歌猫Blog跡地

漫画「鋼の錬金術師」と荒川弘について語るブログ。更新終了しました。

荒川弘は、「鋼の錬金術師」を、早く終わらせたいの?

2008年05月15日 | ◆小ネタとか突っ込みとかつぶやきとか
今月の怒涛の展開を受けて。
いや、19巻の怒涛の展開を受けて。
「荒川弘先生は、もう早く鋼を終わらせたいんだろうなあ」
って書いてるブロガーさんがいる。
「さっさと終わりにしたいって雰囲気ない?悲しくなっちゃう」
みたいに書いてるブロガーさん。
「早く他の話を描きたいとか、思ってんじゃないのかなあ」
って書いてるブロガーさん。

荒川弘は、「鋼の錬金術師」を、早く終わりにしたいのか?

そのとおり!

なぜなら、一番描きたかった場面が、そこにあるからだ!

だから、早く終わりにしたい=鋼に飽きた
では、断じて無い!!

そりゃあ、連載開始から7年、初連載にして大人気作、アニメ化・劇場版による作品の変質あるいは発展と、その重圧は大変なモンだろう。
ああ重い、ああ苦しい、ああ開放されたいなあ。
そう思うことだってあるだろう。
けれど、だから愛情が薄れる、なんてことは、断じて無い。

それは、例えば手のかかるペットのように。
あるいは、子供のように。
どんなにうっとおしいと思っても、それへの愛情は疑うべくもなく、そして一生その責任を負わざるを得ないということを、否応無くかつ自然体で、腹の底んとこで納得している。
作品が、誰かに愛されるということは、私ひとりの力ではない。
だが、私がいなければ、この作品の命は無かった。
それは何という幸いだろう!

早く終わらせたい?
そうさ。それは今に始まったことじゃない。
ずっと前の、北部編が始まった頃のインタビューでだって、最短距離を走りたいと言っていた。
他の話を描きたい?
そうさ。荒川弘はストーリーテラーだ。たくさんの設定、たくさんのネタを温めているだろう。

それでも。
どんなに早く進めようと、大切な場面はがっつり描く。
どんなにエピソードが詰まっていようと、大コマはどかんと使う。
どんなに少ないページでも、そこに生きるキャラは、自分の人生を生きている。

そして、どんなに早くと願ったって、ワープはできない。物語は空を飛ばない。ひとつながりの地面の上をただ真っ直ぐに走っていくだけ。

荒川弘は、「鋼の錬金術師」を愛している。その重さも馬鹿ばかしさも、自分ではコントロールできない評判や責任も、全部ひっくるめて、愛している。
だからこそ、早く全てを描き上げたい。
最初から、最後の場面まで決まっている物語。その結末を早く見たいと思うのは、当然のことじゃないか。
そして最も強くそう思っているのは、描いている本人に違いない。

鋼の錬金術師の、最終回。
それは「終わり」ではない。
鋼の錬金術師という作品の「完成」なんだ。


荒川弘は信頼できる。責任の強さと、愛情の深さを、信頼できる。
だから私は、すっごくすっごく、最終回が楽しみだ!!!!


寂しくったって、やっぱり楽しみなんだよ~。

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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
記事ありがとう! (MC)
2008-05-15 15:34:11
私もその方向のブログ感想を読んで、不安を感じました。
特に話の進んでる速度が早過ぎます。
タイトルの入れ方に気を使う事だけに、飽きないと信じます。
歌猫さんのこの記事でホッとしました。ありがとう!(笑)

でも濃縮し過ぎません?特にコマのサイズ。
月を背にしてグリリンのコマ、他の漫画家なら、丸一ページ使ってもおかしくないと思います。
ムードが犠牲になったようでしょう。
返信する
大好きですが、不安はありますね。 (1819)
2008-05-15 23:04:20
私もあれ?ひょっとして急いでる?とは感じました。荒川弘が鋼に飽きたからだとは微塵も思いませんでしたが。
ただ、裏事情で終わりの期限とかがあって、急ぎだしたのかな?頼むから、ここまできて雑にならないで下さいよ!的に考えてました。
鋼が抱えてるテーマは、大小取り混ぜたくさん?存在するので、急いだ場合どうなるのか、やはり不安になります。
歌猫様のように、全面的に荒川弘を信用したいですが、竜頭蛇尾で終わった大作に苦い思いをしたこともあるので、実際がどうなるのかを見つめていきたいと思ってます。
返信する
コメントありがとうございます。 (歌猫)
2008-05-16 06:29:40
MC様こんにちは!
話の進みは早いけれど、早すぎることは無いと私は思います!
もうひと山をがっつり描くために、今は現状を整理しているのだと。キャラと舞台が広がって子供読者はついていくのがしんどいので、20巻締めの今回でぎゅっとまとめたんだろうと。
コマのサイズは、以前から、「よく割るなあ!」と思います。例えば19巻ではクセルクセスの錬成陣が発動するページで見開きがありますが、1ページ以上を1枚の絵で描いているのはここだけです。エドの身体に鉄骨が刺さったシーンだって半ページ、抜くシーンだって3分の2ページです。ここだって他の漫画家なら丸一ページ使うと思います。18巻でも、1ページ丸まる使っているのは、プライドが正体をあらわすシーンだけ。
1ページ丸まるは、話が止まるじゃないですか。荒川弘先生は話を止めないですよね。決めシーンの次にすぐ、次の場面が始まる。
ムードが犠牲になっているのかもしれないけれど、その分、単行本1冊の密度の高いこと!
コマ割りでどこまで詰められるか、挑戦している感じもします。1、2巻の頃はもっとゆったりとしたコマ運びでしたよね。今度読み返すとき、いつ頃から今のように、畳み掛けるコマ運びになったのか見てみよう。
コメントありがとうございました!
あっ、それからキットカットのチョコバーとか、美味しかったですvありがとうございました~vvv

1819様こんにちは!
私は「急ぎ出した」んじゃなくて、常にどんどん進めているんだと思います。インタビューで「7合目」とか「主要キャラは全員出揃って」とか発言していて、そのテンポは変わっていないと思う。終わりの期限も、編集部ではなく、荒川弘自身が自分で定めていると思います。
私は、話は雑になるはずないと思うけれど、画力は体力と直結してる感があるので、獣神演武が本当に、憎いというか、素直に認められなくて、苦しい。
今月の絵も、マスタングのタバコ取る指の形がヘンなのとか、ブラハの首輪に挟んだメモにトーンが被ってるとことかに、時間の無さを見てしまって、唇を噛んでいます。鋼・獣・鋼で連続作画120頁はやっぱり無理があるんじゃ・・・。
物語は竜頭蛇尾にならない、と私は断言する!
心配なのは、もっともっと上まで行けたんじゃないか、と口惜しさが残ること。でもコレは記事にするとドロドロなので、コメレスで吐き出してみたり(苦笑) ごめんね;
てゆーかそれより早く雑誌感想書こうね自分・・・;
コメントありがとーv
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