歌猫Blog跡地

漫画「鋼の錬金術師」と荒川弘について語るブログ。更新終了しました。

そしてマンガは取り残される。

2007年11月08日 | ◆獣神演武
アニメは、あれであのままで終わると思います。
だから私が今、思いを馳せるのは、アニメの後のことなんです。

獣神演武はアニメ企画です。
アニメスタジオの夢と、アニメプロデュース会社の夢のための企画。
そして、アニメもゲームも連動企画も全て終わった後に。
それでもマンガは続きます。
来年の今。「獣神演武」を覚えている人は何人いるのでしょう。

ラノ漫に書かれているとおりに。
アニメの速度でマンガを描くことはできないのです。
「強引にやろうとすると省略だらけの原作ダイジェストに堕してしまいます。」
そしてそれを、獣神スタッフは知りません。
2006年3月号の「ぱふ」
「どのくらいの文章量がまんがにするとどのくらいの頁数になるのかがわからなかったらしく」
そう。社綾氏も知らなかったのです。

アニメ企画。
だから、「その後」のことなんて、企画した人たちは少しも考えはしなかったのでしょう。
アニメが終わり。
そしてマンガは取り残される。
それを、ガンガン編集部はどうするつもりなのでしょうか。何の手もうたず、そのまま放置するのでしょうか。

なぜ、「鋼の錬金術師」が終わるまで、あと約2年、待てなかったのでしょう。
なぜ編集部は、待たせなかったのでしょう。巻数を重ねてからメディア化する方が、動く部数が多くなる分、出版社の実入りも多いのに。
誰が、「荒川弘も漫画を描く」と言いだしたのでしょう。魂胆があったのか、止むにやまれずだったのか、単に口を滑らせたのか。

もし、「獣神演武」を、題材を借りるだけにして、残りは全て荒川弘が描いたなら、もっとずっと面白くなっていたと思います。
そして。
例え、全て荒川弘が描いたとしても。
荒川弘は「獣神演武」を、自分のものだとは言わないでしょう。

「獣神演武」は、大原信弥氏のものです。
アニメ企画は、大原信弥氏と、スタジオフラッグ前社長早坂哲也氏のものです。
だから荒川弘は、単行本のあとがきに「獣神演武 COMIC Ver. 1巻」と記したのです。
「原案 黄金周」とは別に、「原案協力 大原信弥 早坂哲也」と明記したのです。
大原信弥の名前が公になったのは、この単行本が最初です。

作品の良し悪しは関係なく、ワタシの作品はワタシのものです。アナタの作品はアナタのものです。
それをまるで、全てが荒川弘のもののように、言う人がいる。
その姿勢に、私は心の底から憤ります。
始めは、あんな駄作を荒川の名前で売るなんて、と腹が立ちました。
今は、それだけではありません。例え歴史に残る傑作であろうと、その人の作品で無いものを、その人の名前で売ることは、許せません。
荒川弘のためではなくて。
荒川弘のためと同時に、大原信弥のために、早坂哲也のために、私のために、私は憤っているんです。

それでも、マンガ版「獣神演武」だけは、荒川弘の作品でもあります。
どんな事情があろうと、描いているのは荒川弘だからです。
だから、私はゆっくりと見守ります。
単行本の巻末に「早坂哲也」の文字を見た時、本当の意味で素直に、マンガ版獣神演武という作品を眺められるようになりました。
彼が亡くなっていることを、もう、知っていたから。

10月発売のパワードを読みました。
確かに、じわじわと少しずつ、面白くなっています。
主人公に焦点を当てた話運びがいいし、彼のキャラクターに愛嬌を感じます。
けれど。
荒川弘に対して「じわじわと少しずつ面白く」なんて言葉を使わなければならないことに。
泣きたくなります。

私は荒川弘が大好きです。
だから荒川弘にもっともっと伸びて欲しい。
ためになる仕事をしてほしい。
誰にも邪魔されたり利用されたりしてほしくない。
好きな漫画を好きなように描いて欲しい。

荒川先生にとって、「獣神演武」が、どうか負担ではありませんように。楽しい仕事でありますように。



歌猫短期集中獣神企画はこれで終わりです。
この記事は、どーしても、カラリとサクサクには書けませんでした…(苦笑)
やんもーこんな湿っぽい記事で、ごめんね~。

はー!(<ため息)ようやく鋼に戻れるぞー!


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7 コメント

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Unknown ()
2007-11-08 17:44:17
歌猫さんご苦労様でした。



獣神はおもしろくない。とコミックスが出る前から聞いてはいたので、発売時も気が向いたら買ってみよう程度でした。

しかし探せど探せど売り切れの店ばかり。あれっもしかしておもしろいのかな?っと気になり待ち続けること数週間、買えた時の喜びの大きさっといったらそりゃもう興奮しました。

が、がです。期待で飛び上がったわたしは思いっきり高く飛びその高さから落下しました。本当痛かったです、心が。

それからというもの獣神という文字を見ただけで嫌気を感じました。

しかしさすがの歌猫さん。あらゆる角度からのお話には獣神への見方が確実に変わりました。私と同じような気持ちになった方々にも是非読んでもらえたらなと心より思います。



ところでもうあと3日でガンガン発売日ですね。いつも楽しみに読ませてもらってます。11月号の詳しいネタバレはありませんでしたが、次は12月号のネタバレでしょうか?
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コメントありがとうございます。 (歌猫)
2007-11-09 05:02:15
貴様こんにちは。
私も、連載当初にバカみたいにバカな記事を書いてしまったくらい、期待していました。
だから「文字を見ただけで嫌気」、わかります。
ご苦労様でしたという言葉、是非読んでもらえたらという言葉、私こういうコメント欲してたんだ、と、開いて読んで、思いました。
心に沁みるコメント、本当にありがとうございました…。
ガンガンは…早売りを買えない私、この週末はネッ禁です; 11月号のネタバレ感想は、書きかけのがあるので今から書きます。うーん実に今更(苦笑)。今日アップできるかしら…?
改めて、コメントありがとうございました!
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Unknown (ヨウ)
2007-11-09 21:36:50
歌猫さん、おひさしぶりです。獣神、マンガもアニメもまったく見ていないヨウです。
鋼の15巻の巻末に、初めて獣神の告知が出たときは、「おっ」と思っていましたが、16巻の巻末の絵を見て、ちょっと様子を見ようと決めました。
16巻の巻末、キャラの絵、ものすごく迷って描いてます。何だか模索しながら描いている感じが受け取れて、「何かおかしいな」と思いました。
ただ、投げやりにはなっていないんです。15巻の巻末、ものすごく気合入っていたし。自分の中で、何とかしたいと思って試行錯誤という感じが、絵から読み取れます。
獣神は、もう少し巻が進んでから買ってみたいと思ってます。
取り残される。その心配は分かりますが、荒川先生のことです。乗り越えちゃうと思いますよ。

>誰にも邪魔されたり利用されたりしてほしくない。

逆に糧にしちゃうんじゃないかな。アニメを吸収した人ですからね。
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Unknown (通りすがり)
2007-11-10 01:30:42
はじめまして。ブログ、拝見いたしました。

荒川先生が好きで、鋼が好きで、こういう記事を書かれたのだということが、とてもよく伝わってきました。
 わたしも獣神はそこまで「面白い」とは思わなかった人間です。


 ただ、お気持ちはわかりますが、こういうことを書かれるのであれば、もう少しアニメ業界のことをご自分でお調べになってから書いてはどうでしょうか?
そのほうが、内容にもっと説得力が出ますし、何よりも視野が広がって、今後、さらによいブログになることと思います。

 何かを、批判するということは、当人にそのつもりがなくとも、相手を「傷つける」という行為に繋がってしまいます。批判が、ちゃんとした取材のもとでなされたものであれば、「批判・批評」となります。しかし、なんの根拠もなく、思い込みにより構成されたものならば、それは、たとえ悪意がなくとも「悪口」と捉えかねられません。

 わからないことを、他人から聞いた伝聞や根拠のないデータと想像で補うのではなく、自らお調べになって、その結果、歌猫さんが思ったことを私は知りたいです。

 少なくとも、現在のアニメ業界は、歌猫さんが思っていらっしゃるような世界ではないです。

それでは、長文失礼致しました。 今後、鋼の感想楽しみにしております。
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コメントありがとうございます。 (歌猫)
2007-11-10 07:50:56
ヨウ様こんにちは!
うわ、ヨウ様にコメントいただけるなんて…!
15巻巻末予告は第一話なのですが、一話は本当に気合が入っていて、冒頭の庶民の暮らしを描いたところなんて荒川先生の「やるぞ!」って感じが伝わってきて、私も本当に楽しみにしていたんです。
鋼の17巻前半あたりと同時期で、この頃鋼がちょっと苦しそうだったから、ここで違う風を吸うのもとっても良い事だと思っていたのですが…。
16巻巻末予告は2話目です。
>荒川先生のことです。乗り越えちゃうと思いますよ
>逆に糧にしちゃうんじゃないかな
ええ、きっとそうだと思います。強くて謙虚な方だから。
でも謙虚過ぎますよー。あのどうしようも無い脚本で、あと何年もマンガ書くなんて…(涙
コメント、ありがとうございました!


通りすがり様、こんにちは。
丁寧なご指摘、誠にありがとうございます。
はい。仰る通り、アニメ業界のことは分かっておりません。
過去にも思い込みで全くズレた発言をしていますので、これらの記事にも間違いが多々あると思います。
悪意は、あるかもしれません。悪口を言いたいクセに、荒川先生を貶めたくないから、こんな風に一般論的な物言いで逃げてるだけなんじゃないか?と、自分でも思います。
伝聞や根拠の無いデータは使っていません。
でも、想像は多分に使っています……。
取材…そうですね。スタジオフラッグに直接問い合わせるとか、そういう方法もありました。そうか…。個人でだって、やろうと思えば出来ますものね。
でも、今、現実問題として考えてみましたが、結論として、やりません。そこまでのエネルギーが湧くまでには、「好き」も「憤り」も足りないようです。
>少なくとも、現在のアニメ業界は、歌猫さんが思っていらっしゃるような世界ではないです。
それは何なのか、もしよろしければ具体的に教えていただけますでしょうか。ぜひ知りたいです。
よろしくお願いいたします。
コメントありがとうございました。
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単行本第1巻・・・・ (大沢大和)
2007-11-21 12:02:19
単行本の第1巻のカバーの本人のコメントで描き易いと書いています。荒川弘先生自身が「三国志」「水滸伝」などを中国小説を好きな事もあるので、本人が描き易いと思っている以上、漫画はいい物が出来ますよ・・・。
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コメントありがとうございます。 (歌猫)
2007-11-22 04:20:10
大沢大和様こんにちは。
そうですね。そうだといいのですが。
コメントありがとうございました。
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