも思ってたんだけど、アルは鎧だけど、その人格は血文字の錬成陣に宿るんだよね。
頭部は常に頭として描かれる。電話をかけるときはその耳に当て、本を読むときはその目で見ている。
でも、頭部が外れたら、語るのは胴体。
今回みたいに頭部がすぐそばにあっても、台詞を語るとき、そのコマの中心には空洞ベタ塗りの胴体がある。
こういう、妥協の無いこだわり、あるいは無意識に掴んでいるキャラの芯。そういうのの上手さが、表情の無いアルというキャラでもって、明瞭に表れる。
だから、私はアルが好き。アルという人格とともに、アルの鎧というマンガ的造形が、好きだ。
スロウスのトンネルと炭鉱が、こんな風に繋がるとは!
トロッコが引かれてるから人の手も入っているんだよなあとか、土砂はどーした通気口はどーしてるんだとか、昔の穴掘り脱走映画好きにとっては捨て置けない理屈が、しっかり設定されておりました!
そしてプライドが、相変わらず怖ええ…!!
顔のあるお父様より、プライドのが、恐ろしさが増してきましたよね。
キンブリーは人柱を殺すなという命令は受けていなかったのかな。エドの生死を確認してないし。
殺すなと命じられていても「人間兵器同士の戦争です、私は貴方がたと違い不死身ではありませんからね。殺さないというのは無理は話でしょう」とか平然と言いそうだけど。
この後の展開はどーなるんだろ。
とりあえずエドは医者に見せないと。
私だったら、キンブリーが入院してたという麓の病院に連れていくな。キメラ兵が知ってる病院ってそこくらいだろうし。
でも中央の追っ手が気になるから、別の診療所でもいいか。ライオンかゴリラのどっちかが元々この辺り出身だとかの設定つけて。
で、そこの医者はマルコーの知り合いっつーことにすればアルエド再会&メイの錬丹術でエド復活!&セントラル兵を物語から切り離し、もできる…が、今月の予想もカスリもしなかったんで、来月もきっと全然違う展開だと思います(笑)
〔全然違う展開でした(笑)〕
〔感想追記〕
エドが意識を取り戻すところ。
回想に、ホークアイがいることに、ちょっと驚きました。
そして、納得した。
ああ、やはりホークアイは、エドにとっての人生の指標という、立ち位置なんだなあと。
マスタングがエドの目に焔を点けた時。
ホークアイもそこにいた。
マスタングは「主人公を見守る大人」としてのキャラクター。
そしてホークアイもまた、主人公を見守る大人として、在る。
ホークアイという人物は、つい、マスタングとの関係性を一番に見てしまうけれど。
視点を主人公に置いてぐるりと周りを見渡すと、違う景色が見えてくる。
それが多分、物語の幹の部分。
ホークアイはずっと身近にいるし(エドにも、読者にも)、マスタングほど劇的ではないから気付きにくいけれど。
ホークアイもまた、エドの世界を「開いた」人だ。
グラトニーの腹の中で、ここから出られないという事実を告げられたとき、エドの脳裏に浮かんだのはアルひとり。
ずっと、エドの中心はアルだけだった。「おまえの笑った顔が見たい」
けれど。
ホークアイからイシュバールの話を聞き、エドはひとつ、大人になった。
「アルだけじゃなく 皆の笑っている顔も見たいよ」
マスタングはエドに、目的を示した。
ホークアイはエドに、目的を果たしたその先を、示した。
エドの視野は広がった。
だから、ウィンリィへの淡い恋心も自覚できたんだ。
だから、回想の順序が、ホークアイ、アル、そしてウィンリィなんだなあ、と。
エドウィン~♪とか喜びつつ、そんなことも思ったのでした。
第78話「7つの罪」
どなたかが今話の題は「宣戦布告」のが合ってない?とおっしゃっておられましたが、私も賛成!
さて、以下、ネタバレです。
初っ端から叫びますよ。
ロゼ!!!
いやあ!ロゼ出てきたよ!ビックリでした。てっきり初回限定ゲストキャラだと思っていたから。
アニメであの扱いだったし、今後の出番はないだろーなーと。
でも。
ああ!出てきてよかった!!
そして1巻を振り返る内容に、ああ、もう本当に、終わりが近いんだなあと。
えっと。
歌猫は原作派ですが、アニメも素晴らしい出来だと思います。
けれど、アニメ最大の失敗は、このロゼの扱いだと思います。
アニメという巨大メディアにおいて、ちょいキャラとはいえ連載デビュー作第一回の登場人物をあの扱いってのは、原作者としてちょーっとヤなものがあっただろうな、と思うんですが、うん、だからこそ、ごく自然に、自然なロゼが出てきてよかったv
かわいいなーロゼ。そーだよロゼはいつも笑顔のしっかり者なんだよー♪
ロゼって名前でも、初期キャラだなあって感じがしますよね。(酒屋のチラシを見て名前をつけたという話)
ロアもドルチェットもマーテルもお酒の名前。ウルチはきっとうるち米(笑!)。
ところで、じゃあ、イモリ男のビドーって、どこから?
ビドー?びどー?びどう?
……。
まさか美童グランマルニエ…!!
いやいや、ビドーって普通にフランス人の苗字だから…! うん、牛様は有閑倶楽部とかも絶対読んでそーだけど、そういや「あさりちゃん」はサザエさんへのリスペクトから名前つけたとか聞いたことあるけど、いやいや、まさか…。うん、まさか…。
ま、置いといて!
ところでとーちゃんは、不老不死でも腹は減るんですね。
お父様はどうなんだろ?リンもやっぱり腹が空くんだろーか?で、エンヴィーが士官食堂あたりから運んでくるあの結構美味しそうな料理を、10人前くらい食ってるんだろーか?(笑)
錬金術は手をつかう、と以前の記事*で書いたけど、ホーエンハイムとお父様は別扱いとゆーことで。自身が賢者の石だからね。
ロゼの問いに「宣戦布告」って返すとーちゃんの、格好いいこと!
あーもー、とぼけてる癖にこういうところが、エドのとーちゃんだなあとか思っちゃいます~vvv
話が変わりますが、フュリーが戦場でびっくり。10巻でホークアイをグラトニーから救ったときもそう思ったけど、どんなにほのぼのキャラでも、軍人は軍人なんだなあ、と。
そういや、ファルマンは民家から電話してましたよね。買出しとか、お遣い?の途中なんでしょうか。
実はカノジョの家とかだったら面白いのにー!(笑)
エドもマスタングも出てこない、今回。
さあ、これがどうなるか?!
うふふー楽しみです~v
〔また語る・・・〕
『鋼の錬金術師』は、少年の成長物語だ。
そして物語の軸は、「人体錬成と 人の命と 賢者の石」
1巻の一話目から、ずっと。
当初は別個のものだった。今、それは一つになった。
人体錬成のために賢者の石が必要なのではなく、賢者の石のために人体錬成が必要なのだ。
エドとアルの旅は、賢者の石を探す旅。失った肉体を取り戻す旅。
「石」は、錬金術において「肉体」をあらわす記号。
賢者の「石」とは、賢者の「肉体」。
ホーエンハイムは賢者の石。
ホーエンハイムは西の賢者。
フラスコの中の小人は、肉体を求めた。
フラスコの中の小人は、賢者の石を得た。
フラスコの中の小人は、東の賢者となった。
そして彼は、己を父と呼ばせる。
石は人の命から成り、石と肉体は同一であり、石は賢者であり、賢者は父であり、父は支配者、そして超えるべきもの。
なんという構図!
人体錬成と 人の命と 賢者の石
人体錬成のために賢者の石が必要なのではなく、賢者の石のために人体錬成が必要なのだ。
では、人の命のためには何が必要なのだ?
人の命は、造れない。だから人体錬成は不可能。
ゆえに、賢者の石もまた、あってはならない物だと思う。おそらくホーエンハイムは否定される。
けれど、賢者の石は、人の命をつくることができる。人という不完全な存在と、営みを共にすることで。
賢者の石の息子。エドとアルと。
彼らはこの命題の、答えなのかもしれない。
なんという漫画!
だから、彼らはもう、自らの肉体をとりもどすために、賢者の石を必要としない。父を必要としない。
少年は、成長したのだ。
こんなにも深い、なのにワクワク楽しい少年漫画。
この作品に出会えて、私はものすごく幸せだ!
以上。
感想再録、おわりです。
それにしても、マリモちんが容れ物を、もーちっと若い頃を再現して作ってくれたなら、こー、いろいろと萌え燃えだったのに・・・!と思うと、惜しくてなりません(笑)
ここまで読まれたお客様。あなたは偉い!
どうも、お疲れ様でございました・・・。
あの自分の生命エネルギーを使う錬成って彼のオリジナルですか?父親や錬丹術とも違う新たな方法の手掛かりになったらおもしろいですね。
私的にはスカ-兄の錬成陣にも感動しました。陣は兄が自分に伝えたかった事!と考えてる弟が、遺志を果たそうとする過程で生きてる兄者に会えたらなあと思います。
再構築を学んだスカ-、または兄にあの陣を発動させてほしいですが、脇だから無理かな?やるのならアニメとは真逆の展開を望みます。
読了お疲れ様でした(笑)
>この子の思いの強さって不可能を可能にするなあと
本当に!
自分の生命エネルギーを使う錬成は、エドのオリジナルだと思いますが、錬丹術みたいに別系統と言えるほどではないのかな、と思います。
エドはいつも、経験を糧にする。その過程が見えるから応援したくなるし、この先に期待したくなりますよね。
メイが読み解いた錬成陣をスカーが発動させるとしたら、メイとスカーという異色組み合わせ(笑)にそんな意味が!と驚きそう。でもどうかなあ・・・ホーエンハイムの動向も気になります。
コメントありがとうございました!