I Like Me!
保育園や幼稚園のような集団に出ると、子どもたちは、ほとんどはじめて友達や先生など"他者"の視線を通して自分を客観視するようになります。自分の"うちの中ではあたりまえ"だったことが"世間?では通用しない”とわかるのも、ほかの子どもとの比較で自分を見るようになるのも、このとき。
こうなると、何よりも「仲間の影響力 Peer Pressure」こそが絶大。もう親の言うことなど聞きません。
女の子の遊び仲間がみんなスパッツをはいているとなると、大好きで毎日はいていたスカートになんか見向きもしなくなりますし、朝の出がけに「ポニーテールはもっと高いところで縛って!」なんて注文されてしまいます。
うちの娘が保育園に通い始めた当時のこと。1歳年上のイセラというエキゾチックな名前のお姉さんが毎朝遊び場の入口で待っていて、心細くて半分泣きべそをかいている娘の手をとって「一緒に遊ぼ!」と砂場やブランコに連れていってくれました。私は毎朝感謝でいっぱいでしたが、3歳にならない娘が「イセラみたいに耳に穴をあけたい!」と言い出した時には仰天。イセラはアメリカ生まれでしたが、ご両親の遠い故国では女の子が生まれるとすぐにピアスをさせる慣習だとのことで、イセラもおばあちゃまからのプレゼントのきれいなピアスをしていました。やさしいお姉さんの耳にきらきらと輝く小さな宝石!娘の目にはさぞ美しく魅力的に映ったに違いありません。
素敵な人の真似をするだけでなく、友達に比べて自分は‥‥と、容姿などの自己イメージ(self-image)が気になり始めるのも、この頃です。
ありのままの自分を受け入れ、肯定し、そして好きになること。これが、自己効力感(Self Efficacy:自分を肯定でき、自分には何かができる!と感じられる力)の基本。自己効力感はひととして社会に生きるために必要な力ですから、これをはぐくむことは、子どもを育てるうえでの最重要課題の一つです。自己イメージの受容はそのコア。そんためには、周囲にも、一人ひとりのユニークさをありのままに認めて評価し、ありのまま肯定し、ありのまま愛する環境が必要です。大切だけれど、なかなかに実践のむずかしい課題です。
今日ご紹介する絵本「わたし大好き!(I like Me!)」は、ユーモラスな語り口で、楽しく、さりげなく女の子の自己イメージや自己効力感の問題に切りこんでいる、ちょっとユニークな絵本です。
「わたし」はピンクの子ブタの女の子。「わたし」はわたし自身が大好き!ぺちゃんこの鼻も、ぽちゃぽちゃしたおなかも、小さな足も、どれも、みーんな大好き!でもね‥‥、こんな「わたし」でも、時々はすごく気分が落ち込んじゃうこともあるの。でも、そんな時にはね、「わたし」がわたし自身を励ますの!どうやって?あのね、落ち込んでる「わたし」においしいスウィーツを振るまうの!
幼いながら自我に目覚める年ごろの子どもの本棚にさりげなく置きたい一冊です。
(アンコール掲載:2008年11月25日ブログに一部加筆をしました)
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