ある種のノンフィクションの読み手というのは、なんでそんなに「巨悪」や「陰謀」を名指ししたがるんだろうな。「どこかに悪い奴がいて、そいつが諸悪の根源」と考えるのは楽だし、すっきりするんだろうけど、現実にそんなことは少ない。いたって卑小で凡庸、「悪意」とも呼べないことの積み重ねだろ。
それを本では「空気」と呼んでるのであって、そこには書き手である自分も、「巨悪」を指弾したいあなたも入ってるんですよ。悪の勢力が陰謀をめぐらせている、という単純な考え方を抜けられないから、「フルオープン」を誇り、「公開討論」に強い橋下徹のような人物にコロッといかれてしまうんですよ。
目の前で堂々と嘘やデマを吐かれても、「フルオープンでの発言だから信用できる」と考えてしまうんだろうな。「記者クラブが諸悪の根源」みたいに言いたがる「ネットジャーナリズム」とやらの(一部の?)人たちもそうで、「会見をフリーにも公開したからよい政治家」みたいになってた時期があった。
でも、情報の公開性と、その情報の中身および情報の送り手の資質や能力や人間的誠実さとかは別の問題でしょう。橋下徹という政治家は、堂々とフルオープンの場で、決然と嘘やデマを口にする(ツイッターにも書く)じゃないですか。そこを理解せず、「オープンだから正しい」みたいなのは全然違うよ。
新聞社時代、俺より若い記者が「世の中には悪い奴がもっといる。そいつらを叩きたいんですよ」と使命感に燃えて語ってて、デスクも「その意気やよし」と応じている横で、俺は全く共感できず、白けた気分で酒飲んでた。自分がダメ記者だからだろうなと思ってたけど、それだけじゃないよなと今では思う。
@biriksk 西岡さんもよく知ってる記者とデスクの会話ですよ。結局、「大悪党と、泣かされる無辜の市民」という単純な勧善懲悪式の警察報道フォーマットをすべてに採用するから、そうなるんじゃないかと。そりゃ、闇を突き詰めたら角田美代子みたいなモンスターが出てきたら面白いですもん→続
@biriksk だけど、そういった一部の事件物を除けば、世の中で起こってる「問題」の多くは凡庸で卑小な、責任逃れや不作為や功名心や、あるいはちょっと誰かを貶めたい小さな悪意とか、そういうことの連鎖や集積ですよね。完全なる悪党を名指しできることなんて、本当は少ない気がしていて→続
@biriksk だけど、橋下徹は次々といろんな人や組織や職業を「敵」認定して、そこに世間の不満や攻撃を差し向けた。で、人びとは易々と「公務員はけしからん」「労組や町内会は既得権益」「二重行政が諸悪の根源」と乗せられてしまった。一方、そうして悪意を煽っている橋下自身に対しては→続
@biriksk 「フルオープンだから信用できる」「私たちの代弁者」「言葉はきついけど頑張ってはる」みたいな改革者イメージを抱き続けた(今も抱き続けている)。そんなイメージを作り上げ、後押ししたのは間違いなく、「悪者を叩きたい」と使命感に燃えたあの記者のような連中やろうなあ、と。
【速報】ミルクの飲み方が可愛すぎる猫現る
【速報】ミルクの飲み方が可愛すぎる猫現る
【速報】ミルクの飲み方が可愛すぎる猫現る
【速報】ミルクの飲み方が可愛すぎる猫現る
pic.twitter.com/qoa0xSrOam
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます