Bedtime For Frances
世界中で読まれている"Bedtime for Frances"は、「おやすみなさいフランシス」の邦訳で、日本でも広く親しまれている絵本です。
「さぁ、もう寝る時間ですよ」の一言は、遊びたいさかりの子どもが一番聞きたくない言葉かもしれません。
昔の子どもは、皆早く寝かされたものです。うちの娘はかなり大きくなるまで午後8時にはベッドに入っていました。でも、私自身は小さい頃は7時には寝ていたので、娘が時々9時過ぎまで起きていたりすると、私は子育てが下手なんじゃないかしら‥‥と心配になったものです。今から考えれば大したことじゃないのですが、新米の母親は、とにかく何でも悩むんですよ!
ところが、今回読み返してみたら、フランシスのベッドタイムは、なんと7時!私と同じです。で、出版年次を調べたら、初版は1960年。なるほど!当時の標準なのね、とわが身を振り返ってちょっと笑えました。
フランシスがそっと時計をみると、
長い針が12を短い針が7を指しています(余談ですが、これ、懐かしい表現ですね!アナログ時計の時代ならでは!)。
「もう寝る時間だよ」とお父さんが、
「さぁ、もう寝る時間よ」とお母さんが
声をそろえて言いました。
フランシスはすかさず「ミルク飲んでいい?」と聞き、
お母さんにミルクをもらって飲みました。
それから、お父さんにベッドまでおんぶして連れていってもらい、
お父さんとお母さんに「おやすみなさい」のキスをしてもらいました。
ところが…フランシスは眠れません。
「ベッドの下にトラがいる…」
「部屋の中に恐ろしい巨人がいる…」
「お化けが窓をがたがた鳴らして、入ってこようとしてる…」
そのつどフランシスはベッドから出て、お父さんとお母さんのところへ…。
フランシスの訴えは、誰もが思い当たりそうなことばかり。子どもばかりでなく、読み聞かせる親も誰しも身におぼえのありそうな話ばかりです。
最近では色刷りで出ているのですが、実は、この絵本のオリジナルバージョンは白黒印刷だったと思います。そのオリジナルの方が、夜の暗がりのせいで、椅子に置かれているものがおそろしい巨人に見えたり、ベッドの下にトラがいるような気がしたりする、暗がりにいる恐怖がかきたてられて、想像膨らませる怖さがよく出ていたような気がします。夜の怖さって、もしかすると、色がない怖さなのかもしれませんね。
この本は、一時期の娘のお気に入りで「もう一回、もう一回」とベッドでせがまれて読んでいるうちに、「あら、また9時!」とあわてることしばしばでした。
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