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The Raindrops' Adventure
「地球は青かった」とは、人類として初めて大気圏外から地球を見たソビエト連邦共和国(当時)の宇宙飛行士ガガーリンの言葉です。でも1961年当時、一般家庭のテレビはまだ白黒。ガガーリンのこの感動と衝撃をリアルタイムに共有できる環境はまだ整っていませんでした。ですから私自身が、地球は青くて美しいのだと実感したのはもっと後のことで、たぶん、はじめて地球のカラー写真を見た時だったと思います。その時は感動しました。青く輝く地球は本当にきれいで、これをたったひとりで宇宙船の窓から見たガガーリンの感動はどれほどであったろうかとあらためて思いました。
地球が青く見えるのは「地球が水に満ちた星だからだよ…」と教えられ、確かにそうだと実感としたのもその時だったと思います。なにしろ、まだ飛行機にも乗ったことがなかったので、それまでは地球儀を見ても、海の大きさが実感できなかったのです。
地球はまさに水の星。この星に生きるものすべてにとって水はきわめて大切なものです。地球のことを考えることは水のことを考えることであり、水のことを考えることが地球のことを考えることだと言っても決して過言ではありません。
小さな子と一緒に、水のこと地球のことを考えるきっかけになる本は‥‥?と考えたとき、すぐに思い浮かんだのは(残念ながら)英語の絵本ではなく、日本語で娘と読んだ「しずくのぼうけん」でした。このお話はポーランドの絵本(マリア・テルリコフスカ作、ボスダン・ブテンゴ画)をうちだりさこさんが日本語に訳したものです。
バケツからこぼれた一滴の水のしずく"しずくちゃん"がさまざまに冒険する物語の形をとって、楽しみながら、水の循環をしっかり学ぶことができるお話です。水は蒸発すると空へ行って雲になり、やがて雨になって空から地上に降りそそぎ、固まっては氷になり、また溶けては水になって流れる・・・というように。小さな子でも、科学的な理屈のすべてはわからなくても、お風呂の湯気を見て「あ、しずくちゃんだ!」と叫ぶような実践的な理解が進みます。
説明的になりがちな物語を、翻訳者のうちださんの軽やかで且つリリカルで、実に自然で読みやすい文章が飽きさせないものにしています。うちださんの語り口は、いかにも古典的なイラストにもよくマッチしています。この絵本が子どもに根強い人気のある秘密は、そのあたりにもありそうです。
そんなわけで、この「しずくのぼうけん」の英語版はあるかな?と探してみたのですが、残念ながら見つかりませんでした。
でも週末、本屋さんを探検して「しずくのぼうけん」と同じコンセプトの本を探し出しました。タイトルもまさしく"The Raindrops' Adventure"(あめのしずくのぼうけん)。
本書は作家キンバリー・カー(Kimberly Kerr)の始めての絵本。お話もイラストも彼女で、本書が処女作。イラストも文章も丹念でいながら軽妙で読みやすく、小さな子にもわかりやすく仕上がっています。アマゾンの読者評はほとんどの人が★5つ。私も同感!お勧めです。
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