Source: How to Survive Holiday Travel, www.ehow.com
「あなたにとって大切なものは?」と聞かれると、老いも若きも、たいていのアメリカ人は、まるで判で押したように「家族(Family)」と答えます。実際には結婚2組に1組が離婚している国なのに‥‥いまだ、実に生真面目に「もっとも大切なものは家族”であるべき”」と信じて疑わないように見えるアメリカ人。
秋から冬にかけてのホリデーシーズンはそんなアメリカンファミリー(家族や親族)が集まる季節。サンクスギビングしかり、クリスマスしかり、ホリデーは家族で過ごすものと考えられているからです。だから、ホリデー前後はアメリカ中が帰省ラッシュに。ハイウェイには長距離を移動する車がテールランプを連ね、空港も駅も長蛇の列、空港や駅の周辺は出迎えの車で大渋滞します。
それなのに‥‥と言うよりは、多分、だからこそ‥‥と言うべきなのだと思いますが、実は、アメリカのホリデーシーズンは、自殺率が高く、犯罪率が高く、また離婚の多い季節でもあります。
「さみしい人が事件をおこすのよ」とは、小学生当時の娘の発言です。よその家族が集まっているのを見ることでわが身の孤独や寂しさが募り「何で自分だけ家庭の幸福に恵まれないのだろう‥‥」と落ち込んだり、怒りを感じたり。あるいは、かつて自分も一緒に囲んだ暖かなディナーの記憶がかえって辛いという場合もあるかもしれません。
さて、離婚は‥‥と考えてみると、私のまわりでも実例に事欠かないことに気づきます。
アリスが夫のマイケルに突然離婚を言い渡されたのはサンクスギビングの前週の金曜日。その週末、何も知らずに「楽しい感謝蔡を!(Happy Thanksgiving!)」と言おうと電話した私は、いつも冷静なアリスが「マイケルったら、昨日まで毎朝毎晩『愛してるよ』とささやいていたのよ!あのウソツキ!」と泣きながら話し続けるのを、慰めの言葉も見つからないままに延々と聞いていました。あの困惑は10年以上たったいまも忘れられません。
ところが、この話をしたら友人のジェリーが「父が家を出ていったのもサンクスギビングの直前だったわ」と言い出しました。大学が休みになって家に戻ったら、お父さんがガレージから車を出すところに行きあい、「どこに行くの?」と聞いたら「出て行くよ」と言われ、ジェリーは仰天。両親の不仲は知っていたジェリーもさすがに「サンクスギビングに出ていかなくてもいいじゃない」と言ったそうです。ところが、お父さんはひどく落ち付いた声で「今日ついにお母さんが『出ていけ』とどなったんだ。お母さんの方から出ていけという日を待ってたんだよ。今を逃すと、また出ていけなくなる。ジェリー、お母さんを頼むぞ」と。そのお父さんの声を聞いて「もう引き留めても無駄だ‥‥とわかったの」とジェリー。
お父さんはそのまま二度と戻らず、後にご両親は離婚。ジェリーは「休暇の間中、まだ幼なかった弟の世話をしながら、泣きっぱなしのお母さんを慰めて過ごすしたのよ、もちろんターキーもなしでね」と最後のところだけちょっと笑いながら話してくれました。
「どうしてホリデーには離婚が多いのかしら?」と聞くと、「ストレスがたまるからよ」とジェリーはあっさり。「人が大勢集まるっていうだけで気苦労もあるし、家事も増えるし、中には会いたくない人もいるもの。行ったり来たりのお土産やプレゼントを考えるのも大変だし、お金もかかるしね」と。
楽天的でパーティでも常に明るくふるまい、生来の社交好きに見えるアメリカ人たちも皆それなりに気を使って、ストレスを抱えているのですね。
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● Relative Discomfort
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