How Grinch Stole Christmas
村はずれの山に引きこもっているグリンチ(Grinch)は、人嫌いのひねくれ者として知られ、子どもたちに恐れられています。グリンチは何よりもクリスマスが大嫌い! クリスマスの準備をする村人のはなやいだ笑い声が聞こえるだけでイライラ。クリスマスソングには両手で耳をふさいでしまいます。
実は、グリンチがクリスマス嫌いになったのは、子どものころに、クリスマスパーティで意地悪され、容姿を笑いものにされて仲間外れになったから。ほのかに思いを寄せていた初恋の女の子への思いもやぶれて・・・グリンチが山にひきこもってしまったのも、実は、それが原因だったのです
その時の怒りと屈辱を忘れられないグリンチは、村人たちのクリスマスを台無しにする計画をたてます。クリスマスの飾りも、ツリーの下やストッキングの中のプレゼントも、クリスマスのためのご馳走もなくなっちゃったら、誰もクリスマスなんか祝えないだろうさ! そうしたら、もう聞きたくない歌や皆の歓声を聞かなくて済むし、もしかして、何もかもなくした村人たちがしくしく泣いてくれたら、もう言うことなし!嬉しい!最高だ!
・・・というわけで、サンタクロースの扮装をしたグリンチは、トナカイに見立てた飼い犬ひきつれて、村中の家々を回ってツリーもプレゼントも冷蔵庫の中のご馳走までも盗み出します。郵便局にまで忍び込み、郵送途中のプレゼントまで横取りしてしまうという念の入れようです。
盗品を山にひっぱりあげて、悦に入るグリンチ。
ツリーもプレゼントもなくした村人たちは、さぞや意気消沈しているだろうな・・・とクックッと意地悪な忍び笑いをもらし、耳を澄ませてなきごえを聞こうと待ちかまえるグリンチ。
・・・ところが、風に乗って彼の耳に聴こえてきたのは、「おもちゃがないよぉ!」「プレゼントはどこぉ?」と泣きわめく子どもたちの声でもなく、「一生懸命こしらえたごちそうが、消えてしまった・・・」と嘆くおかみさんたちの声でもなく、「家族さえいれば、何もなくても幸せ」とばかり、村人たちが声をそろえて歌う明るいクリスマスキャロルだったのです。
何故だ?! あいつらのクリスマスは俺様がメチャクチャにしてやったというのに・・・、なんだってあんなに嬉しそうにしているんだ? 血相を変えて飛び出したグリンチが見たものは・・・? 村からはるばる訪ねてきた小さな女の子。「グリンチさんに会いに来たのよ。だってクリスマスには、誰も一人ぼっちにしてはいけないんだもの!」
「大人になっても絵本好き」というファンの多いドクター・スースの作品の中でも、とりわけ大人の愛好家が多い絵本です。
映画もあります(How Grinch Stole Christmas 邦題:グリンチ)。ジム・ケリーがグリンチに扮した最近のリメイクは、原作の幻想的な印象を活かしたファンタジックな仕上がりで、コスチュームもメークも装置も、色使いもデザインも美しく、大人も楽しめる仕上がりになっています。我が家のクリスマスの定番映画の一つ。パーティの時に流す映像としても最適です。
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