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本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

◇ 高橋秀実「素晴らしきラジオ体操」

2024年01月23日 | ◇読んだ本の感想。
書きぶりはゆるいけれどもテーマが重い「にせニッポン人探訪記」と
「TOKYO外国人裁判」の後に本作。
わたしはこの人はこのくらいのテーマで書くのが一番魅力的だと思いますよ。

というわけで面白かったです。
ラジオ体操について深く思いを致したことは人生で一度もなかった。と思う。
すんなり作られてすんなり広まってすんなり続いているものだと。
この本を読むと、それなりの紆余曲折があったんですねえ。

ラジオ体操の淵源がアメリカの生命保険会社(のCM)にあるとは……。
まあこの本の書き方もそうなんだけど、わたしも保険関係にはうさんくさいイメージがあるので
そう知るとラジオ体操にも途端にうさんくさいものを感じてしまうなあ。
明朗この上ないものだと感じていたのに。

そしてラジオ体操の日本での始まりは昭和天皇の即位大典を記念した新事業だったんだって!
まあそれが唯一無二の目的ではないかもしれないけど、そうかかわってくるとは
知らなかった。

そのゆえにか、敗戦後はアメリカ軍がラジオ体操の禁止に動こうとしたこともあったらしい。
アメリカ軍からはラジオ体操が危険に見えていたんですね。
たしかにラジオ体操には「精神修養のために」という意味が付されていたことも
あるらしいから、大和魂とかブシドーとかの影を感じさせたのかもしれない。

わたしも小学校の時は夏休みの朝に子供会で集まってラジオ体操をしてたけど、
今どきの子供がやっている姿は全く見かけない。職場によっては毎朝やっている人も
いるかもしれないけど、わたしは多分ここ数十年やったことはない。

が、全日本的に、やる人はやっているそうなんですね、学校や職場以外でも。
趣味としてというか情熱をもってラジオ体操をしている人たちがいる。

というような内容を、若干小馬鹿にした口調――と言って悪ければ諧謔的に――著者は語る。
まあそれでも諧謔よりはユーモア多めかな。そこまで嫌味には感じないと思うけど。
わたしはにやにやしながら読む。

まあ不満と言えば、もう少しだけ掘り下げが欲しいかなーと感じることかな。
掘り下げというか、著者なりの結論?意見?
結論を出すほどの小テーマではないといえばそうだが、ごくわずかに物足りない。
でもまあこのあっさり加減がむしろこの人の強みだろうか。
こういう感じのものを読んでいきたい。いい意味で毒にも薬にもならないようなテーマで。
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