”The Snowy Day”(日本語訳:ゆきのひ)はEzra Jack Keats(エズラ・ジャック・キーツ)の代表作です。
ある朝、ピーターが目覚めると、外は一面の雪!
なにもかもが真っ白です。
わぁ!こんな雪、見たこともない!
ピーターは大喜びで外に遊びに行きます。
はじめは、そおっと雪に足跡をつけてみました。
一歩、また一歩、足跡が残ります。
それから、
積もった雪に体を押し付けて、
両手を動かして羽の形にして・・・
ほら、天使になった!
あんまり白くてきれいなので、
雪のかたまりを大事にポケットに入れて持って帰ったら・・・
The Snowy Day (Picture Puffins) | |
Puffin |
舞台はニューヨーク。幼い主人公のピーターはアフリカ系アメリカ人の男の子。コラージュの手法を取り入れた素朴であたたかなイラストは、街を覆い尽くした真っ白な雪に、ピーターの肌の色と朱赤のマントがきれいに映える美しい色遣い。シンプルで、ごく短いテキストだけで書かれているのに、不思議なほどに抒情的で、印象深い作品です。
”The Snowy Day" は1963年のカルデコット賞に輝いた作品ですが、アフリカ系アメリカ人の子どもを主人公にした作品が同賞を受賞するのは、これが初めて。その意味で時代を画した作品です。
作者のキーツはアーティストとしても、作家としても、子供向けの作品にさまざまな革新的な試みを持ち込んだ作家で、『初めて』を冠した数々のエピソードの持ち主です。コラージュ手法を持ち込んだのも、絵本といえば牧歌的な田舎の自然が描かれるものと考えられていた当時の常識を覆して大都会を舞台に、街の子どもを主人公にした絵本を描いたのも、キーツが最初と言われています。また、それまで英語の絵本には登場しなかったマイノリティの子どもたちが主人公の作品を書いたのも彼が最初です。
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