子どもの肥満が大きな社会問題になっているアメリカ。"Mother in Chief" (アメリカ国民の肝っ玉母さん)を自任するファーストレディのミシェルさんは、子どもたちの肥満対策にと、食育に力を注いでいます。
近所の学童と一緒にホワイトハウスの庭に野菜を植えて育てて収穫し、その野菜をアメリカでも人気のテレビ番組「料理の鉄人」に食材として提供し、大きな話題となったこともあります。さらに学校給食に必ず新鮮な野菜と果物を提供するようにとの規約改正まで実現し、食育の改善・普及に大奮闘。
最近では、アメリカの学校のスナックの自動販売機に、生のバナナやリンゴ、ニンジンのスティックまでが登場しています。今日のイラストは「ジャンクフードみたいに(どんどん)食べてね!」という広告付きで高校に置かれたニンジンのスティックの自動販売機です。
ミシェルさんの努力の甲斐あってか、先ごろの米国厚労省のレポートでは、全米の20州で小児肥満率が改善されたと報じられています。
絵本は?と振り返ると、伝統的に、子どもの絵本に登場する "おいしい" 食べ物と言えば、まずはアイスクリーム,それからクッキーにチョコレートです。そう、なんと言っても幸福な時間を象徴するのは "甘い" オヤツ。子どもの好きなハンバーガーやホットドッグ、サンドイッチ,あるいはミートソースのスパゲッティやチーズのピザも登場しますが、 どうしても"野菜不足" は否めません。
こうした風潮(伝統?)について、近頃は、絵本の読者レビュー欄に「子どもの食育を考えたら絵本も改善が必要」という意見が折々散見し、新しいタイプの絵本が待たれています。
そこで、今日は、すべて野菜と果物の名前で綴られたヘルシーなABCの絵本 "Eating the Alphabet" をご紹介します。Aはアプリコット(appricot)、アボカド(avocado)、アーティチョーク(artichoke)、それからグリーンアスパラ(asparagus)。Bはいんげん(bean)、赤かぶ(beet)、ブロッコリ( broccoli)、そしてバナナ(banana)というふうに、全篇が野菜と果物尽くし。最後のZはズッキーニ(zucchini)です。どんな健康志向のお母さんにも喜ばれそう。
Eating the Alphabet: Fruits and Vegetables from a to Z (Voyager Books) | |
Sandpiper |
日本語訳もでています。
野菜とくだもののアルファベット図鑑 | |
あすなろ書房 |
実は、野菜の絵本は日本が断然先進国です。娘の大好き!は「やさいのおなか」と「くだもの」でした。
野菜って輪切りにするだけで、まったく表情が変わって、実におもしろいもの。あの野菜は?こっちは?と次々試してみたくなります。うちでも、次々に、いろんな野菜を切りました。きうちかつさんの「やさいのおなか」は、子どもの日常に視点を据えて、そこから科学的な探究心を引き出すことに成功しています。
やさいのおなか (幼児絵本シリーズ) | |
福音館書店 |
「くだもの」は、平山和子さんの精緻なイラストが素晴らしい絵本です。さくらんぼのページの「はい、どうぞ」というテキストを読むたびに娘は必ずため息をついて「さくらんぼ、食べたいなぁ」とつぶやいていました。私もまったく同感でした。
くだもの | |
福音館書店 |
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます